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光と影が交差する芽吹きの章
39.夜の報せ
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舞踏会を終え、王都の邸へ戻った頃には、夜気が石畳にしっとりと降りていた。
私たちは簡単な夜食も断って帰路に着いた。
邸に戻り――口を開いたのはイリアだった。
背筋を正し、けれど声はわずかに強張っている。
「庭園で、密談を聞きました。公爵エドムンド様と、神官たちです。……辺境に、いずれ混乱は起きる、と」
その言葉に、室内の空気が一段冷えた。
「公爵様は、「しばらく待て」と言いました。それから、「あとは放っておけ」とも。それから……」
こくりとイリアが唾を飲む。
常通り冷静な表情なのに、不安げに視線が揺らめいた。
「――旦那様に、「ご不幸」があるかもしれないと……」
その言葉に、私はびくりとした。
「ダリウス様に……?」
「意図は、わかりません。公爵様へのお追従の言葉、とも取れました」
イリアは拳を握りしめている。
「このことは、偶然同行することになりましたリヒト様もご承知です。寧ろリヒト様は、この密談を探ろうとされていたようでした」
ダリウス様は、ただ静かに頷いた。
「リヒト卿は何と?」
「ご自身ですることがあると……」
「そうか。……神官は何人いた?」
「恐らく、五名ほど……先ほど、奥様に難癖をつけてきた神官がいるのは、わかりました」
ユフェミアは唇を引き結び、カイネは腕を組んだまま、軽口を挟むこともない。
一通りの話を聞いて――
ダリウス様は思案するように指先で机を叩き、やがて結論を出した。
「魔晶石発見の報告によって、そういうことが起こるだろうとは予期していた。事前に警戒を怠らぬよう準備はしてある。予想の範疇とも言えるが、しかし……そう軽視はできないな」
彼はその場で伝令を呼び、王都と辺境の双方へ、警戒を強めるよう指示を出した。
言葉は簡潔で、感情を挟まない。
「今は静観だ。悪戯に動けば、向こうの思うつぼになりかねない」
理由は、誰よりもダリウス様自身が理解していた。
魔晶石の権利関係。王都での折衝は、いま最も重要な局面にある。
ここを離れれば、取り返しのつかない判断が下される可能性がある。
辺境を守るためにも、私たちは王都に留まらねばならなかった。
「それに、公爵は「しばらく待て」と言ったのだろう。……であれば、この騒ぎから時が経ち、気を抜いたところで刺そうとしている可能性が高い」
私は、その横顔を見つめながら、胸の奥に小さな不安が残るのを感じていた。
混乱――その言葉が、夜の底で静かに脈打っている。
まだ何も起きていない。けれど、確実に何かが動き始めている。
灯りの下、皆が無言で頷き合う中、私はそっと指輪に触れた。
「とにかく……今日は休もう」
不穏な報せを抱えたままではあったが、私たちはそれぞれ休息を取ることにした。
◆
深夜。
湯を使い、身を清め支度を整えた後、私はダリウス様と同じ灯りの下に腰を下ろしていた。
王都の邸の一室は、辺境の館よりも壁が厚く、外の音をよく遮る。
遠くの喧騒が嘘のように、夜は静かだった。
「……疲れただろう」
ダリウス様がそう言って、私の肩にそっと手を置く。
労わるような、いつもの慎重な仕草だ。
「少しだけ。でも、大丈夫です」
そう答えると、彼はわずかに眉を下げた。
大丈夫、という言葉を、彼はあまり信用しない。
「本当に?」
「ええ。大丈夫です」
即座に返すと、ダリウス様は小さく息を吐き、苦笑した。
「そういうところだ」
言葉とは裏腹に、その声音は柔らかい。
私は肩に置かれた手に、自分からそっと頬を寄せた。
指先がわずかに強張り、それからゆっくりと力が抜けるのが伝わってくる。
頬を撫でられるまま、私は言葉を続けた。
「……イリアの話を聞いても、あなたは動じませんでしたね」
「動じていないわけではない。ただ、感情で動くべきではないと思っただけだ」
淡々とした答えだったが、その奥にある重さは、私はよく知っている。
守るものが増えた人の、慎重さだ。
「心配はある。だがあまりにも情報が足りない。まずは探らなくては」
「そうですね……」
低く、落ち着いた声。
「諜報は欠かせないな。ジークを呼びたいところだが、流石に領地と頻繁に行き来させるのは忍びないから……まずはトトリに連絡を入れて、それで……」
仕事の調子に入りかけたダリウス様の夜着の袖を、私はそっと引いた。
ダリウス様は言葉を切った。
その蒼い瞳をじっと見つめる。
「お疲れなのも、「大丈夫」というお言葉が却って心配なのも、ダリウス様の方ではありませんか……」
「……」
「今日はどうか……もう、お休みくださいませ」
「……すまない」
溜め息をひとつ。
「確かに、今はやめよう。取り決めるのは明日以降にする」
「はい」
「今日は閉業だ」
「ええ。その方が、良いです」
ダリウス様にこそ、休んでいただきたかった。
やがて、彼の手が私の髪に触れ、わずかに撫でるような仕草がある。
「気を抜けないな」
「そうですね……」
「ただ……」
そこでダリウス様はふっと微笑んだ。
「今日のあなたは、いつにも増してとても美しかった」
「ふぇ」
「見惚れた」
くすりと笑う。
整えていない銀髪が揺れた。蒼い瞳は、なんだか楽しそうだ。
「……お酒でも飲まれましたか?」
「いや。素面だ。今日は飲んでいない」
「……ありがとうございます。ダリウス様こそ……とても、素敵でした」
そう言うと、なんとなく恥ずかしくなって目を逸らす。
言葉を探していると、ダリウス様の手が私の背に回り、引き寄せられる。
抱き寄せるというより、支えるような動きだった。
薄い夜着越しに温かさが伝わる。
私は額を彼の胸に預け、深く息を吸った。
確かにそこにある体温と、鼓動。
私はそのまま動かず、ダリウス様も何も言わず、しばらくそうしていた。
「……今日は、あなたも大変だったのだろうと思う。分かっている……」
「え……?」
「そんなあなたに、今夜もう少し無理をしてくれと頼むのは……愚か者のすることなのだろうな」
その言葉の意味を、少し考える。
ややあって、私は自分の頬が熱くなるのを感じた。
ぱっと顔を上げてダリウス様を見る。
少々気恥ずかしそうに、それでもじっと私を見つめるまなざし。
その奥に熱を感じ取って、私は目を逸らした。
「そういうことは……その……」
「……」
「……あ、明日もありますから……」
私のか細い声に、ダリウス様は動かない。
本気で拒んだら、彼は今私を抱きしめている腕を離してしまうのだろう。
彼に大切にされる時間は、嫌じゃない。
望まれるのは嬉しい。
けれどこうして選択肢を与えられて判断を委ねられるのは――却って、恥ずかしい。
「……」
迷っている間に、何度か愛おしそうに髪を遊ばれた。
少し癖のある髪のうねりを辿るように。
「嫌か」
「いえ……でも……」
心音が重なる。
じわじわと赤くなる私を、見られている。
ここまでの段階で拒んでいない時点で、私の答えは分かっているだろうに。
「……ダリウス様」
「うん」
「……」
結局私はダリウス様の胸に顔を埋めたまま、こくりと頷いた。
「無理じゃありません。でも……その」
「……」
「……あんまりひどい無理は、させないでください」
耳まで赤くなっているのを感じた。
ダリウス様は思案するように顎を撫でる。
「ん……努力はするが」
「するが……?」
「……あなたの魅力と俺の理性のどちらが勝つかだな」
静かにそう言って、今度は迷いなく、私を抱き上げて寝台に横たえる。
乱暴ではないけれど、強く確かな腕だった。
部屋の灯りが消される。寝台の横のランプの光だけが頼りなげに灯っている。
微かに寝台が軋む小さな音に、私は身じろぎした。
ちら、と見上げると、熱を持って色を濃くした蒼い瞳が私を映していた。
「ルーチェ」
閉じ込められているようだと思った。
けれどそれは、私を苦しめるものではなくて――愛してくれるもの。
そのまま、私の額に額が軽く触れる。
温度が近い。
呼吸が混じる。
ゆっくりと唇がふれあい――私は、その髪を撫でた。
王宮ではずっと、肩に力が入っていた。
辺境を背負う責任。妻として見られる重さ。
思い出してしまった、さまざまな記憶。
それでも、こうして二人きりになると、私の心はほどける気がする。
ダリウス様もそうだったらいいと、願っている。
外では、どこかで夜警の足音が響いているのだろう。
けれど、この灯りの下では、私たちはただ、互いの存在を確かめ合うだけでよかった。
不安は消えていない。
けれど、今夜だけは。
この腕の中で、穏やかに夜を過ごしてもいいのだと、そう思えた。
部屋の中には、ランプの柔らかな光だけが残っている。
金色の光が切なげに揺れて、私たちの影を一つに溶かしていた。
私たちは簡単な夜食も断って帰路に着いた。
邸に戻り――口を開いたのはイリアだった。
背筋を正し、けれど声はわずかに強張っている。
「庭園で、密談を聞きました。公爵エドムンド様と、神官たちです。……辺境に、いずれ混乱は起きる、と」
その言葉に、室内の空気が一段冷えた。
「公爵様は、「しばらく待て」と言いました。それから、「あとは放っておけ」とも。それから……」
こくりとイリアが唾を飲む。
常通り冷静な表情なのに、不安げに視線が揺らめいた。
「――旦那様に、「ご不幸」があるかもしれないと……」
その言葉に、私はびくりとした。
「ダリウス様に……?」
「意図は、わかりません。公爵様へのお追従の言葉、とも取れました」
イリアは拳を握りしめている。
「このことは、偶然同行することになりましたリヒト様もご承知です。寧ろリヒト様は、この密談を探ろうとされていたようでした」
ダリウス様は、ただ静かに頷いた。
「リヒト卿は何と?」
「ご自身ですることがあると……」
「そうか。……神官は何人いた?」
「恐らく、五名ほど……先ほど、奥様に難癖をつけてきた神官がいるのは、わかりました」
ユフェミアは唇を引き結び、カイネは腕を組んだまま、軽口を挟むこともない。
一通りの話を聞いて――
ダリウス様は思案するように指先で机を叩き、やがて結論を出した。
「魔晶石発見の報告によって、そういうことが起こるだろうとは予期していた。事前に警戒を怠らぬよう準備はしてある。予想の範疇とも言えるが、しかし……そう軽視はできないな」
彼はその場で伝令を呼び、王都と辺境の双方へ、警戒を強めるよう指示を出した。
言葉は簡潔で、感情を挟まない。
「今は静観だ。悪戯に動けば、向こうの思うつぼになりかねない」
理由は、誰よりもダリウス様自身が理解していた。
魔晶石の権利関係。王都での折衝は、いま最も重要な局面にある。
ここを離れれば、取り返しのつかない判断が下される可能性がある。
辺境を守るためにも、私たちは王都に留まらねばならなかった。
「それに、公爵は「しばらく待て」と言ったのだろう。……であれば、この騒ぎから時が経ち、気を抜いたところで刺そうとしている可能性が高い」
私は、その横顔を見つめながら、胸の奥に小さな不安が残るのを感じていた。
混乱――その言葉が、夜の底で静かに脈打っている。
まだ何も起きていない。けれど、確実に何かが動き始めている。
灯りの下、皆が無言で頷き合う中、私はそっと指輪に触れた。
「とにかく……今日は休もう」
不穏な報せを抱えたままではあったが、私たちはそれぞれ休息を取ることにした。
◆
深夜。
湯を使い、身を清め支度を整えた後、私はダリウス様と同じ灯りの下に腰を下ろしていた。
王都の邸の一室は、辺境の館よりも壁が厚く、外の音をよく遮る。
遠くの喧騒が嘘のように、夜は静かだった。
「……疲れただろう」
ダリウス様がそう言って、私の肩にそっと手を置く。
労わるような、いつもの慎重な仕草だ。
「少しだけ。でも、大丈夫です」
そう答えると、彼はわずかに眉を下げた。
大丈夫、という言葉を、彼はあまり信用しない。
「本当に?」
「ええ。大丈夫です」
即座に返すと、ダリウス様は小さく息を吐き、苦笑した。
「そういうところだ」
言葉とは裏腹に、その声音は柔らかい。
私は肩に置かれた手に、自分からそっと頬を寄せた。
指先がわずかに強張り、それからゆっくりと力が抜けるのが伝わってくる。
頬を撫でられるまま、私は言葉を続けた。
「……イリアの話を聞いても、あなたは動じませんでしたね」
「動じていないわけではない。ただ、感情で動くべきではないと思っただけだ」
淡々とした答えだったが、その奥にある重さは、私はよく知っている。
守るものが増えた人の、慎重さだ。
「心配はある。だがあまりにも情報が足りない。まずは探らなくては」
「そうですね……」
低く、落ち着いた声。
「諜報は欠かせないな。ジークを呼びたいところだが、流石に領地と頻繁に行き来させるのは忍びないから……まずはトトリに連絡を入れて、それで……」
仕事の調子に入りかけたダリウス様の夜着の袖を、私はそっと引いた。
ダリウス様は言葉を切った。
その蒼い瞳をじっと見つめる。
「お疲れなのも、「大丈夫」というお言葉が却って心配なのも、ダリウス様の方ではありませんか……」
「……」
「今日はどうか……もう、お休みくださいませ」
「……すまない」
溜め息をひとつ。
「確かに、今はやめよう。取り決めるのは明日以降にする」
「はい」
「今日は閉業だ」
「ええ。その方が、良いです」
ダリウス様にこそ、休んでいただきたかった。
やがて、彼の手が私の髪に触れ、わずかに撫でるような仕草がある。
「気を抜けないな」
「そうですね……」
「ただ……」
そこでダリウス様はふっと微笑んだ。
「今日のあなたは、いつにも増してとても美しかった」
「ふぇ」
「見惚れた」
くすりと笑う。
整えていない銀髪が揺れた。蒼い瞳は、なんだか楽しそうだ。
「……お酒でも飲まれましたか?」
「いや。素面だ。今日は飲んでいない」
「……ありがとうございます。ダリウス様こそ……とても、素敵でした」
そう言うと、なんとなく恥ずかしくなって目を逸らす。
言葉を探していると、ダリウス様の手が私の背に回り、引き寄せられる。
抱き寄せるというより、支えるような動きだった。
薄い夜着越しに温かさが伝わる。
私は額を彼の胸に預け、深く息を吸った。
確かにそこにある体温と、鼓動。
私はそのまま動かず、ダリウス様も何も言わず、しばらくそうしていた。
「……今日は、あなたも大変だったのだろうと思う。分かっている……」
「え……?」
「そんなあなたに、今夜もう少し無理をしてくれと頼むのは……愚か者のすることなのだろうな」
その言葉の意味を、少し考える。
ややあって、私は自分の頬が熱くなるのを感じた。
ぱっと顔を上げてダリウス様を見る。
少々気恥ずかしそうに、それでもじっと私を見つめるまなざし。
その奥に熱を感じ取って、私は目を逸らした。
「そういうことは……その……」
「……」
「……あ、明日もありますから……」
私のか細い声に、ダリウス様は動かない。
本気で拒んだら、彼は今私を抱きしめている腕を離してしまうのだろう。
彼に大切にされる時間は、嫌じゃない。
望まれるのは嬉しい。
けれどこうして選択肢を与えられて判断を委ねられるのは――却って、恥ずかしい。
「……」
迷っている間に、何度か愛おしそうに髪を遊ばれた。
少し癖のある髪のうねりを辿るように。
「嫌か」
「いえ……でも……」
心音が重なる。
じわじわと赤くなる私を、見られている。
ここまでの段階で拒んでいない時点で、私の答えは分かっているだろうに。
「……ダリウス様」
「うん」
「……」
結局私はダリウス様の胸に顔を埋めたまま、こくりと頷いた。
「無理じゃありません。でも……その」
「……」
「……あんまりひどい無理は、させないでください」
耳まで赤くなっているのを感じた。
ダリウス様は思案するように顎を撫でる。
「ん……努力はするが」
「するが……?」
「……あなたの魅力と俺の理性のどちらが勝つかだな」
静かにそう言って、今度は迷いなく、私を抱き上げて寝台に横たえる。
乱暴ではないけれど、強く確かな腕だった。
部屋の灯りが消される。寝台の横のランプの光だけが頼りなげに灯っている。
微かに寝台が軋む小さな音に、私は身じろぎした。
ちら、と見上げると、熱を持って色を濃くした蒼い瞳が私を映していた。
「ルーチェ」
閉じ込められているようだと思った。
けれどそれは、私を苦しめるものではなくて――愛してくれるもの。
そのまま、私の額に額が軽く触れる。
温度が近い。
呼吸が混じる。
ゆっくりと唇がふれあい――私は、その髪を撫でた。
王宮ではずっと、肩に力が入っていた。
辺境を背負う責任。妻として見られる重さ。
思い出してしまった、さまざまな記憶。
それでも、こうして二人きりになると、私の心はほどける気がする。
ダリウス様もそうだったらいいと、願っている。
外では、どこかで夜警の足音が響いているのだろう。
けれど、この灯りの下では、私たちはただ、互いの存在を確かめ合うだけでよかった。
不安は消えていない。
けれど、今夜だけは。
この腕の中で、穏やかに夜を過ごしてもいいのだと、そう思えた。
部屋の中には、ランプの柔らかな光だけが残っている。
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