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第2章 未来のスクール
② 子供部屋(2)
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13歳のキャメルは、上級コースの1年生。
目がパッチリして背も高く、モデル志望。
ただ、声がアニメの声優のようで、怒り出すとキンキン声になってしまう。
恋愛学はようやく1年かけて、納得した相手を選べたようだ。相手のウィルは社会人。
アニメが大好きで、特にキャメルの声がかわいいと思って付き合っている。
中級コースのコニーとカシュー。2人はいとこ同士。
年齢は12歳と11歳で、担任の先生に直訴して、同じ部屋になった。
2人ともマイペースで、流行りの曲にアレンジを加えて、ダンスを楽しんでいる。
将来は、テーマ・パークのダンサーが目標だ。
ジェンダーというより、なるべく2人でいる時間を増やしたいという理由で、
恋愛学はお互いパートナーが見つからなかったら、一緒に受けるつもりらしい。
〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎
そして、まだ10歳のキラシャ。明るくて愛嬌はあるのだが、じっとしているのが苦手。
何でも目の前のことに夢中になって、自分でも気がつかない間に、目立ったことをしてしまっている。
上級生には説教され、イジメっ子にワナをはめられ、しょっちゅう痛い思いをしている。
負けず嫌いで反射神経も抜群なので、やられたらすぐにやり返す。
だから、反省ルームや裁判のお世話になることが多いのだ。
〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎
中級コースのリコも10歳。子供の家では、誕生日を月ごとに祝うのだが、
キラシャの方がひと月だけお姉さんだ。
キラシャの通うスクールでは、毎年、進級テストと卒業テストが終わった後に、
さまざまな分野で優秀だった生徒の表彰式がある。
エムフィ・エリアで話す言葉や世界の共通語で、テーマのある主張をする生徒。
特殊な知識・技能を身につけた生徒。スポーツで活躍した生徒。
芸術分野で才能を発揮した生徒。ルールを守り、スクールの評判に貢献した生徒等。
そして、恋愛学は卒業生の中から、模範となった最優秀カップルが表彰され、
さらに生徒による投票で、ベストカップル賞が選ばれる。
この栄誉を勝ち取った2組のカップルは、生徒全員の声援を受けながら、
ステージの上でお互いにハート・マークのバッジを胸につけ合い、熱いキッスを交わすのが恒例だ。
♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥
共通語をうまく話せないキラシャと違い、リコは流ちょうで、いろんなエリアの言葉で簡単な会話もできる。
成績も良いので、表彰されることが多い。
キラシャの表彰は、イルカの調教と、罰を受けた時に大勢の子と仲良く遊んであげたこと、
それに溺れた子の救助を手伝ったことくらいだろうか…。
海洋牧場にいる魚の名前なら、おじいさんに教えてもらったので、たくさん知っているが、
スクールの成績にはあまり関係ないので、表彰されることはない。
ちなみに、ここで表彰されることで、希望のカレッジへの推薦という道も開けてくるのだ。
キラシャと同じくらいの学年には、地球上のあちこちで発生する
エリアの紛争から逃げて来た難民の子供達がいる。
この子供達は移民クラスに在籍していて、スクールではほとんど会うことがない。
スクールでは、難民の子供達の実情を授業で学んでいるから、一緒の部屋にいる間に
このエリアが安全であることを伝えて、安心してもらえるよう先生から指導を受けている。
同じ地球上で、これほど便利な世の中になっていても、
同じ人間同士が戦争で殺し合いをする状況が続いているエリアがある。
ただ、難民の子供達が他のエリアの子に、自分のエリアのことを話せない場合が多い。
同じ部屋の子は、気にかけながらも、そっとしておいてあげることしかできない。
今いる子供達も、次の受け入れ先が決まると、すぐに出て行ってしまうので、残念だが名前も伏せておこう。
▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△
この部屋で一番にぎやかなのは、やんちゃな9歳の、マフィとミディの双子姉妹かもしれない。
双子はたいてい仲が良いし、区別がつかないくらい似ているということで、同室にされたのだが、
この2人がケンカを始めると、周りまで振り回してしまう。
マフィとミディのケンカが何度も重なると、面倒見の良いキラシャも、さすがに切れてしまい、
「悪いのどっち?」と2人を問い詰める。
騒ぎが大きくなると、一番大きいケイが怒鳴り始め、それでも聞かないと、
3番目のキャメルが金切り声を張り上げる。
キャメルの発する耳をつんざくような金属音に、誰もが耳をふさぎ、
ケンカを忘れてみんなおとなしくなるが、双子姉妹はまだふくれた顔をして、不満を持て余している。
それに気付いたルディが、次の最上級生の役目として、2人の間に入って話を聞いてやる。
それが、この部屋にいる子供達のケンカの治め方だ。
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
それから、中級コース9歳のキャシー。探究心旺盛な女の子で、
スクールで飼っている動物や虫や植物の面倒を見るのが好き。
初級コースで、8歳のレイカ。マイペースながら、モアで知り合った相手と、ゲームを楽しんでいる。
初級コースで、7歳のサンディとユキ。
2人とも、入って来たばかりのころは、ちょっとしたことで泣きじゃくって、
周りをあわてさせたが、レイカと3人で仮想空間のゲームを始めてから、仲良く遊ぶようになった。
仲が悪いと、先生がメンバーを変更することもあり、
ケンカがひどくなると別のスクールへ転校する子供もいるが、
この部屋はわりと仲良くやっているようだ。
ケンカばかりで、いやな思いが残る子もいるが、
子供同士が触れ合いながら育った思い出は、大人になるほど強いきずなとして、
感じられることがあるのかもしれない。
●◎〇 ●◎〇● ◎〇●◎〇 ●◎〇●◎〇
タケルが、スクールからいなくなった日。
部屋に戻ったキラシャはたまらなくなって、最上級生のケイに抱きついて泣き出し、
タケルへの気持ちを延々と打ち明けた。
日頃は、恋も知らず元気がとりえのキラシャ、としか見ていなかった部屋の上級生も、
いつまでも泣き止まないキラシャを可愛そうに想って、だまって話を聞いてやった…。
●◎〇 ●◎〇● ◎〇●◎〇 ●◎〇●◎〇
目がパッチリして背も高く、モデル志望。
ただ、声がアニメの声優のようで、怒り出すとキンキン声になってしまう。
恋愛学はようやく1年かけて、納得した相手を選べたようだ。相手のウィルは社会人。
アニメが大好きで、特にキャメルの声がかわいいと思って付き合っている。
中級コースのコニーとカシュー。2人はいとこ同士。
年齢は12歳と11歳で、担任の先生に直訴して、同じ部屋になった。
2人ともマイペースで、流行りの曲にアレンジを加えて、ダンスを楽しんでいる。
将来は、テーマ・パークのダンサーが目標だ。
ジェンダーというより、なるべく2人でいる時間を増やしたいという理由で、
恋愛学はお互いパートナーが見つからなかったら、一緒に受けるつもりらしい。
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そして、まだ10歳のキラシャ。明るくて愛嬌はあるのだが、じっとしているのが苦手。
何でも目の前のことに夢中になって、自分でも気がつかない間に、目立ったことをしてしまっている。
上級生には説教され、イジメっ子にワナをはめられ、しょっちゅう痛い思いをしている。
負けず嫌いで反射神経も抜群なので、やられたらすぐにやり返す。
だから、反省ルームや裁判のお世話になることが多いのだ。
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中級コースのリコも10歳。子供の家では、誕生日を月ごとに祝うのだが、
キラシャの方がひと月だけお姉さんだ。
キラシャの通うスクールでは、毎年、進級テストと卒業テストが終わった後に、
さまざまな分野で優秀だった生徒の表彰式がある。
エムフィ・エリアで話す言葉や世界の共通語で、テーマのある主張をする生徒。
特殊な知識・技能を身につけた生徒。スポーツで活躍した生徒。
芸術分野で才能を発揮した生徒。ルールを守り、スクールの評判に貢献した生徒等。
そして、恋愛学は卒業生の中から、模範となった最優秀カップルが表彰され、
さらに生徒による投票で、ベストカップル賞が選ばれる。
この栄誉を勝ち取った2組のカップルは、生徒全員の声援を受けながら、
ステージの上でお互いにハート・マークのバッジを胸につけ合い、熱いキッスを交わすのが恒例だ。
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共通語をうまく話せないキラシャと違い、リコは流ちょうで、いろんなエリアの言葉で簡単な会話もできる。
成績も良いので、表彰されることが多い。
キラシャの表彰は、イルカの調教と、罰を受けた時に大勢の子と仲良く遊んであげたこと、
それに溺れた子の救助を手伝ったことくらいだろうか…。
海洋牧場にいる魚の名前なら、おじいさんに教えてもらったので、たくさん知っているが、
スクールの成績にはあまり関係ないので、表彰されることはない。
ちなみに、ここで表彰されることで、希望のカレッジへの推薦という道も開けてくるのだ。
キラシャと同じくらいの学年には、地球上のあちこちで発生する
エリアの紛争から逃げて来た難民の子供達がいる。
この子供達は移民クラスに在籍していて、スクールではほとんど会うことがない。
スクールでは、難民の子供達の実情を授業で学んでいるから、一緒の部屋にいる間に
このエリアが安全であることを伝えて、安心してもらえるよう先生から指導を受けている。
同じ地球上で、これほど便利な世の中になっていても、
同じ人間同士が戦争で殺し合いをする状況が続いているエリアがある。
ただ、難民の子供達が他のエリアの子に、自分のエリアのことを話せない場合が多い。
同じ部屋の子は、気にかけながらも、そっとしておいてあげることしかできない。
今いる子供達も、次の受け入れ先が決まると、すぐに出て行ってしまうので、残念だが名前も伏せておこう。
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この部屋で一番にぎやかなのは、やんちゃな9歳の、マフィとミディの双子姉妹かもしれない。
双子はたいてい仲が良いし、区別がつかないくらい似ているということで、同室にされたのだが、
この2人がケンカを始めると、周りまで振り回してしまう。
マフィとミディのケンカが何度も重なると、面倒見の良いキラシャも、さすがに切れてしまい、
「悪いのどっち?」と2人を問い詰める。
騒ぎが大きくなると、一番大きいケイが怒鳴り始め、それでも聞かないと、
3番目のキャメルが金切り声を張り上げる。
キャメルの発する耳をつんざくような金属音に、誰もが耳をふさぎ、
ケンカを忘れてみんなおとなしくなるが、双子姉妹はまだふくれた顔をして、不満を持て余している。
それに気付いたルディが、次の最上級生の役目として、2人の間に入って話を聞いてやる。
それが、この部屋にいる子供達のケンカの治め方だ。
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それから、中級コース9歳のキャシー。探究心旺盛な女の子で、
スクールで飼っている動物や虫や植物の面倒を見るのが好き。
初級コースで、8歳のレイカ。マイペースながら、モアで知り合った相手と、ゲームを楽しんでいる。
初級コースで、7歳のサンディとユキ。
2人とも、入って来たばかりのころは、ちょっとしたことで泣きじゃくって、
周りをあわてさせたが、レイカと3人で仮想空間のゲームを始めてから、仲良く遊ぶようになった。
仲が悪いと、先生がメンバーを変更することもあり、
ケンカがひどくなると別のスクールへ転校する子供もいるが、
この部屋はわりと仲良くやっているようだ。
ケンカばかりで、いやな思いが残る子もいるが、
子供同士が触れ合いながら育った思い出は、大人になるほど強いきずなとして、
感じられることがあるのかもしれない。
●◎〇 ●◎〇● ◎〇●◎〇 ●◎〇●◎〇
タケルが、スクールからいなくなった日。
部屋に戻ったキラシャはたまらなくなって、最上級生のケイに抱きついて泣き出し、
タケルへの気持ちを延々と打ち明けた。
日頃は、恋も知らず元気がとりえのキラシャ、としか見ていなかった部屋の上級生も、
いつまでも泣き止まないキラシャを可愛そうに想って、だまって話を聞いてやった…。
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