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メインストーリー1
ガイアの章:ゴブリ討伐編
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「助けてくれてありがとう、ガイア」
そばに居た母親がそう声をかけてきた。
ガイアの章:ゴブリ討伐編
「かぁさ・・・いや、おばさん大丈夫だった?」
「あんたのおかげで助かったよ。あとでご馳走してやるから、うちへいらっしゃい」
そう言って母親は家へと帰っていった。
複雑な心境だけど久しぶりのご馳走。
ウキウキしながら家に行こうとすると遠くから声が聞こえる。
「おーい、ガイアちゃん。どこ行くんよ。ギルドに召集かかってるでー」
この声と個性的なアクセントはサーカさん。
おちゃらけた感じもあるがガイアさんと同じ年齢で腕前も凄いらしい。
らしいというのは、僕はサーカさんが実際に戦っている姿を見ていないからだ。
「はいはい、ギルドに召集ね」
幸い村の被害は少なくすんだので、これからの対策を考えるのであろう。
ギルドに入ると、セイドさんを中心にギルドのメンバーが勢ぞろいしていた。
「おう、ガイア、さっきはご苦労だったな」
セイドさんが労いの声をかけてくれた。
「さて、珍しくピグ達が攻め込んで来た。今回はかろうじて撃退できたが、このまま何度も攻め込まれると持ちこたえられるかどうか。」
セイドさんが話を続ける。
「少しでも人数を増やしたいところだが、最近加入したメムロは行方不明のまま。」
「大きな被害は無いとはいえゴブリ達もちょろちょろと物を盗んでいく」
「ゴブリとピグが一緒に攻め込んできたらまずい」
「でも、最近ゴブリ達がおとなしぃのはなんでやろか」
サーカが話を遮るように発言すると、その言葉に呼応するかのように思わず僕が呟いた。
「ゴブリとピグが敵対していてゴブリが疲弊してるから」
「!」
全員がこっちを見る。
「ガイア、今なんて言った」
セイドさんが身を乗り出して聞いてきた。
「ゴブリとピグが敵対ってどういうことだ?」
当然の反応である。
僕がよく読んでいた本にも、モンスター同士で対立している事はなかった。
「あ、いや、なんとなくそうだったらいいなーって思っただけで」
慌ててごまかす。
「なるほど。その発想はなかったな」
セイドさんが頷いた。
・・・
しばらく沈黙が続いた。
「ふむ、これ以上考えていてもしかたがない。今日はもう遅いから一旦解散して明日またギルドに集合だ」
セイドさんが解散を命じて、全員ギルドから出て行った。
僕も家に帰った。
「ただいまー。お腹すいたー。ごはんー」
「あら、ガイア。今日はありがとうね。でも、ここはあなたの家じゃないわよ」
そうだった。
今の僕はガイアさんだった。
「助けてもらったお礼のご馳走の準備はできてるから召し上がれ」
テーブルを見ると僕の好物が沢山並んでいる。
「まったくあの子はどこをほっつき歩いてるんだか。村の場所がわからなくて帰って来れないのかしら。ご飯とかはちゃんと食べられてるかしら。ガイア、うちの子を頼んだよ。ビシバシしごいてあげて」
何も言葉が出なかった。
目の前に居るのが自分の息子で本当は死んでいるなんて。
「あら、ガイア。涙するぐらい美味しいのかい?嬉しいねぇ」
「は、はい。美味しいです・・・」
自然と涙が溢れ出た。
「ご馳走様でした」
そう言ってトボトボとガイアさんの家に帰った。
翌朝:ギルド内
「昨日、ガイアの言った事は気になるが、まずは壊された建物の修復だ。その後、村の周りにもっと強固な塀を作る」
「ギルドの任務っちゅーより大工やな」
「何か言ったか、サーカ」
ギラリとセイドさんがサーカさんを睨みつける。
「セイドさん!ぼ・・・オレ、ゴブリのアジトに行ってきます!」
みんながきょとんとした顔でこっちを見るなり笑い出した。
「ワッハッハッ、昨日といい今日といい面白い事を言う」
「お前もそんな冗談を言えるようになったんだな」
周りが茶化してくる。
「ダメだ。アジトの場所もわからないのに討伐に出るのは無謀すぎる。まずは村を守る事がギルドとしての役割だ」
正論である。
アジトの場所を知っている事は誰も知らないし、言ったところで信用してもらえるかどうか。
「よし、では作業にかかるぞ」
セイドさんが担当を振り分けてみんなそれぞれ作業をしている。
僕は作業をしている振りをしてこっそりと村を抜け出しゴブリのアジトに行くことにした。
草原を進んでいくと目の前の岩場に人が座っているのが見えた。
「ガイアちゃーん、どこいくのん。おもろい事、独り占めはあかんでー」
サーカさんだ。
「サ、サーカ。何故ここに」
「何年一緒におると思ってんねん。以心伝心っちゅーやつや。さ、いくでー。どこか知らんけど」
ダメと言っても、サーカさんが引き下がるとも思えない。
それに大勢のゴブリを相手するには人手が必要。
「サーカ、付いてくるのは勝手だが一つだけ約束してくれ。ゴブリは殺さないでくれ」
「なんでや?殺さなこっちがやられるやん」
「なんでもだ!」
「しゃーないな、ほな木刀で動けんようにしたらえぇんやろ」
渋々ではあるがサーカさんは言う事を聞いてくれそうだ。
「なーなー、なんでアジトの場所わかるん?」
「こっちであってるん?」
ぶつくさ言いながらも途中で現れるゴブリを殺さずに軽くあしらっている。
本当にガイアさんと同じぐらい強い人なのかもしれない。
洞窟の前に着いた。
「ここだ」
「ほんまかいな。ここって村で来たらあかん決まりになってる場所やん」
「ボスはオレが戦うから、他のゴブリを頼む」
「えー、そっちのがおもろそうやん。ずっこいわー」
「じゃあ引き返すか?」
「ほんま、言い出したらきかんやっちゃで」
「行くぞ!」
洞窟の中に入ると大勢のゴブリが居た。
大変な戦いになりそうだと思いつつも、みんなが無事で居ることで少し安心した。
「ほらほら、ゴブリちゃーん、遊んだるから寄っといでー」
普段はおちゃらけているが、やっぱりサーカさんは頼りになる。
大勢のゴブリ達はサーカさんに任せて僕はビブリ居るところへ向った。
『人間が何のようだ。普段ちょっかいかけてる仕返しか?と、言っても理解はできぬか』
ビブリが何を言っているのかがわかる。
が、今はそれどころではない。
ビブリが大きな棍棒を振りかざしてきた。
ガンッ!
ビリビリビリ・・・
盾でガードした手が痺れる。
やっぱりビブリは強い。
そして大柄の割りに速い。
だが、こちらもガイアさんの身体。
メムロの時とは違って頭に描いた通りに動ける。
バシッ!
バシッ!
バシッ!
木刀で叩いてもダメージはほとんどなさそうだ。
『おまえ、なんでその剣を抜かない。舐めてるのか!』
ビブリがそう言うと、これまで以上にすばやい動きで攻撃を繰り出してきた。
かろうじてかわせたがさすがに木刀では無理があるか。
かといって、ビブリを傷つけたくは無い。
仕方ない、動きを止めるために弱点を狙うしかないか。
バシッ!
バシッ!
『グアァッ!』
やはり左肩の傷は癒えてなかった。
たまらずビブリが片膝をつき動きが止まる。
僕は剣を抜いてビブリの顔の前に剣先を向けてゴブリの言葉で話しかけた。
『タスト村にちょっかいをかけるのを辞めさせろ。そしたら命は取らないでおく』
元々殺す気は無かったし、ビブリがここであっさり引き下がるとも思っていない。
ビブリが驚いた表情で返事をする。
『おまえ、言葉がわかるのか』
当然の疑問である。
『命乞いなどしない。さっさと殺せ』
そう言うと思った、ビブリはそういうやつだ。
僕は剣を鞘に収めた。
『命は取らない。タスト村に迷惑をかけなければそれでいい』
『そんな約束守ると思ってるのか?』
『ビブリは守る。それとタダでとは言わない。ピグ達を殲滅してやる』
そう言って、サーカさんのところへ戻ろうとすると後ろからビブリの声が聞こえる。
『ど、どういうことだ?いや、何故オレの名前を』
・・・
『左肩の礼だ』
サーカさんのところに戻ると、みごとにゴブリ達を殺さずに倒していた。
「ガイアちゃーん、さすがに1人でこの数はきっついでー。おもろかったからえぇけど」
「助かる。こっちの方もケリをつけてきた」
「ほんで、お宝は?なんかえぇもんあったか?」
「いや、何も取ってない」
「なんでやねん、骨折り損やんけー」
「お前が勝手についてきたんだろ!」
サーカさんと口論をしながら洞窟を出た。
「で、サーカ。まだ動けるか?」
「あんなん、準備運動にもならんわ」
相変わらずのへらず口、だが助かる。
「とりあえず北へ向かうぞ!」
「こんどはちゃんとえぇもんあるんやろな?」
「お前の頑張り次第だ」
「なんやそれー、何すんのかぐらい教えてーや」
ガイアの章つづく
そばに居た母親がそう声をかけてきた。
ガイアの章:ゴブリ討伐編
「かぁさ・・・いや、おばさん大丈夫だった?」
「あんたのおかげで助かったよ。あとでご馳走してやるから、うちへいらっしゃい」
そう言って母親は家へと帰っていった。
複雑な心境だけど久しぶりのご馳走。
ウキウキしながら家に行こうとすると遠くから声が聞こえる。
「おーい、ガイアちゃん。どこ行くんよ。ギルドに召集かかってるでー」
この声と個性的なアクセントはサーカさん。
おちゃらけた感じもあるがガイアさんと同じ年齢で腕前も凄いらしい。
らしいというのは、僕はサーカさんが実際に戦っている姿を見ていないからだ。
「はいはい、ギルドに召集ね」
幸い村の被害は少なくすんだので、これからの対策を考えるのであろう。
ギルドに入ると、セイドさんを中心にギルドのメンバーが勢ぞろいしていた。
「おう、ガイア、さっきはご苦労だったな」
セイドさんが労いの声をかけてくれた。
「さて、珍しくピグ達が攻め込んで来た。今回はかろうじて撃退できたが、このまま何度も攻め込まれると持ちこたえられるかどうか。」
セイドさんが話を続ける。
「少しでも人数を増やしたいところだが、最近加入したメムロは行方不明のまま。」
「大きな被害は無いとはいえゴブリ達もちょろちょろと物を盗んでいく」
「ゴブリとピグが一緒に攻め込んできたらまずい」
「でも、最近ゴブリ達がおとなしぃのはなんでやろか」
サーカが話を遮るように発言すると、その言葉に呼応するかのように思わず僕が呟いた。
「ゴブリとピグが敵対していてゴブリが疲弊してるから」
「!」
全員がこっちを見る。
「ガイア、今なんて言った」
セイドさんが身を乗り出して聞いてきた。
「ゴブリとピグが敵対ってどういうことだ?」
当然の反応である。
僕がよく読んでいた本にも、モンスター同士で対立している事はなかった。
「あ、いや、なんとなくそうだったらいいなーって思っただけで」
慌ててごまかす。
「なるほど。その発想はなかったな」
セイドさんが頷いた。
・・・
しばらく沈黙が続いた。
「ふむ、これ以上考えていてもしかたがない。今日はもう遅いから一旦解散して明日またギルドに集合だ」
セイドさんが解散を命じて、全員ギルドから出て行った。
僕も家に帰った。
「ただいまー。お腹すいたー。ごはんー」
「あら、ガイア。今日はありがとうね。でも、ここはあなたの家じゃないわよ」
そうだった。
今の僕はガイアさんだった。
「助けてもらったお礼のご馳走の準備はできてるから召し上がれ」
テーブルを見ると僕の好物が沢山並んでいる。
「まったくあの子はどこをほっつき歩いてるんだか。村の場所がわからなくて帰って来れないのかしら。ご飯とかはちゃんと食べられてるかしら。ガイア、うちの子を頼んだよ。ビシバシしごいてあげて」
何も言葉が出なかった。
目の前に居るのが自分の息子で本当は死んでいるなんて。
「あら、ガイア。涙するぐらい美味しいのかい?嬉しいねぇ」
「は、はい。美味しいです・・・」
自然と涙が溢れ出た。
「ご馳走様でした」
そう言ってトボトボとガイアさんの家に帰った。
翌朝:ギルド内
「昨日、ガイアの言った事は気になるが、まずは壊された建物の修復だ。その後、村の周りにもっと強固な塀を作る」
「ギルドの任務っちゅーより大工やな」
「何か言ったか、サーカ」
ギラリとセイドさんがサーカさんを睨みつける。
「セイドさん!ぼ・・・オレ、ゴブリのアジトに行ってきます!」
みんながきょとんとした顔でこっちを見るなり笑い出した。
「ワッハッハッ、昨日といい今日といい面白い事を言う」
「お前もそんな冗談を言えるようになったんだな」
周りが茶化してくる。
「ダメだ。アジトの場所もわからないのに討伐に出るのは無謀すぎる。まずは村を守る事がギルドとしての役割だ」
正論である。
アジトの場所を知っている事は誰も知らないし、言ったところで信用してもらえるかどうか。
「よし、では作業にかかるぞ」
セイドさんが担当を振り分けてみんなそれぞれ作業をしている。
僕は作業をしている振りをしてこっそりと村を抜け出しゴブリのアジトに行くことにした。
草原を進んでいくと目の前の岩場に人が座っているのが見えた。
「ガイアちゃーん、どこいくのん。おもろい事、独り占めはあかんでー」
サーカさんだ。
「サ、サーカ。何故ここに」
「何年一緒におると思ってんねん。以心伝心っちゅーやつや。さ、いくでー。どこか知らんけど」
ダメと言っても、サーカさんが引き下がるとも思えない。
それに大勢のゴブリを相手するには人手が必要。
「サーカ、付いてくるのは勝手だが一つだけ約束してくれ。ゴブリは殺さないでくれ」
「なんでや?殺さなこっちがやられるやん」
「なんでもだ!」
「しゃーないな、ほな木刀で動けんようにしたらえぇんやろ」
渋々ではあるがサーカさんは言う事を聞いてくれそうだ。
「なーなー、なんでアジトの場所わかるん?」
「こっちであってるん?」
ぶつくさ言いながらも途中で現れるゴブリを殺さずに軽くあしらっている。
本当にガイアさんと同じぐらい強い人なのかもしれない。
洞窟の前に着いた。
「ここだ」
「ほんまかいな。ここって村で来たらあかん決まりになってる場所やん」
「ボスはオレが戦うから、他のゴブリを頼む」
「えー、そっちのがおもろそうやん。ずっこいわー」
「じゃあ引き返すか?」
「ほんま、言い出したらきかんやっちゃで」
「行くぞ!」
洞窟の中に入ると大勢のゴブリが居た。
大変な戦いになりそうだと思いつつも、みんなが無事で居ることで少し安心した。
「ほらほら、ゴブリちゃーん、遊んだるから寄っといでー」
普段はおちゃらけているが、やっぱりサーカさんは頼りになる。
大勢のゴブリ達はサーカさんに任せて僕はビブリ居るところへ向った。
『人間が何のようだ。普段ちょっかいかけてる仕返しか?と、言っても理解はできぬか』
ビブリが何を言っているのかがわかる。
が、今はそれどころではない。
ビブリが大きな棍棒を振りかざしてきた。
ガンッ!
ビリビリビリ・・・
盾でガードした手が痺れる。
やっぱりビブリは強い。
そして大柄の割りに速い。
だが、こちらもガイアさんの身体。
メムロの時とは違って頭に描いた通りに動ける。
バシッ!
バシッ!
バシッ!
木刀で叩いてもダメージはほとんどなさそうだ。
『おまえ、なんでその剣を抜かない。舐めてるのか!』
ビブリがそう言うと、これまで以上にすばやい動きで攻撃を繰り出してきた。
かろうじてかわせたがさすがに木刀では無理があるか。
かといって、ビブリを傷つけたくは無い。
仕方ない、動きを止めるために弱点を狙うしかないか。
バシッ!
バシッ!
『グアァッ!』
やはり左肩の傷は癒えてなかった。
たまらずビブリが片膝をつき動きが止まる。
僕は剣を抜いてビブリの顔の前に剣先を向けてゴブリの言葉で話しかけた。
『タスト村にちょっかいをかけるのを辞めさせろ。そしたら命は取らないでおく』
元々殺す気は無かったし、ビブリがここであっさり引き下がるとも思っていない。
ビブリが驚いた表情で返事をする。
『おまえ、言葉がわかるのか』
当然の疑問である。
『命乞いなどしない。さっさと殺せ』
そう言うと思った、ビブリはそういうやつだ。
僕は剣を鞘に収めた。
『命は取らない。タスト村に迷惑をかけなければそれでいい』
『そんな約束守ると思ってるのか?』
『ビブリは守る。それとタダでとは言わない。ピグ達を殲滅してやる』
そう言って、サーカさんのところへ戻ろうとすると後ろからビブリの声が聞こえる。
『ど、どういうことだ?いや、何故オレの名前を』
・・・
『左肩の礼だ』
サーカさんのところに戻ると、みごとにゴブリ達を殺さずに倒していた。
「ガイアちゃーん、さすがに1人でこの数はきっついでー。おもろかったからえぇけど」
「助かる。こっちの方もケリをつけてきた」
「ほんで、お宝は?なんかえぇもんあったか?」
「いや、何も取ってない」
「なんでやねん、骨折り損やんけー」
「お前が勝手についてきたんだろ!」
サーカさんと口論をしながら洞窟を出た。
「で、サーカ。まだ動けるか?」
「あんなん、準備運動にもならんわ」
相変わらずのへらず口、だが助かる。
「とりあえず北へ向かうぞ!」
「こんどはちゃんとえぇもんあるんやろな?」
「お前の頑張り次第だ」
「なんやそれー、何すんのかぐらい教えてーや」
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