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1-23 絶望の果てに
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「…………ッ!」
呆然としていたルトであったが、すぐに正気に戻ると、ルティアの方へ駆け寄る。
しかし──
「こないで……こないで下さい! ルトさん!」
ルティアはそれを強く拒絶した。
その美しい金色の髪も、今は砂埃に塗れ、その輝きを失っている。
「……ルティアさん」
「状況は……絶望的です。このままだと間違いなく、全滅で終わってしまいます。……だからルトさん! せめて貴方だけでも、逃げて下さい!」
必死の形相で呟かれた言葉。
しかし、ルトは、
「いやだ」
という明確な拒絶でもってそれに返した。
「ルトさん……ッ!」
いつもは素直なルトの強情な姿に、ルティアは声を荒げるように彼の名を叫ぶ。
しかし、ルトは引かず、寧ろ歩をゆっくりと進め、ルティアの前に立つと、力強い声音でもって思いを吐露する。
「……いやだ。皆を置いて逃げるなんて……見捨てるなんて! そんな事したら、僕は本当に『無能』になってしまう!」
「そんな事はないです! ここで逃げても、貴方を『無能』と蔑む人間は居ない!」
「かもしれない。わからないよ。……でも、嫌なんだ。このまま逃げたら、きっと一生後悔する事になる。自ら『無能』というレッテルを貼って、生きていく事になる。そんなの、あまりにも惨めじゃないか」
感情論で動いて良い話ではないのかもしれない。
間違いなく、ルトだけでも逃げ延びて、助けを求めに街へと向かった方が国の為にはなるだろう。
ルトもそれはよく理解している。
しかし、だからと言って、皆を、友を置いて帰るという選択肢は、ルトの中には全くと言って良い程存在していなかった。
ルトは尚も歩を進める。
目先には、地に降り、此方へと目を向けたまま、特に行動を起こさないデーモンの姿がある。
余裕の表れか、それとも魔物ながらにルトに同情したのか。
向こうの内情など、知る由もないが、好都合である事には変わりなかった。
後方からルティアの声が聞こえる。
必死で、ルトを想い、逃げる様にと声を荒げている。
有り難かった。嬉しかった。
何よりもルトを想っての言葉の数々。
嬉しくないわけがない。
しかし、ルトはそんなルティアに小さく「ごめん」と声を掛けると、意識を前方へと集中した。
緊張からか、喉が異様に渇く。心臓の音が嫌に耳に残る。
気を抜いたら、吐いてしまいそうな程の吐き気に襲われる。
けど──今動けるのはルトだけ。
つまり、果てしなく低い確率かもしれないが、現状に何か変化をもたらせるのはルトだけだと言う事だ。
大きく息を吸って、吐き……グッと口を引き締める。
そして、震えそうになる手に短剣を握ると、ルトは叫び声を上げながら、地面を強く蹴った。
デーモンへと肉薄する。しかし、尚もデーモンは動かない。
これならばと、ルトは短剣を突き出し……しかしデーモンはそれを一瞥すると、大層つまらなそうに、腕を振った。
抵抗なくルトは吹き飛び、地を転がる。
ルティアの悲鳴がルトの耳へ届いた。
「……うっ……あ……」
全身を襲う鈍い痛み。立ち上がろうと力を入れるも、立ち上がる事ができない。
……たった一振り。それも、間違いなく手を抜いて放たれた拳で、ルトはまともに動けなくなってしまうほど、ボロボロになってしまった。
──何故僕の身体はこんなにも脆いんだ。
うつ伏せの状態で、必死に顔を持ち上げ、デーモンを睨みつけながら、ルトは自身の弱さを恥じる。
しかし、だからといって現状が好転するという事はなかった。
デーモンは、チラとルトの方を見ると、すぐに興味を失ったように顔を逸らした。
そして、一点へと目をやり、そちらへと歩く。──そう、ルティアの方へと。
デーモンはルティアの頭上へと立つと、右手の平に黒球を作り出す。
他の魔物に比べ、高い知能を有するデーモンの事だ、ルティアを先に倒しておいた方が、身の為だと考えたのだろう。
「…………くそっ」
ルトの口から思わず声が漏れる。
話を聞いた限りだと、現在他の地でも戦闘が行われているらしい。ということは、まず間違いなく援軍は望めない。
つまり、このまま何もせずにぼうっとしていたら、あと数秒後にはルティアの命が散る事になる。
──当然それは許せなかった。
全身に力を込める。歯を食いしばり、必死に身体を浮かせ、何とか立ち上がると、
「ルティアさんじゃなくて……僕を見ろよッ!」
全身に血を滲ませながらも、強く声を上げ走り、デーモンへと短剣を突き出す。
しかし、やはり先程と同様に、簡単にいなされてしまった。
地を転がり、うつ伏せで止まる。
身体中を先程よりも強力な痛みが襲う。
もう動くのはやめた方が良いと、身体が警笛を鳴らしているようだ。
しかし、この時のルトは身体の痛みにはあまり意識が向いておらず、代わりに、心の痛みを強く感じていた。
何故……神は、友人を救う事さえ許してくれないのか。
己の無力を恥じ、思わずそんな事を考えてしまう。
身体に力を入れる。しかし今度こそは殆ど動かず、手を伸ばすのが精一杯だ。
痛い、怖い、不甲斐ない。情けない。
負の感情が、壊れた蛇口から水が漏れるように、少しずつ溢れてくる。
が、そんなルトの事など御構い無しとでも言うように、尚もデーモンはルティアの頭上に立つと、黒球をより強大なものへと変えていく。
「……や……めろ!」
手を伸ばし、声を捻り出す。
しかし、デーモンはもはやルトに目を向ける事はなく、ただルティアだけを目に入れながら、彼女を屠る事だけを考えている。
──無力だった。
やはり、『無能』なのかもしれない。
ルティアの忠告を無視し、デーモンへと飛び込み、当然のようにボロボロに痛めつけられる。
──そして、このザマだ。
最早立ち上がる事すら不可能で、目の前で友が殺されていく様を見ている事しかできない。
思えば──昔からそうだった。
力が無いと嗤われ、いじめられていた。
しかし、そんな現状を変えようともせず、仕方がないものだと思っていた。
そんな時に、憧れの少女、リアリナが現れ、自身を救ってくれた。
その後、リアリナとよく遊ぶようになり、いじめはいつのまにか無くなった。
助かったと、ホッとした事は今でも忘れない。
──そう、いつもそうだった。
訪れる幸運に身を任せ、自分で行動しようとしない。
奇跡を望む事すらせず、ただ何か救いが勝手に来ることを待って──
と、ここで。
突然とある記憶が思い起こされた。
それは憧れの少女との何気ない会話で──
「ねぇ、ルト。……ルトは神様っていると思う?」
昼下がり、いつもの様に高い丘の上で並んで座る2人。その内の1人、リアリナが横へと目をやりながら口を開く。
「急にどうしたの? リアちゃん」
「別にどうもしないよ。ただちょっと気になっただけ」
特に質問に理由はない様だ。だからというわけではないが、ルトはどこか軽い気持ちでうーんと考えると、
「……うーん。神様かぁ。……僕はいないとおもうよ。だって神様なんていたらさ、僕みたいな奴が生まれる事は無かったはずだもん」
何度目かわからない文句を口にする。
対して、リアリナは目を伏せると、どこか優しい口調で、
「そっか。……私はね、いると思うよ。こことは違う世界で、この世の全てを見守っている神様が」
「……えー、そんなの現実的じゃないよ!」
「かもしれない。……でもさ、居たら面白いと思わない?」
「それは……まぁ……」
曖昧な返事で返す。
そんなルトに、リアリナは一拍開けると、小さく口を開いた。
「それに……さっきルトが言ってた事はちょっと違うと思う」
「…………?」
首を傾げるルト。そんな彼の横で、リアリナはバッと立ち上がると、ルトの前に立ち、
「神様が存在しないから、ルトが生まれたんじゃない。神様が存在するから、ルトは生まれて……こうして今私の前に居てくれてるんだよ」
言って太陽の様な笑みを浮かべた。
「…………っ!」
──何故、そのワンシーンを思い出したのかはわからない。他愛もない、幼馴染とのやりとりであり、現状と何の関わりもない出来事だ。
しかし、この時ルトの脳内には、とある超常の存在が浮かんでいた。
顔も、性格も何もわからない。そもそも存在するのかすらわからない、お伽話の中だけに住んでいるような、とある超常の存在が。
と。不意にルトの口から小さく、消え去りそうな程弱々しい声が発せられた。
「…………もしも存在すると言うのなら──神様……お願いします。……僕に、ルティアさんを、皆を救えるだけの力を下さい……」
地に倒れ伏しながら、情けないと思いながらも、必死に頼む。
ルト1人の力では、これ以上は戦えないから、戦った所で向こうが本気を出せば、すぐにでも殺されてしまうから。
……現状では友の1人すら救えないから。
「神様じゃなくても良いです……天使でも、悪魔でも、死神でも良いです……僕がこの世に生まれた意味が、今ここに存在している意味があると言うのならば……今だけでも良い。友人を……みんなを! 救えるだけの何かをください!」
奇跡を望まず、自分で何とかできるならやっている。
しかし、まず間違いなく、ルトのみの力で全員を救う事など不可能だろう。
──ならば、望むしかない。
奇跡を待つのではなく、奇跡を自ら呼び寄せるしかないのだ。
「もしも、救えるのならば、僕はどうなっても良い。……だから──ッ」
必死の叫び。自らを犠牲にしてでも、周りを救いたいという、その悲痛な声に。
しかし……神も、天使すらも手を伸ばす事はなく。
非情にもデーモンの攻撃が放たれ、ルティアにぶつかろうとし──
瞬間、音が、色が消え──世界が停止した。
「…………え?」
呆然と顔を動かす。すると、突然声が聞こえてきた。
『力を望むか』
同時に、ソレが姿を現す。
「あ、貴方は──」
地に伏しながらソレを見上げ、呟くように声を上げる。
身体を襲う、畏怖の感情を必死に抑えながら。
と、ソレは黒いローブの奥で、骸骨のような顔を覗かせると、
『なんて事はない。世間一般で言われている霊者のうちの1人だ』
「えっ、霊者って──」
霊者と言えば、纏術師が生まれた時から体内に有している力、その固有の名である。
少なくとも、個別で存在しているものではない。
『ふっ。その反応もわからなくはない。何故ならお主ら人間は我らについて、殆ど理解していないからな』
確かにそうなのかもしれない。纏術論の講義を受けていても、纏術師の歴史や、力の使用についての話ばかりで、霊者という存在について語られた事は一度としてなかった。
だからこそ、ルトも目を見開いたのだ。
と、ここで。ルトはハッとした表情を浮かべると、慌てた様に声を出す。
「……そうだ! ルティアさんは!?」
『……まだ生きている。ここはお主の精神世界の様なものだ。時間の経過は無い』
「まだって事は──」
『この精神世界から戻れば、数秒もかからず、黒球にやられ消滅するだろうな』
「そ、そんなッ──」
絶望に満ちた表情を浮かべるルト。
そんなルトの前で、ソレは一拍置くと、
『──我と契約をしなかったら……な』
「……そ、それって──」
『我と契約してみる気は無いか──?』
「契約……」
『お主らの世界では、霊者と契約した者の事を纏術師と呼んでいる。つまりは──纏術師になってみる気はないか……? という事だ』
「……纏術師に……なる?」
『そうだ。お主にとって悪い提案ではないだろう?』
確かにそうだ。
どこか怪しい存在ではあるが、提案自体は決して悪いものではない。
ルトは一拍置くと、恐る恐るといった様相で口を開く。
「何で……僕に手を貸してくれるんですか」
『お主の声が聞こえたから。それだけだ』
「……貴方にメリットは?」
『ただの気まぐれだ。メリットどうこうは考えていない』
「……なら。契約した事で何か代償を払う必要は……ありますか?」
『──ないと言えば嘘になる。……しかし大した事はない。ただ、戦闘終了後、今の純真無垢なお主は完全に消え去り、冷酷無比なお主へと生まれ変わるだけだ』
「──ッ!」
『それでも──お主は力を望むか……?』
ルトは口を噤み、そして考える。
もしこの提案を受け入れたら、もしかしたらこの先に自身を待っているのは、絶望かもしれない。
しかし、今この瞬間だけは、この霊者だけが希望だ。
おそらくここで決断しなければ、纏めて死ぬだけ。なら選択肢は1つしかない。
それに──友を見捨てる事なんてルトにはできなかった。
一拍開け、ルトは決意の表情を浮かべると、はっきりとした声色で、
「……望むよ」
『ふっ、そうか。……1つ言っておこう。我と契約した所で、現状のお主ではあのデーモンには勝てぬだろうな』
「そんな!」
『しかし、それはあくまでも我の力をお主が使った場合だ。──我の力を我が使った場合……ではない』
一拍開け、ソレは声を発する。
『30秒だ』
「…………え?」
『30秒耐え抜け。そうすれば我がお主に勝利を与えよう』
「……耐え抜くって、何に……!」
『……直にわかるさ。我と契約すればな』
警笛が鳴る。やめた方が良い、すぐに逃げるべきだと身体が音を鳴らしている。
しかし、ルトはそれを無視すると、はっきりとした声音で、
「……契約するよ。……それでみんなを救えるのならば」
学園で初めて友人となってくれたアロン、強者でありながら、決して驕らず対等に接してくれた、ルティア。
灰色の日常を虹色に変えてくれた2人の親友。
もし自身の全てと2人を天秤にかけたならば、間違いなく2人の方へ傾く事であろう。
ならば、どうしてこの提案を断る事が出来ようか。
ルトの決意と共に発せられた言葉に、霊者を名乗るソレは、どこか喜色の混じった、しかし不気味な声色でもって声を発する。
『──契約成立だ。あのデーモンに恐怖を植え付け、幽冥の地へと送ってやろうではないか。……さあ、唱えろ。我が名は──』
「──死貴神」
瞬間、周囲の地面から大量の黒い靄が現れたかと思うと、突然ルトを覆った。
同時に靄はゆっくりと渦を巻いていく。
「……ルト…………さん?」
ルティアが、倒れ伏しながら彼の名を呼ぶ。
その瞳に、驚嘆と少しばかりの畏怖の感情を映しながら。
そんなルティアの頭上で、デーモンはピクリと反応を示すと、ルティアに放つ予定であった黒球をルトの方へと放った。
しかし、その黒球も渦へと飲み込まれると、跡形もなく消滅する。
「…………ッ!?」
デーモンがどこか驚いた様な表情を浮かべ、同時にその場を飛び出すと、ルトへと攻撃を仕掛けた。
ルティアよりもルトの方が危険だと判断しての攻撃だろう。
しかし、その攻撃も全て渦へと飲み込まれると、跡形もなく消滅してしまった。
と。次第に黒渦が晴れていく。
そして、遂にパッと靄が霧散すると──そこには黒いボロボロのローブのようなものを身につけたルトの姿があった。
フードの隙間から、白髪が覗き、紅眼が怪しく光る。
「…………ガァァァァ!」
デーモンが声を上げ、どこか焦ったようにルトへと迫る。
対してルトは静かに右手をゆっくりと横に広げた。
すると、徐々に闇が集まっていき、形を作っていく。
そして遂に、ソレは全体が黒く染まった無機質な大鎌へと変化した。
デーモンが鋭い鉤爪に魔力を纏わせ、ルトへ切り掛かる。
しかしルトは軽く大鎌を上げ、ぶつける事でそれを防いだ。
「…………ガッ!?」
デーモンが気色悪い声と共に、後方へ弾かれる。その視線には警戒の色がありありと見て取れる。
と、ここで初めてルトが口を開いた。
『さて、では始めるとしようか』
その声は、ルトと低い男の声が混じった何とも不気味なもので──
呆然と目にするルティアは、声を出すことすらできなかった。
呆然としていたルトであったが、すぐに正気に戻ると、ルティアの方へ駆け寄る。
しかし──
「こないで……こないで下さい! ルトさん!」
ルティアはそれを強く拒絶した。
その美しい金色の髪も、今は砂埃に塗れ、その輝きを失っている。
「……ルティアさん」
「状況は……絶望的です。このままだと間違いなく、全滅で終わってしまいます。……だからルトさん! せめて貴方だけでも、逃げて下さい!」
必死の形相で呟かれた言葉。
しかし、ルトは、
「いやだ」
という明確な拒絶でもってそれに返した。
「ルトさん……ッ!」
いつもは素直なルトの強情な姿に、ルティアは声を荒げるように彼の名を叫ぶ。
しかし、ルトは引かず、寧ろ歩をゆっくりと進め、ルティアの前に立つと、力強い声音でもって思いを吐露する。
「……いやだ。皆を置いて逃げるなんて……見捨てるなんて! そんな事したら、僕は本当に『無能』になってしまう!」
「そんな事はないです! ここで逃げても、貴方を『無能』と蔑む人間は居ない!」
「かもしれない。わからないよ。……でも、嫌なんだ。このまま逃げたら、きっと一生後悔する事になる。自ら『無能』というレッテルを貼って、生きていく事になる。そんなの、あまりにも惨めじゃないか」
感情論で動いて良い話ではないのかもしれない。
間違いなく、ルトだけでも逃げ延びて、助けを求めに街へと向かった方が国の為にはなるだろう。
ルトもそれはよく理解している。
しかし、だからと言って、皆を、友を置いて帰るという選択肢は、ルトの中には全くと言って良い程存在していなかった。
ルトは尚も歩を進める。
目先には、地に降り、此方へと目を向けたまま、特に行動を起こさないデーモンの姿がある。
余裕の表れか、それとも魔物ながらにルトに同情したのか。
向こうの内情など、知る由もないが、好都合である事には変わりなかった。
後方からルティアの声が聞こえる。
必死で、ルトを想い、逃げる様にと声を荒げている。
有り難かった。嬉しかった。
何よりもルトを想っての言葉の数々。
嬉しくないわけがない。
しかし、ルトはそんなルティアに小さく「ごめん」と声を掛けると、意識を前方へと集中した。
緊張からか、喉が異様に渇く。心臓の音が嫌に耳に残る。
気を抜いたら、吐いてしまいそうな程の吐き気に襲われる。
けど──今動けるのはルトだけ。
つまり、果てしなく低い確率かもしれないが、現状に何か変化をもたらせるのはルトだけだと言う事だ。
大きく息を吸って、吐き……グッと口を引き締める。
そして、震えそうになる手に短剣を握ると、ルトは叫び声を上げながら、地面を強く蹴った。
デーモンへと肉薄する。しかし、尚もデーモンは動かない。
これならばと、ルトは短剣を突き出し……しかしデーモンはそれを一瞥すると、大層つまらなそうに、腕を振った。
抵抗なくルトは吹き飛び、地を転がる。
ルティアの悲鳴がルトの耳へ届いた。
「……うっ……あ……」
全身を襲う鈍い痛み。立ち上がろうと力を入れるも、立ち上がる事ができない。
……たった一振り。それも、間違いなく手を抜いて放たれた拳で、ルトはまともに動けなくなってしまうほど、ボロボロになってしまった。
──何故僕の身体はこんなにも脆いんだ。
うつ伏せの状態で、必死に顔を持ち上げ、デーモンを睨みつけながら、ルトは自身の弱さを恥じる。
しかし、だからといって現状が好転するという事はなかった。
デーモンは、チラとルトの方を見ると、すぐに興味を失ったように顔を逸らした。
そして、一点へと目をやり、そちらへと歩く。──そう、ルティアの方へと。
デーモンはルティアの頭上へと立つと、右手の平に黒球を作り出す。
他の魔物に比べ、高い知能を有するデーモンの事だ、ルティアを先に倒しておいた方が、身の為だと考えたのだろう。
「…………くそっ」
ルトの口から思わず声が漏れる。
話を聞いた限りだと、現在他の地でも戦闘が行われているらしい。ということは、まず間違いなく援軍は望めない。
つまり、このまま何もせずにぼうっとしていたら、あと数秒後にはルティアの命が散る事になる。
──当然それは許せなかった。
全身に力を込める。歯を食いしばり、必死に身体を浮かせ、何とか立ち上がると、
「ルティアさんじゃなくて……僕を見ろよッ!」
全身に血を滲ませながらも、強く声を上げ走り、デーモンへと短剣を突き出す。
しかし、やはり先程と同様に、簡単にいなされてしまった。
地を転がり、うつ伏せで止まる。
身体中を先程よりも強力な痛みが襲う。
もう動くのはやめた方が良いと、身体が警笛を鳴らしているようだ。
しかし、この時のルトは身体の痛みにはあまり意識が向いておらず、代わりに、心の痛みを強く感じていた。
何故……神は、友人を救う事さえ許してくれないのか。
己の無力を恥じ、思わずそんな事を考えてしまう。
身体に力を入れる。しかし今度こそは殆ど動かず、手を伸ばすのが精一杯だ。
痛い、怖い、不甲斐ない。情けない。
負の感情が、壊れた蛇口から水が漏れるように、少しずつ溢れてくる。
が、そんなルトの事など御構い無しとでも言うように、尚もデーモンはルティアの頭上に立つと、黒球をより強大なものへと変えていく。
「……や……めろ!」
手を伸ばし、声を捻り出す。
しかし、デーモンはもはやルトに目を向ける事はなく、ただルティアだけを目に入れながら、彼女を屠る事だけを考えている。
──無力だった。
やはり、『無能』なのかもしれない。
ルティアの忠告を無視し、デーモンへと飛び込み、当然のようにボロボロに痛めつけられる。
──そして、このザマだ。
最早立ち上がる事すら不可能で、目の前で友が殺されていく様を見ている事しかできない。
思えば──昔からそうだった。
力が無いと嗤われ、いじめられていた。
しかし、そんな現状を変えようともせず、仕方がないものだと思っていた。
そんな時に、憧れの少女、リアリナが現れ、自身を救ってくれた。
その後、リアリナとよく遊ぶようになり、いじめはいつのまにか無くなった。
助かったと、ホッとした事は今でも忘れない。
──そう、いつもそうだった。
訪れる幸運に身を任せ、自分で行動しようとしない。
奇跡を望む事すらせず、ただ何か救いが勝手に来ることを待って──
と、ここで。
突然とある記憶が思い起こされた。
それは憧れの少女との何気ない会話で──
「ねぇ、ルト。……ルトは神様っていると思う?」
昼下がり、いつもの様に高い丘の上で並んで座る2人。その内の1人、リアリナが横へと目をやりながら口を開く。
「急にどうしたの? リアちゃん」
「別にどうもしないよ。ただちょっと気になっただけ」
特に質問に理由はない様だ。だからというわけではないが、ルトはどこか軽い気持ちでうーんと考えると、
「……うーん。神様かぁ。……僕はいないとおもうよ。だって神様なんていたらさ、僕みたいな奴が生まれる事は無かったはずだもん」
何度目かわからない文句を口にする。
対して、リアリナは目を伏せると、どこか優しい口調で、
「そっか。……私はね、いると思うよ。こことは違う世界で、この世の全てを見守っている神様が」
「……えー、そんなの現実的じゃないよ!」
「かもしれない。……でもさ、居たら面白いと思わない?」
「それは……まぁ……」
曖昧な返事で返す。
そんなルトに、リアリナは一拍開けると、小さく口を開いた。
「それに……さっきルトが言ってた事はちょっと違うと思う」
「…………?」
首を傾げるルト。そんな彼の横で、リアリナはバッと立ち上がると、ルトの前に立ち、
「神様が存在しないから、ルトが生まれたんじゃない。神様が存在するから、ルトは生まれて……こうして今私の前に居てくれてるんだよ」
言って太陽の様な笑みを浮かべた。
「…………っ!」
──何故、そのワンシーンを思い出したのかはわからない。他愛もない、幼馴染とのやりとりであり、現状と何の関わりもない出来事だ。
しかし、この時ルトの脳内には、とある超常の存在が浮かんでいた。
顔も、性格も何もわからない。そもそも存在するのかすらわからない、お伽話の中だけに住んでいるような、とある超常の存在が。
と。不意にルトの口から小さく、消え去りそうな程弱々しい声が発せられた。
「…………もしも存在すると言うのなら──神様……お願いします。……僕に、ルティアさんを、皆を救えるだけの力を下さい……」
地に倒れ伏しながら、情けないと思いながらも、必死に頼む。
ルト1人の力では、これ以上は戦えないから、戦った所で向こうが本気を出せば、すぐにでも殺されてしまうから。
……現状では友の1人すら救えないから。
「神様じゃなくても良いです……天使でも、悪魔でも、死神でも良いです……僕がこの世に生まれた意味が、今ここに存在している意味があると言うのならば……今だけでも良い。友人を……みんなを! 救えるだけの何かをください!」
奇跡を望まず、自分で何とかできるならやっている。
しかし、まず間違いなく、ルトのみの力で全員を救う事など不可能だろう。
──ならば、望むしかない。
奇跡を待つのではなく、奇跡を自ら呼び寄せるしかないのだ。
「もしも、救えるのならば、僕はどうなっても良い。……だから──ッ」
必死の叫び。自らを犠牲にしてでも、周りを救いたいという、その悲痛な声に。
しかし……神も、天使すらも手を伸ばす事はなく。
非情にもデーモンの攻撃が放たれ、ルティアにぶつかろうとし──
瞬間、音が、色が消え──世界が停止した。
「…………え?」
呆然と顔を動かす。すると、突然声が聞こえてきた。
『力を望むか』
同時に、ソレが姿を現す。
「あ、貴方は──」
地に伏しながらソレを見上げ、呟くように声を上げる。
身体を襲う、畏怖の感情を必死に抑えながら。
と、ソレは黒いローブの奥で、骸骨のような顔を覗かせると、
『なんて事はない。世間一般で言われている霊者のうちの1人だ』
「えっ、霊者って──」
霊者と言えば、纏術師が生まれた時から体内に有している力、その固有の名である。
少なくとも、個別で存在しているものではない。
『ふっ。その反応もわからなくはない。何故ならお主ら人間は我らについて、殆ど理解していないからな』
確かにそうなのかもしれない。纏術論の講義を受けていても、纏術師の歴史や、力の使用についての話ばかりで、霊者という存在について語られた事は一度としてなかった。
だからこそ、ルトも目を見開いたのだ。
と、ここで。ルトはハッとした表情を浮かべると、慌てた様に声を出す。
「……そうだ! ルティアさんは!?」
『……まだ生きている。ここはお主の精神世界の様なものだ。時間の経過は無い』
「まだって事は──」
『この精神世界から戻れば、数秒もかからず、黒球にやられ消滅するだろうな』
「そ、そんなッ──」
絶望に満ちた表情を浮かべるルト。
そんなルトの前で、ソレは一拍置くと、
『──我と契約をしなかったら……な』
「……そ、それって──」
『我と契約してみる気は無いか──?』
「契約……」
『お主らの世界では、霊者と契約した者の事を纏術師と呼んでいる。つまりは──纏術師になってみる気はないか……? という事だ』
「……纏術師に……なる?」
『そうだ。お主にとって悪い提案ではないだろう?』
確かにそうだ。
どこか怪しい存在ではあるが、提案自体は決して悪いものではない。
ルトは一拍置くと、恐る恐るといった様相で口を開く。
「何で……僕に手を貸してくれるんですか」
『お主の声が聞こえたから。それだけだ』
「……貴方にメリットは?」
『ただの気まぐれだ。メリットどうこうは考えていない』
「……なら。契約した事で何か代償を払う必要は……ありますか?」
『──ないと言えば嘘になる。……しかし大した事はない。ただ、戦闘終了後、今の純真無垢なお主は完全に消え去り、冷酷無比なお主へと生まれ変わるだけだ』
「──ッ!」
『それでも──お主は力を望むか……?』
ルトは口を噤み、そして考える。
もしこの提案を受け入れたら、もしかしたらこの先に自身を待っているのは、絶望かもしれない。
しかし、今この瞬間だけは、この霊者だけが希望だ。
おそらくここで決断しなければ、纏めて死ぬだけ。なら選択肢は1つしかない。
それに──友を見捨てる事なんてルトにはできなかった。
一拍開け、ルトは決意の表情を浮かべると、はっきりとした声色で、
「……望むよ」
『ふっ、そうか。……1つ言っておこう。我と契約した所で、現状のお主ではあのデーモンには勝てぬだろうな』
「そんな!」
『しかし、それはあくまでも我の力をお主が使った場合だ。──我の力を我が使った場合……ではない』
一拍開け、ソレは声を発する。
『30秒だ』
「…………え?」
『30秒耐え抜け。そうすれば我がお主に勝利を与えよう』
「……耐え抜くって、何に……!」
『……直にわかるさ。我と契約すればな』
警笛が鳴る。やめた方が良い、すぐに逃げるべきだと身体が音を鳴らしている。
しかし、ルトはそれを無視すると、はっきりとした声音で、
「……契約するよ。……それでみんなを救えるのならば」
学園で初めて友人となってくれたアロン、強者でありながら、決して驕らず対等に接してくれた、ルティア。
灰色の日常を虹色に変えてくれた2人の親友。
もし自身の全てと2人を天秤にかけたならば、間違いなく2人の方へ傾く事であろう。
ならば、どうしてこの提案を断る事が出来ようか。
ルトの決意と共に発せられた言葉に、霊者を名乗るソレは、どこか喜色の混じった、しかし不気味な声色でもって声を発する。
『──契約成立だ。あのデーモンに恐怖を植え付け、幽冥の地へと送ってやろうではないか。……さあ、唱えろ。我が名は──』
「──死貴神」
瞬間、周囲の地面から大量の黒い靄が現れたかと思うと、突然ルトを覆った。
同時に靄はゆっくりと渦を巻いていく。
「……ルト…………さん?」
ルティアが、倒れ伏しながら彼の名を呼ぶ。
その瞳に、驚嘆と少しばかりの畏怖の感情を映しながら。
そんなルティアの頭上で、デーモンはピクリと反応を示すと、ルティアに放つ予定であった黒球をルトの方へと放った。
しかし、その黒球も渦へと飲み込まれると、跡形もなく消滅する。
「…………ッ!?」
デーモンがどこか驚いた様な表情を浮かべ、同時にその場を飛び出すと、ルトへと攻撃を仕掛けた。
ルティアよりもルトの方が危険だと判断しての攻撃だろう。
しかし、その攻撃も全て渦へと飲み込まれると、跡形もなく消滅してしまった。
と。次第に黒渦が晴れていく。
そして、遂にパッと靄が霧散すると──そこには黒いボロボロのローブのようなものを身につけたルトの姿があった。
フードの隙間から、白髪が覗き、紅眼が怪しく光る。
「…………ガァァァァ!」
デーモンが声を上げ、どこか焦ったようにルトへと迫る。
対してルトは静かに右手をゆっくりと横に広げた。
すると、徐々に闇が集まっていき、形を作っていく。
そして遂に、ソレは全体が黒く染まった無機質な大鎌へと変化した。
デーモンが鋭い鉤爪に魔力を纏わせ、ルトへ切り掛かる。
しかしルトは軽く大鎌を上げ、ぶつける事でそれを防いだ。
「…………ガッ!?」
デーモンが気色悪い声と共に、後方へ弾かれる。その視線には警戒の色がありありと見て取れる。
と、ここで初めてルトが口を開いた。
『さて、では始めるとしようか』
その声は、ルトと低い男の声が混じった何とも不気味なもので──
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