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ほぼ半裸の辰海を見てしまったけれど
もしかしたらこの後は、とか考えてしまう。
どこまで真剣なのかさっぱり分からない。
だから余計に俺も慎重にはなる。

「爪切っといてよかった。」
もちろんヤスってもある。
元、虎が何をしてるのかと思う。

まさか男を抱く為に、ここまで念入りに
前もって準備をしなきゃいけないなんて
少し前の俺は知らなかった。
でも、辰海は…知ってるのだろうか?

ぼんやりとしてる奴ではある。
恋愛面において、どんな一面があるのかを
俺はまだ知らない。
特に焦る事も無いとは思っている。

自室に戻り、しばらく経ってから
部屋のドアがゆっくり開いた。
辰海の神にはタオルが掛かっていて
細かな表情こそ見えない。

華奢な体つきには少し大きめの
俺のTシャツからのぞく太腿。
眼福だった。

『ありがとう、やっぱり寝起きの後はさっぱりして良いね♪』
「エアコン寒くないか?」
『大丈夫、今のところは』
「すかすかしない?パンツ履いてないなんて」
『うーーん、まぁ…ちょっとはね?』

確かにゆったり目のデザインではあるから
袖丈も通常の物よりかは肩が落ち気味だ。
「髪ちゃんと乾かせよ。万が一にも風邪なんて引いたら『過保護だね。やっぱり俺の事が今でも心配なの?』」

当たり前だ。

『俺の事、喰らいたくて仕方なかった白虎がさ。笑っちゃうよ。』
「また、同じあやまちを繰り返そうとしてる。」
『俺ね、男とのシ方…知ってるから。』

ニコリと笑い、辰海がまた俺のベッドに
腰掛けた。
俺もベッドに上がり、背後から辰海を
抱き締める。

「何でまた…。調べたのか?」
『んん、そうじゃ無くて…妹が居るんだけど腐女子なの。』

「聞いた事はあるけど…。まさか辰海の妹が?なんか、そういう本でも読んだりしたのか?
辰海が。」
『うん。悠寅の事話したら、めっちゃ喜んでくれて。写真チラッと見せたら大興奮してた。』

なんつー兄妹になったんだよお前らは。
前世の兄妹とはまた違った関係性に
なったって事か。
まぁ、仲が良いに越した事はない。

「じゃあ、してきたのか?準備。」
『ふふっ…それは自分で確かめるべきじゃない?』

両手で辰海の胸を抱き締めながら
キスをする。
ゆるくのけ反る首からのラインが綺麗で
少ししなる背中からの圧が心地良い。

体温と体温が重なるだけでも気持ちよくて
唇が触れ合うくすぐったさに
辰海は瞳を細めている。
子供みたいなキスから、啄んだり
食む様なキスに変わり、小さな唇のその奥に
舌を割り入れると辰海の吐息が漏れる。

本当に素直で分かりやすい反応が返って来て
愛しさが込み上げてくる。

キスしかまだしてないのに、膝頭を
擦り合わせて頬を赤く染めている。
小さめの綺麗な歯列に舌が触れて
なぞり上げると、細かに体を震わせる。

少しずつ唾液が口内を潤して、
柔らかな粘膜を舌先でそっと摩る。
Tシャツの上から、胸の突起を指先で
掻く。すぐに突起がふっくりと起きて
きゅぅっと小さく摘んでみた。

『?!』
辰海の体がビクッと波打って、視線がぶつかる。
「…辰…?気持ちいい?」
『っぁ…クリクリすんなぁ…ッ』
視線の先には、頭をもたげ始めた
辰海のが見える。

可哀想で可愛くて仕方ない。
歪んだ感情で俺は今、辰海を侵食している。
「まだ全然ダメ…触ってなんかやらないから。」

まだまだもっともっと足りなくて
ずっと好きな辰海の唇の奥をいっぱい
可愛がりたいという欲求に溺れていた。
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