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帰還
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マリアンナはデヴィッドの腕の中で、ようやく心から安心する事が出来た。
ドアの向こうでは縛り上げられたならず者3人。もちろんあの元領民の髭面もいる。
アリッサとヘンドリックはならず者たちに縛られていたその姿のまま、公爵家の騎士たちに取り囲まれていた。
「わたくしにこのような仕打ちをして、ただで済むと思っているの?早く縄を外しなさい!」
この後に及んで叫ぶアリッサを、ヘンドリックは嗜めた。
「アリッサ。この誘拐計画はお前が立てたものだ。我々は裁きを受けねばならないんだ」
「お兄さま!何を仰ってるのですか。わたくしたちはこのならず者共に酷い目に遭わされそうになった、いわば被害者ですのよ?」
どこまでも自分勝手に喚き散らすアリッサに、デヴィッドが言い放った。
「見苦しいな、アリッサ・ノイマン。今回の件、宰相である我が父とノイマン卿には早馬で知らせた。王都警備隊も承知のことだ。貴様は王都で裁かれることになる。
ああ、ヘンドリック殿に関しては、アリッサの計画を阻止するためにならず者どもに金を積み、さらに私に監禁先を知らせてくれた事で、ノイマン侯爵家としての関与はなし、と言う事になるだろう。多少のお咎めは否めないが」
アリッサはデヴィッドを睨みつけた。
「お前のせいで。お前がわたくしを選ばないから悪いのよ。わたくしは悪く無いわ」
「やめなさい、アリッサ。
ロックフィールド公爵子息、ご厚情に感謝します」
ヘンドリックはデヴィッドに対して深く頭を下げた。
*
王都に戻ったマリアンナは、怪我の手当ての為本邸で療養する事になった。本邸でマリアンナを待っていた侍女のシャーリーは絶叫した。
「なんて酷い。マリアンナ様、さあ、湯浴みをしてお手当いたしましょうね」
シャーリーの顔を見た途端、張り詰めた気持ちが解けたマリアンナは気を失った。そんなマリアンナを慈愛を込めて見つめるシャーリーの目元は潤んでいた。
あの時マリアンナを助けた元領民の男は牢に入れられた。
マリアンナに伝言してほしいと伝えられたのは、刑期を終えたら領地に帰ります、お嬢様の幸せをお祈りしております、という言葉だった。
また、ノイマン家のアリッサはその計画の残虐さゆえに、厳しい戒律で知られる修道院へ送られることになった。最後まで自分の非を認めようとせず、傲慢な態度で喚き散らすアリッサに、父親であるノイマン公爵も匙を投げた。
兄のヘンドリックはアリッサの計画を止めようとした事から3ヶ月の謹慎処分で済んだ。
ノイマン公爵家は、娘の管理が行き届いていないと、爵位を落とし領地はそのままに侯爵となった。
アーサーはデヴィッドの素早い行動力と意外な剣の腕前を目の当たりにして、デヴィッドを見直した。悔しいけれど、彼ならば姉さんを任せられると思ったのだ。
そして、自分も剣の腕を磨きたいと考えたアーサーは、公爵のはからいで王都の騎士団で剣の修行を積むことが決まった。
「義兄上あにうえと呼んでくれて良いのだよ」としつこく迫るデヴィッドには辟易したが。
マリアンナへの恋心を自覚したクリフだったが、抱き合う2人を見て入り込む隙間のない事を知った。
「護衛として側に居て彼女の笑顔を向けてもらえた。それで満足せねば」と、気持ちを切り替えて、アランについて隣国へ赴くことを決意した。
*
「お怪我が大した事がなくて本当に良かったですわね」
マリアンナの見舞いにやってきたエルリーヌは、花束をシャーリーに渡すとベッド脇の椅子に座った。
「エルリーヌ様。態々いらしてくださりありがとうございます。お腹を蹴られたので念のため検査をしたくらいで、すっかり大丈夫なのです。それでも公爵閣下とデヴィッド様が静かにしていないと駄目だとおっしゃて、学院も休んでいるのです」
「貴女の成績は普段から優秀ですから、ご卒業には問題なくてよ」
エルリーヌは優しく微笑んだ。
「それより、デヴィッド様、いーえ、デヴィね、デヴィと貴女の仲はどうなったの?恋人になったの?」
今まで礼儀正しい言葉遣いを崩したことのなかった令嬢のエルリーヌは、悪戯っぽい目をして尋ねた。他人の恋の話にときめくのは、高位の貴族令嬢とて大好物なのである。
「わたしだってこういう話し方も出来るのよ。だってマリアンナとは将来義理の姉妹になるのですもの。もっと気さくに話しても良いと思うのよ」
「エルリーヌ様。それは……」
「あら、堅苦しいわね。愛称のエリィと呼んで頂戴な。わたしもマリアンナのことを、そうね、マリィと呼ぶわ」
マリアンナは目を白黒した。
「エ、、エリィ?」
エルリーヌは満足げに頷くと、何かしら?と微笑んだ。
「デヴィッド様とは特に何もございませ、何もないの。特に何かを言われたわけでもないのよ。
わたしは卒業したら領地に戻ることにしたわ。デヴィッド様は公爵家の跡取りとなられる方ですもの。身分も含めて何もかもが釣り合わないのだから。こうやって療養させてもらっているだけでもありがたいと思っているの」
エルリーヌは信じられないといった顔をした。
「まあ、マリィ、貴女何も聞いていないの?デヴィったら何をグズグズしているのかしら。まあ良いわ。よく聞いてね。
公爵家はジェイムス様とわたくしエルリーヌが継ぐことに決まったのよ」
「まあ、そうなのね!おめでとうございます、で良いのかしら?
ソーンダイク侯爵家はどうなさるのかお尋ねしても良いのかしら。
せっかくエリィとこうやってお話しできるようになったのだから、結婚式は知らせて欲しいわ」
ドアの向こうでは縛り上げられたならず者3人。もちろんあの元領民の髭面もいる。
アリッサとヘンドリックはならず者たちに縛られていたその姿のまま、公爵家の騎士たちに取り囲まれていた。
「わたくしにこのような仕打ちをして、ただで済むと思っているの?早く縄を外しなさい!」
この後に及んで叫ぶアリッサを、ヘンドリックは嗜めた。
「アリッサ。この誘拐計画はお前が立てたものだ。我々は裁きを受けねばならないんだ」
「お兄さま!何を仰ってるのですか。わたくしたちはこのならず者共に酷い目に遭わされそうになった、いわば被害者ですのよ?」
どこまでも自分勝手に喚き散らすアリッサに、デヴィッドが言い放った。
「見苦しいな、アリッサ・ノイマン。今回の件、宰相である我が父とノイマン卿には早馬で知らせた。王都警備隊も承知のことだ。貴様は王都で裁かれることになる。
ああ、ヘンドリック殿に関しては、アリッサの計画を阻止するためにならず者どもに金を積み、さらに私に監禁先を知らせてくれた事で、ノイマン侯爵家としての関与はなし、と言う事になるだろう。多少のお咎めは否めないが」
アリッサはデヴィッドを睨みつけた。
「お前のせいで。お前がわたくしを選ばないから悪いのよ。わたくしは悪く無いわ」
「やめなさい、アリッサ。
ロックフィールド公爵子息、ご厚情に感謝します」
ヘンドリックはデヴィッドに対して深く頭を下げた。
*
王都に戻ったマリアンナは、怪我の手当ての為本邸で療養する事になった。本邸でマリアンナを待っていた侍女のシャーリーは絶叫した。
「なんて酷い。マリアンナ様、さあ、湯浴みをしてお手当いたしましょうね」
シャーリーの顔を見た途端、張り詰めた気持ちが解けたマリアンナは気を失った。そんなマリアンナを慈愛を込めて見つめるシャーリーの目元は潤んでいた。
あの時マリアンナを助けた元領民の男は牢に入れられた。
マリアンナに伝言してほしいと伝えられたのは、刑期を終えたら領地に帰ります、お嬢様の幸せをお祈りしております、という言葉だった。
また、ノイマン家のアリッサはその計画の残虐さゆえに、厳しい戒律で知られる修道院へ送られることになった。最後まで自分の非を認めようとせず、傲慢な態度で喚き散らすアリッサに、父親であるノイマン公爵も匙を投げた。
兄のヘンドリックはアリッサの計画を止めようとした事から3ヶ月の謹慎処分で済んだ。
ノイマン公爵家は、娘の管理が行き届いていないと、爵位を落とし領地はそのままに侯爵となった。
アーサーはデヴィッドの素早い行動力と意外な剣の腕前を目の当たりにして、デヴィッドを見直した。悔しいけれど、彼ならば姉さんを任せられると思ったのだ。
そして、自分も剣の腕を磨きたいと考えたアーサーは、公爵のはからいで王都の騎士団で剣の修行を積むことが決まった。
「義兄上あにうえと呼んでくれて良いのだよ」としつこく迫るデヴィッドには辟易したが。
マリアンナへの恋心を自覚したクリフだったが、抱き合う2人を見て入り込む隙間のない事を知った。
「護衛として側に居て彼女の笑顔を向けてもらえた。それで満足せねば」と、気持ちを切り替えて、アランについて隣国へ赴くことを決意した。
*
「お怪我が大した事がなくて本当に良かったですわね」
マリアンナの見舞いにやってきたエルリーヌは、花束をシャーリーに渡すとベッド脇の椅子に座った。
「エルリーヌ様。態々いらしてくださりありがとうございます。お腹を蹴られたので念のため検査をしたくらいで、すっかり大丈夫なのです。それでも公爵閣下とデヴィッド様が静かにしていないと駄目だとおっしゃて、学院も休んでいるのです」
「貴女の成績は普段から優秀ですから、ご卒業には問題なくてよ」
エルリーヌは優しく微笑んだ。
「それより、デヴィッド様、いーえ、デヴィね、デヴィと貴女の仲はどうなったの?恋人になったの?」
今まで礼儀正しい言葉遣いを崩したことのなかった令嬢のエルリーヌは、悪戯っぽい目をして尋ねた。他人の恋の話にときめくのは、高位の貴族令嬢とて大好物なのである。
「わたしだってこういう話し方も出来るのよ。だってマリアンナとは将来義理の姉妹になるのですもの。もっと気さくに話しても良いと思うのよ」
「エルリーヌ様。それは……」
「あら、堅苦しいわね。愛称のエリィと呼んで頂戴な。わたしもマリアンナのことを、そうね、マリィと呼ぶわ」
マリアンナは目を白黒した。
「エ、、エリィ?」
エルリーヌは満足げに頷くと、何かしら?と微笑んだ。
「デヴィッド様とは特に何もございませ、何もないの。特に何かを言われたわけでもないのよ。
わたしは卒業したら領地に戻ることにしたわ。デヴィッド様は公爵家の跡取りとなられる方ですもの。身分も含めて何もかもが釣り合わないのだから。こうやって療養させてもらっているだけでもありがたいと思っているの」
エルリーヌは信じられないといった顔をした。
「まあ、マリィ、貴女何も聞いていないの?デヴィったら何をグズグズしているのかしら。まあ良いわ。よく聞いてね。
公爵家はジェイムス様とわたくしエルリーヌが継ぐことに決まったのよ」
「まあ、そうなのね!おめでとうございます、で良いのかしら?
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