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第一章 出会い(囲い込み)編
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「ん?三次元では今はいないねー、私が大好きな人は、二次元の推し!……と、まぁ良くて二.五次元の俳優さんだね」
「そっかー……」
じゃ、じゃあ大丈夫かな?
「それより何で私の話になってるのよ。今はキララの話でしょーが」
「あのね」
「うん」
「あの……」
「うん」
「……」
「溜めるねー!!キララ可愛い!恋してるって感じだわ」
誰かをしっかりはっきりと好きになった事がなくて、初めての報告になかなか踏ん切りがつかない私。顔が真っ赤になった自覚はあるけど、ようやくその名前を口に出来た。
「ご、ごめん。あの、山田さん、なの……」
高校時代、修学旅行とかでクラスメイトと好きな人の話をしている時、なかなか名前を口にしてくれない友人がいて、「なんでだろ?」と思っていたけど、好きな人の名前を言うのにもこんなに勇気がいる事だなんて知らなかった。
「……ん?山田君?って、あの山田君?」
「え?山田って名前の人、他に知らないんだけど……」
「ああ、情報システム学科の方で読者モデルをしている山田って人もいるんだよね、うちの大学」
「へー、そうなんだ」
「じゃ、キララが言うのってやっぱり同じゼミの山田君?」
「う、うん。そう」
「へー!!いいね、キララ!!キララは奥手だから、いつかチャラい変な男に騙されやしないかって思ってたんだけど……成る程、山田君みたいなフツメンが好みだったんだ!」
サクッと繭ちゃんに言われて、私は両手で顔を隠す。面と向かって好みとか言われると、恥ずかしい……!!
「いいじゃない、見た目は普通だけど頭も性格も良いし。……で?これからどうすんの?」
「……どうって?」
私は、熱の集まった顔をパタパタと右手で仰ぎながら、左手のフォークで目の前のミルクレープをツンツンつついた。
「いつ告るの?」
「ええっ!?」
「え?好きなんでしょ?告らないの?付き合いたくないの?」
「ええー……そこまで考えてなかったよ。ただ、好きかもって意識してから何だか気持ちが溢れてきちゃって……誰かに伝えたくなっちゃったの」
「そっかー、良いねえ、青春だねぇ!!私はキララを応援するよ!でもさ、山田君、彼女いるって話聞いた事ないし……チャンスがあったら告白した方が、絶対に後で後悔しないと思うよ」
「うん……」
「ほら、一応山田君フツメンだけど、何でもソツなくこなすタイプだし、人当たりも良いし、イケメンは狙えない女子とかの絶好の相手に見えなくもないんだよね」
「そ、そうかな!?」
恋敵は多かったりするのかな!?
「うん。それに山田君フツメンだけど、『僕なんかがキララさんの横に立つなんて』とか自分を卑下して考えなさそうだし、普通にキララに好意を持っていればOKしてくれるタイプな気がするんだよね」
「そ、そうかな」
OKと聞いて、本人から言われた訳じゃないのに胸がドキンと跳ね上がった。
「フツメンとはいえキララからいかないと誰かに取られるかもしれないし、それが嫌なら……絶対にキララからさっさと告った方が良いと思う」
「うん。……考えて、みる」
「あ、あくまで他人からのアドバイスだから。それで失敗したらごめんね」
恨まないでね、と笑う繭ちゃんに、どっちなの、もう!と私も笑って返した。
初めての恋愛相談は楽しくて……今まで聞く一方だった恋愛話の当事者になったことが、少し不思議に感じた。
恋心というものは、本当に不思議なもので。
日を追うごとに、あっという間に膨らんでいく。本人に会えれば好ましいところばかりを発見して益々好きになり、本人に会えない時は相手のことを考える時間が増えて恋い慕う。
そして、繭ちゃん曰く「恋は盲目」状態に私も漏れなく陥っていた。
「繭ちゃん……!!山田さんが格好良すぎて辛いんだけど……!!」
「そっか。山田君が格好良すぎとか随分性能の良い盲目フィルター持ってるねー、キララ」
「あの、本のページを捲る仕草とかさ、考え事をする時に口に手を当てる仕草とかさ、ドキドキしちゃって……!」
「誰でも出来る仕草だね」
「山田さんがするからいいの!」
「はいはい。ふふ、キララの反応が可愛くてついからかっちゃうわ。まだ告白はしないの?」
「今は見てるだけで幸せ……」
私達が大学の談話コーナーで恋バナをしていると、そこに
「楽しそうだね、二人とも」
と私の好きな声が降ってきて、鼓動が早くなる。
「お、お疲れー、山田君」
「山田さん、お疲れ様です」
「ありがとう、二人とも。いやー、何で俺だけ色々教授に頼まれるんだろ?疲れた~」
山田さんは空いていた椅子を引いて座り、テーブルに突っ伏すようにして頭を下げる。
少し癖っ毛の髪が私の視界に入って、撫でたい衝動に駆られるのを必死で止めつつ、「きっと私達とは信頼度が違うんだよ」と慰めた。
「ごめんね、二人を待たせて」
申し訳なさそうに言う山田さん。今日はこれから三人で大学のすぐ近くに出来たというイタリアンのお店にご飯を食べに行く約束をしていたのだ。私の恋心を知っている繭ちゃんが企画してくれた。
いいよいいよ、と私が軽く手を振るその横で、
「ところで二人とも、私も謝らなきゃいけない事があるんだけど」
と、山田さんの言葉を受けて、繭ちゃんが口を開いた。
「そっかー……」
じゃ、じゃあ大丈夫かな?
「それより何で私の話になってるのよ。今はキララの話でしょーが」
「あのね」
「うん」
「あの……」
「うん」
「……」
「溜めるねー!!キララ可愛い!恋してるって感じだわ」
誰かをしっかりはっきりと好きになった事がなくて、初めての報告になかなか踏ん切りがつかない私。顔が真っ赤になった自覚はあるけど、ようやくその名前を口に出来た。
「ご、ごめん。あの、山田さん、なの……」
高校時代、修学旅行とかでクラスメイトと好きな人の話をしている時、なかなか名前を口にしてくれない友人がいて、「なんでだろ?」と思っていたけど、好きな人の名前を言うのにもこんなに勇気がいる事だなんて知らなかった。
「……ん?山田君?って、あの山田君?」
「え?山田って名前の人、他に知らないんだけど……」
「ああ、情報システム学科の方で読者モデルをしている山田って人もいるんだよね、うちの大学」
「へー、そうなんだ」
「じゃ、キララが言うのってやっぱり同じゼミの山田君?」
「う、うん。そう」
「へー!!いいね、キララ!!キララは奥手だから、いつかチャラい変な男に騙されやしないかって思ってたんだけど……成る程、山田君みたいなフツメンが好みだったんだ!」
サクッと繭ちゃんに言われて、私は両手で顔を隠す。面と向かって好みとか言われると、恥ずかしい……!!
「いいじゃない、見た目は普通だけど頭も性格も良いし。……で?これからどうすんの?」
「……どうって?」
私は、熱の集まった顔をパタパタと右手で仰ぎながら、左手のフォークで目の前のミルクレープをツンツンつついた。
「いつ告るの?」
「ええっ!?」
「え?好きなんでしょ?告らないの?付き合いたくないの?」
「ええー……そこまで考えてなかったよ。ただ、好きかもって意識してから何だか気持ちが溢れてきちゃって……誰かに伝えたくなっちゃったの」
「そっかー、良いねえ、青春だねぇ!!私はキララを応援するよ!でもさ、山田君、彼女いるって話聞いた事ないし……チャンスがあったら告白した方が、絶対に後で後悔しないと思うよ」
「うん……」
「ほら、一応山田君フツメンだけど、何でもソツなくこなすタイプだし、人当たりも良いし、イケメンは狙えない女子とかの絶好の相手に見えなくもないんだよね」
「そ、そうかな!?」
恋敵は多かったりするのかな!?
「うん。それに山田君フツメンだけど、『僕なんかがキララさんの横に立つなんて』とか自分を卑下して考えなさそうだし、普通にキララに好意を持っていればOKしてくれるタイプな気がするんだよね」
「そ、そうかな」
OKと聞いて、本人から言われた訳じゃないのに胸がドキンと跳ね上がった。
「フツメンとはいえキララからいかないと誰かに取られるかもしれないし、それが嫌なら……絶対にキララからさっさと告った方が良いと思う」
「うん。……考えて、みる」
「あ、あくまで他人からのアドバイスだから。それで失敗したらごめんね」
恨まないでね、と笑う繭ちゃんに、どっちなの、もう!と私も笑って返した。
初めての恋愛相談は楽しくて……今まで聞く一方だった恋愛話の当事者になったことが、少し不思議に感じた。
恋心というものは、本当に不思議なもので。
日を追うごとに、あっという間に膨らんでいく。本人に会えれば好ましいところばかりを発見して益々好きになり、本人に会えない時は相手のことを考える時間が増えて恋い慕う。
そして、繭ちゃん曰く「恋は盲目」状態に私も漏れなく陥っていた。
「繭ちゃん……!!山田さんが格好良すぎて辛いんだけど……!!」
「そっか。山田君が格好良すぎとか随分性能の良い盲目フィルター持ってるねー、キララ」
「あの、本のページを捲る仕草とかさ、考え事をする時に口に手を当てる仕草とかさ、ドキドキしちゃって……!」
「誰でも出来る仕草だね」
「山田さんがするからいいの!」
「はいはい。ふふ、キララの反応が可愛くてついからかっちゃうわ。まだ告白はしないの?」
「今は見てるだけで幸せ……」
私達が大学の談話コーナーで恋バナをしていると、そこに
「楽しそうだね、二人とも」
と私の好きな声が降ってきて、鼓動が早くなる。
「お、お疲れー、山田君」
「山田さん、お疲れ様です」
「ありがとう、二人とも。いやー、何で俺だけ色々教授に頼まれるんだろ?疲れた~」
山田さんは空いていた椅子を引いて座り、テーブルに突っ伏すようにして頭を下げる。
少し癖っ毛の髪が私の視界に入って、撫でたい衝動に駆られるのを必死で止めつつ、「きっと私達とは信頼度が違うんだよ」と慰めた。
「ごめんね、二人を待たせて」
申し訳なさそうに言う山田さん。今日はこれから三人で大学のすぐ近くに出来たというイタリアンのお店にご飯を食べに行く約束をしていたのだ。私の恋心を知っている繭ちゃんが企画してくれた。
いいよいいよ、と私が軽く手を振るその横で、
「ところで二人とも、私も謝らなきゃいけない事があるんだけど」
と、山田さんの言葉を受けて、繭ちゃんが口を開いた。
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