世界の秩序は僕次第

虎鶫

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続々々々々・メムロの章:セキダイコ(緑)探索編

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「あれー?」
先頭を行くルーナさんがいきなり声をあげた。
何があったのだろう。

続々々々々・メムロの章:セキダイコ(緑)探索編

「ルーナちゃん、どないしたんや?」
サーカさんが問いただす。
「どうしたもこうしたもないわよ・・・ないよ」
「なにをわけわからんことゆーてるんや、なにがないんや?」
なんだか2人の会話がかみ合わない。

「ね、ね、ね、メムロくんも見たわよね、ね、ね?」
「え、ちょっと落ち着いてください、見たって何をですか?」
ルーナさんが僕に何かを訴えかけているが何の事を言っているのかさっぱりわからない。

「2人ともどうしたのよ、みんなでおっきな穴を見たでしょ!」
あぁ、そういえば穴が無くなってたな。
「せやで、ルーナちゃん知らんかったんかいな」
サーカさんはセキダイコに行っているので知ってて当然か。
その時、僕はタウスの身体で色々あったから特に気にしてなったけど確かに穴はなかったな。
・・・ってあれ?

「サーカさんは知ってるのに何故ルーナさんは知らないの?」
僕も知っている事がバレると説明が大変なので、とりあえずサーカさんに聞いてみた。
「・・・」
サーカさんが真剣な表情で無言になった。

もしかして・・・
「あのー、サーカさん・・・もしかしてですけど、ギルドに穴の事を報告しました?」
「・・・」
サーカさんは無言のままだ。
ってことはやっぱり・・・

「サーカ、熱いのがいい?寒いのがいい?」
ルーナさんの表情を見ると目がすわっている。
「ちょ、ちょっとまってーや、ルーナちゃん、ごめんて、ごめん」
ルーナさんが本気なのが伝わったのか珍しくサーカさんが土下座して謝っている。
「熱いのがいい?寒いのがいい?それとも両方?」
サーカさんの言葉が聞こえていないのか、ルーナさんがブツブツといいながらサーカさんに近づいている。

「ちょっと、ルーナさん、落ち着いてください」
「なぁに、メムロくん、私は落ち着いているわよ」
これはまずい。
「サーカさんは、アレですよ、あの、そうそう、ロキさんを治す事で頭が一杯になってたんですよ」
「せ、せやねん、ロキはんの体調を治さんとな、な?」
サーカさんが僕の顔をチラチラ見ながら話を合わせてくる。
嘘を言っている訳じゃないけど、あまりこっちを見られると段々嘘っぽくなってくる。

ルーナさんがサーカさんの目の前で立ち止まった。
万事休す!

「はぁ・・・微妙に嘘臭い感じもあるけど、ロキを治したのは事実だからいいわ」
最悪の事態は回避できた。
「サーカ、今回は許してあげるわ、今回はね」
そういうと、ルーナさんはセキダイコに向って歩き出した。
完全には許してはないようだ。

「メムロちゃん、ありがとなー」
「サーカさん1個貸しですからね」
僕はちょっと意地悪っぽく返事してルーナさんの後を追いかけた。
「そんな、メムロちゃんまで殺生な、っていうか、まって~や~」

しかし、そんなほのぼのした雰囲気は一瞬に消え去った。
ルーナさんの報告通り、セキダイコが緑色に光っている。
セキダイコからは今までに感じた事のない気配も感じる。

「ね、ね、緑に光ってるでしょ」
ルーナさんも僕と同じく気配を感じているのか声を震わせながらそう言った。
「ルーナちゃん、さっきの威勢はどこいったんや」
さっきの仕返しとばかりにルーナさんを煽っている。
「そういうサーカも汗が凄いわよ、冷やしてあげようか?」
いつも通りのやり取りだが2人とも真剣な表情になっている。

「ほんで、2人はセキダイコに入った事あるんかいな」
「あ、あるわよ」
「ないです」
本当はあるけど。

「あぁそうか、ルーナちゃんはガイアちゃんと入ってたなぁ」
サーカさんは悪気無くそう言ったが、ルーナさんの顔が青ざめている。
そりゃそうだ、ルーナさんからするとトラウマになっていてもおかしくない。
「そ、そういうサーカはどうなのよ、ロキを治した薬は中に入らずに貰ったんでしょ」
「あんときの薬はセキダイコ入る前にもーたやつやけど・・・」
「ってことは、入った事があるの?」
「オレを誰やと思ってんねん」
「アホのサーカ」

ルーナさんの容赦ない返答に、サーカさんはがっくりと肩を落とした。
これが日ごろの行いというやつか、僕も気をつけよう。

「ほな、いくでー」
「え、ちょっとまってよ、中に入る気?」
「もちろんやん、中はいらんと様子みれんやん」
「でも、サーカさん、この気配は尋常じゃないですよ」
「お、メムロちゃんもこの気配が感じれるぐらい成長しとるやん」
サーカさんは僕の頭をくしゃくしゃしながらそう言ってきた。

「やめてくださいよ」
そう言いながらサーカさんの手を振り払ったが成長を認めてもらえてちょっと嬉しい。
「サーカ、大丈夫なの?」
「なにがや?」
「メムロくんの言う通り気配も以前と違う感じがするし、罠とかも・・・」
そういうとルーナさんは下唇を噛んだ、ガイアさんの事を思い出したのだろう。

「罠ねぇ、あんなんちょっとしたアトラクションみたいなもんやん」
「あとらく?あの罠の回避方法知ってるの?っていうか、そのあとらくなんとかって何よ!」
「アトラクションはアトラクションや、ルーナちゃんもガイアちゃんも遊び心っちゅーもんが足りへん」
「あのねぇ、こっちはいつでも真剣なのよ」
「真剣なのはえぇこっちゃ、でもな冒険は楽しまな損やで」
言ってる事は正しいような間違っているような。

「じゃあ最初の部屋はどうやって先に進むのよ」
呆れた顔をしながらルーナさんが聞いた。
「論より証拠や、まぁついといで」
そう言うとサーカさんはセキダイコの中に入っていった。

ルーナさんと一緒に後をついていくと最初の部屋が見えてきた。
バチバチする床の部屋か・・・と考えながら歩いていると

ドンッ。
何かにぶつかった。
「メムロくん、ちゃんと前を向いて歩いてよね」
「あ、ルーナさん、ごめんなさい」
ルーナさんが入り口で立ち止まっている事に気がつかなかった。

「あれ?サーカさんは?」
ルーナさんに聞くと悔しそうな表情で指をさしている。
指の先にはサーカさんが居た。
「な、なんでもうそこにいるのよ!」
サーカさんは部屋の反対側、つまりこの部屋をもう攻略していた。
仕掛けの見分け方は記憶にあるので僕にも攻略はできるが、さすがにこんなに早く先には進めない。

「サーカさん、どうやってここを?」
「どうもなんも、こんなんアトラクションっちゅーたやん」
「いや、それ答えになってないですよ」
「そうよ!私たちにもわかるように答えなさいよ!」
さすがにルーナさんもこの状況では意地を張っている場合ではない。

「説明っちゅーてもなぁ・・・どーせ、ルーナちゃんの事やからその辺の石でもほりなげて1マスずつ進んでたんやろ?」
「うっ・・・」
図星である。

「頭でっかちのメムロちゃんなら、この部屋の謎解けるんちゃう?」
「え、僕がですか?」
突然こっちに振られた。
試されているのだろうか?
大人しく答えを聞くのもいいけどサーカさんの驚く顔も見てみたい。

部屋の中を見渡すふりをして
「えっと、床の模様が微妙に違うので、それを見分けたら・・・」
「おーおー、さすがメムロちゃん」
あれ?あまり驚いた顔をしていない。

「でもなー、それやと半分正解っちゅー感じやで」
「そうなんですか?」
正解だと思ったけど、まだ他に謎が隠されているのだろうか。
「えぇせんいってんねんけどなぁ、まだまだやなぁ」
なんだかちょっとイラッとした。

それに今は謎解きで楽しんでいる場合じゃな・・・楽しむ?
「お、メムロちゃん、なんか閃いたんか?」
「いえ、何も・・・でもサーカさんの言ってた冒険を楽しむって言葉がなんだか引っかかって・・・」
その言葉にサーカさんは頷いている。
正解に近づいているみたいだがさっぱり見当がつかない。

「んもー!そんなのいいから早く教えなさいよ!」
痺れを切らしたルーナさんの声が部屋の中を響いた。
「説明するとながのーなるから、とりあえずここの床を進んどいで」

そういうとサーカさんは何かブツブツと呪文のようなものを唱えだした。

ブォーン!

「な、なにこれ」
まるで示し合わせたかのように、ルーナさんと僕は同じ事を言っていた。
部屋の中の罠の床と普通の床がはっきりと見える。
「サーカさん、今のはなに?これはなに?」
「んもー、メムロちゃんのなんで屋さんのクセは相変わらずやなぁ」
僕はそのように思われていたのか。

「あ・・・、アカンわ、帰るで」
突然そう言うとサーカさんはこっちに向ってきた。
「サーカ、なんで引き返してきたの?」
当然の疑問である。
「時間切れや、ヤバイからはよ出るで」
僕達を追い出すようにサーカさんが背中を押してくる。
「ちょっと、サーカ、そんなに押さなくてもちゃんと外に出るわよ」
「もっとや、もっと急がんとアカン」
何がなにやらという状態だが急いでセキダイコの外に出た。

ハァハァハァ・・・
さすがに全力で走ると疲れる。
「ここまできたら大丈夫か、ほなギルド戻るで」
そういうとサーカさんはギルドに向って歩き出した。
聞きたい事は色々あるが今聞いても答えてはもらえないだろう。
サーカさんの真意はわからないが、ルーナさんと目が合ったのでお互い頷いて後を追うようにギルドに向った。

続々々々々・メムロの章つづく
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