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光と影が交差する芽吹きの章
昔の話――ある少年の追憶
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これはもう、ずっと昔の話だ。
王都のある商家に、ある少年がいた。
少年の母は早くに亡くなったが、父は健在だった。
父は忙しない男ではあったが、息子をよく可愛がった。
帳簿の横に少年を座らせては、指で行をなぞらせ、暗算をさせ、出来るたびに快活に笑った。
「これは未来の天才商人だなぁ……!神童だって噂の公爵家のご令息より、うちの子の方が頭が良いんじゃないか?お前がいればこの*****商会の未来は安泰だ……いや、お前が望むなら、王宮官吏でも裁判官でもお邸の執事でもなんでもいい。頭がいいってのは、それだけで武器だ。……しかしお前は手先も器用だし、職人や芸術家もいいな」
そんなふうに言われながら、少年は育った。
勉強は楽しかったし、少年は器用だったから、まるで遊ぶようなつもりでもあった。
身分の高い客を相手どる時の作法も、早いうちから学んだ。
酒の席でも、朝の食卓でも、時には商談相手との話し合いの中でも――父はいつも少年を褒めては頭を撫でた。
少年は少し照れながらも、その言葉を信じていた。父の期待も誉め言葉も、嬉しかった。
――十歳の冬。
父の商談に同行するかたちで、少年は「ヴァルト辺境伯領」へと旅をした。
王都とはまるで違う土地だった。空気は澄み、風は冷たく、石造りの街並みは質実剛健で、華やかさはない。
父の目的は、ある工房との取引だった。
腕は確かだが、気難しい職人がいることで知られており、王都の商人の多くが交渉に手を焼いている相手だ。
「まあ、今回は顔合わせだ。無理はしない」
そう言いながらも、父の表情には挑戦の色があった。
工房の職人は噂通り気難しく、商人の子供が立ち入ることを許可しなかった。
少年は喫茶店で父の帰りを待ち、そして、しばらくすると上機嫌な父が戻ってきた。
「やった、やったぞ。*****工房との契約成立だ」
「おめでとう、父さん」
「もう駄目だと思ったんだがな。そこにヴァルト辺境伯様がいらして……父さんの、この領地の魔銀の細工技術を王都にも広めたいって思いを理解してくださったんだよ」
父はとても楽しそうだった。
「辺境伯様のご子息も、工房の扉の前まで同行していたよ。なかなか賢そうだったな。お前と同じくらいの年だろう」
「ふうん」
「商談成功は、お前が一緒に来てくれたお陰だ」
「大袈裟だなぁ、父さんは……俺は待ってただけ」
「何かご褒美をやろう。なんでもいいぞ、言ってごらん」
父の隣りを歩きながら、少年は少し考えた。
「じゃあ……妹と弟が欲しい。たくさん」
「……」
「そしたら皆で、父さんの手伝いができるよ」
その言葉に、父は一瞬、虚を突かれたようだった。
それから数秒置いて、「ごめんなぁ」と眉を下げる。
「父さんは亡くなったお前の母さんが大好きだから……」
「うん……?」
「お前にはまだ早かったな、そうだな、そのうちにな……」
父は優しく少年の頭を撫でた。
そして、代わりのご褒美だと言って、古書店に行って珍しい絵本を買ってくれた。
大層なアンティークらしく、「絵本と言っても子供に与えるようなもんじゃない」と店主は渋っていたが。
父は「この子は賢いから」と押し切っていた。
だが、乗合馬車の駅に着いたところで、父は急に足を止めた。
「しまった。大事な書類を工房に忘れた」
そう言って、父は少年の肩に手を置いた。
「すぐ戻る。ここで待っていなさい」
「うん」
「お前は可愛いから、父さんが戻るまで誰にも着いていっちゃいけないよ」
「やめてよ、わかったよ」
「世の中には子供を誘拐する怖い人がいるんだ。さらわれたら二度と父さんと会えないぞ……」
「分かってるよ。さっきも聞いた……」
急いで走る父の背を見て、疑いもしなかった。
父の仕事を待つのには慣れていた。
少年は待合の席の端にちょこんと腰掛け、膝に旅行鞄を置いた。
しばらくは与えられた古い絵本を読んでいた。
(昔々――人々は、とてもがんばって生きていました……)
挿絵は古風ながらも美しくて、特に絵本の中で王様と見つめ合う少女の絵は気に入った。
少女の瞳に輝く塗料が使われていて、角度を変えると不思議に光る。その仕掛けでしばらく遊んだ。
けれど内容としては些か道徳的にまとめられすぎていて、少年は「やっぱり子供向け」と溜め息をついて本を閉じた。
少年は行き交う人々を眺めながら待った。
馬車が来て、人を乗せ、また去っていく。
やがて雪混じりの風が吹きはじめ、指先が冷たくなった。
――父さん、遅いな……
そう思い始めた頃には、空は暗くなっていた。
もう一度、馬車が来て、去った。
それでも、父は現れなかった。
また、もう一度、馬車が来て、去った。
周りの大人がひそひそと、少年のことを指さし始めた。
居心地が悪くなり、鞄の中を整理するふりをする。すぐにそれも終えてしまった。
「ねえ……君。お父さんかお母さんは?」
「……父さんは用事で。すぐ戻るからここで待っているようにって」
少年の言葉に、周りの大人は一斉に、可哀想なものを見る目で少年を見た。
――乗合馬車の駅に、子供を捨てる大人が絶えないのだと。
「違います」
少年は首を振った。
「父さんはすぐ戻るって……」
「もう良いから……何時間待っていたの?」
「可哀想に。寒いでしょう」
「こちらに来て暖まりなさい。この領なら保護してもらえる」
そう言って、誰かが少年の手を引こうとした。
さらわれる、という恐怖と、まさか父に捨てられたのではないかという嫌な予感が同時に押し寄せ、少年はその手を振り払うと闇雲に走り出した。
「待ちなさい!」
追ってくる大人の様子を見ようと走りながら振り返り――
少年は、雪に覆われた石段で足を滑らせた。
視界がひっくり返る。
次の瞬間、頭を強く打ち、鈍い衝撃とともに、世界が暗転した。
◆
次に目を覚ました時、天井は見知らぬものだった。
孤児院だと聞かされても、すぐには理解できなかった。
ただ、胸の奥が空っぽで、何か大切なものがごっそり抜け落ちたような感覚だけがあった。
父の顔は思い出せた。声も、笑い方も、手の温度も。
けれど――父の名前が思い出せない。
立ち寄った工房の名前も、通ってきた町の名も、ひどく遠く、ばらばらに砕けていた。
父の声を思い出そうとしても、ノイズが混ざったように記憶が混乱する。
肝心なことを思い出せない自分がひどく無能に思えた。
「……新しい子って、あなた?」
気づいたら、見知らぬ少女が隣に立っていた。
切り揃えられた黒髪が揺れる。無表情に、じっとこちらを見つめていた。
後ろから「気がついたのね」と大人の女性も走ってきた。
「今日からあなたもこの家の子供の一人よ」
「……」
「あなたが一番歳上だから、皆のお兄ちゃんになってあげてね」
ふと見れば、自分より小さな子供たちがじっとこちらを見ている。
「……父さんは?」
少年の言葉に、女性はぱっと目を逸らした。
「お父さんは……外国でお仕事があるそうよ。あなたをよろしくって、手紙も頂いたわ。あなたのことが大切なのね」
それだけ言って、「お食事の準備をしなきゃ」と逃げるように去っていく。
(じゃあ、本当に、父さんに置いていかれたんだ)
(妹と弟が欲しいなんて言ったから、父さんじゃなくて妹と弟がいるところに置いていかれたのかな……)
そう思っていたら、先程の少女がそっと耳打ちしてきた。
「あれ、院長先生の嘘よ」
「え?」
「親から手紙が来たって、嘘を言ったら私たちが喜ぶと思っているの。死んだ私の両親からも、よく手紙が来るらしいわ」
「……」
少年は黙り込んだ。
少女はやけにおとなびた仕草で小首を傾げ、続ける。
「ここで生きていくしかないんだもの。仕方ないから仲良くしましょう。あなたのこと、お兄ちゃん、なんて呼ばないけど」
「いいよ……」
「だから名前を教えてよ。あと、あなた幾つなの?」
名前。
自分の、名前……年……
それでも、口を開いた時、自然と言葉はこぼれ落ちた。
「……カイネ。十歳」
「私は、イリア。多分、七歳、かな……」
少女は背後を指さした。
「あっちで寝てる男の子が、トトリ。私より二つ上。だから、あなたより一つ下。あそこでさっきお菓子を盗み食いしたのを怒られてる女の子が、セレス。私と多分同い年。あの戸棚の中に隠れてこっちを見てるのがジーク。見えないだろうけど、男の子。私より三つ下。あとは……」
少女の――イリアの淡々とした言葉は、そうして続いていった。
王都のある商家に、ある少年がいた。
少年の母は早くに亡くなったが、父は健在だった。
父は忙しない男ではあったが、息子をよく可愛がった。
帳簿の横に少年を座らせては、指で行をなぞらせ、暗算をさせ、出来るたびに快活に笑った。
「これは未来の天才商人だなぁ……!神童だって噂の公爵家のご令息より、うちの子の方が頭が良いんじゃないか?お前がいればこの*****商会の未来は安泰だ……いや、お前が望むなら、王宮官吏でも裁判官でもお邸の執事でもなんでもいい。頭がいいってのは、それだけで武器だ。……しかしお前は手先も器用だし、職人や芸術家もいいな」
そんなふうに言われながら、少年は育った。
勉強は楽しかったし、少年は器用だったから、まるで遊ぶようなつもりでもあった。
身分の高い客を相手どる時の作法も、早いうちから学んだ。
酒の席でも、朝の食卓でも、時には商談相手との話し合いの中でも――父はいつも少年を褒めては頭を撫でた。
少年は少し照れながらも、その言葉を信じていた。父の期待も誉め言葉も、嬉しかった。
――十歳の冬。
父の商談に同行するかたちで、少年は「ヴァルト辺境伯領」へと旅をした。
王都とはまるで違う土地だった。空気は澄み、風は冷たく、石造りの街並みは質実剛健で、華やかさはない。
父の目的は、ある工房との取引だった。
腕は確かだが、気難しい職人がいることで知られており、王都の商人の多くが交渉に手を焼いている相手だ。
「まあ、今回は顔合わせだ。無理はしない」
そう言いながらも、父の表情には挑戦の色があった。
工房の職人は噂通り気難しく、商人の子供が立ち入ることを許可しなかった。
少年は喫茶店で父の帰りを待ち、そして、しばらくすると上機嫌な父が戻ってきた。
「やった、やったぞ。*****工房との契約成立だ」
「おめでとう、父さん」
「もう駄目だと思ったんだがな。そこにヴァルト辺境伯様がいらして……父さんの、この領地の魔銀の細工技術を王都にも広めたいって思いを理解してくださったんだよ」
父はとても楽しそうだった。
「辺境伯様のご子息も、工房の扉の前まで同行していたよ。なかなか賢そうだったな。お前と同じくらいの年だろう」
「ふうん」
「商談成功は、お前が一緒に来てくれたお陰だ」
「大袈裟だなぁ、父さんは……俺は待ってただけ」
「何かご褒美をやろう。なんでもいいぞ、言ってごらん」
父の隣りを歩きながら、少年は少し考えた。
「じゃあ……妹と弟が欲しい。たくさん」
「……」
「そしたら皆で、父さんの手伝いができるよ」
その言葉に、父は一瞬、虚を突かれたようだった。
それから数秒置いて、「ごめんなぁ」と眉を下げる。
「父さんは亡くなったお前の母さんが大好きだから……」
「うん……?」
「お前にはまだ早かったな、そうだな、そのうちにな……」
父は優しく少年の頭を撫でた。
そして、代わりのご褒美だと言って、古書店に行って珍しい絵本を買ってくれた。
大層なアンティークらしく、「絵本と言っても子供に与えるようなもんじゃない」と店主は渋っていたが。
父は「この子は賢いから」と押し切っていた。
だが、乗合馬車の駅に着いたところで、父は急に足を止めた。
「しまった。大事な書類を工房に忘れた」
そう言って、父は少年の肩に手を置いた。
「すぐ戻る。ここで待っていなさい」
「うん」
「お前は可愛いから、父さんが戻るまで誰にも着いていっちゃいけないよ」
「やめてよ、わかったよ」
「世の中には子供を誘拐する怖い人がいるんだ。さらわれたら二度と父さんと会えないぞ……」
「分かってるよ。さっきも聞いた……」
急いで走る父の背を見て、疑いもしなかった。
父の仕事を待つのには慣れていた。
少年は待合の席の端にちょこんと腰掛け、膝に旅行鞄を置いた。
しばらくは与えられた古い絵本を読んでいた。
(昔々――人々は、とてもがんばって生きていました……)
挿絵は古風ながらも美しくて、特に絵本の中で王様と見つめ合う少女の絵は気に入った。
少女の瞳に輝く塗料が使われていて、角度を変えると不思議に光る。その仕掛けでしばらく遊んだ。
けれど内容としては些か道徳的にまとめられすぎていて、少年は「やっぱり子供向け」と溜め息をついて本を閉じた。
少年は行き交う人々を眺めながら待った。
馬車が来て、人を乗せ、また去っていく。
やがて雪混じりの風が吹きはじめ、指先が冷たくなった。
――父さん、遅いな……
そう思い始めた頃には、空は暗くなっていた。
もう一度、馬車が来て、去った。
それでも、父は現れなかった。
また、もう一度、馬車が来て、去った。
周りの大人がひそひそと、少年のことを指さし始めた。
居心地が悪くなり、鞄の中を整理するふりをする。すぐにそれも終えてしまった。
「ねえ……君。お父さんかお母さんは?」
「……父さんは用事で。すぐ戻るからここで待っているようにって」
少年の言葉に、周りの大人は一斉に、可哀想なものを見る目で少年を見た。
――乗合馬車の駅に、子供を捨てる大人が絶えないのだと。
「違います」
少年は首を振った。
「父さんはすぐ戻るって……」
「もう良いから……何時間待っていたの?」
「可哀想に。寒いでしょう」
「こちらに来て暖まりなさい。この領なら保護してもらえる」
そう言って、誰かが少年の手を引こうとした。
さらわれる、という恐怖と、まさか父に捨てられたのではないかという嫌な予感が同時に押し寄せ、少年はその手を振り払うと闇雲に走り出した。
「待ちなさい!」
追ってくる大人の様子を見ようと走りながら振り返り――
少年は、雪に覆われた石段で足を滑らせた。
視界がひっくり返る。
次の瞬間、頭を強く打ち、鈍い衝撃とともに、世界が暗転した。
◆
次に目を覚ました時、天井は見知らぬものだった。
孤児院だと聞かされても、すぐには理解できなかった。
ただ、胸の奥が空っぽで、何か大切なものがごっそり抜け落ちたような感覚だけがあった。
父の顔は思い出せた。声も、笑い方も、手の温度も。
けれど――父の名前が思い出せない。
立ち寄った工房の名前も、通ってきた町の名も、ひどく遠く、ばらばらに砕けていた。
父の声を思い出そうとしても、ノイズが混ざったように記憶が混乱する。
肝心なことを思い出せない自分がひどく無能に思えた。
「……新しい子って、あなた?」
気づいたら、見知らぬ少女が隣に立っていた。
切り揃えられた黒髪が揺れる。無表情に、じっとこちらを見つめていた。
後ろから「気がついたのね」と大人の女性も走ってきた。
「今日からあなたもこの家の子供の一人よ」
「……」
「あなたが一番歳上だから、皆のお兄ちゃんになってあげてね」
ふと見れば、自分より小さな子供たちがじっとこちらを見ている。
「……父さんは?」
少年の言葉に、女性はぱっと目を逸らした。
「お父さんは……外国でお仕事があるそうよ。あなたをよろしくって、手紙も頂いたわ。あなたのことが大切なのね」
それだけ言って、「お食事の準備をしなきゃ」と逃げるように去っていく。
(じゃあ、本当に、父さんに置いていかれたんだ)
(妹と弟が欲しいなんて言ったから、父さんじゃなくて妹と弟がいるところに置いていかれたのかな……)
そう思っていたら、先程の少女がそっと耳打ちしてきた。
「あれ、院長先生の嘘よ」
「え?」
「親から手紙が来たって、嘘を言ったら私たちが喜ぶと思っているの。死んだ私の両親からも、よく手紙が来るらしいわ」
「……」
少年は黙り込んだ。
少女はやけにおとなびた仕草で小首を傾げ、続ける。
「ここで生きていくしかないんだもの。仕方ないから仲良くしましょう。あなたのこと、お兄ちゃん、なんて呼ばないけど」
「いいよ……」
「だから名前を教えてよ。あと、あなた幾つなの?」
名前。
自分の、名前……年……
それでも、口を開いた時、自然と言葉はこぼれ落ちた。
「……カイネ。十歳」
「私は、イリア。多分、七歳、かな……」
少女は背後を指さした。
「あっちで寝てる男の子が、トトリ。私より二つ上。だから、あなたより一つ下。あそこでさっきお菓子を盗み食いしたのを怒られてる女の子が、セレス。私と多分同い年。あの戸棚の中に隠れてこっちを見てるのがジーク。見えないだろうけど、男の子。私より三つ下。あとは……」
少女の――イリアの淡々とした言葉は、そうして続いていった。
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