悪戯な哀歌

あきすと

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③最後の聲

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文字も、読み書きも孤児院で習った。

声に出して、言葉が文章となり誰かに届く。
僕の思いじゃないのに、他の誰かの言葉を
僕が話している不思議。

ただ、歌は好きだった。

子供の頃に、よく母親が歌っていたから。
綺麗で、高い声が柔らかに空に融けていく。

『この歌はね、祝福の歌よ』

この言葉は、僕へと向けられていた。
生きている事、産まれて来た事への祝福?

思い返せば、母親の紅い髪がいつも鮮烈で
瞳いっぱいに映る長くてなびく髪。

僕は、うっすらと気が付いていたのかもしれない。
自分の母親が、どういった存在なのかを。

父親の記憶は、日々薄れていくのに
母親の記憶ばかり、色濃く思い出す日々。

僕は、友人ができて嬉しかった。
それなのに、大切な友人を残したまま
生の終わりを迎えたんだ。

冷たいはずの、土の中は本当は思ったよりも
冷たくなくて。
むしろ、温かささえ感じていたんだと思う。

彼が、僕の為に綺麗な服をあつらえてくれた。
真心を感じる。
彼は、知っているのだろうか?

僕の死が彼の涙と嗚咽を誘い、死んだ後の僕の耳にも
聞こえていたかもしれない事を。
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