魔法使いリリィの冒険

dep basic

文字の大きさ
10 / 14
第3部:試練と成長

第9章:魔王の刺客

しおりを挟む
翠玉の城の廃墟を後にしたリリィたちは、闇の王の城へと向かう道を急いでいた。しかし、彼らの旅路は平穏ではなかった。リリィの正体が明らかになったことで、闇の王の手下たちの追跡がより激しくなっていたのだ。

ある日の午後、一行が峡谷を抜けようとしていた時のことだ。突如、空が暗くなり、不気味な霧が辺りを包み込んだ。

「警戒しろ!」アーサーが叫んだ。

次の瞬間、黒い影が霧の中から現れた。それは人の形をしているようで、しかし完全に黒い霧で構成されているようだった。その目は赤く光り、その手には禍々しい刃が握られていた。

「影の刺客だ!」ミランダが叫んだ。「闇の王の最も恐ろしい手下よ!」

リアナの矢が空を切ったが、影の体をすり抜けていった。ドワーフの斧も、シャドウの短剣も、刺客には何の効果もない。

「くそっ!どうすりゃいいんだ!」ドワーフが苛立ちを露わにした。

アーサーは刺客と刃を交えていたが、彼の剣も影をすり抜けるだけだった。「リリィ!お前の光の魔法だ!それしか効かないかもしれない!」

リリィは恐怖で体が震えていた。しかし、仲間たちの叫び声を聞いて、彼女は勇気を奮い起こした。

「私にできる...私にできるはず!」

リリィは目を閉じ、心の中で光をイメージした。彼女の手から、まばゆい光が放たれ始めた。

影の刺客は、その光を避けるように後退した。しかし、すぐに態勢を立て直し、リリィに向かって突進してきた。

「リリィ、気をつけて!」アーサーが叫んだが、間に合わない。

刺客の刃がリリィに迫る瞬間、驚くべきことが起こった。リリィの体から、強烈な光が爆発的に放たれたのだ。その光は、まるで生命を持っているかのように蠢き、刺客を包み込んだ。

「ギャアアアア!」

影の刺客は悲鳴を上げ、光の中で溶けていくように消滅した。

しかし、それで終わりではなかった。別の刺客が、リリィの背後から襲いかかった。

「リリィ!」

シャドウが叫び、リリィの前に飛び出した。刺客の刃がシャドウの肩を深く切り裂く。

「シャドウ!」リリィは叫んだ。

怒りと恐怖が彼女の中で渦巻いた。そして、それが新たな力を呼び覚ました。

リリィの周りに、淡い緑色の光が現れ始めた。それは、まるで生命力そのものが具現化したかのようだった。

「これは...」ミランダが驚きの声を上げた。「生命の魔法!」

リリィはその力を、傷ついたシャドウに向けた。緑の光が彼の傷を包み込み、驚くべきことに傷が急速に癒えていく。

同時に、その生命の力は残りの刺客たちにも向けられた。闇の存在である彼らにとって、生命の力は致命的だった。刺客たちは悲鳴を上げ、次々と消滅していった。

戦いが終わった時、全員が呆然としていた。

「リリィ...お前、一体何者なんだ」アーサーが震える声で言った。

リリィは自分の手を見つめた。「私にも...わからないわ」

ミランダが静かに話し始めた。「光の魔法に加えて生命の魔法まで...リリィ、あなたは伝説の"聖女"の生まれ変わりかもしれない」

「聖女?」リリィは困惑した様子で尋ねた。

「そう、古の予言に出てくる存在よ。闇を打ち払い、世界に平和をもたらす力を持つ者」ミランダは真剣な表情で続けた。「その力は、まさに今のあなたのようだわ」

シャドウが立ち上がり、完全に癒えた肩を動かした。「信じられねえ...俺の傷が完全に...」

リリィは overwhelmed感に圧倒されていた。王女であることを知り、そして今度は聖女の転生?それは彼女にとってあまりにも大きすぎる運命だった。

アーサーが彼女の肩に手を置いた。「リリィ、聞いてくれ。お前が何者であろうと、俺たちにとってはかけがえのない仲間だ。一緒に最後まで戦おう」

リアナ、ドワーフ、ミランダ、そしてシャドウも頷いた。

リリィは涙を拭いながら微笑んだ。「ありがとう、みんな。私...私、頑張る。この力で、みんなを、そして世界を守りたい」

峡谷を出た一行の前に、闇に覆われた広大な平原が広がっていた。その向こうに、闇の王の城がそびえ立っている。

最終決戦はもう目前に迫っていた。リリィは深呼吸をして、仲間たちと共に歩み始めた。彼女の中で、光と生命の力が静かに脈打っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

処理中です...