痛くしないで!‐先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!‐

sae

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本編

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 放心状態の百合に三嶌はニコッと微笑んだ。その笑顔に微笑み返す余裕は百合にはなかったが。

「覚悟は抜歯ばっしのことだけじゃないよ?」
「え?」
「僕ねぇ、結構愛が重い方らしい。まずは口の中、ここはもう僕のものだよね?」
 三嶌の長い人差し指が百合の口周りを円を描くようにくるりと回ってその指の動きを目で素直に追ってしまった。その指が目の前で止まったらそのまま手がそっと頬を包んできた。

(――え)

「次はどこを暴いていこうかな。心かな、身体かな……楽しみだな」
「あ、の、せん、せ……」
 百合はなんとなく異変を感じたがそれよりも事態についていけない。

「逃がさないよ?言ったよね?僕が全部受け止めてあげるって」
 三嶌はズイッと体を近づけてくる。口の中の感覚を奪われている百合はろくに話すこともできない。何か変なことを口走ったら舌でも噛みそうだ。ただ、三嶌の発する言葉に息を呑んでいる。

「大丈夫、もう痛いことなんかない」
 砂糖菓子のような甘すぎる笑顔でそのセリフを吐かれて、百合の心に弾丸を打たれたような衝撃が走る。

「出会った時から決めてた。今日から君はもう僕のものだ」

 三嶌が告げた衝撃な言葉に開いた口が塞がらないほど驚く百合。麻痺した口元から涎が零れ落ちたことにも全く気づけないほど百合はただただ驚いていた。



「お薬はまた三回分出しておきますね~、えーっとぉ……消毒に来ていただきたいんですがぁ……」
 無事に診察を終えた百合は受付で清算を済まして次回の予約を取るところだ。受付嬢が珍しく言葉を詰まらせているので首を傾げた。

「ちょ……ちょっとお待ちいただけますか?あ、先生!」
 ちょうど三嶌が受付に顔を出した。姿を見ただけで全身が火照る百合は視線をどこへやろうかとテンパってしまう。

「次回の消毒って……」
「明日で取って?」

(え?)

「……はぁ~い、時間はどうしたら……」
「彼女に聞いて?」
「と、いうことみたいです。笹岡様、ご都合のいいお時間で構わないので、いつ頃になさいますかぁ?」

(え?都合のいい時間ってどういうこと?明日は休診じゃ……)

 受付に置かれている卓上カレンダーを見ながら曜日を確認していると三嶌が声をかけてきた。

「今日抜いて明日ひどく腫れてても困るしね。様子も見たいしいいからおいで?」
 ニコッと微笑まれて百合の体は固まる。

「えっと……」
 とまどいと軽くパニック状態の百合を見かねて桃瀬が咄嗟にアシストする。

「お仕事のあとだと17時半くらいがベストですかね?もし痛みや腫れがひどいならいつでもお電話下されば先生はいてくださるはずなんで大丈夫ですよ、ね?」
 そう百合にではなく三嶌に確認を取る桃瀬に、百合はますますパニックを起こす。

「え!そんな私の都合で……」
「それでいいよ。なんかあったら電話して?」
 おそろしい程にスタッフとの連携が取れていて、百合が口を挟む隙もない。

「それじゃあ、明日。待ってるね」
 三嶌はそう言って院長室に消えていった。呆然とその姿を見送る百合を見つめる視線にフト気づく。受付嬢が神妙な顔で百合を見つめながら言った。

「笹岡様。もう無理です」
「は?」
 可愛い受付嬢が大げさにため息を吐いて首を大層にぶんぶん左右に振ってそう呟いた。

「先生がなんて言ったのかはわかりませんが、もう諦めてください。もう無理です」
 同じ言葉を繰り返されたことで百合もごくりと喉を鳴らした。

「諦めて先生の愛を受け止めてくださいね。ちょっと粘着質なヤンデレタイプですけど」

 ニコッと笑われて百合の体は固まったのだった。


 ~~Fin


 本編は完結になります、最後までご愛読くださりありがとうございます!
 番外編続きます、良かったら覗いてください^^

 三嶌視点になっていきます~
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