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三姉妹の「反逆者」処断! ~それはそれとして守られたい乙女心~
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「クハハハハ! 勇者ども、どこに隠れている! まとめてこの戦斧のサビにしてくれるわ!!」
バナードの放つ凄まじい闘気が森を震わせ、大気がピリピリと帯電する。その異変を察知し、キャンプ地から武器を手に駆けつけてきたのは、アラタ、カイト、テオの男三人組だった。
「第四軍団長だって……?」
勇者アラタが険しい表情で聖剣を抜く。その隣で、カイトが苦々しく毒づいた。
「おいおい、和平交渉中じゃなかったのかよ。やっぱり罠じゃねえか」
バナードは勇者パーティと真向かうと、
「元軍団長だ! 今日から私はただの修羅! さあ、尋常に勝負――」
口上を述べようとしたところを、
「お待ちなさい、バナード!」
遮って、リリスが凛とした声で前に躍り出た。左右にはエルゼとミーナ。普段のゆるい雰囲気とは打って変わり、その瞳には魔族の王家を感じさせる鋭い眼光が湛えられている。
「おお、これは姫様がた。おどきください、怪我をしますぞ」
「これはお父様の差し金ですの?」
エルゼが、凍りつくような冷ややかさで問う。
「いえ、私の独断! 勇者軍団と雌雄を決したく、はせ参じた次第!」
(このバカ! こっちが慎重に外堀を埋めてるっていうのに、バトルマニアの暴走で台無しにされてたまるもんですか!)
リリスは内心で激しく舌打ちしたが、即座に脳内の戦略計算を高速回転させた。
(……待って。これは逆に利用できる。ここでこいつを叩けば、私たちの本気度が伝わるかも)
リリスは背後の勇者パーティ、特に疑いの眼差しを向けていたセシルとリンに向き直った。
「皆さん、聞いて! この者は魔王の命に背き、独断で暴走した……すなわち、魔王軍への『反逆者』です。魔王の名代として、私たち三姉妹がその罪を処断します!」
「リリスさん……?」
それを聞いたアラタが戸惑いの声を上げる。
「私たちがあなたがたを裏切ってなどいないということ、しっかりと確かめてください! 行くわよ、エルゼ、ミーナ!」
「承知しましたわ」
エルゼが優雅に扇子をしまい、その手に魔力を込める。
「思いっきり行くよぉ! わたしたちの未来を邪魔するおじさんは、お掃除しちゃうんだから!」
三姉妹が動いた。彼女たちは魔王の娘。帝王学の一環として、幼少期から「あらゆる有事に対応するための英才教育(戦闘訓練)」を叩き込まれてきたのだ。
(当時は『疲れるし、汗臭いし、顔が汚れる』とか言って嫌々受けていたけれど、何が役に立つか分からないものね!)
三人が魔力を全身にみなぎらせ、近接格闘を開始する。か弱そうに見えるドレス姿の令嬢たちが、身長二メートルを超える巨漢のバナードを囲み、目にも止らぬ速さで打ち込みを始めた。
「ぐううう、まさか、ここまでとは……さすがは、王の血筋よ!」
バナードが歓喜に顔を歪める。三人はいったん距離を取り、息を整えた。
「さすがに軍団長ね。戦闘経験ではあちらに一日の長があるわ」
リリスが眉をひそめると、エルゼが鋭く補足する。
「お姉様、長期戦は不利ですわ。それに、みなさんの疑念を晴らすには、圧倒的な力で幕を引く必要があります」
「ミーナ、お願い。わたしとエルゼで隙を作るから、最大出力でぶっ飛ばしちゃって」
「りょーかい!」
リリスとエルゼが、流れるような連携でバナードに肉薄した。バナードが振り回す大斧の暴風を紙一重で避け、エルゼがバナードの膝裏を正確に強打する。巨躯がわずかに崩れたその瞬間――。
「今よ!」
リリスの声が響く。三姉妹の中で最大の魔力含有量を誇るミーナが、両手に巨大な光の渦を形成していた。
「おじさん、邪魔ぁぁぁ! どっか飛んでけー!」
ドォォォォォン!!
三人の完璧なコンビネーションに、百戦練磨のバナードが血まみれになりながら後退した。
「ク、クハハ……素晴らしい。これだ、この衝撃だ……! これこそが生の充実……だが、まだまだだ! まだ私は……死の絶頂には至らんぞぉ!」
狂気に駆られたバナードが、文字通りの捨て身の特攻を仕掛けた。血走った目で斧を振り上げ、魔力を使い果たして隙だらけになったミーナへと振り下ろしたのだ。
(あ、やばい――!)
ミーナは反射的に身をかわそうと足を動かしたが、魔力消費による疲労で膝がわずかに震え、一歩が遅れる。
ガギィィィン!!
重厚な金属音が森を裂き、ミーナの視界に大きな背中が割り込んだ。戦士テオだ。彼は愛用の大盾を構え、バナードが放った全霊の衝撃波を真っ向から受け止めていた。
「て、テオ様……?」
呆然と見上げるミーナに、テオは振り返らず、前方のバナードを鋭く見据えたまま低く告げた。
「もういいでしょう。あなた方が本気で元軍団長と戦っていることは、よく分かりました」
「で、でも……わたし、まだ戦えますっ!」
「これ以上戦って、あなたに怪我でもされたら大変です」
テオの声は、いつになく誠実で、守るべき者を背負った男の重みがあった。
「ここからは、わたしが……いえ、わたしたちが相手をします。あなたは、そこで見ていてください」
テオの背中。自分を守るために盾となり、その身を挺して敵の前に立つ騎士。
ミーナの瞳が、ハート型になり、その色はピンクに染まった。
(うわあああ! 『怪我でもされたら大変です』だって! それって、愛しているってことだよね。怪我どころかもう死んでもいい……ううん、この人と結婚するまでは絶対に死ねない!!)
一方、それを見たバナードは、もはや恍惚とした表情で笑い声を上げた。
「そうだ! それだ勇者よ! 仲間を守るその輝き、その正義……! さあ、この私を、その誠実な刃で討ってみろ!!」
バナードの放つ凄まじい闘気が森を震わせ、大気がピリピリと帯電する。その異変を察知し、キャンプ地から武器を手に駆けつけてきたのは、アラタ、カイト、テオの男三人組だった。
「第四軍団長だって……?」
勇者アラタが険しい表情で聖剣を抜く。その隣で、カイトが苦々しく毒づいた。
「おいおい、和平交渉中じゃなかったのかよ。やっぱり罠じゃねえか」
バナードは勇者パーティと真向かうと、
「元軍団長だ! 今日から私はただの修羅! さあ、尋常に勝負――」
口上を述べようとしたところを、
「お待ちなさい、バナード!」
遮って、リリスが凛とした声で前に躍り出た。左右にはエルゼとミーナ。普段のゆるい雰囲気とは打って変わり、その瞳には魔族の王家を感じさせる鋭い眼光が湛えられている。
「おお、これは姫様がた。おどきください、怪我をしますぞ」
「これはお父様の差し金ですの?」
エルゼが、凍りつくような冷ややかさで問う。
「いえ、私の独断! 勇者軍団と雌雄を決したく、はせ参じた次第!」
(このバカ! こっちが慎重に外堀を埋めてるっていうのに、バトルマニアの暴走で台無しにされてたまるもんですか!)
リリスは内心で激しく舌打ちしたが、即座に脳内の戦略計算を高速回転させた。
(……待って。これは逆に利用できる。ここでこいつを叩けば、私たちの本気度が伝わるかも)
リリスは背後の勇者パーティ、特に疑いの眼差しを向けていたセシルとリンに向き直った。
「皆さん、聞いて! この者は魔王の命に背き、独断で暴走した……すなわち、魔王軍への『反逆者』です。魔王の名代として、私たち三姉妹がその罪を処断します!」
「リリスさん……?」
それを聞いたアラタが戸惑いの声を上げる。
「私たちがあなたがたを裏切ってなどいないということ、しっかりと確かめてください! 行くわよ、エルゼ、ミーナ!」
「承知しましたわ」
エルゼが優雅に扇子をしまい、その手に魔力を込める。
「思いっきり行くよぉ! わたしたちの未来を邪魔するおじさんは、お掃除しちゃうんだから!」
三姉妹が動いた。彼女たちは魔王の娘。帝王学の一環として、幼少期から「あらゆる有事に対応するための英才教育(戦闘訓練)」を叩き込まれてきたのだ。
(当時は『疲れるし、汗臭いし、顔が汚れる』とか言って嫌々受けていたけれど、何が役に立つか分からないものね!)
三人が魔力を全身にみなぎらせ、近接格闘を開始する。か弱そうに見えるドレス姿の令嬢たちが、身長二メートルを超える巨漢のバナードを囲み、目にも止らぬ速さで打ち込みを始めた。
「ぐううう、まさか、ここまでとは……さすがは、王の血筋よ!」
バナードが歓喜に顔を歪める。三人はいったん距離を取り、息を整えた。
「さすがに軍団長ね。戦闘経験ではあちらに一日の長があるわ」
リリスが眉をひそめると、エルゼが鋭く補足する。
「お姉様、長期戦は不利ですわ。それに、みなさんの疑念を晴らすには、圧倒的な力で幕を引く必要があります」
「ミーナ、お願い。わたしとエルゼで隙を作るから、最大出力でぶっ飛ばしちゃって」
「りょーかい!」
リリスとエルゼが、流れるような連携でバナードに肉薄した。バナードが振り回す大斧の暴風を紙一重で避け、エルゼがバナードの膝裏を正確に強打する。巨躯がわずかに崩れたその瞬間――。
「今よ!」
リリスの声が響く。三姉妹の中で最大の魔力含有量を誇るミーナが、両手に巨大な光の渦を形成していた。
「おじさん、邪魔ぁぁぁ! どっか飛んでけー!」
ドォォォォォン!!
三人の完璧なコンビネーションに、百戦練磨のバナードが血まみれになりながら後退した。
「ク、クハハ……素晴らしい。これだ、この衝撃だ……! これこそが生の充実……だが、まだまだだ! まだ私は……死の絶頂には至らんぞぉ!」
狂気に駆られたバナードが、文字通りの捨て身の特攻を仕掛けた。血走った目で斧を振り上げ、魔力を使い果たして隙だらけになったミーナへと振り下ろしたのだ。
(あ、やばい――!)
ミーナは反射的に身をかわそうと足を動かしたが、魔力消費による疲労で膝がわずかに震え、一歩が遅れる。
ガギィィィン!!
重厚な金属音が森を裂き、ミーナの視界に大きな背中が割り込んだ。戦士テオだ。彼は愛用の大盾を構え、バナードが放った全霊の衝撃波を真っ向から受け止めていた。
「て、テオ様……?」
呆然と見上げるミーナに、テオは振り返らず、前方のバナードを鋭く見据えたまま低く告げた。
「もういいでしょう。あなた方が本気で元軍団長と戦っていることは、よく分かりました」
「で、でも……わたし、まだ戦えますっ!」
「これ以上戦って、あなたに怪我でもされたら大変です」
テオの声は、いつになく誠実で、守るべき者を背負った男の重みがあった。
「ここからは、わたしが……いえ、わたしたちが相手をします。あなたは、そこで見ていてください」
テオの背中。自分を守るために盾となり、その身を挺して敵の前に立つ騎士。
ミーナの瞳が、ハート型になり、その色はピンクに染まった。
(うわあああ! 『怪我でもされたら大変です』だって! それって、愛しているってことだよね。怪我どころかもう死んでもいい……ううん、この人と結婚するまでは絶対に死ねない!!)
一方、それを見たバナードは、もはや恍惚とした表情で笑い声を上げた。
「そうだ! それだ勇者よ! 仲間を守るその輝き、その正義……! さあ、この私を、その誠実な刃で討ってみろ!!」
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