悪役令嬢のafter story〜王子に婚約破棄されて公爵家からも勘当された少女は好きに生きていく事にしました〜

二章※1話以降現在推敲中

5話

5話
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

　……朝だ。

　窓から陽の光が差し込んでいる。
　結構早い時間なのだろう、まだ朝日も大分低いところにある。
　部屋の奥の方まで直射日光が当たる。

　眩しい。
　でも、気持ちのいい目覚めだ。

　見覚えのない天井にももう慣れた。
　昨日と違ってセンチな気分になることもない。
　むしろ新鮮味があっていいかもしれない。

　しっかり疲れも取れたかな？
　昨日と違って体のあちこちが痛いなんてこともないし。
　うん、高いお金を払っただけはある。

　やっぱりベットは柔らかいに限る。
　硬いのはダメだ。
　ましてや床並みなんて、論外。

　しかし、悪夢を見ずに済んで良かった。
　ある程度うなされる可能性も視野に入れて覚悟していたのだが。
　私の心は案外強いらしい。

　人を殺しておいて引き摺らないというのも、果たしていいことなのかどうか判断に迷うところではあるが。
　今の私のとっては都合がいいし、ことさら気にしても仕方がない。

　着替えだけ済ませ、宿の外に出る。
　人通りはそれほど多くない。
　ここ王都じゃ、日の出と共に行動するなんて田舎思考の人間、庶民の中でも案外少ないのだろう。

　門に続く大通りを荷物を積んだ馬車がいくつか走っているだけ。
　遠くに運ぶにはこれぐらいに出ないと日没までに間に合わないのだろう。
　日を跨ぐ場合はその限りじゃないんだろうけど。

　王都の外は危険だ。
　魔物はもちろんだが、盗賊が出る。
　夜になると視界も限られるし。

　スラムとそう大差ないか、それ以下の治安だと思う。
　護衛の依頼なんかもあるらしい。
　時間の割に報酬が低いからやるつもりはないけどね。

　そういえば、魔法剣士の案は一時凍結することにした。
　早急に稼ぐ必要も無くなったし。
　明らかに、無駄なリスクを負う羽目になる。

　受付嬢にもしっかり覚えられてる様だし。
　不自然を与えたくない。
　ただ、ランクを上げるためにも毎日一回の依頼達成は欠かすつもりはないが。

　入るお金は大したことない。
　言わば身分証代わりだ。
　Dランクの冒険者カードじゃ無いよりマシ程度の意味しかなさないかもしれないが、CとかBになってくると結構な信用を得られるはずだ。

　Aランクの冒険者相手だと、下級貴族は無碍には出来ない。
　力の証明でもあるし。
　それぐらい、冒険者は実力主義の世界だ。

　で、魔法剣士の案を破棄した以上。
　それとは別に何か結局商売を考えなきゃいけないんだが。
　ちょっと妙案がある。

　寝たら頭がスッキリして思いついたのだ。
　やっぱり睡眠は大事だ。

　在庫を持つようなリスクを取って商売をする気も今はない。
　リスクを抑えて稼ぐのだ。
　もっとも、おそらくは違法だろうけど。

　そのために、ちょっと人手が欲しい。
　ただ、闇ギルドの奴らは信用ならないし。

　……奴隷、かな？

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー