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婚約破棄編
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「此処に残るのも良し。ならばこれからの事は自分で切り抜けられよ」
「えっ⋯」
「エリオット様。お時間です」
エリオットの返事に戸惑っていると急かされる。長居は出来ない。此処には居られ無いし、行く宛も無い。この人は多分兄では無い。けど、これから先一人で生きて行く覚悟は残念だけど今は無い。がむしゃらに付いて行って、そこから出来る事で役立って貰えばいい。そう決めるとなんだか吹っ切れた。
「今はまだ何が出来るか分かりませんが、お二人の役に立ちたいです。お願いします。連れて行って下さい」
そう言いエリスは頭を下げる。二人はそんな姿を眺めていたが、最初に動いたのはエリオットだった。
「頭を上げろ。私達がこれから行く所は魔界であり、人間界と違い魔族が住む世界で、私はそこで魔族をまとめている領主をやっている。つまり人間では無い。そして察しの通り私は貴女の兄では無い。行けば二度と人間界には戻れずまた人間ではなくなる。家族とも離れ婚約者とも会えなくなる。それでも良いのか?」
話を聞いて決心が揺らぎそうになる。両親には冷たくあしらわれ、いつも姉を優先させられ、婚約者も取られた。それでも二度と会えなくなると聞かされ、あんな人達でもエリスの心は痛んだ。人間じゃあ無くなるのもはっきり言って怖い。
私が人間じゃあ無くなる?想像が出来ない。生まれてからずっと人間だったのだ。それが当たり前だったし、一生人間だと思っていたから。でも此処に居てもこき使われ自分が望まない不利な立場で新しい婚約者が充てがわれるだけだ。
拳を握りしめ覚悟を決める。
先が見えない。何があるか分からない。けど負けられない。踏ん張ってやる。
「行きます。私を魔界に連れて行って下さい」
「分かった。本当に良いんだな?」
エリスは頷く。
「そうと決まればあるべき形に戻さなくてはね」
笑顔のミミがウインクしてパチンと指を鳴らす。
「何をしたの?」
「元に戻したの」
ミミはいたずらが成功したかの様にニコニコして機嫌が良い。
「あのね侯爵家には元からエリオット様とは違う本当の長男がいるの。生まれる時に本物とすり替えてエリオット様が侯爵家の長男になった。何故かって? ただの暇つぶしよ。うふふふ。だから侯爵家の人達の今までの記憶を消して本物を戻して、差し替えたわ。今までのエリオット様の事は無かった事になるの。長男の婚約者も変わらない同じよ。本物と婚約していた事になっているわ」
嬉々として語るミミを見て呆気にとられる。そんな事があり得るの⋯。話が壮大過ぎだわ。
人の人生を何だと思っているのこの人達は⋯。ただの暇つぶし? 呆れるわ。
それに私に本当の兄がいるんだ⋯。どんな人なんだろう。見てみたかったなぁ⋯。本当の兄にも私の人生の記憶は存在しないのかなぁ?
そう考えると寂しいけど、付いて行くって自分が決めたし⋯。こういう人達と思えばいいのね。
エリオットは不服そうなエリスに近づき優しく肩を抱くと足元に魔法陣が現れる。
周囲を魔法の風が渦巻き、目を瞬かせている内に取り巻き三人は光の粒子となって消えた。
後には静寂が残るだけだった。
「えっ⋯」
「エリオット様。お時間です」
エリオットの返事に戸惑っていると急かされる。長居は出来ない。此処には居られ無いし、行く宛も無い。この人は多分兄では無い。けど、これから先一人で生きて行く覚悟は残念だけど今は無い。がむしゃらに付いて行って、そこから出来る事で役立って貰えばいい。そう決めるとなんだか吹っ切れた。
「今はまだ何が出来るか分かりませんが、お二人の役に立ちたいです。お願いします。連れて行って下さい」
そう言いエリスは頭を下げる。二人はそんな姿を眺めていたが、最初に動いたのはエリオットだった。
「頭を上げろ。私達がこれから行く所は魔界であり、人間界と違い魔族が住む世界で、私はそこで魔族をまとめている領主をやっている。つまり人間では無い。そして察しの通り私は貴女の兄では無い。行けば二度と人間界には戻れずまた人間ではなくなる。家族とも離れ婚約者とも会えなくなる。それでも良いのか?」
話を聞いて決心が揺らぎそうになる。両親には冷たくあしらわれ、いつも姉を優先させられ、婚約者も取られた。それでも二度と会えなくなると聞かされ、あんな人達でもエリスの心は痛んだ。人間じゃあ無くなるのもはっきり言って怖い。
私が人間じゃあ無くなる?想像が出来ない。生まれてからずっと人間だったのだ。それが当たり前だったし、一生人間だと思っていたから。でも此処に居てもこき使われ自分が望まない不利な立場で新しい婚約者が充てがわれるだけだ。
拳を握りしめ覚悟を決める。
先が見えない。何があるか分からない。けど負けられない。踏ん張ってやる。
「行きます。私を魔界に連れて行って下さい」
「分かった。本当に良いんだな?」
エリスは頷く。
「そうと決まればあるべき形に戻さなくてはね」
笑顔のミミがウインクしてパチンと指を鳴らす。
「何をしたの?」
「元に戻したの」
ミミはいたずらが成功したかの様にニコニコして機嫌が良い。
「あのね侯爵家には元からエリオット様とは違う本当の長男がいるの。生まれる時に本物とすり替えてエリオット様が侯爵家の長男になった。何故かって? ただの暇つぶしよ。うふふふ。だから侯爵家の人達の今までの記憶を消して本物を戻して、差し替えたわ。今までのエリオット様の事は無かった事になるの。長男の婚約者も変わらない同じよ。本物と婚約していた事になっているわ」
嬉々として語るミミを見て呆気にとられる。そんな事があり得るの⋯。話が壮大過ぎだわ。
人の人生を何だと思っているのこの人達は⋯。ただの暇つぶし? 呆れるわ。
それに私に本当の兄がいるんだ⋯。どんな人なんだろう。見てみたかったなぁ⋯。本当の兄にも私の人生の記憶は存在しないのかなぁ?
そう考えると寂しいけど、付いて行くって自分が決めたし⋯。こういう人達と思えばいいのね。
エリオットは不服そうなエリスに近づき優しく肩を抱くと足元に魔法陣が現れる。
周囲を魔法の風が渦巻き、目を瞬かせている内に取り巻き三人は光の粒子となって消えた。
後には静寂が残るだけだった。
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