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本編

第10話_明かされ過ぎた記事-1

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翌月初め、定期発行の学内新聞が、生協や食堂など大学内の各購買所で売り出された。


その日の昼、午前中の座学をみっちりこなし、腹を空かせた理学部生たちが食堂へ移動する。
前を歩くリョウ啓介ケイスケへ、把握しているだろうとはなから決めつけているが如く、同級生が質問してくる。

「あれ? ねぇ、髙城タカシロは?」
「あいつはさっき研究室に行ったよ。今の講義で教授に質問があるって」
「へぇ、熱心だなぁ…昼飯は要らないのかな?」
「さてなぁ。そもそも食った飯がどこに消えていっちまうのかも謎だけどな、奴は」
「…確かに。髙城って、僕たちと変わらないくらい食べるよね? 細くて羨ましいなぁ、僕食べた分全部ぜい肉になっちゃうよ」
「節制か運動しろよ」

そんな風に軽口を言い合いながら食堂へ入り、席へ着こうとした時、先に到着していた同級生が迫真の表情で駆け寄ってきた。

「ちょっと…ちょっと、これ見てくれ!」

そう言うと、理学部生たちが集まるテーブルに、手に掴んでいたA3大の用紙を広げてみせた。

「? 何これ」
「今日発行した学内新聞だよ。有料だったんだけど…一面に見えた記事とカットが気になって、買ってしまった」
「…これ、髙城のインタビュー記事じゃん。この間来てた、なんとかって新聞サークルの?」
「トップページ丸々使ってるね、さすがぁ。え…『入学式を震撼させた謎の美形新入生のプライベートに迫る』? …なんかすごいタイトルだね」
「うわぁ、ばっちり写真も載ってる! …あれ? これってさ、入学式の時撮ったやつっぽく見えるんだけど」
「…確かにスーツ着てるな。名前も、学部まで載ってるし。…これ大丈夫なの?」
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