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2-0 ある少女の独白

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 ──この世界は不平等で、決して優しくはない。

 小さく貧乏な村に住み、薄手のボロ布で寒さを凌ぎ、食料も限られていてお腹がいっぱいになることはない。そんなギリギリの毎日を送りながら、私はよくそんなことを考えていた。

 だってそうじゃないか。生まれた瞬間に立場が、そして大抵の生き方が決まる。受けられる教育だって違えば、寒さを凌ぐ術も、食べ物も、魔物から身を守る方法だって違ってくる。

 いくら努力したって、決して覆せないものがそこにはあるのだ。

 ……近所の気の良いおじさんが、妹のように可愛がっていた子が、私のお父さんが死んだのだって、間違いなく町ではなく村だから起こってしまったこと。

 そんな不平等な状況をどうにかしたくて、私は16歳になってすぐに村を出ることを決めた。
 村のみんなのことは大好きだし、正直離れたくはなかったけど、誰かが、いや私が行動を起こさなければ、きっと一生このままだと思ったから。

「町でも頑張るんだよ」

 村を出る時に送り出してくれた、大好きなお母さんの言葉。

 そんなお母さんが、村のみんなが少しでも生きやすくなるように頑張ろう。

 そう心に誓いながら、私は近くの大きな町を目指した。
 なけなしのお金と、唯一の武器であるとびっきりの笑顔を持って──

 ……その結果がこれって、さすがにあんまりじゃない?

 手足を縛られ、身動きが取れない状況で、私は膝を抱えながらそう思った。
 真っ暗で何も見えない空間。聞こえるのは幾人かのすすり泣く声と、私たちを運ぶ馬車の音だけ。

 これから私がどうなるか。そんなことは捕まった瞬間に理解した。

 奴隷紋を刻まれる。奴隷にされる。そして名もしれない誰かに買われる。その先がどうなるかは……いやだ。考えたくもない。

 ……本当に不平等な世界。

 私は改めてそう思う。

 きっともうお母さんたちに会うことも、みんなが生きやすくなるように頑張ることもできない。
 そればかりか、かなりの確率で、考えたくもないことをさせられて、苦しみながら一生を終えることになるんだ。

 なら1つだけ。せめてこれくらいは──

 ……どうか少しでもまともな人に買ってもらえますように。

 深い諦念と冷め切ってしまった心の中で、私は切にそう願った。
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