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第二章 カップル(ABC)編
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「ごめん、嫉妬してくれたのかなって思って、ちょっと嬉しくなっちゃった」
「……」
良ちゃんの言葉に、そうか、私は見たこともない人達に嫉妬をしていたのか、と気付かされて、やっと胸に巣食っていたどうしようもないモヤモヤに名前をつけることができた。
過去のことだとわかっていても、良ちゃんが私の知らない誰かの為にクリスマスディナーの予約をし、ホテルを取ったのだろうかと思うだけで、胸が痛んで涙が溢れそうになる。
「あのね、キララ。俺が予約を取ってまで誰かと一緒にいたいって思ったのはキララが初めてだよ」
「……そうなの?」
慣れている気がしたから、まさか初めてだとは思わなかった。
「うん。今は凄く無理して格好つけてるだけ。キララの前だからさ」
照れ隠しなのか、困ったように笑う良ちゃん。私が良ちゃんに可愛いと思われたくて頑張るのと同じで、良ちゃんも私にカッコいいと思われたくて背伸びをしている、なんて考えたことなかった。本当はそんなこと相手に言いたくないだろうに、私を安心させる為に平気で口にしてくれる、飾らなくて優しい良ちゃんが私は大好きだ。
「良ちゃん……折角予約してくれたのに、つまらない嫉妬して、勝手にモヤモヤしてて、本当にごめんね。あと、今日は付き合って初めてのクリスマスだったのに、バイト入れちゃったこともごめん。私の為に色々考えてくれて、ありがとう」
「ううん、鐘崎さんが教えてくれたんだけど、俺の誕生日プレゼントを買う為に頑張ってくれたんでしょう?忙しい時期にこちらこそありがとう。今日一日一緒にいられなくても、今、一緒の時間が持てるだけでも俺は嬉しいよ」
うわー!繭ちゃん!!いつの間に良ちゃんに話しちゃったの!!お金がないんですって言ってるみたいで、ちょっと恥ずかしい。でも、十二月は良ちゃんの誕生日プレゼント以外に、クリスマスプレゼントも渡したかったから先月と今月は本当に頑張って働いた。
お互いそう言い合えば、変なわだかまりは胸からスッと消えて。
「じゃあ、そろそろ部屋に行こうか」
私は良ちゃんの言葉に、笑顔で頷いた。
「この部屋、レストランの景色とまた違った夜景だね」
天井まで伸びる大きな扉を開けて中に入れば、そこにはまるで自分がお姫様になったかのような空間が広がっていた。といっても、決して母親が好きそうなメルヘンな空間ではなく、シックで落ち着いた雰囲気の高級感溢れる空間だけど。
緊張で毛並みの長い絨毯の上をもつれそうになりながら足を運び、声が裏返りそうになりながらも、私はキョロキョロとその部屋を見回してしまう。母親との旅行はほぼバスツアーでしか行かないので、安いビジネスホテルに泊まるのが普通だ。
部屋の広さは勿論、それに付随してベッドの広さも格段に違う。ベランダにも出られるようになっていてお洒落な椅子とテーブルが設置されているし、トイレとお風呂が別だし、アメニティがブランド品に詳しくない私ですら聞いたことのあるブランド品で揃えてある。
単なる大学生がこんな部屋に泊まっていいのだろうか、と気後れしながら私はつい呟いた。
「普通のカップルって、こういう時ってラブホテルに行くのかな?」
「キララがラブホの方がよければ、来年はそうするよ」
「えっ!?いい、イイです……っっ!」
私は、慌てて首を横に振った。私達は、ラブホテルに入ったことがない。というか、良ちゃんに誘われても恥ずかしすぎて入れないのだ。入り口の前を素通りする私を見て、良ちゃんは笑って「やっぱり俺の部屋にしよっか」といつも折れてくれた。
ラブホテルでエッチをするのが嫌なのではなくて、ラブホテルに入ることそのものが私にとってハードルが高いのだ。でも、誰でも普通に使っているというし、いつかは私も平気になるだろう、とは思うのだけど。
「キララ、一緒にお風呂入る?」
良ちゃんに聞かれて、「入らないっ!」と叫びながら部屋の隅に逃げる。
「一緒にお風呂入るなんて、普通のカップルならいくらでもやってると思うんだけどなぁ?」
そう言われて、ぐ、と詰まる。「普通」が一番、だとは思うけれど……お風呂に一緒に入るカップルの割合はどれ位なのだろうか?
「でも、お風呂の中って明るいよね?明るいところで良ちゃんに身体を見せる勇気は流石にないよ」
「そっか、残念。俺の部屋の狭い風呂とは違って、このホテルなら余裕で一緒に入れるのになぁ」
良ちゃんは本当に残念そうに言うが、お風呂は一日の疲れをとる場所だ。一緒に入ったら、お互いが本当にリラックスできるのか疑問が残る。
「お、女はお風呂で色々処理しなきゃならないこともあるのっ!もう……言わせないでよぉ」
「そっか。まぁ、お風呂に入る前のキララも食べてみたいけど」
「良ちゃん!」
からかう良ちゃんに私は口を尖らせる。エッチの前にシャワーを浴びないなんて、考えられない。
「ここの部屋はいつでもお風呂が沸いているから、入っておいで」
「うん」
私は実家の風呂の倍の広さのある湯船に贅沢に浸かりながら、バイト上がりの疲れを癒す。普段使わないシャンプーやボディソープをたっぷりと使って、身体をピカピカに磨き上げた。
ううう、いかにもエッチする為に綺麗にしていますって感じで恥ずかしすぎる。でも、良ちゃんの前に裸を晒すのであれば、より見目よい状態でいたいというのは乙女心としては当たり前だと思う。
お風呂から出ると、下着は付けずにフワフワの肌触りの良いバスローブに腕を通した。
「……」
良ちゃんの言葉に、そうか、私は見たこともない人達に嫉妬をしていたのか、と気付かされて、やっと胸に巣食っていたどうしようもないモヤモヤに名前をつけることができた。
過去のことだとわかっていても、良ちゃんが私の知らない誰かの為にクリスマスディナーの予約をし、ホテルを取ったのだろうかと思うだけで、胸が痛んで涙が溢れそうになる。
「あのね、キララ。俺が予約を取ってまで誰かと一緒にいたいって思ったのはキララが初めてだよ」
「……そうなの?」
慣れている気がしたから、まさか初めてだとは思わなかった。
「うん。今は凄く無理して格好つけてるだけ。キララの前だからさ」
照れ隠しなのか、困ったように笑う良ちゃん。私が良ちゃんに可愛いと思われたくて頑張るのと同じで、良ちゃんも私にカッコいいと思われたくて背伸びをしている、なんて考えたことなかった。本当はそんなこと相手に言いたくないだろうに、私を安心させる為に平気で口にしてくれる、飾らなくて優しい良ちゃんが私は大好きだ。
「良ちゃん……折角予約してくれたのに、つまらない嫉妬して、勝手にモヤモヤしてて、本当にごめんね。あと、今日は付き合って初めてのクリスマスだったのに、バイト入れちゃったこともごめん。私の為に色々考えてくれて、ありがとう」
「ううん、鐘崎さんが教えてくれたんだけど、俺の誕生日プレゼントを買う為に頑張ってくれたんでしょう?忙しい時期にこちらこそありがとう。今日一日一緒にいられなくても、今、一緒の時間が持てるだけでも俺は嬉しいよ」
うわー!繭ちゃん!!いつの間に良ちゃんに話しちゃったの!!お金がないんですって言ってるみたいで、ちょっと恥ずかしい。でも、十二月は良ちゃんの誕生日プレゼント以外に、クリスマスプレゼントも渡したかったから先月と今月は本当に頑張って働いた。
お互いそう言い合えば、変なわだかまりは胸からスッと消えて。
「じゃあ、そろそろ部屋に行こうか」
私は良ちゃんの言葉に、笑顔で頷いた。
「この部屋、レストランの景色とまた違った夜景だね」
天井まで伸びる大きな扉を開けて中に入れば、そこにはまるで自分がお姫様になったかのような空間が広がっていた。といっても、決して母親が好きそうなメルヘンな空間ではなく、シックで落ち着いた雰囲気の高級感溢れる空間だけど。
緊張で毛並みの長い絨毯の上をもつれそうになりながら足を運び、声が裏返りそうになりながらも、私はキョロキョロとその部屋を見回してしまう。母親との旅行はほぼバスツアーでしか行かないので、安いビジネスホテルに泊まるのが普通だ。
部屋の広さは勿論、それに付随してベッドの広さも格段に違う。ベランダにも出られるようになっていてお洒落な椅子とテーブルが設置されているし、トイレとお風呂が別だし、アメニティがブランド品に詳しくない私ですら聞いたことのあるブランド品で揃えてある。
単なる大学生がこんな部屋に泊まっていいのだろうか、と気後れしながら私はつい呟いた。
「普通のカップルって、こういう時ってラブホテルに行くのかな?」
「キララがラブホの方がよければ、来年はそうするよ」
「えっ!?いい、イイです……っっ!」
私は、慌てて首を横に振った。私達は、ラブホテルに入ったことがない。というか、良ちゃんに誘われても恥ずかしすぎて入れないのだ。入り口の前を素通りする私を見て、良ちゃんは笑って「やっぱり俺の部屋にしよっか」といつも折れてくれた。
ラブホテルでエッチをするのが嫌なのではなくて、ラブホテルに入ることそのものが私にとってハードルが高いのだ。でも、誰でも普通に使っているというし、いつかは私も平気になるだろう、とは思うのだけど。
「キララ、一緒にお風呂入る?」
良ちゃんに聞かれて、「入らないっ!」と叫びながら部屋の隅に逃げる。
「一緒にお風呂入るなんて、普通のカップルならいくらでもやってると思うんだけどなぁ?」
そう言われて、ぐ、と詰まる。「普通」が一番、だとは思うけれど……お風呂に一緒に入るカップルの割合はどれ位なのだろうか?
「でも、お風呂の中って明るいよね?明るいところで良ちゃんに身体を見せる勇気は流石にないよ」
「そっか、残念。俺の部屋の狭い風呂とは違って、このホテルなら余裕で一緒に入れるのになぁ」
良ちゃんは本当に残念そうに言うが、お風呂は一日の疲れをとる場所だ。一緒に入ったら、お互いが本当にリラックスできるのか疑問が残る。
「お、女はお風呂で色々処理しなきゃならないこともあるのっ!もう……言わせないでよぉ」
「そっか。まぁ、お風呂に入る前のキララも食べてみたいけど」
「良ちゃん!」
からかう良ちゃんに私は口を尖らせる。エッチの前にシャワーを浴びないなんて、考えられない。
「ここの部屋はいつでもお風呂が沸いているから、入っておいで」
「うん」
私は実家の風呂の倍の広さのある湯船に贅沢に浸かりながら、バイト上がりの疲れを癒す。普段使わないシャンプーやボディソープをたっぷりと使って、身体をピカピカに磨き上げた。
ううう、いかにもエッチする為に綺麗にしていますって感じで恥ずかしすぎる。でも、良ちゃんの前に裸を晒すのであれば、より見目よい状態でいたいというのは乙女心としては当たり前だと思う。
お風呂から出ると、下着は付けずにフワフワの肌触りの良いバスローブに腕を通した。
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