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佐々村との邂逅
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ひょろりと背が高く、見るからに優男風の男性。白の半袖シャツにチノパンという有り触れた服装で、彼もまた携帯電話を耳に当てている。おそらく、光の通話相手なのだろうと想像がついた。
男はしゃがんで荷物をトランクに詰めている光に声を掛ける。
すると、光は驚いて飛び上がり、耳に携帯を当てたままペコペコと頭を下げた。
離れたところで見ている宗介の方が、恥ずかしい気持ちになる。
飲み終えたジュースの空き缶をゴミ箱に放り、宗介は光の元へ戻る。
近くで見ると、男は大学生か新社会人くらいに思えた。かなり若々しい。除霊対象である娘は宗介と同じ高校二年生という話なので、この男が娘の父親ということはなさそうだ。兄、あるいは叔父、といったところだろうか。
「――――それで、除霊してくださる先生はどちらに?」
宗介が光の後ろまで戻ると、ちょうど男がそんな質問を投げかけているところだった。
「あ、はい。それはですね――」
「俺だよ」
宗介は二人の会話に割って入った。
宗介を見た男は「え……」と声を漏らして、表情が固まる。まさか『先生』が、高校生くらいの『子供』とは思っていなかったのだろう。まあ、宗介にしてみればいつものことだ。
「だ、大丈夫ですよ! こう見えて彼はすごく優秀な除霊師ですから!」
気まずい空気を感じ取り、光がすぐさまフォローを入れる。
そこで男も我に返り、少し腰を低くして苦笑いを浮かべた。
「す、すいません。まさかこんなに若い方だとは思っていなくて。そちらの世界のことは何も知らないのに……」
男は素直に謝罪の言葉を述べる。
正直なところ、男の態度はかなりマシな部類である。宗介を見て、露骨に嫌な顔をしたり、嫌味を言ってきたりする依頼者も少なくないのだ。酷い場合は、子供だと甘くみて、その場で料金の値引きを行う者もいる。
そういう意味では、すぐさま自分の非礼を詫びた彼に宗介は好感を持った。
「ああ、いいよ。気にしなくて。いつものことだから」
「あっ、紹介が遅れました。僕は今回依頼を出した佐々村家の者で、佐々村猛(ささむらたける)といいます。今回は何卒よろしくお願いします」
そう言って、佐々村猛は宗介に深く頭を下げた。
「俺は黒宮宗介。よろしくな、猛さん」
「はい。では、早速行きましょう。向こうに車を用意してあります。長旅でお疲れでしょうけれど、ここから細入村までもうしばらく辛抱してください」
猛は光の荷物を手に持つと、足早に宗介たちを先導した。無意識なのだろうが、その様子からは焦燥が滲んでいるように感じられる。
荷物を積み終えると、光が助手席に宗介が後部座席に座り、車はすぐに出発した。
男はしゃがんで荷物をトランクに詰めている光に声を掛ける。
すると、光は驚いて飛び上がり、耳に携帯を当てたままペコペコと頭を下げた。
離れたところで見ている宗介の方が、恥ずかしい気持ちになる。
飲み終えたジュースの空き缶をゴミ箱に放り、宗介は光の元へ戻る。
近くで見ると、男は大学生か新社会人くらいに思えた。かなり若々しい。除霊対象である娘は宗介と同じ高校二年生という話なので、この男が娘の父親ということはなさそうだ。兄、あるいは叔父、といったところだろうか。
「――――それで、除霊してくださる先生はどちらに?」
宗介が光の後ろまで戻ると、ちょうど男がそんな質問を投げかけているところだった。
「あ、はい。それはですね――」
「俺だよ」
宗介は二人の会話に割って入った。
宗介を見た男は「え……」と声を漏らして、表情が固まる。まさか『先生』が、高校生くらいの『子供』とは思っていなかったのだろう。まあ、宗介にしてみればいつものことだ。
「だ、大丈夫ですよ! こう見えて彼はすごく優秀な除霊師ですから!」
気まずい空気を感じ取り、光がすぐさまフォローを入れる。
そこで男も我に返り、少し腰を低くして苦笑いを浮かべた。
「す、すいません。まさかこんなに若い方だとは思っていなくて。そちらの世界のことは何も知らないのに……」
男は素直に謝罪の言葉を述べる。
正直なところ、男の態度はかなりマシな部類である。宗介を見て、露骨に嫌な顔をしたり、嫌味を言ってきたりする依頼者も少なくないのだ。酷い場合は、子供だと甘くみて、その場で料金の値引きを行う者もいる。
そういう意味では、すぐさま自分の非礼を詫びた彼に宗介は好感を持った。
「ああ、いいよ。気にしなくて。いつものことだから」
「あっ、紹介が遅れました。僕は今回依頼を出した佐々村家の者で、佐々村猛(ささむらたける)といいます。今回は何卒よろしくお願いします」
そう言って、佐々村猛は宗介に深く頭を下げた。
「俺は黒宮宗介。よろしくな、猛さん」
「はい。では、早速行きましょう。向こうに車を用意してあります。長旅でお疲れでしょうけれど、ここから細入村までもうしばらく辛抱してください」
猛は光の荷物を手に持つと、足早に宗介たちを先導した。無意識なのだろうが、その様子からは焦燥が滲んでいるように感じられる。
荷物を積み終えると、光が助手席に宗介が後部座席に座り、車はすぐに出発した。
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