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メインストーリー2
メクタウの章:伝令編
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『組まない』
メクタウの章:伝令編
手を組むとタスト村に攻め込む事はないだろうが、いずれは人間の敵になる。
そうなると、僕は人間相手に戦わなくてはいけなくなる。
相手がモンスターだったら気兼ねなく倒していいという事でもないが、今はタウスの姿だが僕はメムロで人間だ。
自らの手で人間を倒す事はできない。
『そうか、非常に残念だ』
プリジュドは本当に残念そうな表情をしている。
『だが、オレはオマエを諦めない。気が変わったらいつでも良い返事を待っている』
気に入ってもらえている事はありがたい。
それだに少し複雑な心境になった。
その言葉を最後に、プリジュドは本を次々と読んでいる。
『またな・・・』
そう言って僕はその場を立ち去った。
『あぁ・・・』
プリジュドの残念そうな返事が聞こえてきた。
制限時間はこの本の山を読み終わった時か。
タスト村をまず狙ってくるだろう。
阻止しなくてはいけない。
そうと決まれば最初に行く場所はあそこだ。
洞窟を出ると、自分の姿どおり早馬で森の中を駆け抜けた。
パカッパカッパカッ・・・
ここに来るのはいつぶりだろうか。
色々ありすぎて遠い昔のような気がする。
外野はうるさいが、格が違うレベルの相手だからか、攻撃をしてくる素振りはなかった。
僕は洞窟の奥へと進んでいく。
本当に懐かしい・・・
『な、何故タウスがここへ!・・・と言っても伝わらぬか』
『久しぶりだな、ビブリ。約束通りタスト村を守っていてくれてありがとう』
『お、おまえ・・・言葉が通じるのか?というか、タスト村の事を何故』
『ゆっくり説明している時間はない。正確な時期はわからんが、もうすぐ強敵がタスト村を攻めてくる』
『時期がわからないのに攻めてくる事は何故わかる』
『悪いがそこまで説明をしている時間は無い。これからタウス族もこちらに増援に向わす。そしてギルドの人間も呼んでくる』
『いきなりやってきて、理由も言わない相手のことを信用すると思うか?』
『普通なら思わないが、少なくともタスト村を守ろうとはする。それと肩の傷は治ったか?』
『!』
『時間が惜しい。魔法を使う相手なので大変な戦いになると思うが命だけは落とすなよ!』
『お、おまえは、も・・・』
ビブリは何かを言っていたようだが、洞窟を急いで出ている僕の耳にはもう入ってこなかった。
パカッパカッパカッ・・・
僕はタウスの住処へと急いだ。
「おかえり、メクタウ様。何か得る事はできましたか?」
いつも通りウスタウさんが出迎えてくれた。
「残念ながら吉報ではないです。ウスタウさんはタスト村を知っていますか?」
突然の質問にキョトンとしている。
本当に顔に出る人だ。
「セキダイコよりも先に進んだ、辺境の地にある小さな村ですね。で、そこがなにか?」
一応、場所は知っているようで安心した。
「これからそこで大きな戦いが始まる。ゴブリ達と共にタスト村を守って欲しい」
「何故、我々がその村を守る必要が?」
当然の疑問である。
さすがに自分の故郷だからとは言えない。
「プリジュドと会って話をしてきた。もうすぐアイツがもうすぐしたら動き出す。最初に狙うのがタスト村」
「経緯はわかりませんが、プリジュドとやら勢力を広げると、のちのち我々の害となすということですね」
「まぁそんなところだ。ゴブリ族の大将には話をつけてある。協力して戦ってきて欲しい」
「話をつけてある?戦ってきて欲しい?」
ウスタウさんの頭の中は混乱しているだろう。
「いろいろと疑問はありますが、戦ってきて欲しいということは、メクタウ様は一緒に行かないのですか?」
さすが、ウスタウさんいい質問だ。
と、感心している場合じゃない。
「行かない・・・というか、行けない。とにかく時間が惜しい。急いでタスト村に向わせてください」
「メクタウ様がそういうのならそうしますが・・・」
「オレはオレのやるべき事をやってきます。ですので、これが今生の別れとなります。短い期間ですがお世話になりました」
「え、え?メクタウ様、どういう事ですか?」
あたふたしているウスタウさんを尻目に、僕は次の場所へと向った。
パカッパカッパカッ・・・
はぁ・・・
思わずため息が出た。
他に方法が思いつかない以上は、この手段しかない。
自分で決めたこととはいえ、さすがに気が滅入る。
いや、ワフ族経由でも伝わるのかもしれないが、伝言ゲームをしている場合ではない。
はぁ・・・
覚悟を決めているとはいえ、またあの体験をするのかと思うと、ため息が出てしまう。
先ほどまで軽快に駆け抜けていたのとは一転、僕はトボトボとセキダイコの中に入っていった。
最初の部屋の入り口に着いた。
正直なところ確信は無いが、僕の想像が正しければこれで情報は正しく伝わるだろう。
うまくいきますように。
そう願いながら部屋の中央に向って飛び跳ねた。
ピョン!
カチッ!
予想通りスイッチが入る音が聞こえた。
ブーゥン!
結果はわかっているがやっぱり怖い。
意味は無いが顔を背けて目をつぶるので精一杯だ。
ザクッ!
さすが、古代の遺跡だけある。
侵入者を撃退する手段にミスはない。
ペンデュラムの鋭い刃が僕の身体を貫いた。
・・・
パチッ!
目を覚ますと空が見えた。
いい天気だ。
草原の中なので心地よい風は吹いてくるが、溶岩の流れた山も近くにあるので焦げた匂いも混じってくる。
僕はメムロに戻ったようだ。
次にする事は一つだけ。
急いでナトリの街へと走った。
タッタッタ・・・
タウスでの移動が速かっただけに、街までが果てしなく遠く感じる。
ハァハァハァ・・・
まだ半分ぐらいしか進んでないが息切れしてしまう。
それでも急いで街へと向わないと。
気力を振り絞ってナトリへと向った。
続々々々々・メムロの章へつづく
メクタウの章:伝令編
手を組むとタスト村に攻め込む事はないだろうが、いずれは人間の敵になる。
そうなると、僕は人間相手に戦わなくてはいけなくなる。
相手がモンスターだったら気兼ねなく倒していいという事でもないが、今はタウスの姿だが僕はメムロで人間だ。
自らの手で人間を倒す事はできない。
『そうか、非常に残念だ』
プリジュドは本当に残念そうな表情をしている。
『だが、オレはオマエを諦めない。気が変わったらいつでも良い返事を待っている』
気に入ってもらえている事はありがたい。
それだに少し複雑な心境になった。
その言葉を最後に、プリジュドは本を次々と読んでいる。
『またな・・・』
そう言って僕はその場を立ち去った。
『あぁ・・・』
プリジュドの残念そうな返事が聞こえてきた。
制限時間はこの本の山を読み終わった時か。
タスト村をまず狙ってくるだろう。
阻止しなくてはいけない。
そうと決まれば最初に行く場所はあそこだ。
洞窟を出ると、自分の姿どおり早馬で森の中を駆け抜けた。
パカッパカッパカッ・・・
ここに来るのはいつぶりだろうか。
色々ありすぎて遠い昔のような気がする。
外野はうるさいが、格が違うレベルの相手だからか、攻撃をしてくる素振りはなかった。
僕は洞窟の奥へと進んでいく。
本当に懐かしい・・・
『な、何故タウスがここへ!・・・と言っても伝わらぬか』
『久しぶりだな、ビブリ。約束通りタスト村を守っていてくれてありがとう』
『お、おまえ・・・言葉が通じるのか?というか、タスト村の事を何故』
『ゆっくり説明している時間はない。正確な時期はわからんが、もうすぐ強敵がタスト村を攻めてくる』
『時期がわからないのに攻めてくる事は何故わかる』
『悪いがそこまで説明をしている時間は無い。これからタウス族もこちらに増援に向わす。そしてギルドの人間も呼んでくる』
『いきなりやってきて、理由も言わない相手のことを信用すると思うか?』
『普通なら思わないが、少なくともタスト村を守ろうとはする。それと肩の傷は治ったか?』
『!』
『時間が惜しい。魔法を使う相手なので大変な戦いになると思うが命だけは落とすなよ!』
『お、おまえは、も・・・』
ビブリは何かを言っていたようだが、洞窟を急いで出ている僕の耳にはもう入ってこなかった。
パカッパカッパカッ・・・
僕はタウスの住処へと急いだ。
「おかえり、メクタウ様。何か得る事はできましたか?」
いつも通りウスタウさんが出迎えてくれた。
「残念ながら吉報ではないです。ウスタウさんはタスト村を知っていますか?」
突然の質問にキョトンとしている。
本当に顔に出る人だ。
「セキダイコよりも先に進んだ、辺境の地にある小さな村ですね。で、そこがなにか?」
一応、場所は知っているようで安心した。
「これからそこで大きな戦いが始まる。ゴブリ達と共にタスト村を守って欲しい」
「何故、我々がその村を守る必要が?」
当然の疑問である。
さすがに自分の故郷だからとは言えない。
「プリジュドと会って話をしてきた。もうすぐアイツがもうすぐしたら動き出す。最初に狙うのがタスト村」
「経緯はわかりませんが、プリジュドとやら勢力を広げると、のちのち我々の害となすということですね」
「まぁそんなところだ。ゴブリ族の大将には話をつけてある。協力して戦ってきて欲しい」
「話をつけてある?戦ってきて欲しい?」
ウスタウさんの頭の中は混乱しているだろう。
「いろいろと疑問はありますが、戦ってきて欲しいということは、メクタウ様は一緒に行かないのですか?」
さすが、ウスタウさんいい質問だ。
と、感心している場合じゃない。
「行かない・・・というか、行けない。とにかく時間が惜しい。急いでタスト村に向わせてください」
「メクタウ様がそういうのならそうしますが・・・」
「オレはオレのやるべき事をやってきます。ですので、これが今生の別れとなります。短い期間ですがお世話になりました」
「え、え?メクタウ様、どういう事ですか?」
あたふたしているウスタウさんを尻目に、僕は次の場所へと向った。
パカッパカッパカッ・・・
はぁ・・・
思わずため息が出た。
他に方法が思いつかない以上は、この手段しかない。
自分で決めたこととはいえ、さすがに気が滅入る。
いや、ワフ族経由でも伝わるのかもしれないが、伝言ゲームをしている場合ではない。
はぁ・・・
覚悟を決めているとはいえ、またあの体験をするのかと思うと、ため息が出てしまう。
先ほどまで軽快に駆け抜けていたのとは一転、僕はトボトボとセキダイコの中に入っていった。
最初の部屋の入り口に着いた。
正直なところ確信は無いが、僕の想像が正しければこれで情報は正しく伝わるだろう。
うまくいきますように。
そう願いながら部屋の中央に向って飛び跳ねた。
ピョン!
カチッ!
予想通りスイッチが入る音が聞こえた。
ブーゥン!
結果はわかっているがやっぱり怖い。
意味は無いが顔を背けて目をつぶるので精一杯だ。
ザクッ!
さすが、古代の遺跡だけある。
侵入者を撃退する手段にミスはない。
ペンデュラムの鋭い刃が僕の身体を貫いた。
・・・
パチッ!
目を覚ますと空が見えた。
いい天気だ。
草原の中なので心地よい風は吹いてくるが、溶岩の流れた山も近くにあるので焦げた匂いも混じってくる。
僕はメムロに戻ったようだ。
次にする事は一つだけ。
急いでナトリの街へと走った。
タッタッタ・・・
タウスでの移動が速かっただけに、街までが果てしなく遠く感じる。
ハァハァハァ・・・
まだ半分ぐらいしか進んでないが息切れしてしまう。
それでも急いで街へと向わないと。
気力を振り絞ってナトリへと向った。
続々々々々・メムロの章へつづく
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