痛くしないで!‐先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!‐

sae

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番外編

treatment2~診察は始まっています

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 親知らずを抜くべきだと提案したら百合の表情は青ざめてショックを隠し切れなくなっていた。あくまで提案で今すぐに抜こうというわけではない、けれどいずれは抜いたほうがいいだろう、三嶌の気持ちはそれくらい軽いものだった。しかし、落ち込んでいる百合にはそんな風には伝わっていないのが見て取れる。三嶌は処置する理由と必要性だけ説明した。

「大丈夫だよ」
 その言葉を言ったときに百合の表情がいきなり緩んだ。ホッとしたとも違う、しいていうなら恋をしたようなそんな顔だった。おそらく本人は気づいていない、三嶌だけはそれに気づく。この子は今、俺の言葉に堕ちた、そう察知した。

 この時に三嶌は百合にとって「大丈夫」と声をかけてあげることが心を揺さぶるパワーワードだと確信し、何かあるたびにその言葉をかけた。
 予測どおり、百合はその言葉を聞くとピンク色に頬を染め湯上がりのようにほっこりとする。その姿はまた三嶌を煽るキッカケになるだけだった。

 次の予約を楽しみにしていた三嶌だが、思わぬアポなしの患者にゲンナリすることになる。
 矯正治療を始めた黛という患者は熱烈なアプローチを仕掛けてくる。医師と患者という関係性と自費治療を率先して行われる手前無下にも出来ずいつも笑顔で対応するが三嶌は全く黛に興味がなかった。
 受付を覗いたら黛と百合が並んで座っていた。それを見て三嶌は思う。


(可愛いロップイヤーの傍にハイエナが座っている……視界が腐る)


 今から百合を対応して今日はどんな言葉遊びをして弄ぼうかと楽しみにしていたのにまさかの黛。しかも大きな声でワイヤーが外れたと騒ぐではないか。


(やめろ、彼女があきらかにワイヤー外れにビビってるだろ)

 百合が恐怖を滲ませ出していることに三嶌は気づいていた。黛の言動からまた歯医者への恐怖心を煽ぎだしている、ここで逃げられたらたまらない、この周りの見えない頭のおかしな女のせいで百合を失うのは避けたい、時間を食うのはわかっていたが先に黛の導入を促した。百合は衛生士の香苗に任せてとりあえず時間を稼がせることにする。

 余計なことは話させないように早々に口を開けさせてワイヤーの様子を見てみるがたいしたことではなかった。すぐに対処して帰らせられると思っているのにインプラントの相談を受ける羽目になり、結局百合を30分近く待たせることになった。


(ああ、はやくあの瞳に見つめられて彼女の自虐心をくすぐりたい)

 黛と話したことで三嶌は猛烈に加虐心を込み上げさせていた。

 香苗とのブラッシング指導で百合は少し気分を落ち着けさせていた。素直に香苗の指導を聞き入れている姿はまた三嶌の執着心を煽っていく。


(あのなにも疑わずに素直に鳴く感じが可愛すぎる。もういっそ家に連れ込んで外の世界に行かなくてもいいように調教しようか)

 会うたびに三嶌の脳内も陰湿で過激になってくる。まだ二人は何物にもなっていないのに恐ろしい妄想ばかりを膨らませていたのだった。

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