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002. Soy sause
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「円さん、書類の確認をお願いします」
「円さん、ちょっとよろしいですか」
「こちらに置きます、円さん」
「失礼します、円さん」
まどかさん
まどかさん
まどかさん……
セックスをした次の日、あいつはやたらと俺の名前を呼ぶ。
本人は無意識らしいがわかりやすい。
最中に絶対名前を呼ばないし、呼ばせないからだ。
こともあろうに、あいつは下の名前を呼びたい、自分も呼んでほしいと言ってきたが、即却下した。
なにかの拍子に名前を呼ばれてトラブルになるのはごめんだ。
こっちも他の男とセックスしているときに別の男の名前を呼んで面倒なことになるのは避けたい。
ミーティングのあと、会議室の片づけを2人ですることになった。
あいつはドアに鍵をかけると、また後ろから俺に抱きついてきた。
「離せ、片づけができない」
「円さん」
肩口に顔をつけているので、名前を呼ぶ声がくぐもって聞こえる。
「だって会社じゃないと名前呼ばせてくれない。
昼だって、またセクハラ親父に身体をさわらせていたくせに」
「本人が望んでいないのにさわってくるのは、お前も同じだろう」
「違うって言ってるのに。
今夜も円さんを抱きたい」
ああ、面倒だ。
「給料日前でホテル代ないだろ。
諦めろ」
一切払わないホテル代が月にいくらになるのか知らないが、結構苦しくなるはずだ。
「じゃあ、キス」
「意味がわからない」
が、俺に構わずキスをしてくる。
仕方ない、これで妥協してやる。
俺はおとなしく唇を合わせてやっている。
途中で目を開けると、うっとりとしたヤツの顔が見えた。
笑えた。
「円さん、ちょっとよろしいですか」
「こちらに置きます、円さん」
「失礼します、円さん」
まどかさん
まどかさん
まどかさん……
セックスをした次の日、あいつはやたらと俺の名前を呼ぶ。
本人は無意識らしいがわかりやすい。
最中に絶対名前を呼ばないし、呼ばせないからだ。
こともあろうに、あいつは下の名前を呼びたい、自分も呼んでほしいと言ってきたが、即却下した。
なにかの拍子に名前を呼ばれてトラブルになるのはごめんだ。
こっちも他の男とセックスしているときに別の男の名前を呼んで面倒なことになるのは避けたい。
ミーティングのあと、会議室の片づけを2人ですることになった。
あいつはドアに鍵をかけると、また後ろから俺に抱きついてきた。
「離せ、片づけができない」
「円さん」
肩口に顔をつけているので、名前を呼ぶ声がくぐもって聞こえる。
「だって会社じゃないと名前呼ばせてくれない。
昼だって、またセクハラ親父に身体をさわらせていたくせに」
「本人が望んでいないのにさわってくるのは、お前も同じだろう」
「違うって言ってるのに。
今夜も円さんを抱きたい」
ああ、面倒だ。
「給料日前でホテル代ないだろ。
諦めろ」
一切払わないホテル代が月にいくらになるのか知らないが、結構苦しくなるはずだ。
「じゃあ、キス」
「意味がわからない」
が、俺に構わずキスをしてくる。
仕方ない、これで妥協してやる。
俺はおとなしく唇を合わせてやっている。
途中で目を開けると、うっとりとしたヤツの顔が見えた。
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