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再販を望む声

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 唯一知っているのはアメリアである。

「緑色の光・・・・・・全てを防ぐ光の壁と、通常のそれとは段違いな回復魔法。やはりフィーネが発動したのは『聖女の奇跡』で間違いないでしょう」

 アメリアがそう話したところで、ぞろぞろと人が戻ってきた。どうやら先ほど男が放った魔法による脅威が去ったことで、もう大丈夫だと判断したらしい。
 口々に「大丈夫か?」と心配しているが、ところどころ「屋台は再開しないのか?」とハンバーガーを求める声を上げていた。
 それを聞いたアメリアは「話は後で、ですね」と立ち上がる。
 話の続きを聞きたかったが、ハンバーガーが売れている流れは大切にしなければいけない、と冨岡は頷いた。

「そうですね。あ、そうだ。あの男はどうしますか? 気を失っているみたいですけど」

 そう言いながら冨岡は未だ光の壁に囲まれている男に視線をやる。
 するとアメリアは首を縦に振ってからフィーネに語りかけた。

「フィーネ、いいですか? 少しずつ体の力を抜いてください。伝承が正しければコントロールできるはずです。落ち着いて光の壁が消えることを望むのですよ」
「うん、やってみる」

 フィーネはそう答えて光の壁に視線を送る。意識的にゆっくり呼吸し、体から力を抜いた。すると体の中に巡る魔力の波動が手に取るように感じられる。

「なんか、フィーネの体の中でぐるぐるしてる」
「それが魔力です。そのぐるぐるを落ち着かせて、壁を消してください」
「うん。えっと、ぐるぐるを落ち着かせて・・・・・・壁、消えろ!」

 魔法を唱えているにしてはあまりにも直接すぎる言葉だな、と思う冨岡だが魔法とはイメージが大切なもの。フィーネの呼びかけに応えるように男を囲っていた壁がスーッと消え去り、もたれかかっていた体は地面に投げ出される。

「できた!」

 嬉しそうに飛び跳ねるフィーネ。ちょうど同じタイミングで人混みの中から、数人の男たちが駆け寄ってきた。

「ここか、男が暴れているというのは」

 その男たちは全員同じ防具を着ており、同じ組織に所属していることがわかる。
 
「揉め事があったと通報を受けたが、お前たちが当事者か?」

 冨岡が戸惑っていると先にアメリアが返答した。

「衛兵さんですね。私たちはあちらで食品を販売していたのですが、急にあちらの方に襲われまして」

 彼女の言葉から冨岡は男たちが衛兵だと理解する。どうやらアメリアも装備から衛兵だと認識したようだ。
 アメリアの言葉を聞いた衛兵は、体表が焦げている男に目をやり頷く。

「なるほど、通報と一致するな。だが、この街の者ならばここで店を出せば揉め事になることは知っているだろう。気をつけるんだな。それはそうと、あの男に魔法で攻撃した者は誰だ? あの火傷は魔法によるものだろう」
「それは・・・・・・」

 とアメリアが口籠る。フィーネの能力を明かしたくない事情があるのだろう。そう察した冨岡は咄嗟に口を開いた。
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