15 / 73
第1章:辺境復興編
15話:三百五十の男
トビアスが来て一週間。軟膏の試作は三壺目に入っていた。
最初の二壺で工程を固め、三壺目で再現性を確認する。トビアスが温度と時間を記録し、私が原価と歩留まりを計算する。連携が噛み合ってきた。
三壺目の蓋を開けた。色、香り、質感。最初の一壺と同じ品質。
「再現できてるわね」
「工程表通りに作れば、誰がやっても同じ品質になるはずです」
「それが大事なの。属人化したら量産できない」
テーブルに計算用紙を広げた。数字が揃ってきた。
レムリア草の採取コスト。加工の人件費と設備費。軟膏一壺あたりの原価。販売価格との差額。月産量の上限。
「トビアス、月に何壺まで一人で作れる?」
「道具が揃えば、三十壺は」
「三十壺。金貨で二百四十枚から三百枚の売上。原価を引いて——」
ペンが走る。
「純利益、月あたり金貨百八十枚。生売りの時の四倍以上」
(四倍)
年間に換算すると、金貨二千枚を超える。アーレン領の現在の年間収入が金貨四百枚程度だから、五倍の上積み。
「トビアス、人を増やせばもっと作れる?」
「工程表がありますから、手先が器用な人間なら教えられます。二人いれば月産六十壺、三人なら——」
「待って。製造人員の増加に対する品質低下リスクも計算しないと。あと、市場に一気に流すと価格が崩れるから、出荷量の調整も——」
「あの」
トビアスが遠慮がちに口を挟んだ。
「何?」
「もう少し落ち着いて話しませんか。お茶が冷めてます」
(……そんなに早口だった?)
冷めた茶を飲んだ。落ち着け。まだ試作の段階だ。
***
午後。作業場を片づけた後、トビアスが改まった顔で言った。
「アイリス様。お話があります」
椅子に座った。グレンが壁際にいる。トビアスはグレンの方を見た。それから私の方を見た。膝の上の手が、作業着の布を握っている。
「グレンはいいわ、そのままで」
トビアスが息を一つ吐いた。言葉を探しているというより、言葉を出す覚悟を固めている顔だった。これを言ったら、もう引き返せない。そういう種類の間。
「私がここに来た本当の理由を、お伝えしなければなりません」
「聞くわ」
「殿下に命じられました。アーレン領に入り込み、あなたの弱みを探してこい、と」
黙って聞いている。
「殿下は仰いました。追放された令嬢が杜撰な商売をしている、品質管理もできていない、このまま放置すれば粗悪な薬が市場に出回る、と。私はそれを信じてここに来ました」
トビアスが頭を下げた。
「嘘でした。全部。帳簿は正確で、住民はあなたを信頼していて、薬草の品質管理も——杜撰どころか、王都の商会より余程まともです。殿下に言われた通りの報告など、できません」
「知ってたわ」
トビアスが驚いたように顔を上げた。
「最初から?」
「レオナルドが善意で人を送ってくるわけないでしょう。二回負けて、今度は中から崩そうとした。分かりやすい人よ」
「では、なぜ受け入れたのですか」
「あなたの手を見たから。薬草で荒れた手をしてた。長年やってきた人間の手よ。腕は確かそうだったし、悪意は感じなかった」
トビアスが自分の手を見た。荒れた指先。爪の間に染みついた薬草の色。
「それと——一つ、気になっていたことがあるの」
「何でしょう」
「あなたがギルドを追われた経緯。不正を告発して除名されたと聞いてるわ」
「……はい」
「告発の時期と、ギルドが処分を決めた時期。その間に何があったか、帳簿を追えば出てくると思うの」
トビアスの目が動いた。
「ギルドの上層部だけの判断で、告発者を除名するのは難しい。外から圧力がかかったはず。誰がギルドに口を利けるか。誰が告発を潰すことで利益を得るか」
言葉を選んだ。確証はない。でも辻褄は合う。
「たぶんね——あなたを干したのも、レオナルドよ」
トビアスの顔から色が消えた。
「告発で明るみに出そうになった不正。その上前が殿下にも入っていたとしたら、告発が通ったら困るのは殿下の方。だからギルドに圧力をかけて、告発した側を追い出させた」
「そんな——殿下は、告発を認めてくださった。腐敗を正す勇気があると——」
「追い出した後で拾ったのよ。潰した相手を恩着せがましく拾い上げて、薄給で手元に置いた。逆らえないようにして」
「母の治療費も——」
「辞められない理由でしょう。お弟子さんの立場も同じ」
トビアスが黙った。長い沈黙だった。
彼の頭の中で、何かが繋がっていくのが見えた。恩人だと思っていた男の顔が、一枚ずつ剥がれていく。
「……確証は、あるのですか」
「ないわ。帳簿を追えば出てくるかもしれないけど、王都のギルドの帳簿なんて辺境からは見られない。ただ、時系列の辻褄は合う」
トビアスの手が震えていた。膝の上で握り締めている。
ここで追い打ちをかけるのは簡単だ。でも、それはレオナルドと同じやり方になる。弱っている人間を都合よく使うのは、あの男の手口だ。
「トビアス。あなたの腕は本物よ。この一週間で分かった」
「……」
「ここで働く気があるなら、仕事はあるわ。加工の技術者が必要だし、あなたにはその力がある」
「でも、母が——弟子のリーゼが——」
「私が何とかするから」
口にしてから、自分でも少し驚いた。帳簿の数字ではない。計算の裏付けがあるわけでもない。ただの言葉。
でも、今はこれでいい。
「お母様の治療費は、軟膏事業の利益から出せる。計算は既にしてあるわ。お弟子さんの件は、受け入れ先を探す必要があるけど——東の港町に薬師ギルドの支部があるはず。王都のギルドとは管轄が違う」
「……すぐには、答えられません」
「急がないわ。考えて」
トビアスが立ち上がった。深く頭を下げて、作業場を出ていった。
扉のところで、一瞬だけ足が止まった。作業台の上の試作三号に目がいったのが見えた。自分が作った軟膏。それから視線を切って、出ていった。
壁際のグレンが、黙ってトビアスの背中を見送っていた。
「グレン」
「……はい」
「あの人、逃げると思う?」
「いいえ」
即答だった。意外だ。グレンは人を信じない男のはずなのに。
「根拠は?」
「逃げる人間は、あんな顔をしません」
それだけ言って、グレンも出ていった。
一人になった作業場で、試作の軟膏を手に取った。澄んだ緑色。トビアスが作った三壺目。
鑑定した。
【レムリア草軟膏(試作三号)】
現在価値:85
潜在価値:320
生のレムリア草より数字が高い、一壺での数字だ。加工で価値が上がった。
(この人の手から出たものは、ちゃんと価値がある)
350の男。飼い殺されて、本来の力を使わせてもらえなかった男。
ここなら使える。ここでなら、1,800に届くかもしれない。
壺を棚に戻して、執務室に向かった。計算の続きがある。トビアスが「はい」と言った時のために、数字を揃えておかなければ。
最初の二壺で工程を固め、三壺目で再現性を確認する。トビアスが温度と時間を記録し、私が原価と歩留まりを計算する。連携が噛み合ってきた。
三壺目の蓋を開けた。色、香り、質感。最初の一壺と同じ品質。
「再現できてるわね」
「工程表通りに作れば、誰がやっても同じ品質になるはずです」
「それが大事なの。属人化したら量産できない」
テーブルに計算用紙を広げた。数字が揃ってきた。
レムリア草の採取コスト。加工の人件費と設備費。軟膏一壺あたりの原価。販売価格との差額。月産量の上限。
「トビアス、月に何壺まで一人で作れる?」
「道具が揃えば、三十壺は」
「三十壺。金貨で二百四十枚から三百枚の売上。原価を引いて——」
ペンが走る。
「純利益、月あたり金貨百八十枚。生売りの時の四倍以上」
(四倍)
年間に換算すると、金貨二千枚を超える。アーレン領の現在の年間収入が金貨四百枚程度だから、五倍の上積み。
「トビアス、人を増やせばもっと作れる?」
「工程表がありますから、手先が器用な人間なら教えられます。二人いれば月産六十壺、三人なら——」
「待って。製造人員の増加に対する品質低下リスクも計算しないと。あと、市場に一気に流すと価格が崩れるから、出荷量の調整も——」
「あの」
トビアスが遠慮がちに口を挟んだ。
「何?」
「もう少し落ち着いて話しませんか。お茶が冷めてます」
(……そんなに早口だった?)
冷めた茶を飲んだ。落ち着け。まだ試作の段階だ。
***
午後。作業場を片づけた後、トビアスが改まった顔で言った。
「アイリス様。お話があります」
椅子に座った。グレンが壁際にいる。トビアスはグレンの方を見た。それから私の方を見た。膝の上の手が、作業着の布を握っている。
「グレンはいいわ、そのままで」
トビアスが息を一つ吐いた。言葉を探しているというより、言葉を出す覚悟を固めている顔だった。これを言ったら、もう引き返せない。そういう種類の間。
「私がここに来た本当の理由を、お伝えしなければなりません」
「聞くわ」
「殿下に命じられました。アーレン領に入り込み、あなたの弱みを探してこい、と」
黙って聞いている。
「殿下は仰いました。追放された令嬢が杜撰な商売をしている、品質管理もできていない、このまま放置すれば粗悪な薬が市場に出回る、と。私はそれを信じてここに来ました」
トビアスが頭を下げた。
「嘘でした。全部。帳簿は正確で、住民はあなたを信頼していて、薬草の品質管理も——杜撰どころか、王都の商会より余程まともです。殿下に言われた通りの報告など、できません」
「知ってたわ」
トビアスが驚いたように顔を上げた。
「最初から?」
「レオナルドが善意で人を送ってくるわけないでしょう。二回負けて、今度は中から崩そうとした。分かりやすい人よ」
「では、なぜ受け入れたのですか」
「あなたの手を見たから。薬草で荒れた手をしてた。長年やってきた人間の手よ。腕は確かそうだったし、悪意は感じなかった」
トビアスが自分の手を見た。荒れた指先。爪の間に染みついた薬草の色。
「それと——一つ、気になっていたことがあるの」
「何でしょう」
「あなたがギルドを追われた経緯。不正を告発して除名されたと聞いてるわ」
「……はい」
「告発の時期と、ギルドが処分を決めた時期。その間に何があったか、帳簿を追えば出てくると思うの」
トビアスの目が動いた。
「ギルドの上層部だけの判断で、告発者を除名するのは難しい。外から圧力がかかったはず。誰がギルドに口を利けるか。誰が告発を潰すことで利益を得るか」
言葉を選んだ。確証はない。でも辻褄は合う。
「たぶんね——あなたを干したのも、レオナルドよ」
トビアスの顔から色が消えた。
「告発で明るみに出そうになった不正。その上前が殿下にも入っていたとしたら、告発が通ったら困るのは殿下の方。だからギルドに圧力をかけて、告発した側を追い出させた」
「そんな——殿下は、告発を認めてくださった。腐敗を正す勇気があると——」
「追い出した後で拾ったのよ。潰した相手を恩着せがましく拾い上げて、薄給で手元に置いた。逆らえないようにして」
「母の治療費も——」
「辞められない理由でしょう。お弟子さんの立場も同じ」
トビアスが黙った。長い沈黙だった。
彼の頭の中で、何かが繋がっていくのが見えた。恩人だと思っていた男の顔が、一枚ずつ剥がれていく。
「……確証は、あるのですか」
「ないわ。帳簿を追えば出てくるかもしれないけど、王都のギルドの帳簿なんて辺境からは見られない。ただ、時系列の辻褄は合う」
トビアスの手が震えていた。膝の上で握り締めている。
ここで追い打ちをかけるのは簡単だ。でも、それはレオナルドと同じやり方になる。弱っている人間を都合よく使うのは、あの男の手口だ。
「トビアス。あなたの腕は本物よ。この一週間で分かった」
「……」
「ここで働く気があるなら、仕事はあるわ。加工の技術者が必要だし、あなたにはその力がある」
「でも、母が——弟子のリーゼが——」
「私が何とかするから」
口にしてから、自分でも少し驚いた。帳簿の数字ではない。計算の裏付けがあるわけでもない。ただの言葉。
でも、今はこれでいい。
「お母様の治療費は、軟膏事業の利益から出せる。計算は既にしてあるわ。お弟子さんの件は、受け入れ先を探す必要があるけど——東の港町に薬師ギルドの支部があるはず。王都のギルドとは管轄が違う」
「……すぐには、答えられません」
「急がないわ。考えて」
トビアスが立ち上がった。深く頭を下げて、作業場を出ていった。
扉のところで、一瞬だけ足が止まった。作業台の上の試作三号に目がいったのが見えた。自分が作った軟膏。それから視線を切って、出ていった。
壁際のグレンが、黙ってトビアスの背中を見送っていた。
「グレン」
「……はい」
「あの人、逃げると思う?」
「いいえ」
即答だった。意外だ。グレンは人を信じない男のはずなのに。
「根拠は?」
「逃げる人間は、あんな顔をしません」
それだけ言って、グレンも出ていった。
一人になった作業場で、試作の軟膏を手に取った。澄んだ緑色。トビアスが作った三壺目。
鑑定した。
【レムリア草軟膏(試作三号)】
現在価値:85
潜在価値:320
生のレムリア草より数字が高い、一壺での数字だ。加工で価値が上がった。
(この人の手から出たものは、ちゃんと価値がある)
350の男。飼い殺されて、本来の力を使わせてもらえなかった男。
ここなら使える。ここでなら、1,800に届くかもしれない。
壺を棚に戻して、執務室に向かった。計算の続きがある。トビアスが「はい」と言った時のために、数字を揃えておかなければ。
あなたにおすすめの小説
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」連載版
まほりろ
恋愛
公爵令嬢のアデリナ・ブラウフォードの人生は実母の死後大きく変わった。
公爵は妻の葬儀が終わって間をあけず再婚。公爵と後妻の間には、再婚前に作った子供までいた。
アデリナは継母と異母妹に私物を奪われ、「離れ」と名ばかりの小屋に押し込められる。
腹違いの妹はアデリナを悪者に仕立て、周囲はそれを信じた。
本来ならアデリナの味方にならなくてはならない婚約者の王太子も、異母妹の魅力に骨抜きにされ全く頼りにならない。
学園の教師も、生徒も、生徒の保護者も王太子と異母妹の味方だ。
そんなアデリナにも唯一の味方がいる。それはトカゲのクヴェル。クヴェルは美少年に変身し、家事も炊事も裁縫も完璧にこなす不思議な存在だ。
実はクヴェルはこの国の建国に携わる水竜で、アデリナは三百年前に水竜を救った初代女王の生まれ変わりだったのだ。
アデリナを蔑ろにする国に嫌気がさしたクヴェルは、アデリナを連れて旅に出る。
神に去られた国は徐々に荒廃していき……。
一方その頃、祖国の荒廃を知らないアデリナはクヴェルとのグルメ旅を満喫していた。
「ん~~! このアップルパイは絶品! 紅茶も美味しい!!」
・人外×人間、竜×人間。
・短編版は小説家になろう、pixivにもアップしています。
・長編版を小説家になろうにも投稿しています。小説家になろう先行投稿。
「Copyright(C)2025-まほりろ」
※タイトル変更しました(2025/05/06)
✕「卒業パーティーで王太子から婚約破棄された公爵令嬢、親友のトカゲを連れて旅に出る〜私が国を出たあと井戸も湖も枯れたそうですが知りません」
✕「嫌われ者の公爵令嬢は国外追放を言い渡される。私が神の祝福持ちだと王家が気付いた時には国の崩壊が始まっていました」
◯新タイトル「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」
・2025年5月16日HOTランキング2位!
ありがとうございます!
※表紙イラストは猫様からお借りしています。
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました