無敵少女の意のままに

CHABO

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Sorry not sorry

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【previously on 無敵少女の意のままに】
全員で何とか侵攻を食い止めた。
メリアの能力で本拠地を突き止めようとしたソフィー達だが...。

モンスターを追いかけ始めて30分ほど経過。
古い遺跡の様な建物の前で立ち止まる。
「ここは...」
「どうした?マァナ」
「子供の頃、わたしと幼馴染が秘密基地として遊んでいた所よ...まさか?」
「黒幕が見当たらんな...」
強靭の効果がもうなくなってる頃だ、エメリーを起こしてかけ直してもらうか...。
すると、遺跡の窓から何者かが狙撃してきた。
弾はわたしをかすめかけたが、運よく外れた。
「バレてる!!物陰に隠れろ!!」
わたし達は木の陰に隠れる。
「久しぶりだなマァナァ。小さくなってるってことは無理した後かぁ??」
「その声は...やっぱりニコラね」

「何だ?知り合いか??」
「えぇ、ここで昔遊んでいた幼馴染。彼もダンカーだけど...今は狂科学者マッドサイエンティストよ」
「マッドサイエンティスト?」
「えぇ。ダンカーの一部はその魅力に取りつかれて発明品を自身で試す人がいるの。その過程で狂人になるケースも多いわ」
「マァナ!!俺は遂にやったぞ、ドミニオンをやったのは俺だ、凄いだろう!!はぁ~っはっは」
上級モンスターを人間が倒しただと?
「おそらく、厄介な物を開発したみたいね...ここは一旦引きましょう」
「そうだな...わたしも戦闘はこれ以上厳しい」
わたし達は町の方向に引き返す。
「何だよ、引き返すのかぁ?もう少し遊ぼうぜぇ!!」
奴はそう言うと、さっきまで隠れていた木に弾丸を撃ちこむ。
なんだ?誤射か??
「姉ちゃん、前!!」
前方から木のツルのようなものが地面から出てきた。
「なっ、くそっ!!何だこれは...」
ツルはわたし達3人に巻き付き拘束した。
「面白いだろ~?撃ちこんだ物に命を吹き込んで操る弾だぜ~」
「ふざけないで!!離しなさい、ニコラ!!」
「俺はこの力でウルズを滅ぼす。で、こいつらどうやって操ってんだぁ?誰の仕業だ?」
「はいは~い、うちの力だぞ!!」
「はぁ、クソガキが何言ってやがる??っていうか何でお前普通に歩いてんだ!?」
エメリーもツルに巻かれてはいるが全く拘束されていない。
「エメリー!!わたしとマァナのツルを叩き割ってくれ!!」
「ほい来た!!」
エメリーが杖でツルを叩く。
「あれっ??」
ツルはビクともしない。
「バフの効果はもう切れてるわよ!!」
「なはは、ダメっぽい、姉ちゃん」
「じゃあもう1度わたしに強靭付与を頼む!!」
「ほい来た!!」
エメリーがわたしに近づく...。
「あのガキ、何かやべぇな...。早めに1匹やっとくか...」

『グサッ!!』

「かはぁっ!!」
ツルがわたしの胸を貫いた。
「姉ちゃん!!」
「ソフィーちゃん!!」
ダメだ…
これは、致命傷だ...。
「エ、メ、リ...逃げ、ろ...」
なんとか振り絞ってエメリーに声を掛ける。
意識が薄れていく…。
これは…死んだな。
何だよ...
もう旅、終わりかよ...。
じいちゃん
ごめん...。
「姉ちゃ~~~~ん!!!」


「刺激的な事が好きなだけよ、仲間になってよかったわ~♪」
えっ??
わたしは普通に歩いている、背中ではエメリーが寝ている。
モンスターは全員、生気のない顔で行進している。
これは...あの遺跡に着く前の状態…か?
「マ、マァナ...ケガはないか?」
「えっ?ないわよ、急にどうしたの?顔真っ青だけど」
時間が...戻った??
胸の傷もない...夢、なんてわけもない。
ま、まずは事実確認だ。
「この先に、遺跡はあるか?」
「えっ!?そうね、遺跡の方向だわ、でも何で知ってるの?」
「ニコラ、という幼馴染もいるな?」
「...ちょっと待って、気持ち悪いんだけど...何で知ってるの?」
間違いない、さっきの出来事は全部本当にあったことだ。
こんなデタラメな能力はおそらく...いや、今はそれはいい。
「マァナ、聞いてくれ!!」
わたしはさっき起こった出来事を全てマァナに伝えた。
「信じる...しかないわね。心当たりが多すぎるわ...」
どうする...拠点も黒幕も割れた。
ここは一旦引き返すべきか...。
いや、ここで逃すと次は本気で攻めてくるだろう...。
「相手がニコラなら考えがあるわ、町に一旦戻るからここでちょっと待ってて!!」
そう言うとマァナは町に引き返した。

数分後、マァナは戻ってくる。
手には籠の様な物を持っている。
「お待たせ~、奴の弱点はこれよ!!」
こ、これは!!
確かにこれさえあれば相手によってはわたし達にひれ伏すだろう...。
「ちょっと、卑怯じゃないか??」
「いいのよ、昔わたしもやられたんだから、お返しね!!」
いや、人道的にって意味だったんだが...。
仕方ない、奴の悪行は絶対止めなければいけない、ここはグッとこらえて使わせてもらおう。

わたし達は遺跡に到着した。
「ニコラァ~~、出てきなさいっ!!」
「マァナじゃねぇか、何で俺がここにいること知ってんだぁ?それにこのモンスター共...お前何やったんだ??」
「そんな事より、これが何か分かる??」
「そのカゴは!?お前、まさかぁぁ!!」
カゴの中身は猫だった、しかもニコラの愛猫だw
「ミィちゃ~~~~~~ん!!たの、頼む、やめてくれ、ミィちゃんだけは勘弁してくれ!!」

「魔銃を外に投げなさい、全部よ!!」
「わか、分かった、言うとおりにするから頼むっ!!」
奴は魔銃を2丁、外に放り投げる。
「ダンカーは魔銃がなけりゃ殆ど何も出来ないわ。ソフィーさんあれ回収してくれる?」
「あ、あぁ...」
わたしは魔銃を回収した。
しかしこれほど素直に言う通りにするとは...どんだけ猫愛してんだw
「なぁ姉ちゃん、何であいつがここにいること知ってたんだ?」
「んっ?お前の能力じゃないのか?わたしはリアンの能力だと思ってたんだが...」
「てことは、あいつと何かあったんだな?」
エメリーも微妙な反応だ...リアンと交代して能力を使ってくれたんじゃないのか?
「ゆっくりここまで出てきなさい!!」
奴は両手を頭の後ろに回し、ゆっくりと歩いてくる。
わたしは彼を捕縛した。
「どうして俺がここにいる事が分かった?あのモンスター共はどうやった?」
「悪いが答えられない」
「ねぇ、あんた遺跡に籠るならなんでミィちゃんも連れて行かないのよ?」
「ミィちゃんは転地に弱いんだ。ヒゲがしゅん、となる...」
単なる親バカかw
「早く町に戻ろう。ミィちゃんを自宅に返したい!!」
はぁ...戻ろう、こいつを裁かないといけないしな。
「あんた町滅ぼそうとしてたんでしょ?ミィちゃんや両親まで巻き添えにする気だったの?」
「マジでお前ら何なんだ?何で町を滅ぼすことまで...あのモンスター共は先遣隊だ。お前やお前の親父の能力を削ぐためのな」
なるほど、本隊はあいつらの後に仕向ける気だったのか。
引かずに来て正解だったな。
「何で町を?」
「敵を操る力をあのケルビムに使ってみたかったんでな。町は実験も兼ねて、まぁついでだ」
こいつ、本気で狂ってるな...。
「ケルビム様に差し出すわ。部下もこいつにやられちゃってるし...」
下手に隠すよりそうした方が良いだろうな、後で発覚したらまた面倒だ。

とりあえず猫を二コラの家に戻し、ケルビムの元に向かう。
「ほまへんひのおひゃほろほろやめほや」
鼻栓をしている二コラが話しているが何言ってるか分からないw
わたしは鼻をつまむという秘技を身に着けたのでもう鼻栓は必要ない。
「ケルビム様、村の侵攻首謀者を捕まえてきました」
「おい、いいのか?下手するとお前の幼馴染、殺されるぞ...」
わたしはこっそり耳打ちする。
「大丈夫、ケルビム様は人は殺さない。でも一回懲らしめないとこいつはまた繰り返すから...」
「ほぉ~、こいつがドミニオンをねぇ...」
怒りで暴れたりしないだろうな...。
「大したもんだ、やるじゃないか、お前!!」
「なっ!?部下を殺されたのに怒りとかないのか??」
「怒り?あぁ、人間はこういう時、怒るんだったな。残念だがモンスターにそういった感情はない。強い奴が生殺与奪を握るのは当然のことだ」
「それは嘘だろう?何体か弔い合戦を挑んできた奴は過去にいたぞ」
「あぁ、それは大義名分を利用しているだけだ。内心はな~んとも思ってない」
やはりモンスターだ、人間とは相入れないようだ...。
「ただ、魔王様は部下の死を本気で嘆かれる。しかもそれを報復はしないのだ。我々も魔王様の域に到達したいと考えてはいるぞ、今はサッパリ分からんがな...」
「そ、そうか、で、こいつはどう裁くつもりだ??」
「そうだな...ではまず縄をほどいてやれ」
わたしは二コラの縄をほどく。
「ほれ」
ケルビムは魔銃を二コラに投げ渡した。
「なっ、何を考えている!?」
「ドミニオンをやった弾で俺を撃ってみるといい」
「おいおいおいおい~~...」
わたしは下がり、エメリーとマァナを守る。
「ドミニオンをやって町を攻める、最終的な目的は俺だろ?」
「はっはっは、大サービスだな大天使さんよぉ!!お望み通り食らわしてやるよぉぉ!!」
二コラは魔銃に弾をこめ、ケルビムに向かって放った。
「バカがぁ、これは攻撃系の弾じゃないんだよ!!精神操作して自害させるための弾だ、なっはっはっは!!」
煙の中からケルビムが話す。
「あぁ、知っているとも」
ケルビムに変化はない...。
「なっ、何故だ!?何故効かん??」
「ドミニオンの死体を回収し、調べさせたからな。奴の死因は自らの力による自害だった。人間に1撃でやられるほどあいつはヤワじゃない。あっ、ちなみにこんなの俺には一切効かんから覚えとくといい」
「あっ...あああぁぁ...」
自慢の発明だったのだろう、あっさり破られて膝から崩れ落ちた。
「ただ、お前のその探求心、気に入ったぞ!!これからは町のために働かせてやろう」
「えっ??」

『アイソレーション!!』

ケルビムが魔法をかけ、二コラは気絶する。
「次にこいつが起きた時には善人に生まれ変わってるはずだ。色々な仕事を任せるといいだろう。まぁ罰として何を頼まれても断れない人間にしてやったわけだがw」
お、恐ろしい魔法だ...まぁ殺されないよりマシか?いや死んだ方がマシまであるなw
「さぁ用が済んだら全員出てってくれ!待たせたなくそじじい、再開だ!!」
「ようやく終わったか。うやむやにして終わった方が身のためだったのにのぅ...」
「口の減らんじじいだ、ぶっ潰してやるわ!!」
お前らまだやるんかい!!w

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