艶めく竜が愛すは…

イセヤ レキ

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本編

艶めく竜が愛すは護衛猫人・2

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クロシュがシルフィの元へ行けば、シルフィはあからさまにホッとした顔を見せた。

こうした様子などでかなり頻繁にシルフィからの好意が伝わってくるが、身の程は弁えなくてはいけない。

シルフィは、クロシュが常に傍にいて良い相手ではないのだから。
雲の上の人なのだから。


いとまを頂き、ありがとうございました。再び護衛の任に就かせて頂きます」
「おー、ちょっとは気分良くなったか?」
「はい、お陰様で、大分」
「‥‥クロシュ」
「はい、シルフイージス様」
「その呼び方は止めて下さい。‥クロシュ、石鹸の香りがしますね?」
「はい。寝汗が凄かったので‥‥あの‥‥先程、共同風呂‥‥に‥‥」

どうした事か、シルフィが笑顔であるにも関わらず、私にはシルフィの機嫌が急下降した様に感じた。

「許可もとらず、申し訳ありません」
「ちげーよ、シルフイージスは本当に心がせめーな!クロシュ殿が勝手に入ったからイライラしてんじゃなくて、クロシュ殿の「ガッシュ」

黙れ

と、私の耳には聞こえなかったが、確かに聞いた気がした。
ガッシュさんもピタリと黙ったから、多分気のせいではあるまい。


「クロシュ‥‥女湯で貴女に何かあったら我々は直ぐ助けに入れないのですよ?やはり、貴女に別室を与えたのが間違いでした。これからは、私の部屋を一緒に使って下さいね?」

狙われるのは私でなく竜人であるシルフィだろう、とか。
シルフィなら服を着ていれば平気でバレずに女湯入れるだろう、とか。
何で単なる護衛が心配されるんだろう、とか。
護衛なんだから普通は外で待機なのに同室っておかしいだろう、とか。


色々突っ込みどころはあったが、口にするのが恐ろしくて結局ガッシュに倣ってクロシュも黙った。




☆☆☆




船酔いは大分良くなったが、如何せん体のダルさが取れない。
ダルさ‥‥妊娠を一瞬疑ったが、そんな訳がない。
竜人とは、稀少な存在。
繁殖能力が、極めて低い事がその一因とされている。
それを知っていたから、シルフィに平気で中出しを許しているのだ。
竜人が普通に受精出来るのは、つがいが相手の時だけ。
しかし、その番に出会える可能性も、ほぼないらしい。


とは言え、念のため滋養強壮の薬を飲む前に検査をしたが、やはり陰性だった。
‥‥やはりな。
あれだけ中に出されていても、妊娠しないと言うことは‥‥

いや、そうじゃない。
妊娠でなければ、この体のダルさは何なのだろう?
陸に上がったら、一度医師にかかってみるか。


船長相手ににこやかに応対するシルフィを横目に、船客に目を走らせながら思考していたが、とある船客達と目があった。


(あれは‥‥先程の共同風呂にいた蛇女人達か?)


彼女達は、クロシュを見ていたのは気のせいだった、と思えるほどの自然体で談笑しながら通りすぎて行った。
しかし、その中の一人がシルフィを睨み付けたのをクロシュは見逃さなかった。


睨み付けられただけでは、当然護衛は動けない。
少し離れたところにいるガッシュに後で報告を入れよう、と頭に入れておいた。




☆☆☆




その夜も、シルフィに散々搾り取られ‥‥いや、搾り取っているのはクロシュなのだが、精神的に色々搾り取られたクロシュは、不思議な思いでベッドに沈んでいた。


やはり、シルフィとイタシタ後はすこぶる体調が良い。
‥‥何故だ?
体調不良を理由にシルフィとしない、という手も考えたが、それだとずっと寝かされそう&した方が体調が良くなる、という2つの理由でそれは出来なかった。

護衛なのに、雇い主シルフィに心配されてどーする。
護衛なのに、体調不良のままでどーする。


「クロシュ、考え事ですか?私と二人でいるのに、妬けますね」
シルフィが、背骨を上から下まで舌でなぞり、再び上に戻ってきてチュ、と口付けた。

最近のシルフィは、そこへの口付けが好きだ。

私も今までは何ともなかったのに、そこに愛撫されるとゾワゾワと気持ち良さが駆け巡り、直ぐに潤う様になってしまった。
‥‥これが、躰を開発された、という事だろうか?


「んっ‥‥すまない。昼間の事も、迷惑を掛けたと思ってな」
「ガッシュに言われるまま、部屋を用意してしまった私の不手際ですから」


私は船酔いについて話したつもりだったが、シルフィは共同風呂の話だと勘違いしたらしい。
騎士の宿舎でも共同風呂はたまに使っていたし、シルフィが何を懸念しているのかさっぱりわからん。


「けれど、迷惑を掛けたと思っているなら、迷惑料を頂きましょうか。クロシュがもう発情していないのが気になります。‥‥出し足りなかったですかね」
「いやいやいや十分!十分ですから‥‥あぁん!!」

毎日‥‥そう、毎日睦みあっていれば、クロシュの感じるところはシルフィには丸わかりで。

「ほら、もうイヤらしく私のモノを飲み込んで‥‥気持ち良いですか?」
「うにゃあん!!にゃ、にゃ、にゃーーーー!!!」

あっという間に思考の中断を余儀なくされ、快楽の渦に叩き込まれた。




☆☆☆




「ほぉ、こいつの背中に鱗が?」
「珍しいだろ?どっから見ても猫人なのにさ。竜人の護衛だったみたいだからつい、ダブルでムカついて、拐ってみたんだけど」
「聞いた事ないな‥‥あぁ、確かに鱗の様に見える」
「交渉に使えそうかい?」
「さてな‥‥おい、爺を呼べ」


(さて、どうしたものか)

目の前でじろじろと面白いモノを見るようにクロシュの品定めを始めた蛇人達を眺めながら、クロシュは思案した。


後ろ手に縄で括られたが、そんなものはとっくに抜け出ている。
両手で縄がほどけてないと見せかける為に、握りしめてはいるが。

てっきり、蛇人達に着いてくればシルフィを狙う元凶を潰せるかと思ったが、どうやら目当てはシルフィではなくクロシュそのものだった様だ。


‥‥ああ、しくじった。
シルフィが目当てでないとわかっていたら、捕獲されるのではなく捕獲したのに。


5日目には海から蛇国を抜け、10日目夜間にアンドラ共和国に下船。
下船直後、襲撃にあった。
10人位の蛇人達で、風呂場で見た蛇女人の顔もあった。

幸いにも連日続いていた体調不良が嘘の様に消えさった後だったので捕獲に向けて動こうとしたが、その時蛇人の習性を思い出した。
蛇人は、決して仲間を売らない。
そして、実に粘着質でしつこい。
つまり、捕獲したとしても黒幕はわからないだろうし、元を絶たなければシルフィを今後も旅の間中延々と狙い続けるかもしれないのだ。
蛇人は、殺戮目的ではなく、蛇国に有利に外交を進める為に人質を取るという。

シルフィにはガッシュがついていれば安全だろうし、クロシュが敵に捕らわれても直ぐに殺される可能性は低い。
そして、もしかしたらこうした事態に備えてクロシュが雇われたのかもしれない。


‥‥よし、潜入しよう。


あっさりと決めたクロシュは、ガッシュに合図を送り、一人わざと散り散りになった襲撃者達を追いかけ続け、再び多勢となった蛇人達にやられた振りをして‥‥敵の陣地に入り込んだのだ。



ガッシュに合図を送った際、やけにギョッとして慌てていた様に感じたが‥‥もしかして、彼にはシルフィが目的でないとわかっていたのかもしれない。
ガッシュは、シルフィよりむしろクロシュを護衛しているかの様に動いていた臭いからだ。


はあぁ、と自分の失態に大きくため息をついた時だった。


「お呼びかな?」


少し高齢の蛇人が、長い髭を揺らしながら部屋に入って来た。


「爺、この黒猫人を見てくれ。首の後ろに鱗が‥‥」
「何っ!?鱗じゃと!?」
「珍しいから、拐って‥‥」
「どれ見せなさい!‥‥あぁ‥‥これはもう、完成された後じゃ」
「完成?」
「今すぐ!今すぐここから全員避難するのじゃ!!」
「え?こいつは‥‥?」
「勿論、ここに置いてゆくのじゃ!!早くせい!!しかも、白銀の鱗とは‥‥怒り狂った竜の王が来よるぞ‥‥!!」


‥‥???


老蛇人の、あまりの慌てふためきっぷりにクロシュが頭をハテナマークで埋め、他の蛇人達が訳も分からずひとまず言われた通りに部屋を出ようか、としたその時だった。



ドゴォン!!!!!

「きゃあ!」
「ぐっ!!」



部屋の扉が木っ端微塵に吹き飛び、何人かの蛇人がその衝撃で倒れ込んだ。


噴煙の中から、ユラリ、と長身の影が動く。
「うっ‥!」
足元の蛇人を、平気で踏みつけて。


「‥‥私の番を拐った覚悟は出来ているんだろうな‥‥?」


そこには、恐ろしい怒気と冷気を纏ったシルフイージスが立っていた。




☆☆☆




「クロシュ殿、無事か?怪我はないか?」
「‥‥ここは‥‥?ガッシュさん‥?ああ、全く問題ない。それより、シルフィが‥‥」
「ここは宿屋だ。クロシュ殿‥‥すまない、諦めてくれ」
「何をだ‥‥?ガッシュさん、シルフィは何処だ?」
「シルフイージスなら大丈夫だ」
「え‥‥?」



蛇人達のアジトで、シルフィの姿を確認した。
その1秒後には、目の前にシルフィの顔があった。
「クロシュ、何処かお怪我はありませんか?」

蕩ける様な表情でこちらを見るものだから、さっき目にしたモノは見間違いか勘違いか、と思ってしまいそうになりながら「ああ」と答える。

「そうですか、それなら良かった‥‥ですが」
するり、とクロシュが後ろ手で握っていた縄を掴む。

「クロシュにこれ・・をして良いのは、私だけです」
シルフィがニッコリと笑ったところで、首に軽い衝撃が走り‥‥意識はフェードアウトした。


「兎に角、クロシュ殿はここにいてくれればいい」
「そんな訳にはいかない。私はシルフィの護衛だぞ?‥‥ガッシュさんだって、シルフィの傍にいるべきなのに、何をしているんだ!?」


シルフィに気絶させられた事を思い出し、半ば八つ当たり気味にガッシュに怒鳴ってしまったが、ガッシュは全く動じなかった。

「‥‥俺の口からは何も言えない。が、一つだけ。クロシュ殿が旅に加わってから、俺の護衛対象はクロシュ殿だ」
「‥‥は?」
「竜人は、強い。俺なんかより、よっぽどな」
「え‥‥?それじゃ、私は何の為に‥‥」


クロシュがガッシュに手を伸ばした時だった。

「俺に触るな!!」

ガッシュは真っ青になって、クロシュから距離をとる。

「‥‥」


あまりの事に、クロシュの頭はついていけない。
いけなかった、が。


首の後ろが、ほんのりと温かくなった様に感じ、身体の芯に痺れる感覚が走る。


シルフィが、帰って来た。


直感でクロシュはそう感じ‥‥先程蛇人のアジトでも、シルフィが乱入した時に同じ感覚が走ったのを、思い出した。




☆☆☆




シルフィに聞きたい事は、沢山あった。

「私以外がクロシュに触れるなんて‥‥許せません」

あった筈だが、シルフィに懇願されて、先に躰を繋げてしまえば‥‥媚薬に酔わされて快楽しか求めなくなる。

「私から離れるなんて、クロシュは悪いヒトですね‥‥」
「にぁああああんっっ!!!」

正常位で両足を高く抱えあげられ、腰が浮いた状態でシルフィの楔がずっぷとクロシュの最奥に打ち付けられる。

「し、んぱ、い掛けて‥ごめ、にゃ」
「心配?‥‥そんなものではすみません。クロシュ、貴女は自分の心臓がむしりとられたら‥‥どうしますか?」

腰を両手でしっかりと抱え、杭でグリグリと最奥をつつき、クロシュの襞には泡立った愛液がまとわりつく。

「にゃんっ!!にゃん!!‥‥心、ぞ‥‥」
「はい。恐怖に戦き、奪った相手を憎み、心臓を取り返そうとするでしょう?‥‥どんな手を使っても」

綺麗なお尻の流線型に添って、膣から溢れ、流れていく泡を掬い取り、今度はそれを後ろの閉じられた蕾の襞に塗りつける。

「そん、にゃ‥‥」
「貴女に鱗紋が完成した後で、本当に良かった‥‥!!」

長く美しい、けれども十分に骨張った左手の中指を、何の迷いもなくズブズブと後穴に埋めていく。

「ひにゃああああっっっ!!」
「ああ‥‥良いですね。前も後ろもヒクヒクして、最高に気持ち良いです」

シルフィは、下にいるクロシュの膣に体重を預ける事で子宮の入り口をノックし続けながら、左手でアナルを弄び続けた。

「ぬ、いてにゃぁ‥‥んっっ!」
「ふふ。気持ち良さそうではありませんか‥‥しかし、ご希望ならば、指など抜いて‥‥貴女はやっと私の番となったのですから‥‥もう、仮初めのペニスでなく本物で交じりましょう」
「‥‥にゃ‥‥?」

あまりの快感に意識が混濁しているクロシュの耳でも、違和感のあるシルフィの台詞を拾うことが出来た。
それが、幸か不幸かは別として。

「かりそ、め‥‥?」
「ええ。ちょっとお待ち下さい」

後ろからも前からも、指とシルフィの剛直が同時に抜かれ、先程まであった圧迫感がなくなった。
それと同時に、至福の快楽も遠のき、クロシュの膣道が寂しげにひくつく。

ぐったりと動けなかったクロシュは、シルフィに両腕を軽々と、しかし優しく引っ張られ、それ・・を目にしてしまう。

「にゃ、にゃんで‥‥!?!?」

シルフィの、2ヶ月以上お付き合いして見慣れた肉棒の上には。
もっと太く、血管が浮き出、所々鱗がゴツゴツと瘤の様に突出した、それはそれはグロテスクなもう一本の、長い長いペニスが生えていた。




☆☆☆




「む、むり、にゃあんっっ‥‥っっ!!」

対面座位の体位で、シルフィの二本のペニスがクロシュの膣と菊門に呑み込まれていく。

「はぁっ‥‥美味しそうに咥え込んでますよ。あぁ‥‥クロシュ、最高です」

シルフィも二本のペニスを締め付けられる快感から、普段より興奮状態にあるのがわかるほど、頬を赤くしていた。

「入れるだけでこんなにとは‥‥動いたら、どうなるのでしょうね?」
「き、きついにゃ、も、切れちゃ、」
ずにゅ!!ずにゅ!!ずにゅ!!
ずぷっ!!ずぷ!!ずぷん!!

「にゃーーーーーーっっっ!!!」

ぐっちょ ぐっちょ ぐっちょ
ぬぽっ ぬぽっ ぬぷぷ

「あひぃっ!!ぅにゃ!!」

にっちゃ にっちゃ にっちゃ
ぐぬ!! ぐぬ!! ぐぬん!!

「らめにゃっ!イッへるっイッへるにゃ!!らめっ」
「にゃ、ん、ん、ん、~~~~~っっっ」

快楽の渦に放り出されて、呂律もまわらないクロシュをシルフィは責め立て続ける。

「ああ!!気持ち良い!!仮初めでも十分に気持ち良かったのに!!こんなに違うとは!!」

美しい容姿を蕩けさせ、シルフィも夢心地で腰を突き上げ続けた。

「さぁ、出ますよ‥‥!!私の種を、思う存分、味わって、下さい‥‥!!」

シルフィが一際強く腰を打ち付け、またクロシュが上へと逃げるのを両手でがっしりとホールドし、そのまま下に叩き付けた時。
大量の‥‥かつてない程の子種液が、体内に放出され続けたのを感じながら、クロシュは意識を手放した。




☆☆☆




長い長いながーい情事後、やっとシルフィから解放されたクロシュは、ずっと保留にされていた疑問質問に回答を貰う事が出来た。


「貴女は、私の番になったのです」
「‥‥は?‥‥いつ?いつの間に?」
「私が毎日、精を放ち続けたでしょう?あれで、貴女の躰を竜人の番として作り替える事が出来るのです」
「作り替える‥‥?」
「例えば、妊娠しやすくなります。また、貴女が何処にいても、私にはわかる。後は‥‥そうですね、寿命が竜人である私とほぼ一緒になりますね」
「なんで作り替えたってわかるんだ?」
「貴女の鱗紋が完成したからです。あぁ、鏡を‥‥はい、見て下さい」
「な、何だこれは!?」
「鱗紋です。私の鱗にそっくりでしょう?作り替えている最中は、体調も悪かった筈です。しかし、それも今はないでしょう?」
「船酔いかと思っていたのって‥‥」
「クロシュには辛い思いをさせてすみませんでした。もう、終わりましたからね」
「‥‥ええと、因みに私に拒否権、は‥‥?」
「拒否?」
シルフィが、笑顔でクロシュのまだ濡れそぼった膣にぐぬり、と指を入れた。
「クロシュは、私以外の誰かと番になりたいのですか?」
「え、いや、ぁんっ!そう言う、訳じゃ‥‥」
「貴女はもう、私以外では満足出来ないと思いますよ?」

ズブズブズブズブ
ぐちゅん、ぐちゅん、ぐちゅん、ぐちゅん

「シルフィ、ちょ、待って‥‥」
「あぁ、そうだ。クロシュ、私以外の雄に触れないで下さいね?貴女は、もう私の番‥‥相手を殺したくなくても、それ位にしないと気が済まない位、我ら竜人は嫉妬深いのです」

ガッシュが、クロシュに触らせなかった理由がわかった。

「あの、蛇人、達‥‥は?」
「‥‥15人です。見張りも含めて。残念です」
「まさ、か、殺し、た‥‥?」
「‥‥クロシュ。私から離れる事は、許されない。今後、行動には、気を付けてください、ね?」

猫は本来、自由気ままなモノ。
理不尽だ、とは思った。
自分に恋人や伴侶がいたら、どうしたんだ、とも思った。

しかし、それ以上に、この短期間で随分身も心も目の前の竜人に懐柔させられている自覚はある。



「やっぱり長い付き合いになりそうだな」


クロシュは呟いた。
そしてまた、狂おしい程の甘い時間が始まる‥‥
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