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メインストーリー1
続・メムロの章:旅立ち編
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続・メムロの章:旅立ち編
魔法の練習はちっともできてないが、剣はそれなりに扱えるようになってきた。
まだまだサーカさんには軽くあしらわれているが。
気持ちだけが先走るのがわかる。
ルーナさんが心配だ。
良くも悪くもゴブリが村を守ってくれるようになったため、討伐系の依頼はほとんど来ない。
旅に出たいとセイドさんに言っても許可は下りないだろう。
どうしたものやら。
・・・
こうなったらこっそり村を抜け出すしかない。
そうと決まれば脱出の準備。
といっても、コレといった持ち物は何もなく、実践に向けて念のため魔法の書だけ持ってきた。
まずは道なりに進むとしてどこに向おう。
ナトリか洞窟か。
いや、その前にどこまで進めるんだろうか。
せめて別れ道ぐらいまでは進みたい。
どっちに行くか考えるのはそれからだ。
前回遭遇したモンスターはマルムとバトー。
洞窟の方面にはドゲル。
ガイアさんの時とは速度も武器も違うが勝てるのか?
とはいえ、家に引き篭もっていた時と違い、今は連日剣の練習をしている。
体力もあがってる・・・はず。
本で読んだ物語のように数値が見えたらいいけど、所詮は作り話の世界。
敵を沢山倒すとレベルが上がるってどういう原理なんだ。
いや、そもそもレベルってなんだ?
そんな事をぶつぶつを言いながら道を進んでいくとマルムが木の陰から現れた。
木刀を構えてマルムにめがけて、思いっきり振り下ろした。
ポカッ!
なんとも情けない音が鳴り響いた。
マルムを見るとそれほどダメージはなさそう。
というより、体のシワが僕の事を見下している顔ようにも見える。
なんかむかつく。
ポカッ、ポカッ、ポカッ!
何度か攻撃したが、やっぱりダメージはそれほどなさそうだ。
木刀ではダメか。
他の武器はない。
どうする、どうする?
そうだ、魔法を試してみよう。
本はすべて読み終えた。
契約というのもすでに済んでいる。
しかし実践で使うのは初めてだ。
キノコなので炎系の魔法を試してみる事にした。
本に書いてある手順通り、魔法を使うための呪文とやらと唱えて、マルムに向けて指をさしてみた。
ポーズに関しては本に載っていなかったが、ルーナさんが魔法を使う時の格好を真似してみただけである。
プスッ!
・・・
プスッってなんだ。
炎が飛び出すどころか、火すら出た気配がない。
呪文を間違えたのか?
慌てて懐から本を取り出して確認する。
ドーン!
マルムが体当たりしてきた。
そうだ、今はまだ戦闘中だった、のんびり本を読んでいる暇はない。
僕の身体は後ろにすっ飛んだ。
痛みはあるが、サーカさんの1撃よりはマシなのでまだ大丈夫。
後ろに飛んだおかげで距離も取れた。
その隙に炎の魔法のページを開いて、見ながら呪文を唱えた。
プスッ!
・・・
結果は同じである。
本の通りにすれば魔法が使えるんじゃないのか?
ふと、ルーナさんの言葉を思い出した。
「素質が必要だけど・・・」
炎系の素質がないから使えないのか。
別の系統の魔法だとどうなんだろう。
プスッ!
プスッ!
プスッ!
プスッ!
むなしく響く情けない音。
攻撃魔法の基本系統は、炎・氷・雷・風・土の5種類。
そのどれの初級すら使えない。
なんという事だ、僕は攻撃魔法を使う素質が無いのか。
それとも何か見落としがあるのか、今度ルーナに会ったら詳しく聞いてみよう。
ドーン!
っていうか戦闘中だった。
魔法を出そうとする瞬間だけマルムの動きが一瞬止まるが、いつまでも待ってくれているわけがない。
また後ろに吹き飛んだ。
耐えられるが何度も喰らうとさすがにきつい。
魔法がダメならもう木刀でひたすら叩くしかない。
ポカッ、ポカッ、ポカッ!
手当たり次第、木刀で叩いた。
バシッ!
ギャッ!
偶然、マルムの傘部分の裏側に木刀が当たると悲鳴を上げた。
もしかしてここが弱点なのか?
思いっきり傘の裏側にめがけて木刀を振り上げた。
バシッ!
ギャーッ!
やっぱりこれまでと反応が違う。
バシッ、バシッ、バシッ!
何度か叩くとマルムは倒れた。
なるほど、ガイアの時には意識をしていなかったが敵には弱点があるようだ。
すべての敵にあるかどうかはわからないが、少なくともマルムの弱点は判明した。
次にマルムが現れても無駄な攻撃を減らすことができる。
1体だけでかなり疲れたので少し休憩しながら、魔法の本を読み直した。
攻撃系がダメなら回復系や補助系の魔法はどうなんだろう。
マルムの胞子やドゲルの毒を治療はできるのか?
試そうにも疲れているだけで、効果があるかどうか判断できない。
攻撃を喰らってから試す?
もし回復できなかったらピンチだ。
前のようにルーナさんのような人が偶然通りかかって助けてくれる・・・という展開はさすがにないか。
いつまでも考えていても仕方が無いので、先に進む事にした。
しばらくすると別れ道に到着した。
看板は相変わらず壊れたまま。
ナトリに向ってルーナさんを探そうか。
しかし僕はルーナさんを知っているが、ルーナさんは僕の事を知らない。
ガイアさんほどの実力も無いから相手にもされないだろう。
マルム相手にこのザマなので洞窟に向うのもまだまだ実力が足りない。
今回は諦めてタスト村に帰ろう。
ギルドで魔法の事を聞けば何かのヒントが得られるのかもしれない。
と、その時、ドゲルが突然現れた。
ヤバイ。
僕とガイアさんとの実力差で判断できる。
ドゲルは倒せない。
一応、木刀は構えたがジリジリと後ずさりする。
ペッ!
ドゲルが毒を飛ばしてきた。
よけ・・・られない。
盾で防御・・・は間に合ったが、前回と同じく毒が身体の周りを包み込む。
うぅ、毒状態。
毒を治すための魔法は・・・。
思い出しながら呪文を唱えてみる。
が、何も起こらない。
僕には補助系の素質もないのか。
ガイアさんの時と違い、毒が身体を蝕んでいく速度が違う。
バタッ!
身体中に毒が周り倒れこんだ。
その上をドゲルが覆いかぶさってくる。
あぁ、僕はドゲルに溶かされるのか。
ドゲルが完全に僕の身体を包み込み、ジワジワと一体化していく感覚が分かる。
言葉通り、もう手も足も出ない。
・・・
おかしい。
手も足も出ないが意識はある。
いや、正確に言えば、手も足も無い。
前と思われる方に進もうと移動すると、ずるずると進んでいく。
なるほど。
僕はドゲルになったのか。
理由は分からないが、なんとなく理解してきた。
僕が倒された相手になるようだ。
まるで作り話のような展開。
せっかくなので、ドゲルの生態を調べてみよう。
というより、今はドゲルとして生きていくしかない。
ずるずると体を引きずって毒の沼の方へ向った。
沼に近寄るにつれてドゲルが沢山居たが攻撃してくる気配はない。
ドゲルとしての僕の立場はどうなんだろう。
「お、メルーゲ。いいもの持ってるじゃないか」
1匹のドゲルが声をかけてきた。
「いいもの?」
ドゲルだからドゲルの言葉が分かるが、言葉の意味がわからないので聞き返した。
「それだよ、それ。魔法の書ってやつだろ?」
よく見ると懐に入れていた魔法の書が身体の中に入っていた。
「洞窟に居るボルドマシさんに渡すと喜ぶぞ。代わりになにかいいもの貰えるかもな」
???
よく分からないが、ルーナさんと行った洞窟にはボルドマシってのが居るようだ。
ってことは、あの本の山の持ち主の事か?
ルーナさんと行った時に出会わなかっただけなのか?
疑問は沢山。
「洞窟に入っても大丈夫?」
僕は声をかけてきたドゲルに聞いてみた。
「当たり前じゃないか、この沼を作ってくれたのもボルドマシさんだからな」
「人間から奪った物をボルドマシさんに渡すと、いろいろな物と交換してくれる。特にそのような魔法の書は別格のようだ。オレらには内容はさっぱりわからんがな」
うーん・・・
ゴブリとピグは対立していたが、ドゲルとドマシは共存しているのか。
モンスターにも色々な関係があるんだな。
本では分からない世界だ。
せっかくなので、この魔法の書をボルドマシとやらに渡しに行くことにしよう。
魔法の書の山をまた見れるかもしれないし、魔法を使う方法の手がかりもわかるかもしれない。
ずるずると体を引きずりながら洞窟へ向った。
メルーゲの章へつづく。
魔法の練習はちっともできてないが、剣はそれなりに扱えるようになってきた。
まだまだサーカさんには軽くあしらわれているが。
気持ちだけが先走るのがわかる。
ルーナさんが心配だ。
良くも悪くもゴブリが村を守ってくれるようになったため、討伐系の依頼はほとんど来ない。
旅に出たいとセイドさんに言っても許可は下りないだろう。
どうしたものやら。
・・・
こうなったらこっそり村を抜け出すしかない。
そうと決まれば脱出の準備。
といっても、コレといった持ち物は何もなく、実践に向けて念のため魔法の書だけ持ってきた。
まずは道なりに進むとしてどこに向おう。
ナトリか洞窟か。
いや、その前にどこまで進めるんだろうか。
せめて別れ道ぐらいまでは進みたい。
どっちに行くか考えるのはそれからだ。
前回遭遇したモンスターはマルムとバトー。
洞窟の方面にはドゲル。
ガイアさんの時とは速度も武器も違うが勝てるのか?
とはいえ、家に引き篭もっていた時と違い、今は連日剣の練習をしている。
体力もあがってる・・・はず。
本で読んだ物語のように数値が見えたらいいけど、所詮は作り話の世界。
敵を沢山倒すとレベルが上がるってどういう原理なんだ。
いや、そもそもレベルってなんだ?
そんな事をぶつぶつを言いながら道を進んでいくとマルムが木の陰から現れた。
木刀を構えてマルムにめがけて、思いっきり振り下ろした。
ポカッ!
なんとも情けない音が鳴り響いた。
マルムを見るとそれほどダメージはなさそう。
というより、体のシワが僕の事を見下している顔ようにも見える。
なんかむかつく。
ポカッ、ポカッ、ポカッ!
何度か攻撃したが、やっぱりダメージはそれほどなさそうだ。
木刀ではダメか。
他の武器はない。
どうする、どうする?
そうだ、魔法を試してみよう。
本はすべて読み終えた。
契約というのもすでに済んでいる。
しかし実践で使うのは初めてだ。
キノコなので炎系の魔法を試してみる事にした。
本に書いてある手順通り、魔法を使うための呪文とやらと唱えて、マルムに向けて指をさしてみた。
ポーズに関しては本に載っていなかったが、ルーナさんが魔法を使う時の格好を真似してみただけである。
プスッ!
・・・
プスッってなんだ。
炎が飛び出すどころか、火すら出た気配がない。
呪文を間違えたのか?
慌てて懐から本を取り出して確認する。
ドーン!
マルムが体当たりしてきた。
そうだ、今はまだ戦闘中だった、のんびり本を読んでいる暇はない。
僕の身体は後ろにすっ飛んだ。
痛みはあるが、サーカさんの1撃よりはマシなのでまだ大丈夫。
後ろに飛んだおかげで距離も取れた。
その隙に炎の魔法のページを開いて、見ながら呪文を唱えた。
プスッ!
・・・
結果は同じである。
本の通りにすれば魔法が使えるんじゃないのか?
ふと、ルーナさんの言葉を思い出した。
「素質が必要だけど・・・」
炎系の素質がないから使えないのか。
別の系統の魔法だとどうなんだろう。
プスッ!
プスッ!
プスッ!
プスッ!
むなしく響く情けない音。
攻撃魔法の基本系統は、炎・氷・雷・風・土の5種類。
そのどれの初級すら使えない。
なんという事だ、僕は攻撃魔法を使う素質が無いのか。
それとも何か見落としがあるのか、今度ルーナに会ったら詳しく聞いてみよう。
ドーン!
っていうか戦闘中だった。
魔法を出そうとする瞬間だけマルムの動きが一瞬止まるが、いつまでも待ってくれているわけがない。
また後ろに吹き飛んだ。
耐えられるが何度も喰らうとさすがにきつい。
魔法がダメならもう木刀でひたすら叩くしかない。
ポカッ、ポカッ、ポカッ!
手当たり次第、木刀で叩いた。
バシッ!
ギャッ!
偶然、マルムの傘部分の裏側に木刀が当たると悲鳴を上げた。
もしかしてここが弱点なのか?
思いっきり傘の裏側にめがけて木刀を振り上げた。
バシッ!
ギャーッ!
やっぱりこれまでと反応が違う。
バシッ、バシッ、バシッ!
何度か叩くとマルムは倒れた。
なるほど、ガイアの時には意識をしていなかったが敵には弱点があるようだ。
すべての敵にあるかどうかはわからないが、少なくともマルムの弱点は判明した。
次にマルムが現れても無駄な攻撃を減らすことができる。
1体だけでかなり疲れたので少し休憩しながら、魔法の本を読み直した。
攻撃系がダメなら回復系や補助系の魔法はどうなんだろう。
マルムの胞子やドゲルの毒を治療はできるのか?
試そうにも疲れているだけで、効果があるかどうか判断できない。
攻撃を喰らってから試す?
もし回復できなかったらピンチだ。
前のようにルーナさんのような人が偶然通りかかって助けてくれる・・・という展開はさすがにないか。
いつまでも考えていても仕方が無いので、先に進む事にした。
しばらくすると別れ道に到着した。
看板は相変わらず壊れたまま。
ナトリに向ってルーナさんを探そうか。
しかし僕はルーナさんを知っているが、ルーナさんは僕の事を知らない。
ガイアさんほどの実力も無いから相手にもされないだろう。
マルム相手にこのザマなので洞窟に向うのもまだまだ実力が足りない。
今回は諦めてタスト村に帰ろう。
ギルドで魔法の事を聞けば何かのヒントが得られるのかもしれない。
と、その時、ドゲルが突然現れた。
ヤバイ。
僕とガイアさんとの実力差で判断できる。
ドゲルは倒せない。
一応、木刀は構えたがジリジリと後ずさりする。
ペッ!
ドゲルが毒を飛ばしてきた。
よけ・・・られない。
盾で防御・・・は間に合ったが、前回と同じく毒が身体の周りを包み込む。
うぅ、毒状態。
毒を治すための魔法は・・・。
思い出しながら呪文を唱えてみる。
が、何も起こらない。
僕には補助系の素質もないのか。
ガイアさんの時と違い、毒が身体を蝕んでいく速度が違う。
バタッ!
身体中に毒が周り倒れこんだ。
その上をドゲルが覆いかぶさってくる。
あぁ、僕はドゲルに溶かされるのか。
ドゲルが完全に僕の身体を包み込み、ジワジワと一体化していく感覚が分かる。
言葉通り、もう手も足も出ない。
・・・
おかしい。
手も足も出ないが意識はある。
いや、正確に言えば、手も足も無い。
前と思われる方に進もうと移動すると、ずるずると進んでいく。
なるほど。
僕はドゲルになったのか。
理由は分からないが、なんとなく理解してきた。
僕が倒された相手になるようだ。
まるで作り話のような展開。
せっかくなので、ドゲルの生態を調べてみよう。
というより、今はドゲルとして生きていくしかない。
ずるずると体を引きずって毒の沼の方へ向った。
沼に近寄るにつれてドゲルが沢山居たが攻撃してくる気配はない。
ドゲルとしての僕の立場はどうなんだろう。
「お、メルーゲ。いいもの持ってるじゃないか」
1匹のドゲルが声をかけてきた。
「いいもの?」
ドゲルだからドゲルの言葉が分かるが、言葉の意味がわからないので聞き返した。
「それだよ、それ。魔法の書ってやつだろ?」
よく見ると懐に入れていた魔法の書が身体の中に入っていた。
「洞窟に居るボルドマシさんに渡すと喜ぶぞ。代わりになにかいいもの貰えるかもな」
???
よく分からないが、ルーナさんと行った洞窟にはボルドマシってのが居るようだ。
ってことは、あの本の山の持ち主の事か?
ルーナさんと行った時に出会わなかっただけなのか?
疑問は沢山。
「洞窟に入っても大丈夫?」
僕は声をかけてきたドゲルに聞いてみた。
「当たり前じゃないか、この沼を作ってくれたのもボルドマシさんだからな」
「人間から奪った物をボルドマシさんに渡すと、いろいろな物と交換してくれる。特にそのような魔法の書は別格のようだ。オレらには内容はさっぱりわからんがな」
うーん・・・
ゴブリとピグは対立していたが、ドゲルとドマシは共存しているのか。
モンスターにも色々な関係があるんだな。
本では分からない世界だ。
せっかくなので、この魔法の書をボルドマシとやらに渡しに行くことにしよう。
魔法の書の山をまた見れるかもしれないし、魔法を使う方法の手がかりもわかるかもしれない。
ずるずると体を引きずりながら洞窟へ向った。
メルーゲの章へつづく。
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