異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜

文字の大きさ
58 / 214
第三章 来訪、襲来、ガルムドゲルン

#05 覚悟を決めて

しおりを挟む


 ニル婆の地図通り、アーネの先導でまた歩き始めた俺達…俺だけ足取り重いけど。

 途中、また地図通りじゃない箇所に何回かブチ当たったけど、タネはもう分かってるからシータとマールで起動装置を探して、アーネがそれを解除していった。
 壁の先にすぐ罠がある所もあったけど、それもアーネが看破して解除していった…何気に優秀なアーネにちょっと驚き…いや、こんなこと言ったらアーネにぶっ飛ばされそうだから口には出さないけど。

 大分奥まで進んで来たような気がするんだけど、何故か奥に進むほど魔物の遭遇率が低くなってきて…アーネの持ってる地図上に付いているチェックマーク近くまで来たら、全く魔物が居なくなってしまった…これじゃ呻き声の原因なんてさっぱり分かんないぞ……。


「そこの分かれ道、右に行けばこの印の場所に着くと思うんだけどよぉ…呻き声ってなんだ?そんなもん出すようなやつ全然いねーじゃねぇか……」

 アーネが右側へ行く道を指差しながら俺が思ってたのと同じ事を言ってきた…そりゃ何も居ないんだからそう思うよなぁ…。

「あれやないか、もうその印のとこが呻き声の原因ってことなんちゃうか…?」

「それしかぁ~思い付かないぃよねぇ……」

 だろうなぁ…やっぱそこに呻き声を出す何かが居るってことなんだろうなぁ…こんな奥から村まで聞こえてくるってことは…相当デカい何かってことじゃないか?

「誰だよ、お宝なんて言ってたやつはよ…」

「せやかてそんな古臭い地図見たら誰だってそう思うやろっ?ちゃう?」

「…俺は最初から違うだろうなって思ってたけどな…」

「…いやっ、まだ分からへんやろっ!とにかく行って確かめんとっ!」

「う~ん…ここまでぇ来ちゃったらぁ~、期待ぃ出来そうにぃないよぉねぇ……」

「だよなぁ…。ま、なんにせよ行くしかねぇか」

 まだお宝の可能性を捨て切れてないシータ…そんなにお宝が欲しかったのか?まぁ、こんな地図見ちゃったらお宝だって思いたくなるのも分からなくはないけどさ。


 全員で右側の道に入って進むこと数十分…地図上の目的地に到着して待っていたのは………壁だった。

「…なぁ、アーネ。行き止まりなんやけど……」

「見りゃ分かるって。けどこの地図だとここが印の場所だぜ?また罠ってことか?」

 俺のマップだと、この壁の先がでっかい空洞になってるっぽいんだけど…ただ特にマーカーは見えないから何かいるってわけでも無さそうなんだよなぁ……これ罠って感じじゃなくて、ホントに壁で塞がれてるっぽい…。
 なに、壊して進めってこと?いや、そんなことしたら洞窟自体崩れちまうよなぁ…。

「…あぁ~、ねぇ~、ここにぃ何かぁ~書いてぇあるよぉ~」

 罠だと思ってさっきと同じように周りを調べてたんだろう、マールが何か見つけたらしい。
 みんなでそこに寄ってそれを見てみた。

「…なんだこりゃ?確かになんか書いてあるっぽいけど…見たことねぇ字だな。全然読めねぇよ」

「ホンマやな…ウチも見たことあらへんわ」

「私もぉ~分からないよぉ…これぇ~、文字ぃなのかなぁ~?」

 3人とも見たことがない文字?らしい…俺も3人の後ろから覗き込んで見てみたら……普通に読めた。


 いや、だって漢字とひらがなだし、普通に読めますが何か?つまり…漂流者絡みってことじゃねーかっ。

「ナオトはんは…って、その顔、これ読めるんやな…」

「あ?ってことは…ナオトの世界の字ってことかっ」

「…なぁ、みんな。もう帰らないか?クエスト失敗でもいいから……」

「えぇ~!?どうしてぇ~?」

「いや、だって明らかに漂流者絡みだし…文面からして嫌な予感」


 グオオオオォォォォオオオオ……


「「「「っ!?」」」」

 いきなり響いてきた大音量に全員が耳を塞いだ。
 俺は闇護膜ダルクヴァルドのおかげで身体にダメージを受ける手前くらいまで音量が抑えられたっぽいけど、姫達は全員屈み込んで獣耳を手でペタンと思いっ切り押さえつけてる…こんな時に不謹慎で失礼だとは分かってるんだけど、ごめんそれ可愛いと思ってしまった……。

 モラットさんが言ってた通り1、2分くらいでその音は止んだ。
 これが例の呻き声ってやつか…近くで聞くと呻き声どころじゃないな、これ…。

「みんな大丈夫か…?」

「…あー……よく聞こえねぇ………」

「……びっくりしたわ………」

「…耳がぁ~……キーンってぇ………」

 マールが一番ダメージ大きそうだ…聴覚強化とか付いてたもんな、確か…。
 少し回復するまでその場で全員静かにしながら待つことにした…マールはもう回復かけた方がいいんじゃないか?って思ったけど、そこまでしなくても何とか復活したみたいだった。


「…原因が分かったから帰ろうか」

「いや、分かってねぇからな?」

「……発生場所が分かったんだからもういいだろ…」

「発生源は分かっとらんやないか」

「………正直これ以上首突っ込みたくないんだけど……」

「ここまでぇ来てぇ~それはぁどうなのぉ~?」

 ですよね…でもさぁ……これ読むとさぁ、誰でも避けたいと思うんですよ……。




『これより先に進む覚悟がある人は、この下の文章を声に出して読んでね』




 で、下の文章はというと…




『開けたからには全責任を持ちます』




 もうさ、地雷確定ですよね、これ。

 あーっ開けたくねぇぇぇええ!!

 何故かマップ上マーカーは無いんだけどさっきの呻き声?出した奴がいるのは確定してるから、ソイツに対して全責任を持てってことだよなっ!こんな所に閉じ込められてる時点でロクなもんじゃねぇって分かりきってるんだから、余計に開けたくないわっ!!

 どうにかして回避出来ないか、これ…あ、そうか!これみんな読めないんだから適当に誤魔化して説明すれば……

「なぁ、アコ。これなんて書いてあんだ?」


「[文字解読:これより先に進む覚悟がある人は、この下の文章を声に出して読んでね]」
 

「あーなるほどね、あんがとな、アコ。くははっ」

 ………説明……なんでお前がするんだよ……もう回避不可能じゃねぇか…………しかもこれで姫達3人共お前が勝手に決めた親密度基準値超えてるってことじゃねぇか………。


[対象者:遊佐 尚斗に対する好感度を一覧


 がぁぁぁあああ!!だから見せんなって言って……あ?今、好感度って………


[スキル設定・アコ:スキルホルダーに対する好感度により任意発動へ変更済]


 ちょっと待てやぁぁっ!お前なにしてくれちゃってんのっ!?お前ホントなにしてくれちゃってんだよっっ!!変更済ってお前自由過ぎだろーがぁっ!!ヤメロっつってもどうせ聞きゃしないんだろっ、せめて親密度に戻してくれっ!頼むからぁぁ!!


[…………スキル設定・アコ:スキルホルダーに対する親密度により任意発動へ渋々変更]


 この際渋々でもいいっ、それでいいからもうさっきのはホント止めてくださいっ!リアルでギャルゲーとか求めてないのでっ!!今のままでも十分ギャルゲーっぽいけどっ!!
 っていうかもう手遅れだけどなっ!!勝手に変更してた好感度でもお前の基準値超えてるってバレバレじゃねぇかっ!!
 けど俺は信用しないぞっ、お前のその好感度ってやつはなぁっ!!たかだか数日かそこらで好きになるなんてそんな都合の良い話は絶っっ対に信じねぇからなぁっ!!!


「覚悟…ねぇ…。どないする?さっきの呻き声?聞いた後やからそれなりの覚悟は必要やと思うけど…」

「ん~…でもぉ~、村のぉ人達はぁ~困ってるぅみたいだからぁ~…何とかぁしてぇあげたいよぉねぇ……」

 …ふぅぅぅ……俺が一人脳内でアコ相手に叫んでたのはどうやらバレなかったらしい……とりあえずその件については後でアコとじっくり話すとして、今はこっちだな…。

 そりゃまぁ、俺だって何とかしてあげたいとは思ってるよ…思ってはいるんだけどさ……訳も分からず全責任を持てって言われて、よっしゃ!持ってやるよ!なんて思う人がどれだけいるんだよ…あれだよね、絶対的に自信のある俺様系主人公くらいじゃないですかね…?

 俺?ははっ、こんなやつどこからどう見ても主人公なわけないじゃないですかーやだなぁ。
 今はまぁ相当運良く獣人ハーレム状態ですけど…俺様系になれる素質はこれっぽっちもないっていう自覚はありますよ、はい。

 これはもう正直にみんなへ伝えてどうするか考えてみるしかないかな…。

「あのさ…その、多分ここを開くための鍵が下の文章なんだろうけどさ……そこにね、開けた人が全責任持つようにって書いてあるんだよ…」

「ってことは、ナオトしか読めねぇんだから必然的にナオトが全責任持つってことになんのか」

「まぁ、アコはんも読めるけどナオトはんのスキルやからどっちも変わらんしなぁ」

「そっかぁ…それはぁ~躊躇しちゃうぅよねぇ……」

「そうだよなぁ…ナオト一人に押し付けるっつーのも後味悪ぃしなぁ……」

「ええやんか、開けるんはナオトはんでもウチらが立ち会ってるんや、ウチらみんなで責任持てばええんちゃうか?」

 いや、それは…責任持てるようなものならいいんだけど、あんな声出すものって以外全く分からないし、むしろこんな所に封印紛いなことされてるものなんだから危険な可能性が高い……って、まぁ、文章的には全く以て緊張感が無いから危険性は低いんじゃないかなぁ、と思ったりもしてるんだけど、でも責任持てって言ってるくらいだから厄介なものだってのだけは何となく想像出来るよ…。

「でも、あれだよ、十中八九面倒なものだと思うよ…。どんな責任持たされるかもさっぱり分からないし……」

「んー…まぁ、何とかなんじゃねーの?漂流者の仕業なんだし、こっちにも漂流者いるんだしよ」

 それはちょっと安直すぎやしませんかね、アーネさんや…。

「ナオちゃんしかぁ~開けられないんだからぁ~、私はぁナオちゃんにぃ~従うよぉ~」

 え、ちょっとなんでそんな従うとか…マールが従順するとか想像しただけで怖…あ、いや、そうじゃなくてパーティーの仲間なんだから上下とか関係ないでしょう?

「うん、せやな。ウチもナオトはんに従うで」

「アタイもそれで構わねぇぞ?」

 は?ちょっ、みんな何言ってんの?シータなんかこのパーティーのリーダーでしょうがっ。

「いや、ちょっと、それはおかしいって。確かに開けられるのは俺だけかもしれないけど、従うってのはどうなの?このパーティーのリーダーはシータなんだし」

「いや、マールの言う通り開けられるんがナオトはんしかいないんやから、ナオトはんの方針に従うっちゅうだけなんやけど…」

「それ、俺に丸投げしてますよね、シータさん…」

「…そ、そんなこと……あらへん…よ……?」

 あさっての方向向いて言ってる時点でアウトぉっ!

「いや、だからさ、もうちょっとみんなで考えてさ…」

「考えるもぉ何もぉ~、開けるかぁ開けないかぁのぉ~二択でぇ、その権限を~持ってるのがぁこの場にはぁ~ナオちゃんしかぁいないよぉねぇ~?」

「だな。だからアタイらはナオトに従うしかねぇってことだよ」

「そ、そうやっ、だからウチもそう言っとるやんかっ」

 言ってることは確かにそうなんだけど、少しはみんなの意見を聞きたかったんだよ…。

「…要するに、みんな俺に丸投げってことね……」

「ま、必然的にそうなってるってだけだっつーのっ。で、どーすんだ?開けんのか?開けねぇのか?」

 ぐっ…いや、ホント開けたくないんだけど……でもそうすると村のみんなが……クエストが……あーもー!分かった!分かりましたよっ!

「…俺が全責任持てばいいんだろっ!開けるよっ!」

「うん、ナオトはんならそう言うと思っとったわ…」

「なんだぁかんだぁ言ってぇ~、みんなを~放ってぇおけないぃんだよぉねぇ~…ナオちゃんはぁ~」

「心配すんなって、アタイらもちゃんと責任持ってやるからよっ!」

「「うんうん(~)」」

 うん、その気持ちは嬉しいんだけど、それよりやっぱりみんなを危険に晒すわけにはいかないからな…。

「…それは嬉しいんだけど、何が出てくるか分からないから一旦全部俺が受け持つよ。俺の手に余るようだったらみんなにも頼むかも……」

「ナオトはんの手に余るもんがウチらでどうこう出来るとは思えへんけど…な」

「案外ぃ~どうにかぁ~出来ちゃうかもぉよぉ~?」

「マールの言う通りかもな。ま、とにかく開けるって決めたんだ、頼むぜっナオト!」

 結構みんな楽観視してるんだな…なんでだろ?未知のものに対する恐怖心とか薄いのか…?それとも、漂流者の俺がいるから…?いや、それはないか、そこまで全幅の信頼おける程まだ付き合い長くないし。
 まぁ、とにかく覚悟は決めたんだ、開けてみるしかないっ!


しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

絡みあうのは蜘蛛の糸 ~繋ぎ留められないのは平穏かな?~

志位斗 茂家波
ファンタジー
想いというのは中々厄介なものであろう。 それは人の手には余るものであり、人ならざる者にとってはさらに融通の利かないもの。 それでも、突き進むだけの感情は誰にも止めようがなく… これは、そんな重い想いにいつのまにかつながれていたものの物語である。 ――― 感想・指摘など可能な限り受け付けます。 小説家になろう様でも掲載しております。 興味があれば、ぜひどうぞ!!

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。

シトラス=ライス
ファンタジー
 万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。  十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。 そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。  おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。  夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。 彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、 「獲物、来ましたね……?」  下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】  アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。  *前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。 また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!

処理中です...