艶めく竜が愛すは…

イセヤ レキ

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本編

艶めく竜が愛すは猫人伴侶・2

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二週間の滞在期間を終え、いよいよ砂漠国ハワードザード出立まで残すところ2日となった。


「ねぇねぇクロシュ、今夜、二人で女子会なんてどうかしら?♪」
ルベライトがクロシュにニコニコしながら、聞いてくる。

二人は、シルフィの笑顔が凍りついたのに気付かないまま、会話を続けた。

「明日は多分、お父様がお見送りの夜会を開催されると思うから、あまり時間が取れないと思って。だから、今夜のうちに、女子会したい!……おこないたいんですの」
「女子会……?とは、どんなものだろうか?」
「ふふふ、同じベッドでお茶を飲んだりお菓子をつまんだりして、朝までおしゃべりするのよ!」
楽しそうでしょう!?と、ルベライトは瞳をキラキラさせながら身を乗り出す。
「成る程。国王陛下が許可を下さるなら……」「クロシュ」
いいかもな、と続けようとしたクロシュの言葉を、シルフィはぶった切る。

笑顔ではあるが、後ろにツンドラが見える。
ガッシュ達従者は身震いをした。


「ルベラ、クロシュは私の番です。勝手な事をされては困ります」
クロシュは10歳に満たない少女に対しそんな心の狭い事を言うシルフィにドン引きしかけたが、ルベライトは違った。
「あー、そっかぁ、そうだよねぇ。…そうでしたわ、ごめんなさい。じゃあ、……では、女子会は諦めて……今夜三人でおしゃべりしない!?シルフィには本当に申し訳ないのだけど、二人のお部屋に遊びに行きたい!」

……どうやら、10歳であっても竜人ならば理解出来る程、番という繋がりは強いらしい。
竜人でないクロシュにはやはりさっぱり理解出来ないが。

「シルフィ、ルベラはまだ小さいんだし、こんなお願いなら聞いてあげても良いんじゃないか?」
クロシュは、懐いてくれるルベラが可愛くて仕方なかった。
しかし、逆にそれがシルフィの神経を逆撫でするらしい。

「そうですね……」
なかなかうんと言わないシルフィの向こうに、ガッシュが首を振っているのをクロシュは見た。

(言い方を間違えたらしいな)
短くはない旅の中で、ガッシュの首振り=クロシュのダメ出しである事を早々に学んでいる。

クロシュは、シルフィに近づき、きゅ、と手を握りながらルベライトに聞こえない位の声で囁いた。
「シルフィ……私も二人きりでないのは残念に思う……けど、誰にでも優しく、小さい子どものお願いを叶えてあげるシルフィの方が私は好きだな」
「わかりました、今夜は三人で沢山おしゃべりしましょうか」

シルフィは背景のツンドラを薔薇の花に変えながらニコリと笑う。
クロシュは目的を達成したとは言え、脱力感に襲われた。
自分の中の「高貴で稀有な竜人」のイメージが、シルフィと出会ってから確実にガラガラと崩れていく。


「やったあぁ!……それでは、21時頃にお邪魔致しますわ」
両手をあげて喜んだルベライトは、コホン、と途中で咳払いをしながら言う。
「ああ。ただし、国王陛下が許されたらだぞ?」
「勿論!わかってる!……わかっておりますわ」

ルンルン♪としながら「じゃあまた夕食で!」と言いながらルベラは手を振り、その場を去った。




「シルフイージス様が問題ないのなら」と国王陛下からあっさりと許可がおり、その晩21時きっかりにルベラはお茶とお菓子がのった3台のワゴンと共に参上した。

「今日はお昼寝しておきましたの。しっかり明日の朝までおしゃべり出来る様に!」
笑いながら砂漠国特産のお菓子をウキウキと紹介するルベラは、それはもう可愛いらしく微笑ましかった。

「ねぇねぇクロシュ、貴女の国の事を教えて?」
三人でお菓子を頬張りながら、ルベライトはクロシュに早速話題をふった。
「ハスラー王国のお話ですか?」
「うん。……あのね、私、この国から出た事がないの。だから、色んな国の話を聞きたくて」
「そうですね……この国の様な砂漠はありません。海には面していないのですが、山々に囲まれています」
「うん」
「あまり大きくはない国ですが、鉱山がありますので武器や防具の精製が盛んです」
「へぇ……クロシュはそこで産まれたの?」
「そうですね。猫人は身体能力に恵まれているので、国の性質と猫の性質から自然と騎士になりました」
「ええっ!!騎士!?」
「はい。といっても、単なる王城の警護にあたるしたっぱでしたが」
「凄い……そう言えば、どうやってシルフィと出会ったの?」
「ハワードザードへ向かっていた私がたまたまハスラー王国に寄った際、暴漢に襲われそうなところをクロシュに助けて頂いたのですよ」
「へぇ~……格好良い……颯爽と現れる騎士様かぁ……」
「性別は入れ替わってますがね」

三人でクスクスと笑う。

「じゃあ、私との婚約も役に立ったのかしら?」
「そうですね。それがなければ、あのタイミングでハスラー王国を訪れる事はなかったでしょう」
「うわぁ、私でも誰かの役にたてるのね!」


クロシュは、ルベライトに対して抱いていた疑問をぶつけた。


「……ルベラ、そう言えば、何故まだ10歳にも満たない年齢で、シルフィとの結婚を希望したんだ?」
「……私、この国にいても役にたたないから……」

思わず、耳を疑う。
「誰だ、ルベラにそんな風に思わせたのは」
つい、喉が低く唸った。
ルベライトはこの国を愛してているのに、国を出ていかなければと思う程自己評価が低い。


「……違うの、あのね……」
シルフィはルベライトが何を言おうとしているのか、その思いを知っている様だった。
クロシュは静かにルベライトの話を聞いた。




砂漠国ハワードザードは、砂漠の民の少女に、一人の竜人が「私の番」と押し掛けてきたところから始まる。
少女はその地を愛し、竜人に対してその地に留まることを条件に、その想いに応えた。

その竜人の力は氷。
不毛な地に、その力は歓迎された。
小さな村は、竜人の力によって徐々に大きく発展していく。
その竜人は、愛する少女、の愛する土地、をも一緒に愛した。

二人の間に産まれた子は、氷や水といった力を引き継ぎ、その村を更に大きく大きくしていった。
氷や水といった力が途切れた時は、同じ能力や緑や土といった能力を持った竜人を迎え入れて、その頃には国となったその土地を維持していた。


「お父様は、緑の力をお持ちなの。お母様は、水。そしてお姉様は、お母様と同じく、水。私だけなの、役立たずなのは……」

なんとなく、ルベライトの思考回路が読めてきた気がする。

「だから、私は早くこの国から出て、一人でも多くの竜人を産んで……この国の役にたつ、能力を持った子を……」

クロシュは、瞳に涙を浮かべ出したルベライトをぎゅ、と抱き締めた。
シルフィのこめかみがピクリと動いたが、それには気付かず。

「国王夫妻は、ルベラを大事に思っているだろう?」
「……うん。申し訳ない程、大事にされてる。けど、私の力ではお返しが出来ないの。この国にも……っっ」
「そうか。ルベラは、国王夫妻の事も、この国の事も、大好きなんだな」
「うん。大好き……、……だから、申し訳なくて……」
「けどな、ルベラが自分の事を役立たずだと思っている事を知ったら、優しい国王夫妻は胸を痛めると思うぞ?」
「……」
「ルベラ、誰かの役にたちたい、と思う気持ちはとても良いと思う」
「……うん」
「だが、自分にないものを欲して自分を否定してしまうのは、違うと思う」
「……うん」
「自分の中にあるもの、得意なものを活かせば、必ず誰かの役には立てる。それは巡り巡って、この国の為になる……けどな、国王夫妻はきっと役に立つ事ばかりをルベラに願ってはいないと思うぞ?」
「……え?」
「国の役に立つとか言う以前に……ルベラが楽しく、健康に、幸せに生きる事。それが望みじゃないか?」
「……うん……そう言えば、いつも、言われてる、かも」


国王夫妻も、ルベライトの劣等感に気付いてはいる様だ。
そんな言葉を掛けていてくれるから、今クロシュの言葉はルベライトの胸に落ちようとしている。
クロシュは、国王夫妻に感謝した。


「ルベラ、世界は広い。ルベラの考える存在意義はこの国にもあるかもしれないが、もっともっと違うところにあるかもしれない。先程、私の国の話を聞いてくれた様に、視野を広くしてご覧?見えるものが、変わってくるだろう」
「……うん……、ありがとう、クロシュ」

ルベライトは、クロシュの胸に埋めていた顔をぷは、と表にだして泣き笑いした。涙でぐしゃぐしゃになり、鼻をたらしながら笑う少女はとてもすっきりした顔をしていた。





☆☆☆





シルフィが無言でクロシュをぐいっと自らの腕の中へと抱き込んだ。

「ちょ、ちょっとシルフィ??」

10歳の子供の前ですべき行為ではないのでクロシュは慌てたが、ルベライトは悟った様に「ごめんなさい、シルフィ。クロシュに抱き付いちゃって」と謝罪する。

「……いや、クロシュから抱き締めたのですから、ルベラは悪くはない……の、ですが……」

わかっていても、嫌な様だ。
同性の、しかも少女でも駄目なんかい!と盛大に心の中で突っ込みながら、クロシュは半眼になる。
竜人とお付き合いするのは、思っていたより大変だ。
番に関する認識が違いすぎて。


「ルベラの力は、とても強力なんですよ?」
シルフィはクロシュを抱き締めたまま、言う。
竜人国ドラゴニーズが受け入れたいと思う程に、今現在いる炎の力を持つ竜人の中では群を抜いています」

シルフィにそう言われ、少し照れたルベライトの額の赤い鱗がキラリと輝く。
やはり、竜人の鱗の色と能力はリンクしているらしい。


「そう言えば、竜人国ドラゴニーズってどんな国なのかしら?沢山竜人がいるって聞いたけど、想像もつかなくて……」
ルベライトが、頭を傾けてシルフィに聞いた。


「ああ、クロシュの為にも話しておきましょう。竜人国が建国されたのは、今から千年以上前と言われています」



竜人国の始まりは、「終尾の竜」と呼ばれる黒竜が、人間である番を迎え入れる為に16年で築き上げた屋敷が発端とされている。
もともとその黒竜は、「終焉の渓谷」と呼ばれる、何もない谷底深くに住んでいたが、そこの環境は人間にとっては過酷で変化に乏しく、楽しむ以前に非常に住みにくい場所であった。


「世界最後の黒竜は有名ですわよね。私も聞いた事がありますわ」
「疑問なんだが、なぜ渓谷に住んでいて番と出会えたのだろうな?」
「竜人と竜は、根本的に違います。数少ない伝書によると、どうやら竜は竜人と違い、世界に番が産まれおちた瞬間にその存在を察知したと言われているのです」
「えぇ~~~便利ですわね、羨ましい……」
「まぁ、今の竜人の様に、番と巡り合えないといった状況にはならなかった様ですね」
「……相手は人間だったのだろう?赤ちゃんの状態で黒竜に……」

つい、ごくりとクロシュは唾を飲み込んだ。
竜人の相手すら大変なのだ。
これが竜となったら、どれだけ大変なのだろう……



番が住みやすく、更に危険にさらされない場所。
黒竜は、天空を浮遊している大地に目をつけた。
人間がその存在すら知らない、手付かずの大地。
知り合いの竜人に声を掛け、黒竜はそこに屋敷を建設する事にした。

当時は竜の血が色濃く残り、空を飛ぶ力を持っていた竜人達は全員、黒竜の従者としてそこに住まう事を望んだという。
竜人にとって、竜は全く力の及ばない、畏怖なるものだった。
いわば神にも等しきもの……竜人達は黒竜の為に、そして黒竜の番の為に、そしてそんな二人と近く居る為に。
黒竜の屋敷を取り囲む様に次々と住宅が建設されていった。


黒竜とその番が亡くなった後しばらくは、二人の子孫がそのままその土地を支配する様になり、結果的に竜人国ドラゴニーズが建国された。
しかし黒竜の血が薄まるにつれ、そこに住まう竜人達の能力はさほど大差なくなり、世襲制が廃止され、今の様に能力で竜人国の代表が決まる様になる。


「そんな感じの国なので、黒竜とその番の像が、門をくぐった目の前に建立されていますよ」
「門?」
「空を飛ぶ者……つまり、私以外は必ず門を通ります。門の下には、黒竜の亡骸が埋まっています」
「「えっ!?」」
「今は、私以外空を飛ぶ能力のある竜人はいないので、普通の者は容易に竜人国ドラゴニーズに入国する事は出来ません」

クロシュとルベライトは、身を乗り出してそのお伽噺の様な竜人国の話を真剣になって聞いた。


「空を飛べない者で、竜人国ドラゴニーズに入国する手段は二つ。一つは、黒竜の血をひいている事。千年の間に、ほとんどの竜人国の竜人がこれにあたります」
「シルフィも?」
「はい、私も。……しかし、永い時間を掛けて、竜人国は竜人のみの国ではなくなってきました。もし帰国すれば、クロシュなんかそうですよね。伴侶や従者が、竜人以外の場合が多くおります」
「……」
「そこで、二つ目の手段ですが……竜人国ドラゴニーズに住まう者は黒竜の番の遺髪を使用させて頂きながら、黒竜の亡骸が埋まっているところまで、黒竜の残滓によって導かれる事により、帰国するのです」
「……残滓?」
「つまり……番の髪一筋までも私の物だ、遠く離れる事は許さん的な黒竜の想いが、飛べない者達を竜人国ドラゴニーズまで運んでくれるのです」
「……黒竜って、もう亡くなっておりますわよね?」
「はい、流石に」


……黒竜の執着怖いぞ。
死んでもそれって、どうなんだろうか!?
竜人も大概だと思っていたけど、竜に比べたらマシなんじゃなかろうか、と思えてきた。


「黒竜の番という方は、竜人国……まぁ、当初はまだ国ではありませんでしたが、黒竜の屋敷に住まうようになって直ぐに、『いつか竜人も血が薄まり、飛べない方が出てきます。その時、この土地はどうするのか』と問題視されたそうで。黒竜が存命のうちに、色々仕掛けを施したのだそうです」
「……そんな事、可能なのか?」
「今となっては、それが『核』の使用なのか、術式の応用なのか、黒竜の能力なのか、もうわかりません」
「黒竜の番だった方も、良くそんな先の事を見越せたな」
「恐らく、当時唯一飛べない人間だからこそ、思い至ったのかと思いますが」

いずれにせよ、その女性が気転をきかせなければ、今の竜人国はまた違った形になっていただろう。
世界最後の竜に愛された女性とは、どんな方だったのか……



「……行ってみたいですわ」
ルベライトがポツリと呟いた。
「そうだな、機会があれば、ルベラも竜人国に行けたらいいな」
クロシュがニコリと微笑み掛ける。
「これから、クロシュの国はハスラーではなく竜人国ドラゴニーズになりますからね、早く連れて帰りたいです……」
シルフィが瞳に情欲を滲ませながら、クロシュの猫耳の付け根をペロリと舐め上げたのには堪らない。
「……っっ!!シル、フィ!」

弱点を舐められ、涙目でシルフィを睨み付けるが、クロシュのそんな表情はシルフィの欲を増幅させるだけだった。
シルフィの屹立がムクリとお尻に当たってクロシュは焦る。


「クロシュの国?クロシュは、ハスラー王国ではなく竜人国に住むの?」

そんな事とは露知らず、ルベラは首をかしげて聞いてくる。

「えぇ、私の伴侶として、一緒に帰ります」
「そうなの……」

ルベライトは、口に手をあて、少し考えてから言った。


「シルフィ。いえ、シルフイージス様。お願いがございます。私を、竜人国まで一緒に同行させて頂けないでしょうか?」
「ルベラ?」
「私、竜人国に一度行ってみたいのです。そして実は、このお願いをしたくて、二人とお話したかったのですわ。……やはり、ガッシュ様が気になるのです」
「ガッシュは……」
「ご結婚されているし、お子様もいらっしゃるのですよね?流石に理解致しました。……けれども、私の本能が……ガッシュ様と離れるな、と言っているのです」

クロシュとシルフィは、顔を見合せた。




☆☆☆




ルベライトは、寝台の上ですやすやと寝息をたてている。
クロシュは薄布を掛けながら、ルベライトの寝顔を見つめた。


「……クロシュ、あまりにもこちらを見て下さらないと、私は嫉妬してしまいそうです」
シルフィは冗談めかして言うが、短くはない付き合いで、流石に冗談ではないのだろうと見当がつく。

「悪かった……シルフィ」
クロシュは自ら、ちゅ、と軽い口付けを送る。

「足りません」
シルフィはニコリと微笑みながら、濃厚な口付けを仕掛けた。

「ちょ、シル……んんぅ、…………っ」
クロシュの舌が逃げまどうのをシルフィの舌が追いかけ、咥内で暴れた。
身体をあわせていないにも関わらず、ぐちょ、くちゅ、とそれ・・を思わせる卑猥な水音を拾い上げたクロシュは、顔を赤くする。

耳の付け根と、尻尾の付け根を両手で擦られ、クロシュは身体をビクビクとさせた。そのどちらも、感度が抜群の弱点であるからだ。

「だ、め……っっ、ルベラが……っ」
こんな小さな少女がいるのに、先に進む訳にはいかない。
クロシュは、ぐずぐずに溶けていく身体を叱咤しながら、理性を保とうと必死だった。

「番を見つけた竜人なんて、年中盛っています。そんな事は、ルベラも良くわかっていますよ」
「そう言う、問題じゃ、ない……っ」
駄目だ。
するするとシルフィの手が下がり、クロシュの下履きへと伸びてきた。
クロシュの身体は勝手に期待をしてぐちゅり、と蜜を流す。

恥ずかしいが、背に腹は変えられない。
「お願、い。ルベラを、自分の部屋、に、戻して、から……」
「待てません」
「人を、呼んで……」


クロシュの脳裏に、首をふるガッシュが見えた気がした。
言い方だ。
崩壊直前の理性を総動員する。

「…ね、シルフィの、肌、とか。誰にも、見せ、たくない……」
「……それもそうですね」

日頃から、他人にクロシュの肌を見せる事を極端に嫌がるシルフィには、効果てきめんだったらしい。
「少し我慢して下さいね」とクロシュから離れ、ちりんちりん、とベルを鳴らし、「お呼びですか」とやってきた従者にルベラを自室へ戻す様命じる。

ルベラが退室するまで、5秒もかからなかった。

パタン、と扉が閉まると、シルフィはクロシュを寝台へと誘う。
クロシュは、自分の膣がひくひくと物欲しげに蠢くのを感じながら、俯いて従った。

はしたない。
身体は直ぐに、シルフィを欲しがる。

シルフィはあっという間にクロシュを裸に剥くと仰向けに寝かせ、両膝裏を持ち上げて愛液滴る蜜口を自分の目の前に曝す。

「あぁ、クロシュのジュースで溢れていますね、勿体ない」
いただきます、と囁いて。

じゅるじゅるじゅるじゅる━━━━━

啜られれば、クロシュは悶えるしか出来なかった。
「んはぁ………っっ!」
「美味しいです。もっと下さい」
シルフィは、人差し指をずぷっと入れて、くちゃくちゃとかき回した。
とろとろと更に蜜は溢れ、クロシュの尻尾はびたんびたんと左右に振れて痙攣する。

「シルフィ……っっ」
しかし、足りない。
シルフィの指一本では、普段人外の大きさを受け止めているクロシュの膣には、刺激が足りなすぎた。

「いやぁ、シルフィ……っ」
「いや、ですか?」
わかっているのに、シルフィは挿入していた指を抜いて、クロシュの尖った花芽を執拗に舐め上げる。

くりくりくりっ ぐにっ ぐにっ ぐにっ
コリコリ、コリコリ ぐち、ぐち、ぐち……
「んふぅ、はぁ、ひぃん……っっ!!」
クロシュは眦から喜悦の涙を流しながら、両手でシルフィの頭を抱えた。

「いじ、わる、しないで、ほし……っ!シルフィ、が、欲しいぃ……っっ」
言った瞬間、クロシュの視界が回転する。
気付けば、対面座位の姿勢にさせられて。

ずぷん!!
ずぐぐぐ………!!
「あひぃ━━っっ!!」

口元をクロシュの愛液でべとべとにしたシルフィの美しい顔を見た瞬間に、膣道が物凄い質量を持った雄芯に拓かれ、お尻の蕾が凸凹の激しい杭に串刺しにされる。


「あ……あぁ………」

シルフィの目には、白眼を剥きながらも、恍惚とした表情をするクロシュがうつる。
「気持ち良さそうですね?」
そのままクロシュの腰を持ち、激しく上下に揺さぶった。

クロシュの肉壺はシルフィの先端から染み出た媚薬を取り込み、クロシュを更に乱れさせる。


「ふにゃあん!!良いっ!!気持ち良いにゃ!!シルフィ!!」

じゅぽ、じゅぽ、じゅぽ、じゅぽ、シルフィの男根をその口一杯に頬張ったわれめは、タラタラと蜜をたらして。
ぬち、ぬち、ぬち、ぬち、とアナルに出入りするもう一本の槍の動きを滑らかに助けた。

「クロシュのおまんこも、お尻の穴も、本当に最高ですね……絞り取られそう、です」

そう言いながらも、シルフィはまだまだ余裕の表情で淡々とクロシュのナカを抉り続ける。
それは、クロシュが潮を吹いてくったりした後も変わらない。

ばちゅん!ばちゅん!ばちゅん!ばちゅん!
ずちょ!ずちょ!ずちょ!ずちょ!

「はぁ、凄い、締め付けでしたが……まだまだ、ですよ?クロシュ……っ」

凶悪なまでの快楽が、クロシュの全身と脳内を占領していく。
クロシュの全体重が、二人の繋がる2ヶ所に集中している。

「………はにゃあ………ん…………ん…………」
「……っく……」
クロシュが、更に膣内で巨大化したシルフィのペニスの動きを感じとり、自然と扱き上げた。

我慢したシルフィの逸物についた凸凹が、クロシュの秘豆を擦り上げ、クロシュが再び深い快感を得る。

ぷしゅ、ぷしゅ、と膣が断続的に潮を吹き出し、クロシュがいよいよ気を失う寸前。


「……出し、ますね………っ」

ようやっと、シルフィはクロシュのナカに、一陣を解き放った。
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