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婚約破棄編
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振り向くとミミが笑顔で立っている。
緊張している中ミミの様子に違和感しか感じない。
「ミミ…? どうしたの?」
笑顔のミミに異様な雰囲気を感じ声をかける。笑顔が不気味だ。
兄も眉を寄せている。ミミの行動が分からないらしい。
「ふふ。どうしてだと思います?」
「?」
笑顔の意味が分からなくて、首を傾げる。
「私はこの時をずっと待っていたのです。お嬢様が全てから解放される時を!」
ミミの反応を見てエリオットはエリスを引き寄せ自分の後ろに隠す。兄の動きに驚いたエリスは背に隠されながら硬直した。いきなりの兄の行動に考えが追いつかなかったのだ。
「お前は何者だ!」
エリオットが叫んだ。いつもの冷静な兄からは想像出来ない焦りに信じられない物を見てしまう。
ミミと兄。普段の時と真逆の状態に呆然とし、問いかける事も忘れてしまった。
「私の事をお忘れですか? エリオット様。酷いですわ。泣けてきます」
ミミは顔を伏せ手で覆い泣き始める。しかし、全然悲しそうに見えない。寧ろ手で覆った隙間から唇を釣り上げ笑っている様に見える。
「私の事をお忘れでしたら思い出させてあげますわ」
泣き真似の顔を上げエリオットの顔の前に手を翳す。手から白い霧状のもやがエリオットの顔を包んだ。
「お兄様!」
思わず悲鳴を上げミミから距離を取らせようとする。しかし遅かった。顔は霧に包まれエリオットの目は焦点が合わない。
「お兄様しっかりして下さい」
「しっかりしているとも。寧ろ頭がスッキリして最高の気分だ」
霧が晴れエリオットはしっかりした顔でミミを見た。
雰囲気が何か知っている兄と別人の様みたい。誰なの?
「ようこそ。エリオット様」
ミミはエリオットの前で跪いた。それを見たエリオットは手で制する。
「楽にして良い。長らくの間大義であった」
「有難き御言葉。任務を無事遂行出来感無量であります」
な、何をしているのかしら?
二人の間で交わされている言葉が理解出来ない。顔中疑問符を付け、エリスは立ち尽くしていた。
いったい何の茶番劇を繰り広げているのだろう? 夢でも見ているのだろうか?
一人取り残され居た堪れない。自分は侯爵家から逃げる途中だった筈だ。どうしてこうなった? 理解が追いつかない。
楽な礼を取ったミミが此処を凝視している。表情が豊かで愛らしい信頼していたあのミミとこの堅苦しい雰囲気のミミは別人のようだ。今迄の苦しい事辛いこと支えてくれた二人の思い出がエリスの頭を走馬灯の様に流れていった。
「この女はどうしますか?」
ミミがエリオットに尋ねる。此処を振り向いたエリオットは暫く考えていたが、決めた様に言った。
「あの家から逃げて来たのだ。もう此処に用は無いだろう。それに私の姿も見られてしまった。したがって魔界に連れて行く」
「承知しました」
な、な、なんですって!
はぁ?
今なんて言ったのかしら?
連れて行く?
魔界?
何かしら?
何か現実味の無い穏やかじゃあ無い言葉が聞こえて来たわ。
嘘でしょう!
とにかく今どうにかしないといけないことは分かった。連れて行かれるなんて溜まったもんじゃない。
「何か知らないけどとにかく嫌です!」
思いっきり全否定する。人生がかかっているのだ。そんなエリスをエリオットは目を細め口角を上げ見た。
緊張している中ミミの様子に違和感しか感じない。
「ミミ…? どうしたの?」
笑顔のミミに異様な雰囲気を感じ声をかける。笑顔が不気味だ。
兄も眉を寄せている。ミミの行動が分からないらしい。
「ふふ。どうしてだと思います?」
「?」
笑顔の意味が分からなくて、首を傾げる。
「私はこの時をずっと待っていたのです。お嬢様が全てから解放される時を!」
ミミの反応を見てエリオットはエリスを引き寄せ自分の後ろに隠す。兄の動きに驚いたエリスは背に隠されながら硬直した。いきなりの兄の行動に考えが追いつかなかったのだ。
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「私の事をお忘れでしたら思い出させてあげますわ」
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「お兄様!」
思わず悲鳴を上げミミから距離を取らせようとする。しかし遅かった。顔は霧に包まれエリオットの目は焦点が合わない。
「お兄様しっかりして下さい」
「しっかりしているとも。寧ろ頭がスッキリして最高の気分だ」
霧が晴れエリオットはしっかりした顔でミミを見た。
雰囲気が何か知っている兄と別人の様みたい。誰なの?
「ようこそ。エリオット様」
ミミはエリオットの前で跪いた。それを見たエリオットは手で制する。
「楽にして良い。長らくの間大義であった」
「有難き御言葉。任務を無事遂行出来感無量であります」
な、何をしているのかしら?
二人の間で交わされている言葉が理解出来ない。顔中疑問符を付け、エリスは立ち尽くしていた。
いったい何の茶番劇を繰り広げているのだろう? 夢でも見ているのだろうか?
一人取り残され居た堪れない。自分は侯爵家から逃げる途中だった筈だ。どうしてこうなった? 理解が追いつかない。
楽な礼を取ったミミが此処を凝視している。表情が豊かで愛らしい信頼していたあのミミとこの堅苦しい雰囲気のミミは別人のようだ。今迄の苦しい事辛いこと支えてくれた二人の思い出がエリスの頭を走馬灯の様に流れていった。
「この女はどうしますか?」
ミミがエリオットに尋ねる。此処を振り向いたエリオットは暫く考えていたが、決めた様に言った。
「あの家から逃げて来たのだ。もう此処に用は無いだろう。それに私の姿も見られてしまった。したがって魔界に連れて行く」
「承知しました」
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はぁ?
今なんて言ったのかしら?
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嘘でしょう!
とにかく今どうにかしないといけないことは分かった。連れて行かれるなんて溜まったもんじゃない。
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