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9章 魔石と魔剣
9-7. 納品 *
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まずはフェリア商会へ出向いてアイスの魔石を納品してから、その後は温泉でのんびりだ。
「ユウさん、ずいぶんと早かったですね。注文をお知らせしたのは冬前だったと聞いていますが」
「カークトゥルスで魔石を取ってきましたので」
「ということは、オークションが待ちどおしいですね」
昨年も同じようにカークトゥルスで大量のマジックバッグを取ってきてオークションが開かれたので、今年もあるのではないかと商人の仲間内で話が出ていたらしい。
いつもお世話になっているし、付与の商会の件では結局フェリア商会は手を引いたので迷惑だけかけてしまったから、僕の手持ちの物をお礼に売ってもいいだろう。
「買い取りに出していないものから売りましょうか?」
「ユウ、ダメだ」
「ええ、ユウさん、大変ありがたいお話ですが、それはおやめになったほうがいいでしょう」
僕はフェリア商会に付与の魔石を売っているけど、僕の名前は伏せられている。武器への付与はしないと明言している僕が、生活のためのものであっても付与で商売しているとなれば、武器への付与もと言ってくる人がいないとも限らない。ギルドも一応誰が作成者か知らないという体で魔石の注文をしてくれている。それなのに、フェリア商会がオークションで購入したのではないマジックバッグを持っていたら、僕の付与の魔石への関与について言い逃れができなくなってしまう。
周りみんなが知っているのに、知らないふりをしてくれている現状に油断していた。アルが止めてくれなかったら、メンドクサイ事態に発展したかもしれない。
スナンの支店長さんは、僕の失態を気にしていないというように、他よりも少し早く情報を手に入れることができただけで充分ですよ、と笑ってくれた。
改めて今の自由はいろんな人の好意の上に微妙なバランスで成り立っているのだと気を引き締めた。
でも、そんな難しいことはさておき、まずはお気に入りの温泉を堪能だ。
ゾヤラに着いたらまずシリウスのみんなと会って、一緒にブロキオンに行ってもらおう。キリシュくんの恋人にもお願いしなきゃ。
そのために何か渡せるものはあったかな。恋人さんは商人なので、商人で必要なものと言ったらマジックバッグしか思いつかない。でも恋人さんに新しいマジックバッグはいらないとキリシュくんに言われているし、他に何かあるかなあ。
アイテムボックスの中を見てもよさそうなものがない。
「アル、キリシュくんの恋人さんへのお土産は、ユラカヒのお魚でいいかなあ」
「なんで土産なんだ?」
「だって、キリシュくんにもブロキオンについてきてほしいから。長いこと借りちゃうでしょう?」
「ユウ……、行けないと言われても、文句は言うなよ」
さすがにそれくらいは分かっているよ。でも上級ダンジョンの攻略だから勉強になるって一緒に来てくれると信じてる。
のんびりと温泉につかりながら、お土産を考えていたら、アルがつむじにチュッとキスをしてくれた。
いつもは一緒に入ってくれないアルが、今日は僕の機嫌を取るためか一緒に入ってくれている。
「ユウ、ブランはユウのことを大切に思ってくれている。ただ、ユウが温泉が好きなように、ブロキオンが好きなんだ。分かってやれ」
分かっている。僕がブロキオンを嫌いなように、ブランも温泉は好きじゃない。でも今だってこのお気に入りの温泉に来るのを怒ったりはしない。僕がちょっとブランに甘えすぎているだけだ。
ブランは僕の言うことを聞く理由なんてないのに、そばにいて、守って、甘やかしてくれる。本当は神獣っていうすごい存在なのに、僕の犬扱いにも怒らないで付き合ってくれる。僕はブランがいなければ生きていけないのに。
「出たらちゃんとブランに謝る。アルもごめんね。いつもありがとう」
「俺がやりたくてやってるんだ。俺だってユウとブランに助けられている」
アルも僕には甘いから、笑って僕の感謝の言葉を受け取ってくれた。
ブランもきっと僕が謝ったら、「仕方ないな」って何もなかったように流してくれるんだろう。でもそれに甘えていちゃいけないんだ。ちゃんと言葉や行動にして伝えなければ伝わらないことだってある。
それで、温泉から出てブランにちゃんと伝えたかというと、まだできていない。一緒に温泉に入って、お互いに触れたらその後はね。
アルに抱き上げられて温泉から出て、タオルで軽く体をふかれて、そのままベッドに転がされた。今日はどういう体勢でやりたい?と聞いてくる。最近積極的だから、何かやりたいことがあるのかと思ってって言われたけど、改めて聞かれると答えに詰まる。
「……顔が見えるのがいい、かな」
「どういう心境の変化だ?顔を見られるのが恥ずかしいと後ろからのほうが好きだっただろう?」
そ、そんな明け透けに言わないでほしい。思いを態度に表そうと決意はしても、羞恥心は消えないんだから。
でもアルがちょっと嬉しそうだから、ほんとはアルはこっちのほうが好きなのかもしれない。
「アルが、僕で感じているのが見たい」
「ユウ、かわいいな」
アルから視線をそらして小さな声でつぶやいた僕の答えに、ふっとアル笑ったと思ったら、おしゃべりはそこまでというように唇を塞がれた。
ユウの期待に応えられるよう頑張るから、ユウも頑張れよって。えーっと、それは明日は起きれないかもしれないってことかな。まあ、アイスの魔石の納品も終わらせたので、ここでやらないといけないことはもうないし、のんびりしたいからいいんだけど。
「ああっ、アル、あっ」
「ユウ、気持ちいいか?俺は気持ちいい」
「あっ、ん、ああっ」
「気持ちいいなら気持ちいいと言ってくれ」
「きもち、いいっ」
「そうか。よかった。ほら、ユウ、こっちをしっかり見て。俺が感じてるところが見たいんだろう?」
アルが意地悪だ。なんか最近ベッドの中でアルが意地悪な気がする。
アルの顔に焦点を合わせたとたん、中の感じるところを強く突き上げられた。
「ああぁぁっ、いじわるしないでっ、やあぁ」
「意地悪じゃない。ユウが感じるように頑張ってるだけだ」
「だめっ、そこっ、ああぁああっ」
「ここ、好きだろう?」
この前は散々焦らされたのに、今日は最初から感じるところばかり重点的に責められて、息つく暇がない。
「ユウ、俺が感じるように、動いていいか?」
「んっ、はっ、いいっ、いいよ、ぁあっ」
アルが僕の額にチュッとキスをしてから、僕の背中の下に手を入れて、一気に僕を起こして、アルの太ももの上に座らされるような格好になった。
「あああぁあぁぁーーーー!」
「くっ、ユウ、いいぞ」
ダメ、そこはダメ。前に一度だけ受け入れた奥に、姿勢が変わったことでいきなり入ってしまった。
あの時は、何度も気を失って、アルに起こされてはスタミナポーションを飲まされて、もう息も絶え絶えだったから、あまりの快感に僕は意識を失ったけど。今回はまだ体力が残っているから、気を失うこともできない。
「やあぁぁ、だめっ、だめえええーーーーーっ」
「気持ちいいって、言うんだ」
「ああぁっ、やだやだっ、あっ、やあーーーーーぁっ」
あまりの衝撃に、これが快感なのかどうかも分からない。アルが動くたびにお腹の奥から全身へと大きな波が広がっていって、僕は叫ぶことしかできない。
「あるっ、こわいっ、やだっ、あ、また、やぁあああぁあぁぁぁ!」
「ユウ、ほら、ユウで感じてる俺を見ろ。ふっ、気持ちいいぞ」
アルが何かを言っているけど、意味を理解できない。逃げたいのに、アルに腰をがっしりとつかまれているから逃げられない。おかしくなりそうで怖いのに。快感がこんなに辛いと思わなかった。
「ぁあっ、いやっ、おねがっ、やめて、もうやめっ、あああぁぁああーーーーーーぁ!」
「まだ始まったばっかりだ。頑張れ」
「だめなの、そこ、おかしくなるっ、だめっ、ぁああぁあああっ」
目に映るアルは、いつもよりもちょっと攻撃的な顔をしていて、それがさらに僕を煽る。もうこれ以上快感なんていらないのに。でもアルに全部食べてほしい。
「あああっ、あるっ、やだっ、まって……ああーーーっ!」
それからどれくらい続いたのかは分からない。ずっと続いていたような気もするし、すぐに気を失ったような気もする。
「ユウさん、ずいぶんと早かったですね。注文をお知らせしたのは冬前だったと聞いていますが」
「カークトゥルスで魔石を取ってきましたので」
「ということは、オークションが待ちどおしいですね」
昨年も同じようにカークトゥルスで大量のマジックバッグを取ってきてオークションが開かれたので、今年もあるのではないかと商人の仲間内で話が出ていたらしい。
いつもお世話になっているし、付与の商会の件では結局フェリア商会は手を引いたので迷惑だけかけてしまったから、僕の手持ちの物をお礼に売ってもいいだろう。
「買い取りに出していないものから売りましょうか?」
「ユウ、ダメだ」
「ええ、ユウさん、大変ありがたいお話ですが、それはおやめになったほうがいいでしょう」
僕はフェリア商会に付与の魔石を売っているけど、僕の名前は伏せられている。武器への付与はしないと明言している僕が、生活のためのものであっても付与で商売しているとなれば、武器への付与もと言ってくる人がいないとも限らない。ギルドも一応誰が作成者か知らないという体で魔石の注文をしてくれている。それなのに、フェリア商会がオークションで購入したのではないマジックバッグを持っていたら、僕の付与の魔石への関与について言い逃れができなくなってしまう。
周りみんなが知っているのに、知らないふりをしてくれている現状に油断していた。アルが止めてくれなかったら、メンドクサイ事態に発展したかもしれない。
スナンの支店長さんは、僕の失態を気にしていないというように、他よりも少し早く情報を手に入れることができただけで充分ですよ、と笑ってくれた。
改めて今の自由はいろんな人の好意の上に微妙なバランスで成り立っているのだと気を引き締めた。
でも、そんな難しいことはさておき、まずはお気に入りの温泉を堪能だ。
ゾヤラに着いたらまずシリウスのみんなと会って、一緒にブロキオンに行ってもらおう。キリシュくんの恋人にもお願いしなきゃ。
そのために何か渡せるものはあったかな。恋人さんは商人なので、商人で必要なものと言ったらマジックバッグしか思いつかない。でも恋人さんに新しいマジックバッグはいらないとキリシュくんに言われているし、他に何かあるかなあ。
アイテムボックスの中を見てもよさそうなものがない。
「アル、キリシュくんの恋人さんへのお土産は、ユラカヒのお魚でいいかなあ」
「なんで土産なんだ?」
「だって、キリシュくんにもブロキオンについてきてほしいから。長いこと借りちゃうでしょう?」
「ユウ……、行けないと言われても、文句は言うなよ」
さすがにそれくらいは分かっているよ。でも上級ダンジョンの攻略だから勉強になるって一緒に来てくれると信じてる。
のんびりと温泉につかりながら、お土産を考えていたら、アルがつむじにチュッとキスをしてくれた。
いつもは一緒に入ってくれないアルが、今日は僕の機嫌を取るためか一緒に入ってくれている。
「ユウ、ブランはユウのことを大切に思ってくれている。ただ、ユウが温泉が好きなように、ブロキオンが好きなんだ。分かってやれ」
分かっている。僕がブロキオンを嫌いなように、ブランも温泉は好きじゃない。でも今だってこのお気に入りの温泉に来るのを怒ったりはしない。僕がちょっとブランに甘えすぎているだけだ。
ブランは僕の言うことを聞く理由なんてないのに、そばにいて、守って、甘やかしてくれる。本当は神獣っていうすごい存在なのに、僕の犬扱いにも怒らないで付き合ってくれる。僕はブランがいなければ生きていけないのに。
「出たらちゃんとブランに謝る。アルもごめんね。いつもありがとう」
「俺がやりたくてやってるんだ。俺だってユウとブランに助けられている」
アルも僕には甘いから、笑って僕の感謝の言葉を受け取ってくれた。
ブランもきっと僕が謝ったら、「仕方ないな」って何もなかったように流してくれるんだろう。でもそれに甘えていちゃいけないんだ。ちゃんと言葉や行動にして伝えなければ伝わらないことだってある。
それで、温泉から出てブランにちゃんと伝えたかというと、まだできていない。一緒に温泉に入って、お互いに触れたらその後はね。
アルに抱き上げられて温泉から出て、タオルで軽く体をふかれて、そのままベッドに転がされた。今日はどういう体勢でやりたい?と聞いてくる。最近積極的だから、何かやりたいことがあるのかと思ってって言われたけど、改めて聞かれると答えに詰まる。
「……顔が見えるのがいい、かな」
「どういう心境の変化だ?顔を見られるのが恥ずかしいと後ろからのほうが好きだっただろう?」
そ、そんな明け透けに言わないでほしい。思いを態度に表そうと決意はしても、羞恥心は消えないんだから。
でもアルがちょっと嬉しそうだから、ほんとはアルはこっちのほうが好きなのかもしれない。
「アルが、僕で感じているのが見たい」
「ユウ、かわいいな」
アルから視線をそらして小さな声でつぶやいた僕の答えに、ふっとアル笑ったと思ったら、おしゃべりはそこまでというように唇を塞がれた。
ユウの期待に応えられるよう頑張るから、ユウも頑張れよって。えーっと、それは明日は起きれないかもしれないってことかな。まあ、アイスの魔石の納品も終わらせたので、ここでやらないといけないことはもうないし、のんびりしたいからいいんだけど。
「ああっ、アル、あっ」
「ユウ、気持ちいいか?俺は気持ちいい」
「あっ、ん、ああっ」
「気持ちいいなら気持ちいいと言ってくれ」
「きもち、いいっ」
「そうか。よかった。ほら、ユウ、こっちをしっかり見て。俺が感じてるところが見たいんだろう?」
アルが意地悪だ。なんか最近ベッドの中でアルが意地悪な気がする。
アルの顔に焦点を合わせたとたん、中の感じるところを強く突き上げられた。
「ああぁぁっ、いじわるしないでっ、やあぁ」
「意地悪じゃない。ユウが感じるように頑張ってるだけだ」
「だめっ、そこっ、ああぁああっ」
「ここ、好きだろう?」
この前は散々焦らされたのに、今日は最初から感じるところばかり重点的に責められて、息つく暇がない。
「ユウ、俺が感じるように、動いていいか?」
「んっ、はっ、いいっ、いいよ、ぁあっ」
アルが僕の額にチュッとキスをしてから、僕の背中の下に手を入れて、一気に僕を起こして、アルの太ももの上に座らされるような格好になった。
「あああぁあぁぁーーーー!」
「くっ、ユウ、いいぞ」
ダメ、そこはダメ。前に一度だけ受け入れた奥に、姿勢が変わったことでいきなり入ってしまった。
あの時は、何度も気を失って、アルに起こされてはスタミナポーションを飲まされて、もう息も絶え絶えだったから、あまりの快感に僕は意識を失ったけど。今回はまだ体力が残っているから、気を失うこともできない。
「やあぁぁ、だめっ、だめえええーーーーーっ」
「気持ちいいって、言うんだ」
「ああぁっ、やだやだっ、あっ、やあーーーーーぁっ」
あまりの衝撃に、これが快感なのかどうかも分からない。アルが動くたびにお腹の奥から全身へと大きな波が広がっていって、僕は叫ぶことしかできない。
「あるっ、こわいっ、やだっ、あ、また、やぁあああぁあぁぁぁ!」
「ユウ、ほら、ユウで感じてる俺を見ろ。ふっ、気持ちいいぞ」
アルが何かを言っているけど、意味を理解できない。逃げたいのに、アルに腰をがっしりとつかまれているから逃げられない。おかしくなりそうで怖いのに。快感がこんなに辛いと思わなかった。
「ぁあっ、いやっ、おねがっ、やめて、もうやめっ、あああぁぁああーーーーーーぁ!」
「まだ始まったばっかりだ。頑張れ」
「だめなの、そこ、おかしくなるっ、だめっ、ぁああぁあああっ」
目に映るアルは、いつもよりもちょっと攻撃的な顔をしていて、それがさらに僕を煽る。もうこれ以上快感なんていらないのに。でもアルに全部食べてほしい。
「あああっ、あるっ、やだっ、まって……ああーーーっ!」
それからどれくらい続いたのかは分からない。ずっと続いていたような気もするし、すぐに気を失ったような気もする。
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