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エルリーヌと双子
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※エルリーヌ嬢の一人語りです。
幼い頃からロックフィールド家の双子に振り回されてきた気がする。
年と家格が釣り合うため、双子の家にはよく遊びに行った。いわゆる幼馴染と言う間柄だ。
ロックフィールド家には銀の髪に美しい紫の目をしたお人形の様な双子と、5歳年上のアラン兄様がいた。兄様は超絶美形でその上とても優しいものだから、わたくしの初恋は紛れもなくアラン兄さまだと思う。
美しい子息たちとともにわたくしがいて、小父さまや小母さまには随分可愛がっていただいた。
小母さまはお身体が弱かったのでベッドに伏せることも多かったけど、お元気な時はわたしとデヴィを並んで座らせて、ふたりの髪を結って髪飾りをつけたり、お揃いのドレスを着せたりして、随分楽しそうだった。
デヴィは本当は男の子なのだけど、小母さまは「可愛い私のお姫様」と呼んでいた。
女の子ごっこ(わたくしとデヴィはそう言ってた)をする時は、アラン兄様とジェイムス様には家庭教師がついていた。
7歳の頃に夫人が身罷ってそれから双子には会わなくなり、次に会ったのは10歳のとき。
お父様が、ジェイムス様とわたくしとの婚約を打診したのだ。ジェイムス様は次男だし、わたくしはひとり娘なので、婿入りしてもらってソーンダイク侯爵家を継ぐことが決まった。
ジェイムス様はいつも穏やかで、デヴィッドと違って意地悪しないしお人形を壊したりしない。
小さなわたくしをレディのように扱ってくれた。ジェイムス様だって小さい子どもなのに。きっとアラン兄様の真似をしていたのかもしれない。背伸びをした姿もとても素敵だった。
そんなジェイムス様を、わたくしは婚約した時からずっとお慕いしている。
ジェイムス様は容姿端麗頭脳明晰、非の打ち所がないと世間では思われている。実際その通り。でもわたくしは知っている。
ジェイムス様は案外嫉妬深くて独占欲の塊で、負けず嫌いだ。双子の弟デヴィッド(デヴィッドに様は付けたくない。人形の恨み思い知るが良い)に対しても本当は対抗心を持っている。
なぜかと?
それは多分、病弱だった小母さまが女の子が欲しかったあまりに、双子のうちのひとりを女の子の様に育て始めた時、自分ではなくデヴィッドを選んだから。
もちろんジェイムス様はそんな事は絶対に口にしないけれど、小母さまにデヴィだけが呼ばれる時に見せる寂しげなお顔を、わたくしは覚えている。
叔母さまはデヴィッドが三男だったから女装させたのだと思うけど、ジェイムス様にとっては、お母様から選ばれなかったことが、抜けない小さな棘のように残ってしまったのだと思う。
だけどデヴィッドだって辛かった筈。本当はアラン兄様やジェイムス様と一緒に剣の練習だってしたいし走り回って遊びたいのに、ひらひらのドレスを着せられて、お茶会をして、お人形遊びをして、それが彼の意に沿ってはいないと誰もがわかっているのに、病弱な小母さまの手前、誰も言えなかった。
すっかり引きこもりになったデヴィッドがどうやってマリアンナさんを見初めて、手に入れたいと思ったのかは知らないけど、彼が望んだことを小父さまが受け入れたと知って驚いた。
アラン兄様は23歳で未だに独身だが、留学していた先で知り合った隣国の姫君との間に婚約の話が出ていると聞いている。
嫡男ではあるけれど、国家間の問題になりかねないので受け入れるも断るも慎重に事を運ぶ必要がある。しかも王配として望まれているのなら尚更。
そうなるとジェイムス様たち双子の立場も変わってくる。
ジェイムス様は本当は婿入りではなく、公爵家を継ぎたいに違いない。アラン兄さまが隣国へ行かれたら、ジェイムス様が跡を継ぐ事になるのかしら。
そうしたらわたくしがロックフィールド公爵家へ嫁ぐことになるのだろうか?
お父様もお母様もわたくし達がこの家を継ぐのを楽しみにしてらっしゃるというのに。
もしかしたら、この婚約が白紙になってしまうかもしれない。
マリアンナさんは子爵家の令嬢にしては勉学が優れ、見た目も悪くない。デヴィッド様とはお似合いに思える。だけど、公爵家に嫁ぐとなれば、相当の覚悟がいるはず。彼女の言動は常に周りから注目される事になる。ほぼ平民のような暮らしをしていた彼女が、それに耐えられるのかしら。
そして、隠し玉のデヴィッド様の存在がわかって社交界に出入りするようになると、有力な高位貴族からの、我が娘の売り込みが激しくなるだろう。
その時、ロックフィールド公爵家はマリアンナさんを選ぶのだろうか。それとも切り捨てるのだろうか。
そしてわたくしは愛するジェイムス様の妻になれるのだろうか。
幼い頃からロックフィールド家の双子に振り回されてきた気がする。
年と家格が釣り合うため、双子の家にはよく遊びに行った。いわゆる幼馴染と言う間柄だ。
ロックフィールド家には銀の髪に美しい紫の目をしたお人形の様な双子と、5歳年上のアラン兄様がいた。兄様は超絶美形でその上とても優しいものだから、わたくしの初恋は紛れもなくアラン兄さまだと思う。
美しい子息たちとともにわたくしがいて、小父さまや小母さまには随分可愛がっていただいた。
小母さまはお身体が弱かったのでベッドに伏せることも多かったけど、お元気な時はわたしとデヴィを並んで座らせて、ふたりの髪を結って髪飾りをつけたり、お揃いのドレスを着せたりして、随分楽しそうだった。
デヴィは本当は男の子なのだけど、小母さまは「可愛い私のお姫様」と呼んでいた。
女の子ごっこ(わたくしとデヴィはそう言ってた)をする時は、アラン兄様とジェイムス様には家庭教師がついていた。
7歳の頃に夫人が身罷ってそれから双子には会わなくなり、次に会ったのは10歳のとき。
お父様が、ジェイムス様とわたくしとの婚約を打診したのだ。ジェイムス様は次男だし、わたくしはひとり娘なので、婿入りしてもらってソーンダイク侯爵家を継ぐことが決まった。
ジェイムス様はいつも穏やかで、デヴィッドと違って意地悪しないしお人形を壊したりしない。
小さなわたくしをレディのように扱ってくれた。ジェイムス様だって小さい子どもなのに。きっとアラン兄様の真似をしていたのかもしれない。背伸びをした姿もとても素敵だった。
そんなジェイムス様を、わたくしは婚約した時からずっとお慕いしている。
ジェイムス様は容姿端麗頭脳明晰、非の打ち所がないと世間では思われている。実際その通り。でもわたくしは知っている。
ジェイムス様は案外嫉妬深くて独占欲の塊で、負けず嫌いだ。双子の弟デヴィッド(デヴィッドに様は付けたくない。人形の恨み思い知るが良い)に対しても本当は対抗心を持っている。
なぜかと?
それは多分、病弱だった小母さまが女の子が欲しかったあまりに、双子のうちのひとりを女の子の様に育て始めた時、自分ではなくデヴィッドを選んだから。
もちろんジェイムス様はそんな事は絶対に口にしないけれど、小母さまにデヴィだけが呼ばれる時に見せる寂しげなお顔を、わたくしは覚えている。
叔母さまはデヴィッドが三男だったから女装させたのだと思うけど、ジェイムス様にとっては、お母様から選ばれなかったことが、抜けない小さな棘のように残ってしまったのだと思う。
だけどデヴィッドだって辛かった筈。本当はアラン兄様やジェイムス様と一緒に剣の練習だってしたいし走り回って遊びたいのに、ひらひらのドレスを着せられて、お茶会をして、お人形遊びをして、それが彼の意に沿ってはいないと誰もがわかっているのに、病弱な小母さまの手前、誰も言えなかった。
すっかり引きこもりになったデヴィッドがどうやってマリアンナさんを見初めて、手に入れたいと思ったのかは知らないけど、彼が望んだことを小父さまが受け入れたと知って驚いた。
アラン兄様は23歳で未だに独身だが、留学していた先で知り合った隣国の姫君との間に婚約の話が出ていると聞いている。
嫡男ではあるけれど、国家間の問題になりかねないので受け入れるも断るも慎重に事を運ぶ必要がある。しかも王配として望まれているのなら尚更。
そうなるとジェイムス様たち双子の立場も変わってくる。
ジェイムス様は本当は婿入りではなく、公爵家を継ぎたいに違いない。アラン兄さまが隣国へ行かれたら、ジェイムス様が跡を継ぐ事になるのかしら。
そうしたらわたくしがロックフィールド公爵家へ嫁ぐことになるのだろうか?
お父様もお母様もわたくし達がこの家を継ぐのを楽しみにしてらっしゃるというのに。
もしかしたら、この婚約が白紙になってしまうかもしれない。
マリアンナさんは子爵家の令嬢にしては勉学が優れ、見た目も悪くない。デヴィッド様とはお似合いに思える。だけど、公爵家に嫁ぐとなれば、相当の覚悟がいるはず。彼女の言動は常に周りから注目される事になる。ほぼ平民のような暮らしをしていた彼女が、それに耐えられるのかしら。
そして、隠し玉のデヴィッド様の存在がわかって社交界に出入りするようになると、有力な高位貴族からの、我が娘の売り込みが激しくなるだろう。
その時、ロックフィールド公爵家はマリアンナさんを選ぶのだろうか。それとも切り捨てるのだろうか。
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