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一章

45、夜の寝室で【3】

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 寝室には甘い香りが満ちた。俺を誘ってやまないレナーテの香り、ガーデニアに似た甘く涼やかな匂いだ。
 
「ん……っ、ふ……ぁ、ぁあ……ん」

 花弁を開き、花芯を指と指で抓んで痛みに似た快楽を与える。
 その度に、彼女は甘く喘ぐ。

「レナーテは悪い子だな。痛いのも嫌いではないのだろう?」
「は……い、エルヴィンさまの与えてくださる感覚なら……すべて、好きです」
「まだそんな風にちゃんと喋る余裕があるんだな」

 意地悪く耳元で囁き、さらに彼女を追い詰めていく。

「あ……ぅ、ぁ……んんっ。許して……ぇ」
「許してほしい?」
「は……い」

 レナーテの求めに応じるふりをして、俺は彼女から指を離した。そろそろ達するであろうその瞬間に、快楽を止められたレナーテはもどかしそうに膝を擦りつけた。

 俺は本当に悪い大人だ。彼女を追い詰め、最後までいかせないことで、より激しく俺を求めさせるのだから。
 焦らされたレナーテは、ベッドに仰向けになったまま潤んだ瞳で俺を見上げている。
 いつもよりも紫の瞳の色が濃い気がする。

「レナーテ。その苦しさを解放する方法を知っているかい」
「……いえ」
「何日か、君を慣らしてきた。だから、これからするよ」

 何を? とは訊かれなかった。
 男を知らず、いやそればかりか男と手を繋いだこともないであろう彼女。だがほんのわずかの間に、俺を受け入れるまでに育て上げた。

 体内を裂くような痛みは与えたくはない。だから、嫌というほどに焦らして。俺を求めてやまないほどに愛撫を繰り返した。

 レナーテの両膝の裏に手を入れて、足を上げさせる。
 初めてさせられる格好に、彼女は短い悲鳴を上げた。

「おやめになって。お願いです」
「すると言ったよ。前言撤回はしない」

 裸身の彼女にのしかかり、その耳朶を軽く噛む。ひりつく痛みを感じたことだろう。レナーテは眉根を寄せて、きつく瞼を閉じた。

「力を抜いてごらん」
「……はい」

 これまで散々俺に弄られた秘所は、しっとりと濡れて誘うようだ。
 俺を受け入れるその表情のすべてを見逃したくはない。
 レナーテに顔を近づけたまま、俺は自分の雄を彼女に挿れた。

「あ……ぁ、くるし……い、です」
「俺に爪を立ててもいいから」

 そこは狭く熱く、そして俺を待ち焦がれていたかのように震えていた。
 愛しい人と繋がる嬉しさに、目眩がしそうだ。

◇◇◇

 目の前にエルヴィンさまのお顔があります。ずっと見られ続けて、瞼を閉じると「目を開けるように」と命じられます。
 優しい声音ですのに、無慈悲な命令にわたしは逆らえません。

「ん……っ、んん……っ」

 熱くて硬くて、圧倒的な質量のエルヴィンさまがわたしの中に入ってきて。
 苦しさにもがこうとしても、両足を上げさせられているから。それも叶いません。
 シーツを指で引っ掻き。するとエルヴィンさまは、ご自分にしがみつくように仰いました。

「な、に? ひぁ……ぁ」

 激しく揺さぶられて、視界が乱れます。
 エルヴィンさまの腕にしがみつこうとしても、服をお召しでないから。汗ばんだその肌で、わたしの指は滑るばかりでした。
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