ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上

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蛇足

春風 14

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 黒服から鍵を受け取り、部屋へと向かう。

 ドアを開けるなり受付嬢が駆け出し。
 ばふっ、と。
 そのまま勢い良くベッドに飛び込んだ。

「うー、疲れたー」
「……おい」

 横になって布団に顔を埋め。
 手足をバタバタさせ何やら喚いている。
 結構溜まってる様子。
 まぁ、さっきまで真面目に仕事してた訳だからな。
 そりゃ色々溜まるよな。

 ただ、受付嬢もいい大人である。
 飛び込むのはどうなんだと思わんでもない。
 半分呆れつつ。
 軽く声を掛けてみるも、反応は無し。

 へんじがない。
 ただのしかばねのようだ。

 ってのは冗談だが。

 これでも、一応前世では社畜だからね。
 その気持ちは分からんでもない。
 しゃーない。
 いくら歳取ったとて、そういう気分の時もあるよな。
 もはや懐かしいぐらいの記憶だけれど。

 いや、俺も同じく仕事帰りではあるのだが。
 こっちの場合、仕事なんて言っても薬草採取だからね。
 数時間も掛からず終わるし。
 大して疲れもしなければストレスもない。
 しかも、だ。
 それが終われば、後はギルドで飲んだくれてる訳で。
 その前から出勤してて今さっきまで仕事中。
 受付嬢と同列に語るつもりはない。

 仕事の内容も、言わば接客業だし。
 最近じゃ部下も持ち始めたっぽいからね。
 適当に働いてる様に見えて。
 大変ではあるのだろう。
 本人の性格がそう見せないだけで。

 にしても……

 多少は暴れて満足したのか。
 ベッドの上でだらりと四肢を投げ出し。
 リラックスしてる受付嬢。
 その一部に視線が引き寄せられる。

 スカート。
 別にミニって訳でもなく。
 普段ならそう視線を引く要素もない。
 一般的な格好。

 ただし、彼女はベッドに飛び込み。
 ひとしきり暴れた訳で。
 そんなことをすればスカートの防御力では心許ないのは自明。
 一部が捲れ上がり。
 白い太ももが部屋の明かりに照らされている。
 下着こそ見えていないものの。
 ぎりぎり。
 あと数センチも捲れれば見えてしまいそう。

 所謂、絶対領域ってやつだ。

 男がこの魔性の魅力に逆らえるはずもなく。
 例に漏れず、俺の視線も釘付けに。

「? あ、……おじさんのエッチ」

 少し経って。
 俺が黙ってることに疑問でも感じたのか。
 こっちを振り返り。
 一瞬、頭にハテナを浮かべていたが。
 すぐ異常に気づいたらしい。

 すっと、スカートを直し。
 ベッドの上で座り直してしまった。
 まぁ、ここまで凝視してたら流石にバレるか。
 残念。
 でもその仕草もそそるものがある。

 内股気味に座り、手でスカートを軽く押さえるような格好。
 んなことしなくてもここは室内である。
 風なんてないし。
 そもそも暴れなけりゃ、捲れようもないのだけど。
 まるで手をどけたら勝手に捲れると言わんばかり。
 完全な防御姿勢である。
 別に服自体は一般的な物なのだ。
 いくらスカートとはいえ、そんな気を張る必要は無さそうなもんだが。
 実際、さっきまで気にしても無かった様だし。

 一度意識してしまうと、ってやつか。
 目を合わせようとするも逸らされてしまった。
 頬が赤く染まっている。
 娼館に来てる癖に……
 そう思わないでもないけど。
 恥ずかしいものは恥ずかしいらしい。
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