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本編
第10話_明かされ過ぎた記事-2
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紙面へ向け、級友たちが各々様々な反応を見せる中、諒と啓介は険しい面持ちを表出し、小声で言葉を交わし合う。
「…川崎、どう思う?」
「…髙城が承諾した上でのこの形なら、俺たちが首を突っ込むことじゃない。…でも、やり過ぎ感は否めないよね…」
「だよな」
「――あ、髙城」
いち早く気付いた誰かしらの声に、周りと共にふたりも振り向くと、いつぞやと同じように同級生たちの視線を一気に浴びた蒼矢が、気圧されたような面持ちで立っていた。
「…! お前、研究室は?」
「教授に急なアポが入ってしまって、放課後に改めて、ってことになった」
「そっか。飯食いっぱぐれなくなって良かったな」
「…何してるんだ? 揃って」
妙な空気感を醸す集団へ向けて当然の質問を投げてくる蒼矢を、諒は手招きで呼んでテーブルの上に置かれた新聞記事を指し示した。
群れの中心へ促され、蒼矢は戸惑いながら記事へ目を落としたが、すぐに顔色を変えた。
テーブルへとうつむいたまま表情を凍らせる彼を見、諒はぼそりと問いかける。
「…写真掲載は許可したのか?」
「……いや」
一時の沈黙の後そう小さく答えた蒼矢の反応を見、同級生たちは一斉に記事へ顔を寄せる。
「えっ、掲載許可してないの…?」
「そもそもこれ、新聞に載せる近影にしてはクオリティ低いよね。白黒刷とはいえ、なんだかピンボケしてるし。遠くから撮ったやつを無理やり引き伸ばしてる、みたいな」
「大学広報が撮ったものじゃなくて、独自で撮ってたんじゃない? サークルからも何人か出席してたとかって言ってたじゃん」
「でも確か、入学式中って撮影禁止じゃなかったか? 在学生の取材目的なら良かったのかな?」
「それにしては非公式な感じ過ぎないか? これ。クオリティが週刊誌によくある"隠し撮り"レベルだぞ…?」
同級生のひとりの何気無い一言に、集団が静まり返った。
「…川崎、どう思う?」
「…髙城が承諾した上でのこの形なら、俺たちが首を突っ込むことじゃない。…でも、やり過ぎ感は否めないよね…」
「だよな」
「――あ、髙城」
いち早く気付いた誰かしらの声に、周りと共にふたりも振り向くと、いつぞやと同じように同級生たちの視線を一気に浴びた蒼矢が、気圧されたような面持ちで立っていた。
「…! お前、研究室は?」
「教授に急なアポが入ってしまって、放課後に改めて、ってことになった」
「そっか。飯食いっぱぐれなくなって良かったな」
「…何してるんだ? 揃って」
妙な空気感を醸す集団へ向けて当然の質問を投げてくる蒼矢を、諒は手招きで呼んでテーブルの上に置かれた新聞記事を指し示した。
群れの中心へ促され、蒼矢は戸惑いながら記事へ目を落としたが、すぐに顔色を変えた。
テーブルへとうつむいたまま表情を凍らせる彼を見、諒はぼそりと問いかける。
「…写真掲載は許可したのか?」
「……いや」
一時の沈黙の後そう小さく答えた蒼矢の反応を見、同級生たちは一斉に記事へ顔を寄せる。
「えっ、掲載許可してないの…?」
「そもそもこれ、新聞に載せる近影にしてはクオリティ低いよね。白黒刷とはいえ、なんだかピンボケしてるし。遠くから撮ったやつを無理やり引き伸ばしてる、みたいな」
「大学広報が撮ったものじゃなくて、独自で撮ってたんじゃない? サークルからも何人か出席してたとかって言ってたじゃん」
「でも確か、入学式中って撮影禁止じゃなかったか? 在学生の取材目的なら良かったのかな?」
「それにしては非公式な感じ過ぎないか? これ。クオリティが週刊誌によくある"隠し撮り"レベルだぞ…?」
同級生のひとりの何気無い一言に、集団が静まり返った。
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