ガイアセイバーズ spin-off -Ｔ大理学部生の波乱-

本編

第10話_明かされ過ぎた記事-3

「――おい、見ろよこれ」

ついで、隣のテーブルから聞こえてきた同級生のひと声に、その場に居た全員がわらわらと彼の元へ移動していく。
私物のタブレットとにらめっこしていた彼は、神妙な顔つきで画面を指差していた。

「…それは？」
「学生課の広報ページだ…同じように髙城タカシロのインタビュー記事がアップされてる。先月末に更新されてた」
「ふぅん。内容は学内新聞と似たり寄ったりだな。ほんとに別媒体からそれぞれ出す意味あったのか？」
「そのあたりの意図は、今は置いとこう。問題はそこじゃない」
「…！」

眉を顰める啓介ケイスケの横から、何かに気付いた諒リョウは、珍しく声を張った。

「こっちは文面だけなのか…！　髙城の顔は載ってない。名前も伏せてあるし、はっきり記載があるのは学年と学部だけだ」

いち早く反応を示した彼へ、タブレットを持つ同級生は深く頷き返す。

「きっと慣例としてこういうスタイルを取ってるんだろう。このご時世、顔や名前は個人情報になるからな…学生の身分なら尚更だ。学生課からそういう説明はあっただろ？」
「…うん。個人が特定されるような表現や体裁は取らないって、…取材前に口頭で」
「サークルの方からは？」
「…特には」
「掲載記事の最終チェックとかは？」
「…無かった」

そう小さく答える蒼矢ソウヤの声を聞き、周りの同級生たちがざわつき出す。

「同じ取材でも、学校主体と学生主体でだいぶ違うな…こんな好き勝手やられちゃうなんて」
「はたして、有料新聞にどれだけ購読人数がいることやら…」
「確か学内新聞は、大学のイントラネットにもアップされてるはずだ。有料登録が要る、更に内部の会員制WEBページにだけどね」
「このタブレットじゃ、学内ネットワークにも繋げてないから、確認は今は無理だな…」