異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜

文字の大きさ
7 / 214
第一章 転生、そして冒険者に

#07 解体屋の父娘

しおりを挟む


「あ、着きましたよ、ナオトさん!ここがギルド提携の解体屋になります」

 おっと…内心悶えてるうちに着いたのか。
 こっちも舞い上がりそうだけど今はなんとか自重しよう…まずはお金をどうにかしないと。
 俺の狩ってきた魔物の素材で何とかなればいいけどなぁ。
 ラナさんが解体屋入ってった、俺も入ろう。

「こんにちはーすみませーん!ディモルさんいますかー?」
 
 入ってすぐにラナさんが大きめな声で誰か呼んでる。
 解体屋の人か、どんな人だろう?やっぱり解体するような人だから、ガタイの良いおっさんと予想。
 と、思ってたら、奥の方からひょこっと女の子が顔を出してきた。
 え、まさか、この子が…いやいや、そんなわけないだろう。

「あ、ラナおねーちゃんだー、いらっしゃいー」

「あれ?カティちゃんだ。珍しいね、こんな時間にいるなんて。学園は?」

 奥から出て来てラナさんの前まで来たよ。
 ちっちゃくて可愛らしいなぁ…130センチくらいか?小学生ってとこだろうな。

「今日は試験前で早く終わったんだよー」

「そっか、ちょうどそんな時期なんだね。そうそう、お父さんはいる?」

 ラナさんが屈んで目線合わせながらカティって子と話してる。
 うん、そんなわけはなかった。
 娘さんで学園生なのね、この子が解体なんてちょっとびっくりしたわ。

「かいたいのお客様ですかー?カティやりますよー?」

 えっ!?カティちゃんも解体出来るんかいっ!スゴいなそれは…。
 流石異世界、見た目に惑わされちゃダメだな。

「うーん…解体だけだったらカティちゃんにお願いしてもいいんだけど……今日は査定もしたいんだよね」

「そうなんですかー分かりましたー!じゃあ、おとーさん呼んできますねー、ちょっと待っててくださいー」

「うん、よろしくねー」

 パタパタ走って奥に引っ込んでいった。
 そうか、解体だけだったらカティちゃんでも大丈夫なんだ。
 ただ学生だから滅多に合うこともないのか?

「カティちゃんも解体は出来るんですけど、学園に通ってるので休みの日くらいしか会えないんですよ。今日はたまたま会えましたけど、査定もとなるとやっぱりカティちゃんのお父さん、ディモルさんじゃないといけなくて」
 
「いや、でもあの歳で解体技術を持ってること自体、驚きましたよ。凄いですね…」

「わたしも解体作業見せてもらったことがあるんですけど、凄かったですよ!小さい頃から見てたせいですかね、全然物怖じしないでサクサクっと解体しちゃうんですよ」

「そうなんですか。それはちょっと見てみたいですね」

 小学生くらいの子の解体ショーとか、ちょっと興味あるな。
 見れるなら是非見てみたい。

「あ、それなら査定後にちょっとだけ見ていきますか?1体くらいなら見せてくれるかもしれないですよ?」

「そうですね…無理にとはいいませんが、都合がよければ見学してみたいですね」

「じゃあ、査定が終わったらちょっと聞いてみましょう。見せてもらえるといいですね」

「はい、ちょっとだけ楽しみにしておきます」

「ですね!あっ、ディモルさん、こんにちは」

 お、カティちゃんのお父さんが登場…って、でかっ!2メートル超えてるんじゃね!?一緒に来たカティちゃんとの対比が…ホントに親子なのかって思ってしまいそうだ。

「おとーさん呼んできたよー」

「おぅ、ラナか。カティがいるのに俺を呼んだってことは…そっちのやつの査定か」

 うぉ…すげぇ見降ろされてる……俺もそんなに身長あるわけじゃないしな。
 あれ?そういやこっち来てから自分の容姿まだ確認してないや。
 身長とか変わってないのかな?

「すみませんディモルさん、お呼び立てして。仰る通りこちらの漂流者、ナオトさんの査定の立会いをお願いしたくて」

「初めまして、今日この街に来たナオトと言います。来る途中に狩ってきた魔物を持ってきましたので、査定をよろしくお願いします」

「俺はこの解体屋『壊塵洞』の主、ディモルだ。こいつは俺の娘のカティリアーナ。まぁよろしくな。んで、ブツはどんだけあるんだ、この場で出せるくらいか」

「いえ、この広さだと全部は出せないですね」

 ここじゃ多分1、2体しか出せないな。
 あー、ネズミウサギ、なんて言ったっけ、確か…マビットゥラースだっけか、あれくらいならもうちょい出せるか。
 それでも4、5体くらいだろうけど。

「そうか。なら奥に来い、そっちで出してもらう」

 そう言って奥に向かうディモルさんとカティちゃん。
 俺とラナさんもその後に着いていく。
 ちょっとした廊下を通っていったら、解体の作業場だった、かなり広い。
 ここなら全部出しても大丈夫そうだな、多分山になるだろうけど。

「ここなら全部出せるだろ。出してみな」

「はい、では出しますね」

 んじゃ、出すか。
 手を前に掲げて…収納墓地から放出っと。

 ドバドバドバドバ………


 ん、全部出たな、やっぱり山になったわ。
 カマキリクモサソリのスパルティス12体、イノシシクマのボアードベア7体、翼イヌのウグルフォルク18体、ネズミウサギのマビットゥラース23体、内訳はこんな感じだ。


「「「…………………………」」」


 おっと、3人とも固まってる。
 一気に出しすぎたか?山にしちゃったしな……。

「……あの、これ、ナオトさんが、全部一人で狩ってきたんです…か……?」

「えぇ、そうですけど…すみません、一斉に出し過ぎましたかね?」

「…おとーさん、見たことない魔物ばっかりだねー」

 え、そこなの?だってここから数時間の所にある森だよ?この街の冒険者なら誰でも知ってるんじゃ…?

「…あぁ、カティは知らないわな。俺もこの中じゃ、そこのネズミだかウサギだかわからんような奴を1回だけ見たことはあるが…それ以外は初見だな。ナオトって言ったか…お前さん、漂流者なんだよな」

「あ、はい、そうですね。この世界に来たばかりです」

「なるほどな…。ラナ、こいつは多分『空崩からくずの森』から来たってことだろう」

「えっ!?まさかそんな…あの森は入ったら最後、二度と戻ってくることが出来ないって……あっ!」

 ん?何それ?あの森そんなに危険だったの?
 まぁ、魔物はそれなりにいたけど、それ以外は割と何処にでもあるような普通の森だったと思うけど…。

「あぁ、恐らくそういうことだ。外から入ると二度と出られないが、中からなら出られる、つまり…漂流者しか出て来られないってことだ。俺が見たことのあるこの魔物も、偶然出てきたのを狩った奴がここに持ち込んだってところだろう」

「…じゃあ、この魔物は全部、『空崩からくずの森』にいた魔物っていうことですか……」

「だろうな。でなきゃ説明がつかん」

「そんな…それじゃわたしの手には負えませんよ……ディモルさんでも無理ですよね?」

「まぁ、無理だわな。だがまぁ、解体してみりゃある程度は分かるかもしれん。とは言っても分かるのは精々こいつらのおおよその強さくらいだと思うがな」

 そっか…まぁ見たことない魔物ならそうなるよな…また面倒なところから転生してきたもんだ。
 俺的にはただサーチ&デスってただけなんだけれども。

「おとーさんーかいたいするのー?カティやりたいなー」

 マジか、この子スゴいな…ラナさんの言ってた通りホント物怖じしないな。
 あー、好奇心の方が勝ってるのか、子供だもんなぁ…。

「このいのししくまさんみたいなやつー」

 まさかの一番デカい魔物選択、それはちょっと好奇心旺盛すぎなんじゃ……。

「まぁ待て、俺も見たことがねぇ魔物だって言っただろう。ってことはだ、この街で知ってる奴もいないだろうってことだ。大抵の魔物はここに持ち込まれるんだからな」

 そりゃまぁ普通に考えたらそうだろうな…狩った魔物を自分で解体出来る人ならともかく、大体みんなここに持ち込むんだろうし。
 俺もこれからお世話になりますよ。

「つまり、だ。誰も知らないような魔物を一番最初にバラすのは…俺だっ!」

「えー!おとーさんズルいー!カティもやりたーいー!」

 あぁ…この二人間違いなく父娘だわ、確信した。

「あはは…とりあえず、解体してみないことには査定も出来そうにないみたいなので、そうですね…見たところ魔物の種類は4種類だから、1種類1体ずつ解体してもらい、その解体結果で査定してみようと思いますが…どうでしょうか?」

「そうだな、その辺が妥当なところだろう。という事で、だ。ナオト、悪いが1体ずつ貰うぞ、いいか?勿論いいよな?」

 ディモルさん、目が怖ぇよ…めっちゃ血走ってるから!どう見ても断れないじゃねぇか……。

「え、あ、はい、それで構いませんが…」

「よし!カティ!イノシシクマと虫は俺がやる。お前は翼イヌとネズミウサギだ、いいな」

「うーん、いのししくまさんやりたかったけどー…わかったー、やるー!準備してくるねー!」

 カティちゃんが準備するって言って解体所の隅にある小部屋に向かって走っていった。
 期せずしてお子様解体ショーが見れることになったぞ…どんな感じでやるのかちょっとだけ楽しみだ。

「ナオト、悪いが一旦解体するやつ以外を回収してくれ」

「あ、はい、分かりました」

 今のままじゃ少し手狭だしな。
 あー面倒だから一回全部墓地に回収して…と、それから1種類1体ずつ放出、と。

「これでいいですかね?」

「お、おぅ…ナオト、お前さんの収納、えらく高性能だな…普通一気に回収とか出来ないんだが」

「そ、そうですね…あれだけの量を収納出来るところも凄いと思いますし……」

 あ、そうなの?魔法袋とか収納スキルあるって言ってたから大差無いのかと思ってた。

「あー、そうなんですか?自分じゃまだ分からなくて…なにせ来たばっかりですし…」

「まぁ、漂流者だからな、細かいことはどうでもいいか」

「えと、まぁ、そうですね、漂流者ですからね」

 あーその、漂流者、って一言で片付くのね。
 だったらこの先も何かあったら、漂流者ですから!って言っとけば大丈夫な気がしてきた。

「おとーさんー準備できたよー」

 お、カティちゃんが戻って来た…って、何だか凄い装備になってるな…なんだろ、あれ。


[対象者:カティリアーナの装備を表示]

【ステータス(装備品)】
《装備》
 頭部(前):レリゲイトゴーグル
        付与:視覚効果緩和(―)
           切断部位判別(―)
           防塵(―)
 胴部(前):カティ専用解体作業エプロン
       (ちょうちょ)
        付与:防汚(―)
           防塵(―)
           持久力上昇(中)
 腕部(両):パークスガントレット
        付与:腕力上昇(中)
           器用度上昇(中)
 脚部(両):パージルグリーブ
        付与:脚力上昇(中)
           敏捷度上昇(中)


 おぅ…分析解説が仕事した、ちょっとびっくりしたわ。
 なるほど、解体用の装備ってわけか。
 ちっちゃいカティちゃんの足りない力を装備で補強して解体するわけね。
 見た目はちょっとゴツい両手両足、顔半分以上隠れたほぼ仮面に近いゴーグルに蝶のワンポイントが付いた青い子供用エプロン…全装備に付与効果があるってことは、相当良い装備なんじゃないか?これ。


しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

処理中です...