異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜

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第三章 来訪、襲来、ガルムドゲルン

#16 モフモフチャレンジ

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※※※※※



 漂流者三人での話が終わったから、みんなのところに戻ったんだけど…やってることがみんなバラバラだった。
 てっきり全員でワイワイやってるもんだと思ってたんだけど…。

 アーネはなんか仏頂面して酒煽ってるし、シータは神妙な顔して弘史のパーティーメンバーのフラムって娘と話してる。
 マールとリオはさっきとあまり変わらず百合百合…じゃない、お姉ちゃんが甘やかしてる感じになってるし、ラナとリズは黙々と料理を食べてる。

 そんなに長い時間離れてたつもりはなかったんだけど、ちょっと待たせちゃったかな?

「ごめん、みんな。話終わったから」

おふぁひぇひーおかえりー

「ちゃんと飲み込んでから言えよ、リズ…。アーネ…は、まだ機嫌悪い…のか?」

「…別に悪くねぇよ」

「じゃあなんでそんな顔してんだよ…。ちゃんと言ってきたからさ、もう水に流してくれって」

「……そうかよ」

 こりゃ完全にへそ曲げてるな…でもまぁいいか、どうせ無茶苦茶になるんだ、無視しちまえ。

 アーネの側まで寄って一言、

「アーネ、ちょっとモフモフさせてくれないか?」

 って空気も読まず何の脈絡も無く言ってみた。


「「「「「………は?」」」」」


 姫達とラナ、あと何故かリズが素っ頓狂な声上げた。
 まぁ、そうなりますよね、当然。

「だからモフモフさせてくれって」

「……あ?あー、なるほどな…。そーゆーことならしゃーねぇなぁ…ったく、いいぜっ、ほらっ」

 怪訝な顔してチラッと視線をヒロシに向けた後、俺がいきなりこんなこと言い出した理由に気が付いたみたいで、しょうがないと言いつつも頭を俺に差し出してくれた…仏頂面から怪訝な顔になった後だからか、そこへ更にニヤけようとして失敗したっていう感じの複雑な表情してたけど…ちょっと面白かった。
 そもそもの言い出しっぺはアーネだったからちゃんと分かってるみたいでよかった…。

「じゃあ、ちょっと失礼して…」


「「「あっ…」」」


 他の姫達3人が何か言いたそうにしてたのを余所に、アーネの頭の上に手を置いて獣耳を触ってみた。
 アーネの獣耳はアーネが俺に抱きついてきた時触ったけど、今みたいにじっくり触ったわけじゃないからな…獣耳含めて撫でてただけだし。

 虎の耳だけど、結構モフモフしてる…毛の感触がやっぱりいい。
 時々ピクッピクッ、って動くのがまた触り心地を良くしてくれてる感じ。
 あと、アーネに触れるとどうしても実家の猫を思い出してしまう。
 こうやってよく撫でてたもんなぁ…。


「……んっ………はぁァァ……………」


「っ!?」

 光の速さで手を離した。
 おまっ!なっ…なんて声出してんだよっ!?

「……はぅっ!?やっ、ちょっ!いい、今のは無しっ無しっ!!ち、違……っ!?」

 咄嗟に口元を両手で塞ぐも、時すでに遅し、かなり必死こいて言い訳し始めた…。


「「「「「「「………」」」」」」」


「ちちっ、違うからっ!きき、気持ち良いとかそういうんじゃねーからっ!!」

「いや、何言うとんのや…それしかないやろ今の声……(ゴクッ……」

「アーちゃんのぉ…あんなぁ声ぇ……初めてぇ聞いたよぉ……(ゴクッ……」

「……アーネ…そ、そんなに良かったんだ……(ゴクッ……」

 えーっと…君等も何で喉鳴らしてるの?
 え、まさかとは思うけどやってほしいとかってわけじゃないよね…。
 

「いやだから違うんだって!頼むから聞かなかったことにしてくれぇぇ!!」


 …そりゃ無理だ。
 まさかアーネからあんな艶っぽい声が出てくるとは思ってもみなかった……すげぇ焦ったわっ!
 駄目だこれ、人前でおいそれとやっていいことじゃなかった…っ。


「っていうかナオト、何がしたかったのよ?」

「そ、それはだな…」

「俺がモフモフし放題なんだろって言っただけなんだけどよ…」

「……あぁー、そーゆーことね。なら別に変じゃないけど…アーネちゃんの予想外の反応に焦っちゃったわけだ、にししっ」

 あれは誰でも焦るだろうっ、俺は超焦ったわ!
 心臓ドキドキして変な気分になりそうだった…そっち方面の焦りが強かったってのっ。

「……弘史………これ、ちょっとあれだ……人前でやっていいようなことじゃなかったわ……」

「あー、なんか悪かったな……。けどよ、やっぱ俺もますますモフりたいって思ったわ……」

 気持ちはとてもよく分かるが、時と場所を考えないと危険だってことが判明したよ…そういう意味だと今やっといて良かったのか……周りがこんだけ騒がしくて、この辺りだけでしか聞こえなかっただろうから。

「えっと…あ、ありがとな、アーネ。とても良いものでした…」

「………」

 あー、うん、俯いてプルプル震えてるよ…まぁ、そうなりますよね。
 ごめん、これは全面的に俺が悪いから、後で気が済むまでいくらでも責めてくれていいです…。

 と、今まで相変わらずの無表情でやり取りを見てたリオが俺の近くにやってきて、また袖をクイっと引っ張ってきた。
 なんだろ?と思ってリオの方に向いたら…

「……………ん………………」

 って、黙って頭を俺に差し出してきた…。
 え、なに、リオもしてほしいって?いや、リオはモフモフするところ無いし…。

「………角……触って………い、い……よ…………」

 あー、モフモフとかじゃなくて、アーネみたいに触ってほしかっただけなのか。
 いや、この流れで触るのは、何となくまた予期せぬ事態になりそうな気がするんだけど…。
 
「えーっと…触って…欲しいの?リオ…」

「………(コクっ……。……触っ、て……?………」

 触らないと収まらないのか、これ。
 まぁ、本人から触ってくれって言ってきたんだから、アーネの時とは違うけど…それ以前に主旨が違ってます、リオさん……モフモフするのが目的だったので…。

 とは言っても、本人の希望ならしょうがないよな、と自分を納得させて触ってあげることにした。

 側頭部から生えている二本の角の内、俺から見て右側、リオの左側の角をゆっくりなぞる様に触ってみた。
 気持ち薄紅色掛かった角は一見すると硬そうに見えたんだけど、実際こうして触ってみると、やっぱり見て思った通り硬かった。
 けど、触り心地は意外と悪くない…もっとこう、ゴツゴツザラザラしているかと思ってたんだけど、表面は滑らかで、なんて言ったらいいんだろ、鉄パイプの表面が蛇の鱗状になってる感じのもの?が一番近いような気がする。


「……………んっ………ふぁぁ………………」


 また俺の手が光速で動いた。
 予想通りだよっ、リオまでそんな声出すんじゃありませんっ!

「…………もっ、と………………」

「いやいやいやっ、ダメだって!」

「………ど、うし…て……………?………」

「と、とにかくダメなのっ!」

 俺の理性突破してくるようなことだからですっ!
 リオは何かその辺の感覚ズレてないかっ!?
 あ、いや、もしかして…ずっと洞窟に一人だったから、人肌恋しいのか…?
 やけに乗せたがるし、マールにも引っ付いて甘えてたし…。
 でも、もしそうだとしてもそういう色っぽい声出すならダメっ!二人っきりならともかく、こんな大勢の前ではよろしくありませんっ!!
 二人っきりの時は確実に俺の理性防壁貫通してくると思うけどっ!


「……リーちゃん~、ここはねぇ~人がぁいっぱいぃ~いるからぁねぇ~…」

「………人……いっ、ぱい………いな、けれ…ば…………いい……?………」

「あー、うーん…それは……まぁ、ええんちゃう…か…?」

 いや、全然良くないですシータさん。
 俺にあんな声聞かせようとする時点でアウトです、何言ってるんですかあなたはっ!

「かぁー!ったくよぉ、やっぱうらやましいぜっ、ちくしょー!」

 リオはモフモフでも何でも無いんだけどな…。
 あの触られたがりは今後要注意だ、不用意に触れないよう気にしとかないと…。

「ひ、弘史さん……ああ、あの、えと………」

 知美ちゃんがおずおずと弘史に寄ってった…あ、何?君等もやっぱりそういう関係だったの?

「…フッ、そうだな……」

 と、ボソッと溢してフラムもヒロシの方に近寄って行った。
 ん?これはもしかして…。

「…ええ、えと、そそその、どど、どうぞ……」

「ん。ほら」

 そう言って頭をヒロシに差し出した二人。

「…は?なっ、何だよ二人とも……」

「何って、私達もヒロシのハーレムメンバーなんだろう?一応。それとも何か?私達では不服なのか…?」

「……(コクコクっ…」

「…え、あ、いや、んなわきゃねーけど……」

「だったら何も気にすることは無いだろう。ほら」

「……お、お前ら……」

 二人がヒロシを気遣ったんだろう、少し気後れしながらも二人の頭に片方ずつ手を置いて撫で始めたヒロシ…なんだよ、何だかんだ言って上手くやってるんじゃないか…ぶっちゃけ俺よりいい感じだろ、それ…。

「……ふぁっ………えへへ…………」

「……んっ……これは…中々………」

 撫でられてる二人、めっちゃ嬉しそうなんですけど…。
 それ、どっからどう見ても確実にハーレムじゃねぇの?俺の方が羨ましいわっ!


「「「……いいええなぁ…(ボソッ……」」」


 何かボソッっと聞こえたから振り向いてみたら…シータ、マール、ラナ、3人ともバラバラにあさっての方向へサッと顔を反らした…俺が振り向いた瞬間、とても羨ましそうな顔をしてたのは気のせいだと思いたい。
 まぁ、俺もですがねっ!やっぱりイケメンは何処まで行ってもイケメンだったわ…。

「あー、うん、弘史くん。君、俺よりしっかりハーレムしてるじゃないか…」

「……いや、こいつらが優しいだけだっての……」

 そういう弘史くんの目も、とても優しい目をしてますがね。
 無意識かっ、それがモテる秘訣なのかっ?

 俺もいつかはそんな風になれるといいなぁ…なんて夢見るのはダメかな…。
 いつの日か俺から「モフモフさせて?」って言っちゃっても大丈夫な日がくるんですかね…?
 今は弘史の手前、アーネがやらせてくれたんだろうけど、何でもない時に言って拒否られた日にはもう、俺ショックで逃げ出すしかないです…。


 って、こんな時にこんな感じになっちゃったけど、まぁこれが俺達なりの士気の上げ方ってことで、この後も弘史達含めてワイワイやりました。
 明日は…いろいろ準備して、余裕があったらリオの話聞ければいいかな…。


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感想 12

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