世界の秩序は僕次第

虎鶫

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メインストーリー2

続々々々々・メムロの章:結界編

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『ボルカシ、その結界ってのは他にどんな種類があるの?』
なんとなく、結界のことが気になったので聞いてみた。

続々々々々・メムロの章:結界編

『そうですねぇ、今回のように魔法の威力を弱まらせたり、逆に強化させたり』
『入らせないようにしたり、出られないようにしたりとかは?』
『あ、できますよ。高度な魔法ですけど、いまいち使いどころが難しいですけどね』
なるほど。
プリファイはあの森に結界を張ったのか。

自分の気に入った相手だけを誘い込める。
それ以外は近寄らせない。
・・・
やっぱり羨ましい環境だ。

「ハァハァハァッ、ほら6枚やで。これでえぇんやろ」
オオカさんがもう戻ってきた。
手には赤い鱗が6枚。

「オオカ、思ったより早いな」
セイドさんが感心している。

「まぁ運良くおねんねしてたからな。元々落ちとった分もあるけど、ちゃんとした鱗やしえぇやろ?」
ボルカシは頷いている。

・・・って、レクド?
「え、オオカさん、セキダイコに行ったんですか?」
思わず質問してしまった。
「お、メムロちゃん、よぉわかっとるやん。なんでレクドがおったかはわからへんけどな」
レクドから鱗を取ってくるのもすごいが、その手前の部屋とかも突破したってことか。
オオカさん、凄すぎる。

「へー、オオカさんってサーカを倍にしたおちゃらけさんかと思ってたけど、すごいわねー」
ルーナさんが褒めてるのかバカにしているのかわからない感想を言った。
「おいおい、ルーナちゃん。サーカのアホなんかと一緒にせんといてや。オレが本気出したら、こんなんお茶の子さいさいやで」

あれ?
じゃあ、ロキさんを治す草もオオカさんが取りに行けばよかったのでは?
と思ったがその時、オオカさんはギノツに向ってたか。

「オ、オレかて、ロキはん治すために、セキダイコにある変な草もってきたやん。な、な、ルーナちゃん」
「そうだったわね。セキダイコにある草を持ってきたのはサーカよね」
「ほう、サーカが?」
オオカさんは疑っている。

「そうそう、オレかて本気出したら余裕やっちゅーねん」
「でも、セキダイコに入る前にタウスから貰ったって言ったじゃない」
「しーっ、それは内緒にしといてやー」
「アホのサーカらしいオチやな」
決戦前とは思えないぐらいほのぼのとした雰囲気になった。

『お待たせしました。これを使ってください』
ボルカシが6枚の札をさしだした。
『これをどうするの?』

『こことここと・・・』
そういいながらボルカシはマップを広げて指差した。
『木にくくりつけても、地面においても構いません。とにかくこの場所にあれば大丈夫です』
『置いたら終わり?』
『最後に結界を張る魔法を唱えますので、それで完了です』
僕はみんなにそう伝えた。

頷いてそれぞれの場所を割り当てた。
僕はここから一番近くの場所だ。
このメンバーでは一番弱いからってのもあるけど助かる。

「ほんで、合図はどうすんねや?」
オオカさんが言ってきた。
「そうだな・・・」
「あと、この範囲内にあいつはおるんかいな」
「それもそうか」
みんな考え込みだした。

確かにアイツがこの中に居ないと意味が無い。
村を攻めに来たぐらいだから、もうドマシの洞窟にはもういないだろう。
オオカさんと合ってないからセキダイコにも居ないか。
どこに居るかわかる手段があるのか?

『あの・・・』
ボルカシが何かを言い出した。
『アイツは森の中にいます』
『え、何故わかるの?』
『気配を感じます』

一応みんなに伝えた。
「ほんまかいな。さっきも森の中通ったけど気配なんか感じへんかったで」
オオカさんの言う方が信憑性があるが、一応伝えた。
『気配ぐらい消せますよ』
『え?そうなの?』
『はい、やってみましょうか』

「あの、ボルカシが気配消せるって言ってます」
「メムロちゃん、あのな、気配消すのんはオレでもでけるで」
オオカさんが張り合うように言ってきた。

すーっ!

確かに目の前にオオカさんが居るのは見えるがまるでいないようだ。
「な、こんぐらいはオレでもでける。ほんで、目もえぇから森でもよぉ見える。ビビーのごっついのが飛んでるのも見えたぐらいやで」
オオカさんの言う事は説得力がある。

『そう言ってるけど、ボルカシ』
『この方は凄いですけど、見えますよね』
『まぁ、目の前にいるからね』
『でもちょっと意味合いが違います』
どういうことだ?

「オオカさん、ボルカシは意味合いがちょっと違うって言ってます」
「はぁ?どういうこっちゃ。ほな、やってみぃや」
オオカさんはちょっと怒り気味に言っている。

『ボルカシ、やってみて』
『はい、では』

すーっ!

「えっ!」
「あれーーーーっ!?」
一同驚愕した。

みんなの目の前に居たはずのボルカシの気配が消えた。
いや、姿も見えない。

「な、なんでや。気配も姿もなんも感じへんぞ」
オオカさんが一番驚いている。

なんとなく僕はボルカシの居た場所を叩いてみた。

ポカッ!

『いたっ!』
あっ!
『ボルカシ、ごめん』

「なんでや、でてきたで?おるけどおらんかったで?おらんようにみえたけどおった?」
オオカさんは珍しく混乱している。

『でもさ、ボルカシ。それだったらなおさら居場所がわからないのでは?』
『メムロさんの言う通りですが、私にはわかるのです。引かれ合うというやつでしょうか』
にわかに信じがたい話だが、ボルカシは実際に気配も姿も消した。

・・・

しばらく沈黙が続いた。

「ふむ、ボルカシのいう事を信用するしかないか」
セイドさんがそう決断した。
「試したるけどアカンかったら、責任とれよなー」
オオカさんもアレを見せられたらそういうのが精一杯なんだろう。
「でも、合図はどうするの?」
ルーナさんが聞いてきた。

そうだ、それも決まっていない。
『あ、大丈夫です。札の場所は把握できますので』
「合図はいらないって言ってます」
さすがにみんな、疑いづらくなっている。

『ボルカシ、君がわかるのなら、プリジュドもわかるのでは?』
『そうですね。少なくとも私の居場所はわかるでしょうね』
『札は?』
『それは私が作ったものなので私にしかわかりません』
うーん・・・でも、信用するしかないか。

みんな半信半疑の状態だが、他の手段が無い以上は言う通りにするしかなかった。
「とりあえず、やってみるか」
セイドさんがそういうと、みんな頷いてギルドを出た。

タッタッタ!

街から一番近いので、僕とボルカシは一緒に行動することになった。
『ボルカシ、このへん?』
『はい、その辺りで大丈夫です。あとは・・・オオカさんだけですね』

オオカさんの速度でも一番遠い場所だから仕方ないか。
というか、本当に把握しているのか?

『あ、そろそろ到着するみたいですので、少し離れてもらえますか?』
『わかった』
僕が少しボルカシから離れるとなにやら呪文を唱えだした。

『行きます!』
ボルカシがそう言うと・・・

ん?
なにも起きてない?

『ボルカシ、何がどうなったの?』
『結界を張りました』
『え、そんな感じはまったくしないけど・・・』
『あぁ、結界は特殊なので、回復魔法みたいに光を放ったりしません』
『へ、へぇ・・・』

ピーンッ!
急に空気が張り詰めた。
僕はボルカシの方を見たが、顔を横に振っている。
ボルカシが何かしたわけではない。

・・・と、いうことは?
恐る恐る森の方を見ると、プリジュドがこっちに向かって歩いてきた。

『クックック、やはりオマエか』
ヤバイ、僕だけではどうもできないが、ボルカシの前に立った。

『ほう、ちっこいの。オレと戦うつもりか?』
『ぼ、ぼくが守る!』
短剣を持つ手は勝手に震えている。

『クックック、怯えているではないか、無理はするな』
まだかろうじて結界の中に居るが、僕はプリジュドに勝てるのか?
でもやるしかない!

デヤーッ!

『クックック、なんだそのへっぴり腰の攻撃は・・・全力が出せなくてもとるに足らん相手・・・お、おまえは・・・』

ザクッ!

なぜか僕の攻撃はプリジュドに当たった。

『チッ!ボルカシめ!いい手駒を持っておる!』
どういう事だ?

『メムロさん、横に移動してください!』
ボルカシの声につられて横に移動した。

ドゴーンッ!

『グアァ!オマエ・・・オレを倒すという事は・・・いいのか』
プリジュドは一体なにを言っているんだ?
でも、ボルカシの魔法はプリジュドに直撃して瀕死だ。

『これで終わりです!』
ボルカシが再び魔法を放った。

ドゴーンッ!

・・・

魔法はプリジュドに直撃して砂埃が舞い上がる。

けほっけほっ!
周りが良く見えない。

『ボルカシー?』

返事が無い。
周りが見えるようになったがボルカシが居ない。
プリジュドも居ない。
さっきみたいな気配を消したのか?

ブーン!

何かが飛んでくる音が聞こえる。
グインだ。

僕の目の前で止まった。
手には蜂の巣を持っている。

『大丈夫、話はできるよ』
『えっ!そうでしたか』
手に持っていた蜂の巣を身体のどこかにしまった。

『それで何か用?』
『お礼を言いに』
『お礼?』
『はい、ようやくこの森は開放されました。ありがとうございます』
『え、え?どういうこと?なにもしてませんけど』
どういうことなんだ?

・・・

『なるほど、そういうことでしたか』
『はい、あなた達のおかげです』
『いや僕は何もしてませんが・・・』

『それで、あの、その・・・』
グインは何か言いたげだが、なんとなく想像はついた。
『約束はできないけど、できる限りの事はやってみるよ』
『ありがとうございます』
『あ、ちょっとまって、蜂の巣ちょっとわけてくれない?』
『わかりました。伝達程度ならできますので』
グインは僕の意図を理解してくれたようだ。

『それではまた』
そういうとグインは森の中に帰っていった。

うーん・・・どうしよう。

続々々々々・メムロの章つづく
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