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20章 夏休みの海水浴
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関都と慈美子は学校の廊下の隅で楽しく談笑していた。夏休みの計画について話していたのである。そこに城之内と三バカトリオがやってきた。
「ほほほ!ごきげんようですわ!」
「ご、ごきげんよう…」
「夏休みはわたくしのプライベートビーチに行きません?」
「プライベートビーチですって!?」
「行く行く行く!」
「プライベートビーチですから、わたくしたち以外他の誰も居ません事よ!」
行くと連呼する関都は子どものようにはしゃいだ。慈美子も心躍っている。しかし、城之内は困ったような表情をする。
「悪いけれど、このビーチ5人用ですの!」
「そゆこと!」
「悪いけれど地味子さんは」
「お留守番よ!」
それを聞いた関都はむっとした表情になった。まるで殺人犯を睨みつける被害者遺族のようである。
「慈美子を仲間外れにするんだったら僕も行かない!」
「!…。ほほほほほ!冗談ですわ!今回は特別に6人に拡張致しますわ!じ、地味子さんもどうぞ!」
「やったわ!!!愉しみね!関都くん!」
「うん!」
こうして5人は城之内のプライベートビーチに招待された。
そして夏休みの某日。ついに約束の日がやってきた。そこは6人しかいない完全なプライベートビーチだった。
「ほほほほほ!」
城之内は大きい胸を見せつけるような派手な切り込みが入ったデザインの真っ赤なビキニを着ていた。勿論、今回はパッドなど入れていなかった。
一方で慈美子も真っ赤なビキニで大きな胸を揺らしていた。城之内は皆を取り仕切ろうとする。
「ささ!皆様楽しく泳ぎましょう!」
「よ~し!泳ぐわよ~!」
そう宣言する慈美子も城之内も大きな浮き輪を付けていた。2人ともカナヅチではないが、プールと違い波ある海ではこれが無いと上手く泳げず不安なのである。
そんな2人に関都は注意する。
「ははは!はしゃぐなよ!まずは準備運動だろ!」
「ふふふ!そうだったわ!」
「わたくしったらうっかり!」
こうして6人は準備運動し、海へ入った。海に入った6人はビニールプールに入った子どものように大はしゃぎした。誰も居ないから気を遣う必要が全くないのである。
6人は水を掛け合ったり、鬼ごっこをしたりととにかく楽しんだ。皆童心に帰るようであった。
「んー!大分疲れたな~」
関都を始め、遊び疲れた5人は浜辺のパラソルの下で一休みしていた。そこに城之内がゴムボートを持ってやってきた。
「泳ぎつかれたのならこれに乗りません?悪いけどこれは本当に5人乗りなの…ですから地味子さんは悪いけれど…」
「いいや!ここは公平にジャンケンにすべきだ!ゴムボートの持ち主である城之内を除いた5人でジャンケンして負けた人が乗れない事にしよう」
「うぅ…分かりましたわ…」
「それじゃあ!最初はグー!」
「じゃん・けん!」
「ポン!!!」
負けたのは慈美子と関都だった。慈美子の勝利など誰も望んではいなかった。そんな張り詰める空気の中、慈美子はジャンケンに臨んだ。
「最初はグー!」
「じゃん・けん!ポン!」
「あいこで…」
「しょ!」
「ポン!」
勝ったのは慈美子であった。城之内達はあからさまにがっかりしたような表情になる。まるで受験で落第した浪人生の様である。
「ははは、言い出しっぺの僕が負けかー。僕ジャンケンには自信がないからなぁ。サイコロにでもすればよかったよ!」
こうして関都を残して5人はゴムボートで沖に出た。漕がされているのは勿論、慈美子である。
そんな慈美子を城之内はコキ使う。
「ちょっともう少しスピード出ませんの?」
「精一杯やってるわよ!」
慈美子はタービンのようにひたすらゴムボートを漕ぎ続けた。しかし、さすがに疲れが出てきた。
慈美子はため息交じりに、漕ぐ手を休めた。
「もう疲れたわぁ」
「もう!早すぎますわぁ!」
「役に立たないわね!」
「できそこない!」
「うすのろ!」
城之内に加勢するように三バカトリオが罵詈罵声を慈美子に浴びせた。慈美子は疲れ顔ながらも反論する。
「ちょっと!そこまで言わなくてもいいでしょ~!ちょっと一休みするだけよ!」
一方、関都は飲み物を取りのビーチから席を外した。それを城之内は見逃さなかった。この時を待っていたのである。株を守ってウサギを待っていた農民のように虎視眈々とこの時を狙っていたのである。
「漕げないんでしたら、降りて貰いますわ!」
「な!?なにするのよ!」
ドボーン!!!
慈美子は城之内に突き落とされてしまった。慈美子は必死に犬かきで泳ぐ。その姿はまさに野良犬の様であった。
「ささ!はやくお漕ぎなさい!」
城之内は三バカトリオに指示を出し、三バカトリオはボートを漕いで、慈美子からぐんぐんと離れていった。
慈美子は必死に体制を立て直し、平泳ぎで岸を目指した。しかし、波が邪魔をし、中々前に進めない。慈美子はカナヅチではなかったが、泳ぎが下手で、海では全く歯が立たないのであった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
慈美子の体力はどんどん奪われていく。そして、ついに疲れ始めた。もはや泳ぐ体力も残っていない。慈美子は溺れかけてしまった。
バシャバシャバシャ!バシャバシャ!!!
慈美子はついに完全に溺れてしまった。もはやパニック状態である!慈美子は意識がどんどん薄れていった。まるでフランダースの犬の最終回のネロのように…。
しかし、関都はそれを見逃さなかった!飲み物を取って戻ってきた関都は、飲み物を投げ出し、急いで海に飛び込んだ!
「慈美子~!慈美子!!」
「あぷ…あぷ…!関…都く…ん…!」
慈美子の元に関都が泳ぎつけると、慈美子は意識を失った—―。
スゥ~!
ハァ~!ハァ~!
慈美子は目を覚ました。すると目に入ってきたのは関都の顔である。
なんと関都は慈美子に人工呼吸していたのだ!
「はぁ…はぁ…はぁ…」
慈美子は荒々しいながらも呼吸を取り戻した。フルマラソンで走り終わったランナーのように呼吸が乱れていた。
「おう慈美子!意識が戻ったのか!?」
「え、ええ!」
人工呼吸はキスではない。人工呼吸は飽くまでも救命行為であって接吻ではないのだ。しかし、慈美子はまるでキスでもされたかのように頬が真っ赤になったのだ。
「顔が少し赤いぞ?大丈夫か」
「ええ…大丈夫よ…」
人工呼吸はキスではない。それは頭では分かっていた。しかし、キスをされたのと気持ち的には変わらなかったのだ。あまりの嬉しさに動悸が激しくなった。
「息も荒いし、脈も速いな…これは今日は泳ぐのを止めた方が良さそうだ…」
関都は慈美子にドクターストップを出した。
それを悔しそうに見ていたのは他ならぬ城之内であった。城之内は裁判で負けた原告のように悔しがった。
(い~!関都さんに人工呼吸をしてもらうなんてズルイですわ!)
「それにしても、ボートから落ちるなんてドジだなぁ!」
「え?ええ…。てへへ」
「放っておけないから暫く慈美子の看病を続けるよ。4人で楽しんでくれ」
「え?!ええ…。分かりましたわ」
城之内は悔しそうにその場を後にした。関都は看取るような目で慈美子を看病した。慈美子はまだ興奮が収まらなかった。そんな慈美子に追い打ちをかけるような事を関都は言う。
「念のため心臓マッサージもしたんだぜ!」
「え!?」
慈美子は顔がコカ・コーラのように真っ赤になった。人工呼吸は飽くまでも救命行為で性的な物ではない。頭では分かっている。しかし、心臓マッサージをされたという事は胸を触られたという事である。関都には他意はなかったが、その言葉に、慈美子は嬉し、恥ずかしかった。
そんな慈美子を関都は心配そうに見つめる…。
「ん?顔は赤いし、脈も速いし呼吸もまだ粗いな…一応病院に行った方が良いか?」
「いいえ!大丈夫よ!」
原因は分かっていた。動機も激しい呼吸も溺れたせいではない。すべて関都への慕情からくるものが原因である。完全に元気を取り戻した慈美子は気丈に振舞った。
「もう大丈夫だから!関都くんも遊んできて!」
「え~?ちっとも大丈夫そうに見えないぞ~?」
「いーから!さぁ!私は大丈夫よ!休んでるから!」
関都にいつまでもそばに居られると恥ずかしくて呼吸も動機も収まらない。少し1人で頭を冷やしたくなったのだ。関都はリュックから何かを取り出し、慈美子に差し出した。
「じゃあ、ここに防犯ブザーを置いておくから、何かあったらすぐ鳴らしてくれ!急いで飛んでいくから!」
「ええ!ありがとう!」
慈美子は関都を戦争に送り出す母親のように見送った。慈美子は気分が大変高揚していた。すっかり全能感に満ち溢れていた。
「今日は人生最高の日だったわ!夏休み早々幸先が良いわ!」
慈美子はすっかりファーストキスした気になって浮かれていた。しかし、本当のファーストキスをするのはもう少し先の事である。
「ほほほ!ごきげんようですわ!」
「ご、ごきげんよう…」
「夏休みはわたくしのプライベートビーチに行きません?」
「プライベートビーチですって!?」
「行く行く行く!」
「プライベートビーチですから、わたくしたち以外他の誰も居ません事よ!」
行くと連呼する関都は子どものようにはしゃいだ。慈美子も心躍っている。しかし、城之内は困ったような表情をする。
「悪いけれど、このビーチ5人用ですの!」
「そゆこと!」
「悪いけれど地味子さんは」
「お留守番よ!」
それを聞いた関都はむっとした表情になった。まるで殺人犯を睨みつける被害者遺族のようである。
「慈美子を仲間外れにするんだったら僕も行かない!」
「!…。ほほほほほ!冗談ですわ!今回は特別に6人に拡張致しますわ!じ、地味子さんもどうぞ!」
「やったわ!!!愉しみね!関都くん!」
「うん!」
こうして5人は城之内のプライベートビーチに招待された。
そして夏休みの某日。ついに約束の日がやってきた。そこは6人しかいない完全なプライベートビーチだった。
「ほほほほほ!」
城之内は大きい胸を見せつけるような派手な切り込みが入ったデザインの真っ赤なビキニを着ていた。勿論、今回はパッドなど入れていなかった。
一方で慈美子も真っ赤なビキニで大きな胸を揺らしていた。城之内は皆を取り仕切ろうとする。
「ささ!皆様楽しく泳ぎましょう!」
「よ~し!泳ぐわよ~!」
そう宣言する慈美子も城之内も大きな浮き輪を付けていた。2人ともカナヅチではないが、プールと違い波ある海ではこれが無いと上手く泳げず不安なのである。
そんな2人に関都は注意する。
「ははは!はしゃぐなよ!まずは準備運動だろ!」
「ふふふ!そうだったわ!」
「わたくしったらうっかり!」
こうして6人は準備運動し、海へ入った。海に入った6人はビニールプールに入った子どものように大はしゃぎした。誰も居ないから気を遣う必要が全くないのである。
6人は水を掛け合ったり、鬼ごっこをしたりととにかく楽しんだ。皆童心に帰るようであった。
「んー!大分疲れたな~」
関都を始め、遊び疲れた5人は浜辺のパラソルの下で一休みしていた。そこに城之内がゴムボートを持ってやってきた。
「泳ぎつかれたのならこれに乗りません?悪いけどこれは本当に5人乗りなの…ですから地味子さんは悪いけれど…」
「いいや!ここは公平にジャンケンにすべきだ!ゴムボートの持ち主である城之内を除いた5人でジャンケンして負けた人が乗れない事にしよう」
「うぅ…分かりましたわ…」
「それじゃあ!最初はグー!」
「じゃん・けん!」
「ポン!!!」
負けたのは慈美子と関都だった。慈美子の勝利など誰も望んではいなかった。そんな張り詰める空気の中、慈美子はジャンケンに臨んだ。
「最初はグー!」
「じゃん・けん!ポン!」
「あいこで…」
「しょ!」
「ポン!」
勝ったのは慈美子であった。城之内達はあからさまにがっかりしたような表情になる。まるで受験で落第した浪人生の様である。
「ははは、言い出しっぺの僕が負けかー。僕ジャンケンには自信がないからなぁ。サイコロにでもすればよかったよ!」
こうして関都を残して5人はゴムボートで沖に出た。漕がされているのは勿論、慈美子である。
そんな慈美子を城之内はコキ使う。
「ちょっともう少しスピード出ませんの?」
「精一杯やってるわよ!」
慈美子はタービンのようにひたすらゴムボートを漕ぎ続けた。しかし、さすがに疲れが出てきた。
慈美子はため息交じりに、漕ぐ手を休めた。
「もう疲れたわぁ」
「もう!早すぎますわぁ!」
「役に立たないわね!」
「できそこない!」
「うすのろ!」
城之内に加勢するように三バカトリオが罵詈罵声を慈美子に浴びせた。慈美子は疲れ顔ながらも反論する。
「ちょっと!そこまで言わなくてもいいでしょ~!ちょっと一休みするだけよ!」
一方、関都は飲み物を取りのビーチから席を外した。それを城之内は見逃さなかった。この時を待っていたのである。株を守ってウサギを待っていた農民のように虎視眈々とこの時を狙っていたのである。
「漕げないんでしたら、降りて貰いますわ!」
「な!?なにするのよ!」
ドボーン!!!
慈美子は城之内に突き落とされてしまった。慈美子は必死に犬かきで泳ぐ。その姿はまさに野良犬の様であった。
「ささ!はやくお漕ぎなさい!」
城之内は三バカトリオに指示を出し、三バカトリオはボートを漕いで、慈美子からぐんぐんと離れていった。
慈美子は必死に体制を立て直し、平泳ぎで岸を目指した。しかし、波が邪魔をし、中々前に進めない。慈美子はカナヅチではなかったが、泳ぎが下手で、海では全く歯が立たないのであった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
慈美子の体力はどんどん奪われていく。そして、ついに疲れ始めた。もはや泳ぐ体力も残っていない。慈美子は溺れかけてしまった。
バシャバシャバシャ!バシャバシャ!!!
慈美子はついに完全に溺れてしまった。もはやパニック状態である!慈美子は意識がどんどん薄れていった。まるでフランダースの犬の最終回のネロのように…。
しかし、関都はそれを見逃さなかった!飲み物を取って戻ってきた関都は、飲み物を投げ出し、急いで海に飛び込んだ!
「慈美子~!慈美子!!」
「あぷ…あぷ…!関…都く…ん…!」
慈美子の元に関都が泳ぎつけると、慈美子は意識を失った—―。
スゥ~!
ハァ~!ハァ~!
慈美子は目を覚ました。すると目に入ってきたのは関都の顔である。
なんと関都は慈美子に人工呼吸していたのだ!
「はぁ…はぁ…はぁ…」
慈美子は荒々しいながらも呼吸を取り戻した。フルマラソンで走り終わったランナーのように呼吸が乱れていた。
「おう慈美子!意識が戻ったのか!?」
「え、ええ!」
人工呼吸はキスではない。人工呼吸は飽くまでも救命行為であって接吻ではないのだ。しかし、慈美子はまるでキスでもされたかのように頬が真っ赤になったのだ。
「顔が少し赤いぞ?大丈夫か」
「ええ…大丈夫よ…」
人工呼吸はキスではない。それは頭では分かっていた。しかし、キスをされたのと気持ち的には変わらなかったのだ。あまりの嬉しさに動悸が激しくなった。
「息も荒いし、脈も速いな…これは今日は泳ぐのを止めた方が良さそうだ…」
関都は慈美子にドクターストップを出した。
それを悔しそうに見ていたのは他ならぬ城之内であった。城之内は裁判で負けた原告のように悔しがった。
(い~!関都さんに人工呼吸をしてもらうなんてズルイですわ!)
「それにしても、ボートから落ちるなんてドジだなぁ!」
「え?ええ…。てへへ」
「放っておけないから暫く慈美子の看病を続けるよ。4人で楽しんでくれ」
「え?!ええ…。分かりましたわ」
城之内は悔しそうにその場を後にした。関都は看取るような目で慈美子を看病した。慈美子はまだ興奮が収まらなかった。そんな慈美子に追い打ちをかけるような事を関都は言う。
「念のため心臓マッサージもしたんだぜ!」
「え!?」
慈美子は顔がコカ・コーラのように真っ赤になった。人工呼吸は飽くまでも救命行為で性的な物ではない。頭では分かっている。しかし、心臓マッサージをされたという事は胸を触られたという事である。関都には他意はなかったが、その言葉に、慈美子は嬉し、恥ずかしかった。
そんな慈美子を関都は心配そうに見つめる…。
「ん?顔は赤いし、脈も速いし呼吸もまだ粗いな…一応病院に行った方が良いか?」
「いいえ!大丈夫よ!」
原因は分かっていた。動機も激しい呼吸も溺れたせいではない。すべて関都への慕情からくるものが原因である。完全に元気を取り戻した慈美子は気丈に振舞った。
「もう大丈夫だから!関都くんも遊んできて!」
「え~?ちっとも大丈夫そうに見えないぞ~?」
「いーから!さぁ!私は大丈夫よ!休んでるから!」
関都にいつまでもそばに居られると恥ずかしくて呼吸も動機も収まらない。少し1人で頭を冷やしたくなったのだ。関都はリュックから何かを取り出し、慈美子に差し出した。
「じゃあ、ここに防犯ブザーを置いておくから、何かあったらすぐ鳴らしてくれ!急いで飛んでいくから!」
「ええ!ありがとう!」
慈美子は関都を戦争に送り出す母親のように見送った。慈美子は気分が大変高揚していた。すっかり全能感に満ち溢れていた。
「今日は人生最高の日だったわ!夏休み早々幸先が良いわ!」
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