陰キャデビューの南出先輩

イセヤ レキ

文字の大きさ
9 / 11

9

しおりを挟む
俺が寝ぼけている間に、如月は「俺が彼女をつくるまでの暫定のセフレ?」に決まったらしい。

なんだ、男のセフレって。

まあ、女の子を不安にさせるような妊娠の危険がないだけ、男をセフレにしたほうがいいのかもしれないが。


記憶にないで押し通すことも出来たかもしれないが、精液のついた服やらシーツやらを甲斐甲斐しく洗濯やら何やらしてもらっておいて、流石にそんな薄情なことは出来なかった。

俺を好きだという相手に酷かもしれないが、「思い出だけでもください」と言われれば、強くは突っぱねることが出来なかった。

……というのは建前で、単に如月のキスや手淫が上手くて気に入っただけなのかもしれない。


俺たちが久しぶりに再会してから、お互い土日休みの仕事なので、どちらかの家に泊まったり、映画を見に行ったり、買い物したりで毎週会う感じになっていた。


「……これ俺、彼女作る時間なくないか?」

そんな期間が三カ月続き、ある日気づいた俺がポテチを齧りながらふと呟くと、如月はくすくすと口角を上げて笑った。

「今気づいたんですか?」
「うん」

如月との時間は大学時代と変わらず、とても居心地の好いものだ。


変わったことは、名前で呼ぶようになったことと、知久に敬語を禁止したことと、少しえっちな関係になったこと。

毎週何をするか、もしくはどこに行くかを決めて、夜はどちらかの家でお酒を飲みながら映画を一本観る。


「翼、可愛い」
「可愛いとか言うな」
「じゃあ、カッコイイ」
「気づかないことがカッコイイわけあるか」
「翼のどんな反応も、最高」
「~~っ」


照れ隠しに、知久のグラスの中身をわざと飲み干す。
知久と夜に過ごす時間は、少しくらい酔ったほうが、やりやすい。


「翼、そろそろお風呂入ろうか」
「……ん」


知久に手を引かれ、お風呂に向かう。
酒が入っていても、やっぱりこの時間は緊張する。

俺は知らなかったが、男同士のセックスはお尻を使うので、挿入するほうがタチ、挿入されるほうがネコと呼ぶらしい。

で、寝ぼけている間に、知久がタチ、俺がネコに決まってしまった。

知久と一緒に勉強ということで男同士の行為の動画を何本か観たけど、ネコのやつがやたら「気持ち良い」を連発するので、どんなもんかと気になり俺はネコ役を承諾した。


好奇心って、恐ろしい。


でも、男同士の行為で面倒なのもネコのほうで、色々不具合を起こさないために、アソコを綺麗にしたり解したり、とにかく大変なのだ。

面倒だから、トイレ以外は全部知久に丸投げした。

知久はそれも嬉しそうに手伝うんだから、まあウィンウィンの関係ということでいいだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!

中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。 無表情・無駄のない所作・隙のない資料―― 完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。 けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。 イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。 毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、 凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。 「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」 戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。 けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、 どこか“計算”を感じ始めていて……? 狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ 業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

いくら気に入っているとしても、人はモノに恋心を抱かない

もにゃじろう
BL
一度オナホ認定されてしまった俺が、恋人に昇進できる可能性はあるか、その答えはノーだ。

わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい
BL
 若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。  昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。  年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。  リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。  

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

先輩、可愛がってください

ゆもたに
BL
棒アイスを頬張ってる先輩を見て、「あー……ち◯ぽぶち込みてぇ」とつい言ってしまった天然な後輩の話

処理中です...