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星狩りの夜
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やっぱり、ここの所の千紘は何か隠し事してる。
もう、いいや。千紘のマネージャーさんに、メッセ―ジを入れておいて
個人的に聞き出してみよう。と、思ったら…
千紘の世話で忙しいから都合がつかない。
と言う様な文章が送信されて来た(実際はもっと、丁寧な言葉だよ)
やっぱり、事務所ぐるみでまた何かしらの企画でもしてるんじゃないのか?
疑う余地しかない。
催眠術で、聞きだすのには失敗したし。
あれ、全然かからないんだからショック。
千紘がボロを出すまで、待ってる事にしたのも束の間。
なーんと、好機到来!!天乃屋星明くんが、ネットラジオ配信で
アイドルのMellow.Sweetの2人とコラボすると聞いたので
帰宅がてら聞いてみた。
「どう聴いても…千紘」
本人は、気付いてないんだろうけど結構話す時の癖、間、イントネーションや
滑舌。語尾とかもそんなにすぐには変えようがないもので。
これは、このまま知らないフリをしてあげるのが、もしかしたら大人の優しさなのかもしれない。
ただ、目的が見えない。
千紘と事務所は、何を狙ってこんな事を考え出したのだろう。
歌手になっても、モデルしてても、タレントでも俺としては何でもいいんだけど。
どの肩書を背負うにしても、今の千紘には多い気がする。
勿論ね、持って生まれたものは千紘は良いものが沢山ある。
のに、あれもこれも、と立ち回れる人間がどの位いるだろうと考えてみると
一つの肩書に、集中する時期が必要なのだと気が付く時が来る。
俺は、ただ千紘が気づくのを待っているのかもしれない。
あまり器用とは言えない千紘が、無暗に傷つく事なく
活動して行って欲しいだけなのだ。
しばらくは、この話題に触れずに居よう。
千紘の心の中で、何か満たされていない物があるのだとしたら
解消してあげたい。隙間を埋めたい。
共感性羞恥のせいかは分からないけど、ほとんど声の世界に触れてこなかった
千紘は、今結構…キツイのではないかと考える。
車を走らせていると、気がまぎれた。
家の中が大好きな千紘と、俺は外に出るのが好きな方だから
ずっとこもり切りになるのは、避けたい。
そうだ、たまには千紘を外に連れ出したい。
いくつもの季節に、タイミングは何度もあったのに
ズルズルと、2人で部屋で溶けているだけでは余りに閉鎖的だ。
最近よく、空を飛ぶ夢を見るのも…そう言う事だろう。
よっきゅーふまん。
隣に眠る、お人形さんみたいな千紘を尻目に…罪悪感で夜は目が覚めたりもする。
やめなさい、と言っても外さないヘッドフォンを片付けて
ほんのりと熱を帯びた唇を奪う。
こんな事を夜な夜な続けていても、ほとんど千紘は夢の世界にいる。
季節は、晩夏。まだまだ残暑も厳しい。でも、鈴虫が夜になれば鳴き始める季節。
平日の夜、夕食を終えて俺と千紘は、車で出掛ける事にした。
『あてのないドライブ?行先は決まって無いのかよ』
「そんな事ないよ、だいたいは決めてある。…あんまり乗り気じゃなさそう?」
『うーん、いやぁ?そんな事は無いけど。このまま心地よくなったら寝そうかなぁ、とか』
「うん、寝ててもいいよ、俺は隣に千紘が居てくれればそれでいいから。ね、一緒に行こう?」
ほら、と手を差し出すと千紘は、柔らかに笑み俺の手を握った。
「手、あったかいね千紘…もう既にかなり眠そう?」
『まだ…大丈夫』
千紘は助手席に乗って、シートベルトを締めると座席を少しリクライニングしている。
「いい角度だね、すぐ寝れそう。」
『やべーーー、ほんとに、もうちょっと…起こすか?』
千紘が、左側のレバーを調整をしかけるけど俺は、左手でそれを止めた。
「無理しなくていいよ。今日も一日で疲れてるのに、俺が引っ張り出して来たんだからね」
『俺ね…、真幸の運転してる姿、結構好きだ。』
「あ、もしかして…腕だっけ?手の感じでしょ」
『そうそう、よく見てるの…もしかして気づいてた?』
「千紘も、細かいよね?見てる所が」
『真幸だからだよ。他の人の運転は、俺よい易いから寝てるもん』
「起きたら、どこに居れたら嬉しい?」
『あったかい所…かな。寒いの苦手だから。』
千紘は、この会話の後に熟睡してしまった。でも、この穏やかな静寂だって俺はむしろ好きなんだ。
心を預けた者の傍で眠れることは、安らぎだろうと思えるからだ。
それから、1時間ほど走らせて…車は丘陵地帯を行く。
カーブも少しきつめで、路面も、ワインディングが酷い。
この先には展望台がある。星が観測しやすくていわゆる、夜景スポットでもある。
夜景を見せたいのではなくて、星空を見せたい事を
千紘ならば、すぐに感じてくれるだろう。
昔、一度は宇宙飛行士に憧れて、必死に星座の名前を憶えていたというのに
今となっては、有名なものしか覚えていないなんて。
広い駐車場には、車がほとんど停まっていない。平日だとこんなものだろう。
星の観察ができる施設は、駐車場から少し歩いた場所にあるが、もちろん時間外で閉まっている。
車を停車させて、眠っている千紘の手を握る。
「千紘、到着したよ…」
子供みたいに、自由なカッコで寝てるのが愛おしくて、そっとシートベルトを外してから
軽く千紘の身体を揺らす。
『んぅ…、っ、寝てたぁ…ここどこ?』
「お星さまに手が届きそうな場所。」
千紘は、起き上がって、先に車から降りてしまった。
『ふぁあ…本当に、本当だ…空が綺麗、紫色してる。星がいっぱい…』
無垢な感想に俺は、千紘の後ろで静かに笑っていた。
「今日は、いくつ流れ星が見れるかな?」
『俺、1回しか見た事ない…』
千紘も俺もずっと夜空を見上げて、星が流れる瞬間を探している。
千紘は、寒そうに身をすくめだす。
横に並んで、千紘の肩を抱き寄せる。
特別な何かもいらない、ただ、同じ場所に居られて
同じものを見て、心動かされるこの関係が尊かった。
「首、疲れたんじゃないか?大丈夫、千紘」
『平気。ありがと。まさか、こんな風に連れ出されるなんて思わなかった。ホテルにでも
連れて行かれるかと思った。』
「俺は、どこまでクソ野郎なの?」
『冗談だよ、真幸の極端に純真な部分は…俺も理解してる。』
「自分の小ささを、ただただ感じるよね。夜空に溶けたくなっちゃった。」
『…駄目。』
「千紘?」
『ちゃんとさ、大地を踏みしめて、根差して生きるんだよ。精一杯な!溶けるのなんて、一番最後で充分だ。』
思ってもみなかった千紘の言葉に、心が揺らぐ。
「そう、だね…。ごめん、千紘…ちょっとだけ、抱き締めさせて」
千紘は、素直に俺と向かい合って、抱き締めさせてくれた。
これが、現実なのだから俺はかなり贅沢なことを言ってしまった。
辺りは真っ暗闇の中で、人知れずキスを交わした。
千紘の鼻先が少し冷たくて
「さ、帰ろうか…」
『夜中は冷えるんだな。長袖持ってきたら良かった。』
車に乗り込んでからも、何度かキスをしては抱き締めあった。
すぐに、雰囲気に流されそうになるのが自分の悪い癖。
帰り道もまた、千紘は寝入っていた。
無防備な寝顔を見るだけで、心が穏やかになる。
千紘の儚さと、現実的な精神性のバランスにはいつも俺はどこかで
救われているのだ。
本当にこのまま、千紘が言う通りホテルに行っても良いんだろうけど。
今日は、さすがに気が引ける。
安全運転で家路につく。
日付も変わった頃に、家に帰って来た。
ヨレヨレの千紘を車から降ろして、家に連れて行きシャワーを浴びる様に
促して。
『今日、お風呂が良い』と、無駄に可愛く拗ねるので即座にお湯を浴槽に張った。
一緒に入ろう?との誘いにすっかり負けて、俺は千紘と久しぶりに入浴した。
寝起きで、ぽやぽやの千紘がとにかく可愛くて、仕方なかった。
もう少しで、浴槽で溺れるんじゃないかとヒヤヒヤしたが
素っ裸で抱き付いてこられては、こちらも我慢の限度を超えていて
風呂場で、千紘を抱いてしまった。
あんまり、良くないとは思ってたんだけど(風邪ひくと困るし)
千紘も、罪悪感を感じながらだったのか、必死に声を抑えていた。
悪循環に、俺がそんな千紘を見てまた劣情を煽られてしまって
完遂したのだ…。
途中までは、フツーに健全だったんだけどなぁ…
これも全部、千紘がえちえちなせいかも、うん。
もう、いいや。千紘のマネージャーさんに、メッセ―ジを入れておいて
個人的に聞き出してみよう。と、思ったら…
千紘の世話で忙しいから都合がつかない。
と言う様な文章が送信されて来た(実際はもっと、丁寧な言葉だよ)
やっぱり、事務所ぐるみでまた何かしらの企画でもしてるんじゃないのか?
疑う余地しかない。
催眠術で、聞きだすのには失敗したし。
あれ、全然かからないんだからショック。
千紘がボロを出すまで、待ってる事にしたのも束の間。
なーんと、好機到来!!天乃屋星明くんが、ネットラジオ配信で
アイドルのMellow.Sweetの2人とコラボすると聞いたので
帰宅がてら聞いてみた。
「どう聴いても…千紘」
本人は、気付いてないんだろうけど結構話す時の癖、間、イントネーションや
滑舌。語尾とかもそんなにすぐには変えようがないもので。
これは、このまま知らないフリをしてあげるのが、もしかしたら大人の優しさなのかもしれない。
ただ、目的が見えない。
千紘と事務所は、何を狙ってこんな事を考え出したのだろう。
歌手になっても、モデルしてても、タレントでも俺としては何でもいいんだけど。
どの肩書を背負うにしても、今の千紘には多い気がする。
勿論ね、持って生まれたものは千紘は良いものが沢山ある。
のに、あれもこれも、と立ち回れる人間がどの位いるだろうと考えてみると
一つの肩書に、集中する時期が必要なのだと気が付く時が来る。
俺は、ただ千紘が気づくのを待っているのかもしれない。
あまり器用とは言えない千紘が、無暗に傷つく事なく
活動して行って欲しいだけなのだ。
しばらくは、この話題に触れずに居よう。
千紘の心の中で、何か満たされていない物があるのだとしたら
解消してあげたい。隙間を埋めたい。
共感性羞恥のせいかは分からないけど、ほとんど声の世界に触れてこなかった
千紘は、今結構…キツイのではないかと考える。
車を走らせていると、気がまぎれた。
家の中が大好きな千紘と、俺は外に出るのが好きな方だから
ずっとこもり切りになるのは、避けたい。
そうだ、たまには千紘を外に連れ出したい。
いくつもの季節に、タイミングは何度もあったのに
ズルズルと、2人で部屋で溶けているだけでは余りに閉鎖的だ。
最近よく、空を飛ぶ夢を見るのも…そう言う事だろう。
よっきゅーふまん。
隣に眠る、お人形さんみたいな千紘を尻目に…罪悪感で夜は目が覚めたりもする。
やめなさい、と言っても外さないヘッドフォンを片付けて
ほんのりと熱を帯びた唇を奪う。
こんな事を夜な夜な続けていても、ほとんど千紘は夢の世界にいる。
季節は、晩夏。まだまだ残暑も厳しい。でも、鈴虫が夜になれば鳴き始める季節。
平日の夜、夕食を終えて俺と千紘は、車で出掛ける事にした。
『あてのないドライブ?行先は決まって無いのかよ』
「そんな事ないよ、だいたいは決めてある。…あんまり乗り気じゃなさそう?」
『うーん、いやぁ?そんな事は無いけど。このまま心地よくなったら寝そうかなぁ、とか』
「うん、寝ててもいいよ、俺は隣に千紘が居てくれればそれでいいから。ね、一緒に行こう?」
ほら、と手を差し出すと千紘は、柔らかに笑み俺の手を握った。
「手、あったかいね千紘…もう既にかなり眠そう?」
『まだ…大丈夫』
千紘は助手席に乗って、シートベルトを締めると座席を少しリクライニングしている。
「いい角度だね、すぐ寝れそう。」
『やべーーー、ほんとに、もうちょっと…起こすか?』
千紘が、左側のレバーを調整をしかけるけど俺は、左手でそれを止めた。
「無理しなくていいよ。今日も一日で疲れてるのに、俺が引っ張り出して来たんだからね」
『俺ね…、真幸の運転してる姿、結構好きだ。』
「あ、もしかして…腕だっけ?手の感じでしょ」
『そうそう、よく見てるの…もしかして気づいてた?』
「千紘も、細かいよね?見てる所が」
『真幸だからだよ。他の人の運転は、俺よい易いから寝てるもん』
「起きたら、どこに居れたら嬉しい?」
『あったかい所…かな。寒いの苦手だから。』
千紘は、この会話の後に熟睡してしまった。でも、この穏やかな静寂だって俺はむしろ好きなんだ。
心を預けた者の傍で眠れることは、安らぎだろうと思えるからだ。
それから、1時間ほど走らせて…車は丘陵地帯を行く。
カーブも少しきつめで、路面も、ワインディングが酷い。
この先には展望台がある。星が観測しやすくていわゆる、夜景スポットでもある。
夜景を見せたいのではなくて、星空を見せたい事を
千紘ならば、すぐに感じてくれるだろう。
昔、一度は宇宙飛行士に憧れて、必死に星座の名前を憶えていたというのに
今となっては、有名なものしか覚えていないなんて。
広い駐車場には、車がほとんど停まっていない。平日だとこんなものだろう。
星の観察ができる施設は、駐車場から少し歩いた場所にあるが、もちろん時間外で閉まっている。
車を停車させて、眠っている千紘の手を握る。
「千紘、到着したよ…」
子供みたいに、自由なカッコで寝てるのが愛おしくて、そっとシートベルトを外してから
軽く千紘の身体を揺らす。
『んぅ…、っ、寝てたぁ…ここどこ?』
「お星さまに手が届きそうな場所。」
千紘は、起き上がって、先に車から降りてしまった。
『ふぁあ…本当に、本当だ…空が綺麗、紫色してる。星がいっぱい…』
無垢な感想に俺は、千紘の後ろで静かに笑っていた。
「今日は、いくつ流れ星が見れるかな?」
『俺、1回しか見た事ない…』
千紘も俺もずっと夜空を見上げて、星が流れる瞬間を探している。
千紘は、寒そうに身をすくめだす。
横に並んで、千紘の肩を抱き寄せる。
特別な何かもいらない、ただ、同じ場所に居られて
同じものを見て、心動かされるこの関係が尊かった。
「首、疲れたんじゃないか?大丈夫、千紘」
『平気。ありがと。まさか、こんな風に連れ出されるなんて思わなかった。ホテルにでも
連れて行かれるかと思った。』
「俺は、どこまでクソ野郎なの?」
『冗談だよ、真幸の極端に純真な部分は…俺も理解してる。』
「自分の小ささを、ただただ感じるよね。夜空に溶けたくなっちゃった。」
『…駄目。』
「千紘?」
『ちゃんとさ、大地を踏みしめて、根差して生きるんだよ。精一杯な!溶けるのなんて、一番最後で充分だ。』
思ってもみなかった千紘の言葉に、心が揺らぐ。
「そう、だね…。ごめん、千紘…ちょっとだけ、抱き締めさせて」
千紘は、素直に俺と向かい合って、抱き締めさせてくれた。
これが、現実なのだから俺はかなり贅沢なことを言ってしまった。
辺りは真っ暗闇の中で、人知れずキスを交わした。
千紘の鼻先が少し冷たくて
「さ、帰ろうか…」
『夜中は冷えるんだな。長袖持ってきたら良かった。』
車に乗り込んでからも、何度かキスをしては抱き締めあった。
すぐに、雰囲気に流されそうになるのが自分の悪い癖。
帰り道もまた、千紘は寝入っていた。
無防備な寝顔を見るだけで、心が穏やかになる。
千紘の儚さと、現実的な精神性のバランスにはいつも俺はどこかで
救われているのだ。
本当にこのまま、千紘が言う通りホテルに行っても良いんだろうけど。
今日は、さすがに気が引ける。
安全運転で家路につく。
日付も変わった頃に、家に帰って来た。
ヨレヨレの千紘を車から降ろして、家に連れて行きシャワーを浴びる様に
促して。
『今日、お風呂が良い』と、無駄に可愛く拗ねるので即座にお湯を浴槽に張った。
一緒に入ろう?との誘いにすっかり負けて、俺は千紘と久しぶりに入浴した。
寝起きで、ぽやぽやの千紘がとにかく可愛くて、仕方なかった。
もう少しで、浴槽で溺れるんじゃないかとヒヤヒヤしたが
素っ裸で抱き付いてこられては、こちらも我慢の限度を超えていて
風呂場で、千紘を抱いてしまった。
あんまり、良くないとは思ってたんだけど(風邪ひくと困るし)
千紘も、罪悪感を感じながらだったのか、必死に声を抑えていた。
悪循環に、俺がそんな千紘を見てまた劣情を煽られてしまって
完遂したのだ…。
途中までは、フツーに健全だったんだけどなぁ…
これも全部、千紘がえちえちなせいかも、うん。
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