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第二章 カップル(ABC)編
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「戸枝さん、今度二人でデートしない?どっか行きたいところとかある?」
ある日のこと。なんと、山田さんからデートに誘われてしまいました!!付き合いたてのカップルがお互いの距離を縮めるのに一番の手段、それがデート。私にとって、人生初のデートだ。
「う、うん。山田さんとデート、したいな」
私が嬉しくてどもりながらも顔を真っ赤にさせて答えたタイミングで、ざわついていた教室がシン、と静まり返った。教授が来たのかと思って顔をあげると、ゼミの皆がこちらを見ていて驚く。
先日レストランで話し掛けてきた茂木さんがツカツカとこちらに寄ってきて、大きな声で「何々!?二人って本当に付き合ってたの!?」と聞いてきた。
私が答える前に、山田さんが「うん、つい先日から」とサラッと答えてくれた。
その瞬間、教室がどわっと一斉に歓声やら悲鳴やらに湧いて、話の中心になるのが苦手な私は俯いてしまった。
「そうなんだぁ!この前レストランで会った時から?」
「いや、その時じゃないよ。もうちょい後」
「へ~、なんかちょっと二人の組み合わせは意外というか何というか……戸枝さんの趣味って頭の良い人だったんだね!大学に入って、散々イケメンを振って来たからてっきり群を抜いたイケメン……それこそ有名人レベルの男を狙っているのかと思ってたわ。いいね、なんだか親近感湧くわぁ」
茂木さんと山田さんのやり取りを聞いた男性陣が、口々に叫ぶ。
「おい山田!何でお前なんだよ~~!!」
「山田の顔でいいなら、俺が先に告ってりゃ良かった!!」
「お前頭悪ぃじゃん」
「そうだった」
山田さんは、他の男のゼミ仲間にもみくちゃにされながらも笑っている。そこは訂正しないのだろうか?私は勇気を出して口を開いた。
「あの、告白したのは私からなの」
「……」
ゼミの教室が、再び静寂に包まれる。……何なの、皆!クラスメイト達が付き合っているのをもてはやしたりからかったりするのは高校生までだと思うのだけど。
「……マジで?」
私にではなく山田さんに、ゼミ仲間の一人が聞いた。
「あー、まあ、うん」
照れたように答える山田さん。
「はああああ!?」
「ありえねええええ!!」
男性陣が口々に叫んだ瞬間、ドアがガラッと開いてやっと教授が入って来た。
「おい、お前ら煩いぞ!!大学生にもなって、何騒いでるんだ!!」
そこでやっと、全員前を向いて着席してくれた。私達への興味深々な視線を嫌でも感じながら、その日はゼミの講義を終えた。
大学生のデートって、皆は普通何処に行くのだろう?
そしてデートって、どんな服を着れば良いのだろう?
山田さんとの初デートの行き先に私がウンウン悩んでいると、繭ちゃんは「遊園地、水族館、映画館、動物園辺りが無難なんじゃないの?」とアドバイスしてくれた。
私は絶叫系の乗り物に乗れないので、遊園地だと山田さんが退屈してしまうかもしれない。映画館だと、二人の見たい映画の好みが合わなければ、どちらかが我慢することになる。付き合い始めたばかりのデートでそれは避けたかった。だとすれば、水族館か動物園に候補が絞られる。
「でも、山田君もなかなかの策士だねぇ」
繭ちゃんがニマニマ言うので、私は首を傾げた。
「見事にさっさとキララは俺の彼女宣言してたじゃない」
……ん?いつ??
「そんなこと、山田さん言ってないけど……」
「ゼミの教室でデートの話持ち出すなんて絶対に確信犯だって。お陰で山田君とキララが付き合ってるって全員が知ることになって、ゼミの人達への牽制には十分なったと思うよ?あと、人気がありすぎるキララを煙たがっていた女達の当たりがこれから弱くなるってことも山田君なら見越していそう」
「そんなものかなぁ?」
繭ちゃんと山田君以外の人とはあまり関わってないから、正直女性達の当たりが強い、とかは私にはわからなかった。小さい頃からクラスの女子に無視されたこととかもあるみたいなのだけど、持ち前の鈍感力でいつも気付かないらしい私。本当に仲の良い子からはされたことがないから気付かないのだろうけど。
「逆に山田君へは嫉妬で男性陣の当たりがきつくなるかもしれないけど、結果的としてキララから告白したってことまで皆知ったから、これからキララに告って横取りもしにくいだろうしね」
「そうなの?」
じゃあ、勇気を出して私から告白したって言って良かったのかな?勝手に山田さんが私に告白したってことで話が進んでいたから、訂正しただけなのだけど。
「キララと山田君が上手くいっててくれれば女性陣がゼミのイケメン達を狙いやすくなるだろうから、少なくとも山田君、ゼミの女性陣は味方につけたわけよ」
「……うーん、うん?」
よくわからない。私はむしろ、山田君を狙うライバルがいると思って、告白することにしたから。勘違いだったけど。万が一私をライバルだと思って、山田君に告白しちゃう人がいるかもしれないと思うと、胃がキリキリする。
私がそう言えば、繭ちゃんは軽い感じで虫を追い払うように手を振った。
「あー、ないない。山田君そこまでモテないだろうし、相手がキララだと知ってて告白なんてする強靭なメンタルを持つ女はなかなかいないと思うよ」
「そ、そうかな?良かったぁ」
繭ちゃんの山田君への評価には申し開きをしたいけど、結論としては是非そうであって欲しい。誰も山田君の良さに気付きませんように……!!
ある日のこと。なんと、山田さんからデートに誘われてしまいました!!付き合いたてのカップルがお互いの距離を縮めるのに一番の手段、それがデート。私にとって、人生初のデートだ。
「う、うん。山田さんとデート、したいな」
私が嬉しくてどもりながらも顔を真っ赤にさせて答えたタイミングで、ざわついていた教室がシン、と静まり返った。教授が来たのかと思って顔をあげると、ゼミの皆がこちらを見ていて驚く。
先日レストランで話し掛けてきた茂木さんがツカツカとこちらに寄ってきて、大きな声で「何々!?二人って本当に付き合ってたの!?」と聞いてきた。
私が答える前に、山田さんが「うん、つい先日から」とサラッと答えてくれた。
その瞬間、教室がどわっと一斉に歓声やら悲鳴やらに湧いて、話の中心になるのが苦手な私は俯いてしまった。
「そうなんだぁ!この前レストランで会った時から?」
「いや、その時じゃないよ。もうちょい後」
「へ~、なんかちょっと二人の組み合わせは意外というか何というか……戸枝さんの趣味って頭の良い人だったんだね!大学に入って、散々イケメンを振って来たからてっきり群を抜いたイケメン……それこそ有名人レベルの男を狙っているのかと思ってたわ。いいね、なんだか親近感湧くわぁ」
茂木さんと山田さんのやり取りを聞いた男性陣が、口々に叫ぶ。
「おい山田!何でお前なんだよ~~!!」
「山田の顔でいいなら、俺が先に告ってりゃ良かった!!」
「お前頭悪ぃじゃん」
「そうだった」
山田さんは、他の男のゼミ仲間にもみくちゃにされながらも笑っている。そこは訂正しないのだろうか?私は勇気を出して口を開いた。
「あの、告白したのは私からなの」
「……」
ゼミの教室が、再び静寂に包まれる。……何なの、皆!クラスメイト達が付き合っているのをもてはやしたりからかったりするのは高校生までだと思うのだけど。
「……マジで?」
私にではなく山田さんに、ゼミ仲間の一人が聞いた。
「あー、まあ、うん」
照れたように答える山田さん。
「はああああ!?」
「ありえねええええ!!」
男性陣が口々に叫んだ瞬間、ドアがガラッと開いてやっと教授が入って来た。
「おい、お前ら煩いぞ!!大学生にもなって、何騒いでるんだ!!」
そこでやっと、全員前を向いて着席してくれた。私達への興味深々な視線を嫌でも感じながら、その日はゼミの講義を終えた。
大学生のデートって、皆は普通何処に行くのだろう?
そしてデートって、どんな服を着れば良いのだろう?
山田さんとの初デートの行き先に私がウンウン悩んでいると、繭ちゃんは「遊園地、水族館、映画館、動物園辺りが無難なんじゃないの?」とアドバイスしてくれた。
私は絶叫系の乗り物に乗れないので、遊園地だと山田さんが退屈してしまうかもしれない。映画館だと、二人の見たい映画の好みが合わなければ、どちらかが我慢することになる。付き合い始めたばかりのデートでそれは避けたかった。だとすれば、水族館か動物園に候補が絞られる。
「でも、山田君もなかなかの策士だねぇ」
繭ちゃんがニマニマ言うので、私は首を傾げた。
「見事にさっさとキララは俺の彼女宣言してたじゃない」
……ん?いつ??
「そんなこと、山田さん言ってないけど……」
「ゼミの教室でデートの話持ち出すなんて絶対に確信犯だって。お陰で山田君とキララが付き合ってるって全員が知ることになって、ゼミの人達への牽制には十分なったと思うよ?あと、人気がありすぎるキララを煙たがっていた女達の当たりがこれから弱くなるってことも山田君なら見越していそう」
「そんなものかなぁ?」
繭ちゃんと山田君以外の人とはあまり関わってないから、正直女性達の当たりが強い、とかは私にはわからなかった。小さい頃からクラスの女子に無視されたこととかもあるみたいなのだけど、持ち前の鈍感力でいつも気付かないらしい私。本当に仲の良い子からはされたことがないから気付かないのだろうけど。
「逆に山田君へは嫉妬で男性陣の当たりがきつくなるかもしれないけど、結果的としてキララから告白したってことまで皆知ったから、これからキララに告って横取りもしにくいだろうしね」
「そうなの?」
じゃあ、勇気を出して私から告白したって言って良かったのかな?勝手に山田さんが私に告白したってことで話が進んでいたから、訂正しただけなのだけど。
「キララと山田君が上手くいっててくれれば女性陣がゼミのイケメン達を狙いやすくなるだろうから、少なくとも山田君、ゼミの女性陣は味方につけたわけよ」
「……うーん、うん?」
よくわからない。私はむしろ、山田君を狙うライバルがいると思って、告白することにしたから。勘違いだったけど。万が一私をライバルだと思って、山田君に告白しちゃう人がいるかもしれないと思うと、胃がキリキリする。
私がそう言えば、繭ちゃんは軽い感じで虫を追い払うように手を振った。
「あー、ないない。山田君そこまでモテないだろうし、相手がキララだと知ってて告白なんてする強靭なメンタルを持つ女はなかなかいないと思うよ」
「そ、そうかな?良かったぁ」
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