48 / 84
第五章 ワン・モア・チャンス
3 シャカシャカと、モフモフと、モコモコと
しおりを挟む
「康太、これがウルフ式の泡立てだ」
大樹の上半身はすっかり泡まみれになっている。康太は大樹の手つきを真似ながら胸と腹の繁みでシャカシャカしていたが、大樹のようにうまくいかない。
大樹はたっぷりの泡を両腕に塗り広げた。
「どうだ。クリームみたいだろ?」
「八分立てですね——」
康太は、続けて「今井先輩の泡もそうでした」と云おうとして口を噤んだ。
大樹が気持ち良さそうに大きな手のひらで上腕を撫でさする。雄々しく盛りあがったその筋肉は、しかしボディビルダーのように観賞用として造られたものではない。水球のために必要な無駄のないものだ。康太は思わず見惚れてしまった。同じ球技でこうも異うのかと。
大樹が左腕を上げて、右の手のひらで腋窩を洗いはじめた。
康太は、一瞬、そこに夥しい叢があるのを見逃さなかった。
——ここもぼくと同じなんだよな……。
——でも窪みの陰と同化して濃くは見えない……。
——それより筋肉のカットが強調されていてカッコいい……。
大樹が左腕を下げ、右腕を上げた。左と同じように右の腋窩を洗う。康太は鏡映しのように左の腋窩に右の手のひらを沿わせて——しかし大樹のように堂々とではなく——そろそろと洗った。
「ああ、そうだ。康太、おれたちはここでもシャカシャカできるんだぞ」
大樹がいきなり康太の左腕をつかんだ。
「えっ?」
あっという間に左腕が頭の上に持ちあげられ、ついで右腕も同じようにされた。気づけば大樹が身を乗り出し、康太の両手首を交叉させ、背後の壁に片手で押しつけていた。
「さすがリトル・ウルフ。ここもおれと同じだな」
「森先輩?」
「こんなふうにシャカシャカするんだ」
大樹が左の腋窩をくすぐった。
「うわあっ! 森先輩!」
「引っかかったな、康太!」
大樹は楽しそうに笑いながらくすぐり続ける。康太の両手首を押さえる手を入れかえて反対側の腋窩も攻撃した。
康太は逃げだそうとジタバタした。
「康太、逃げるな!」
「タ、タイム! タイム!」
「おっと」
康太が大樹の隙をついて両手首を振りほどいた。胡座を解いて立上ろうとする。そこへ大樹が、毛むくじゃらの大型犬がモフモフと戯れつくように飛びかかった。
気づけば洗い場で取っ組みあいをしている。
——水の格闘技っていうもんな。森先輩は、いつもこんな感じで相手とぶつかりあって……。
康太に勝ち目はなさそうだ。
揉みあう拍子に互いのバズーカ砲が自然に触れあっている。
『普段から小さな布切れ一枚、腰に巻いているやつは異う……』
康太の脳裏に武志の言葉が甦った。
——素っ裸かだってのに……まるで気にしていない……。
いつしか康太は、犬が群れのボスにそうするように大樹に腹を見せ、両手を大樹の胸板に押しあてて、意味のない抵抗を続けていた。一方で大樹は、康太の両脚の付け根に右膝を割りこませ、康太の右の太腿を跨いでいる。右肘を床につけ、空いた左手で康太のわき腹をくすぐっている。
——あ、当たってる……。
康太は顔を持ちあげた。太腿のすぐ上に泡に包まれた大樹のバズーカ砲がある。康太が動けばそれが当たるのも当然だった。
——それに森先輩、近すぎるよ……。
豊饒の毛に覆われた筋肉の天井が康太の真上にある。その大樹のたくましい両胸を抑える康太の指の隙間から泡が溢れだし、康太の胸毛に垂れ落ちる。
康太はギュッと目を閉じた。
高校時代、健司と一緒に観たアダルトビデオの一場面が思い出された。そこでは体格の良い若い男優が、モデルのお姉さんの上で、汗だくになって尻を振りたてていた……。
——貫通式! 森先輩、ひょっとして、今、ここで?
康太は急に怖くなった。
やはり正式な部屋割りの前に『貫通式』をすませなければならない。それを大樹もわかっているのだろう。重苦しい雰囲気にならないよう、こうやって巫山戯あっているあいだにノリで……。
——でも……。
いざとなると大樹のバズーカ砲が気になってしまう。康太は、最初の『貫通式』の翌朝、生理現象の起こったバズーカ砲同士を重ねあったのを思い出した。
——デカすぎる……。
康太は叫んだ。
「ギブ、ギブ、ギブ! 森先輩、降参です!」
「よおし。今日のところは、これくらいにしておいてやる」大樹は何事もなかったように康太から離れると、すっと立上り、シャワーヘッドを手に取った。「そろそろ水野さんの夜食が届いている頃だ。テレビでも観ながら一緒に食べようぜ」
康太はゆっくりと起きあがると、ふたたび胡座をかき、はい、と頷いた。
そこへ大樹がシャワーのお湯を康太に浴びせかけた。「湯加減チェック、頼むぞ!」
「うわあ! ちょ、ちょうど好い温度です!」
「そうか。それは良かった」
大樹はシャワーヘッドを一番高いフックに掛けると、気持ち良さそうにシャワーを浴びはじめた。
——さすが男子寮の三大バズーカ砲だ。
康太は泡が流されて露わになった大樹のバズーカ砲を、ただ、ぼうっ、と眺めつづけた。
大樹の上半身はすっかり泡まみれになっている。康太は大樹の手つきを真似ながら胸と腹の繁みでシャカシャカしていたが、大樹のようにうまくいかない。
大樹はたっぷりの泡を両腕に塗り広げた。
「どうだ。クリームみたいだろ?」
「八分立てですね——」
康太は、続けて「今井先輩の泡もそうでした」と云おうとして口を噤んだ。
大樹が気持ち良さそうに大きな手のひらで上腕を撫でさする。雄々しく盛りあがったその筋肉は、しかしボディビルダーのように観賞用として造られたものではない。水球のために必要な無駄のないものだ。康太は思わず見惚れてしまった。同じ球技でこうも異うのかと。
大樹が左腕を上げて、右の手のひらで腋窩を洗いはじめた。
康太は、一瞬、そこに夥しい叢があるのを見逃さなかった。
——ここもぼくと同じなんだよな……。
——でも窪みの陰と同化して濃くは見えない……。
——それより筋肉のカットが強調されていてカッコいい……。
大樹が左腕を下げ、右腕を上げた。左と同じように右の腋窩を洗う。康太は鏡映しのように左の腋窩に右の手のひらを沿わせて——しかし大樹のように堂々とではなく——そろそろと洗った。
「ああ、そうだ。康太、おれたちはここでもシャカシャカできるんだぞ」
大樹がいきなり康太の左腕をつかんだ。
「えっ?」
あっという間に左腕が頭の上に持ちあげられ、ついで右腕も同じようにされた。気づけば大樹が身を乗り出し、康太の両手首を交叉させ、背後の壁に片手で押しつけていた。
「さすがリトル・ウルフ。ここもおれと同じだな」
「森先輩?」
「こんなふうにシャカシャカするんだ」
大樹が左の腋窩をくすぐった。
「うわあっ! 森先輩!」
「引っかかったな、康太!」
大樹は楽しそうに笑いながらくすぐり続ける。康太の両手首を押さえる手を入れかえて反対側の腋窩も攻撃した。
康太は逃げだそうとジタバタした。
「康太、逃げるな!」
「タ、タイム! タイム!」
「おっと」
康太が大樹の隙をついて両手首を振りほどいた。胡座を解いて立上ろうとする。そこへ大樹が、毛むくじゃらの大型犬がモフモフと戯れつくように飛びかかった。
気づけば洗い場で取っ組みあいをしている。
——水の格闘技っていうもんな。森先輩は、いつもこんな感じで相手とぶつかりあって……。
康太に勝ち目はなさそうだ。
揉みあう拍子に互いのバズーカ砲が自然に触れあっている。
『普段から小さな布切れ一枚、腰に巻いているやつは異う……』
康太の脳裏に武志の言葉が甦った。
——素っ裸かだってのに……まるで気にしていない……。
いつしか康太は、犬が群れのボスにそうするように大樹に腹を見せ、両手を大樹の胸板に押しあてて、意味のない抵抗を続けていた。一方で大樹は、康太の両脚の付け根に右膝を割りこませ、康太の右の太腿を跨いでいる。右肘を床につけ、空いた左手で康太のわき腹をくすぐっている。
——あ、当たってる……。
康太は顔を持ちあげた。太腿のすぐ上に泡に包まれた大樹のバズーカ砲がある。康太が動けばそれが当たるのも当然だった。
——それに森先輩、近すぎるよ……。
豊饒の毛に覆われた筋肉の天井が康太の真上にある。その大樹のたくましい両胸を抑える康太の指の隙間から泡が溢れだし、康太の胸毛に垂れ落ちる。
康太はギュッと目を閉じた。
高校時代、健司と一緒に観たアダルトビデオの一場面が思い出された。そこでは体格の良い若い男優が、モデルのお姉さんの上で、汗だくになって尻を振りたてていた……。
——貫通式! 森先輩、ひょっとして、今、ここで?
康太は急に怖くなった。
やはり正式な部屋割りの前に『貫通式』をすませなければならない。それを大樹もわかっているのだろう。重苦しい雰囲気にならないよう、こうやって巫山戯あっているあいだにノリで……。
——でも……。
いざとなると大樹のバズーカ砲が気になってしまう。康太は、最初の『貫通式』の翌朝、生理現象の起こったバズーカ砲同士を重ねあったのを思い出した。
——デカすぎる……。
康太は叫んだ。
「ギブ、ギブ、ギブ! 森先輩、降参です!」
「よおし。今日のところは、これくらいにしておいてやる」大樹は何事もなかったように康太から離れると、すっと立上り、シャワーヘッドを手に取った。「そろそろ水野さんの夜食が届いている頃だ。テレビでも観ながら一緒に食べようぜ」
康太はゆっくりと起きあがると、ふたたび胡座をかき、はい、と頷いた。
そこへ大樹がシャワーのお湯を康太に浴びせかけた。「湯加減チェック、頼むぞ!」
「うわあ! ちょ、ちょうど好い温度です!」
「そうか。それは良かった」
大樹はシャワーヘッドを一番高いフックに掛けると、気持ち良さそうにシャワーを浴びはじめた。
——さすが男子寮の三大バズーカ砲だ。
康太は泡が流されて露わになった大樹のバズーカ砲を、ただ、ぼうっ、と眺めつづけた。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる