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4 地雷を踏んだものでした

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ヒューバートは言った。

私には過去、本気で愛した人がいたのだと。
だから、君の想いには応えられないと。
君のことはとても好ましく思っている。
けれど人狼はたったひとりの女性を愛する生き物だ。

それをしなかった自分の父親が、許せない。
自分の母親を後妻になんて迎えなければ、私が兄に反旗を翻すこともなかった。
私は、許せなかった父親と同じ道を歩みたくない。


物語は、ストーカーと化した執着を拗らせる幼馴染の護衛騎士ヒーローから逃げるヒロインを、もう一人のヒーローが助けるところから始まる。

ヒロインちゃんも貴族で、茶色い犬耳の生えた可愛い獣人だ。

ダブルヒーローの物語で、一人は執着系幼馴染護衛騎士。もうひとりは、第二王子で真っ白な人狼。


護衛騎士とひと悶着あり、ヒロインちゃんが第二王子のほうに傾いた矢先のことだった。
読者一同がワクワクと読み進めた結果、こんな設定が後出しじゃんけんのように投下されたのだ。


***


「いやあああ!!」
私は、スマホをベッドに投げつけた。

誰か嘘だと言って。

まさかの百話、ずっと楽しんで読んできたのに、ここでの地雷発生!!


ヒロインちゃんに完全感情移入していた私はこのやるせない気持ちを持て余した。

タグ避けも出来ない「ヒーローには過去に本気で愛した人がいた」、これ私の地雷。

いやいや全然そんな様子微塵もなかったじゃん!!
めちゃくちゃヒロイン溺愛一途一直線だったじゃん!!
何故?作者様!
いつ路線変更したの?
伏線見逃しただけ?

ヒーローはヒロインと出会って愛を知った、でいいじゃん!!
そこに過去の女、必要!?


ああ、もう嫌だ、読みたくない。読む気を失った。


……というのが、過去の私である。

しかし、今回問題なのは、その地雷そのものではない。


確か第二王子が恋をした相手は、「第一王子の陰謀で殺されかけ傷ついた私を、献身的に世話をし癒してくれた」「その後も一年ほど一緒に住んで、愛を育んだ」「ある日第一王子の手下である兵士が家に押しかけ、私を守って殺された」女性なのである。


待って。
ちょっとだけ思い当たる節がある。


いやでも、「人狼」って書いてあるんだから、誰もこんな、完全なる犬みたいな姿をしているとは思わないじゃない?

だから全く気付かなかったし、異世界に飛ばされたってだけで精神的にいっぱいいっぱいで、それがまさか小説の中だなんて思いもよらないじゃない?

ぎぎぎ、と首を動かしロロを見た。
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