キラシャの恋の物語

キラシャ

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第2章 未来のスクール

③ タケルに会いたい

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日を追うごとに、キラシャのタケルに会いたいという気持ちは、どんどん強くなってゆく。


●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇


いつも悪ふざけばっかりしているケンとマイクが、心配してゲームに混ぜてやるが、

元気を取り戻したかなと思うと、フッーとため息をつくキラシャ。


学習ルームにいる時は、メールしたらすぐに返って来たのに、あれからいくらメールを送っても、

タケルからの返事はない。


メールは届いているはずなのに・・・。


ある時、キラシャは希望を見つけたように、ふと思った。


『担任のハリー先生は、タケルの出発まで1週間あるって言ってたな・・・。

 もし、ハリー先生がタケルの居場所を教えてくれたら・・・。


 絶対会いに行きたい!

 だって、タケルと話ができれば・・・。


 このモヤモヤした気持ちが、パ~って吹っ切れるかもしれないじゃない!!』


▼△▼△ ▼△▼△ ▼△▼△ ▼△▼△ ▼△▼△ ▼△▼△ ▼△▼△



大好きなスポーツでさえミスをして、厳しい先生にやる気がないと叱り飛ばされ、

これ以上平常点がマイナスになると、成績の悪いキラシャは確実に落第してしまう。
  

『もし上級コースに進めたとしても、タケルがいない恋愛学のパートナーに、

 いったい誰を選べばいいンだか・・・ 
 

 いっそのこと、タケルが戻ってくるまで、落第しちゃおうか。

 ・・・でも、パパはきっと怒るだろうな。


 タケルは・・・、やっぱり怒るかな?

 タケルだって、成績良くなかったモン。相談したら・・・なんて言うだろう?』


とは言うものの、タケルへのメールには、この切ない気持ちを伝えられない。

  
せめて、タケルへの連絡先を知りたいが、まず、ハリー先生に相談してみなくてはならない。


だが、キラシャがタケルに会う理由を見つけられないまま、1週間が過ぎようとしていた。


●◎〇 ●◎〇 ●◎〇●◎〇 ●◎〇 ●◎〇●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇


タケルが火星へと出発するかもしれない日。


午前の授業が終わると、学習ルームを出ようとするハリー先生の腕をギュッとつかまえて、

キラシャは勇気を振り絞って、タケルに連絡を取るための許可を願い出た。



ハリー先生は困った顔をしながらも、キラシャのただならぬ様子を心配して、

声のもれない相談ルームに連れて行った。


ハリー先生はすぐにカウンセラーを呼ぼうとしたが、キラシャの気持ちは、

タケルと話すことでしか解決しないのだ。


キラシャは、すがる気持ちで先生を見つめた。


それを察した先生は、キラシャを諭すように言った。 


「出発の近いタケルに、面会を申し込む子は多かったが、実際に話をした子はいないよ。

一応、タケルの気持ちを聞いてはみるが、今まで言ってきた子は、みんな断っていたぞ。

もし、君が同じ結果でがっかりしても、先生は責任を負えないよ。

先生がタケルなら、こんな風に慕う子を拒否するようなことはしないのだがね・・・」 
 

先生は、キラシャにそれでも良いかと確認をしてから、モアでタケルを呼び出した。


♠♤♣♧ ♠♤♣♧ ♠♤♣♧ ♠♤♣♧ ♠♤♣♧♠♤♣♧ ♠♤♣♧ ♠♤♣♧

   
『きっと、パスボーを応援していたタケルのファンの子達も、あたしと同じ気持ちだったンだろうな。

ダメでも、先生にはお礼を言わなくちゃ』


キラシャはハリー先生に向かって、深々と頭を下げた。


タケルの着信音だろうか、エムフィ・エリアの前に存在していた、ジャパンという国で流行っていた

アニメ・戦艦ヤマトの主題歌が聞こえる。



音が切れると、先生のモアの先に、タケルの顔が見えた。


「タケル、良かった。ちょっと元気がないな・・・。みんな心配しているんだぞ。

今、そばにキラシャがいる。時間がないから、キラシャに代わろう」

先生は、すぐに自分のモアからキラシャのモアへと転送した。


●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇 ●◎〇


キラシャは、お気に入りのアニメの着信音が鳴り響くモアを操作し、

目の前に浮かび上がったタケルを見つめた。


「君達が話せる時間は、300secだ。

時間が来たら、先生の所へ自動的に転送されるからね」

先生は、キラシャの頭をポォーンとたたき、その場を離れた。


キラシャは、急いでモアの時間を確認して、目の前に浮かぶタケルを見つめた。

タケルは、少し青白い顔をしていた。


キラシャがいつもより明るい調子で「元気だった?」と声をかけると、

タケルはぼう然とした顔をして言った。


「キラシャ、会いたかった・・・」


キラシャの目から、ボロッと涙がこぼれた。


『タケルもあたしに会いたかったのか・・・』


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