世界の秩序は僕次第

虎鶫

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メインストーリー2

続々々々々・メムロの章:セキダイコ(緑)質疑編

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「ふふんふーんふんふん、ふふーんふんふん・・・」
オオカさんはご機嫌に謎の鼻歌を歌いながら歩いている。
何故僕を指名したのだろう。
理由が思いつかない。

続々々々々・メムロの章:セキダイコ(緑)質疑編

「あの、オオカさん」
「なんや、メムロちゃん」
「今回の調査は何故を選んだのですか?」
考えていても答えは出ないので聞いてみた。

「なんでやと思う?」
オオカさんは真剣な顔で聞き返してきた。
「え、それがわからないから聞いたんですよ」
「メムロちゃんは、なんで付いて来たんや?」

「来たくないんやったら、拒否できたはずやで。オレと同行する事を選んだんはメムロちゃん自身やん、なんでや?」
あれ?いつの間にか質問される側になっている。
でも確かに断る事もできたはずだが、僕は一緒に行く事を選んだ。

「確かに僕が決めたんですけど・・・それでも指名してきたのはオオカさんですよね」
「せやで」
「ギルドの中でも僕が一番新入りで戦闘経験もほとんど無いですし」
「せやで」
「セイドさんやドンリンんさんが戻るまで待っていてもよかったと思いますし」
「せやで」
質問攻めの次は味気ない返事ばかりだ。

「僕を選ぶにはリスクの方が大きいと思います」
「うんうん、あぶないなぁ」
自分で言ってて情けないが事実なので仕方が無い。
「それでもオレはメムロちゃんを選んで、メムロちゃんはそれに応えた。なんでや?」
なんだか堂々巡りだ。

自分で答えを導き出さないとダメかもしれない。
僕が一緒に行くのを選んだのはセキダイコが気になったからだ。
「セキダイコが気になったからです」
そのまま伝えた。

「ほんで?気になったぐらいで動くほどメムロちゃんはアウトドア派ちゃうやろ?」
「家で本を読んでいる方が好きですね」
「そんなメムロちゃんが外に出とる。めっちゃ危ないってわかってるところに行くのはなんでや?」
「色々な本で過去の物語を読んだりはしましたが、セキダイコが光るという話はありませんでした」
「ほんで?」
「あちこち旅しているオオカさんも知らない。だから知りたくなった・・・ってのじゃダメですか?」

オオカさんはうんうんと頷いている。
「えぇで、えぇで。そういうこっちゃ」
え、いまいち良くわからない。

「知識は本を読んだら手に入る。でもなー、実際に自分の目で見て体験するのも大切なんや」
「あ、百聞は一見にしかずってやつですか?」
「はぁ?なんやそれ。そんなむつかしい事ゆーたらあかんで」
ガクッ、伝わらなかったようだ。
でもたぶんそういう事なのだろう。

あれ?
「オオカさん、それなら僕以外の人も同じじゃないんですか?」
「おっ!えぇとこついてくるやん。鋭いやん。やるやん。」
質問の回答をはぐらかすかのように僕の頭をくしゃくしゃしてきた。

「確かにメムロちゃんのゆーとーり、サーカのアホでもえぇっちゃーえぇねん」
「でもオオカさんはわざわざ僕を指名してきた」
「せやで」
「いや、せやでじゃないですよ。僕はその答えを知りたいんですよ」
「メムロちゃん・・・答えってそないに重要か?」
「当然じゃないですか!何事にも理由や原因があるはずです。何もわからないままって好きじゃないです」
「なるほどなぁ。メムロちゃんの言う事にも一理はあるな」
「でしょ?だから僕が選ばれた理由が知りたいのです」
ようやくオオカさんを問い詰める状況に戻せた。

「答えを知るか。まぁ、敵の弱点を知っとると敵と戦う時は楽でえぇやろな」
「そうです、そうです!だから知る事は大切だと思います!」
そういいながらオオカさんに詰め寄った。

「メムロちゃん、ちょい落ち着き」
「あ、すみません」
「考え方としてはおおとるで。でもな、言葉では説明でけへん場合はどないするんや?」
「うーん・・・身振り手振りとか絵で伝えるとか・・・」
「メムロちゃんはやっぱりおもろいなぁ」
そういうとまた頭をくしゃくしゃされた。

「あとなー・・・答えは知っとっても、知られとーない事もあるやろ」
ゾクッ!
その瞬間、オオカさんは僕の目を見ていたが、目ではなく心の中を覗かれている気がして背筋が凍った。
オオカさんが僕に対して怖がらせたり殺意などは当然ないが、そういった負の感情が無いのが余計に怖い。

実際のところ、僕自身も何故このような体質になった事は誰にも言ってないし、説明しても信用してもらえるかどうかも謎だ。
もっとも、理由がわからないから説明できない。

「答えを知るって、難しいですね」
僕はポツリとそう呟いた。
「せやで、でもな、新しい事を知った時はたまらんでー」
オオカさんが嬉しそうにそう返してくれた。

「ほな、おしゃべりの時間は終わりやで」
「そうですね」
緑に光るセキダイコが見えてきた。

「ちなみにやけど、メムロちゃん何か感じるもんあるか?」
「いえ、特には何も」
「ほうか、サーカは中に入ってからっちゅーてたけど、ここでもビンビン殺気を感じんで」
「え、まだセキダイコが見える程度の距離ですけど、そんなにもなんですか?」
「いきなし攻撃はしてけーへんと思うけど念のためきーつけや」
「は、はい」

気配もまだ感じない状況で気をつけようも無いが念のため剣を構えた。
「メムロちゃん・・・きーつけとはゆーたけど、そんな物騒なもんしもーとき」
「すみません」
これはさすがに早まりすぎたか。

セキダイコの入り口が近づいてきた。

続々々々々・メムロの章つづく
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