透明人間になった男

空川億里

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1話完結

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 俺は長年の研究の結果、透明人間になる薬を発明した。早速飲んで鏡を見ると、服以外は透明になる。
 服を脱いで裸になって外に出たが、寒くて凍えそうだった。考えてみれば冬なのだ。
 春になって、再び薬を飲んで外に出た。足の裏が痛い。当然だ。裸足で路上の石を踏んづけたのだから。実際なってみると、透明人間とは不自由なものだ。
 ばかばかしいから帰ろうとしたら、そこへ車が走ってきた。なぜか止まろうとしないので驚くが、考えたら当然だ。
 見えないのだから。そして今、俺は病院のベッドに寝ていた。全身を包帯にくるまれて。
 透明人間になるつもりがミイラ男になってしまった。

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