王道じゃなくて悪かったな

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学院生活 前学期編

26. 修羅場を切り抜ける術が見つからない件について

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 どうしよう、全然打開策が見つからない。え、この場合はどうしたらいいの?

 別に俺この2人のどっちとも付き合ってる訳じゃないし、ナナなんて軽く10回はフッてるんだよ?

 会うたびに告白してくるから、その度に断ってたし、たまに受け流したりはぐらかしたりはしたけど、まあ何と無くわかるじゃん?

 それなのに執着が激しいこのメンヘラちゃんを俺にどうしろってのかな?

 誰かこのメンヘラ vs ヤンデレの修羅場を切り捨てておくれ…


「コソッ)) 榊様、先程からナナと名乗る人物は何者ですか…?親衛隊のデータベースには有りません。」

「あぁ、ナナは、うーん、結構前に連絡しなくなってて、ナナからの連絡も無視しちゃってたんだよね。オトモダチだった子だよ。」

「左様ですか。如何しますか?このままでは終わりが見えないと思われます。」

「そうだよねぇ… とりあえず千藤とデートって言って離れるか。多分ナナは後ろからつけてきちゃうかもだから、見張っといて。」

「御意に。」


 今のは江野ちゃん。オトモダチ把握担当ね。

 さてさて、本日のヤンデレお姫様を連れ出しますかね…
 俺ってほんとオトコ関係クズだなって、これ以上思い知らされたくないし。


「千藤、千藤~?千佳、?」

「…っ!、な…まぇ…、///」

「あー、呼び捨ては嫌?じゃあ、ちーちゃん?」

「ど…ちも、す…。」

「"どっちも好き"?じゃあ、千佳でいいか。ナナ、悪りぃけど俺ら今デート中だから、もう行くわ。それと、ナナとの関係は今後持たないようにしようと思う。
 ナナのこと嫌いなわけじゃないんだけど、ナナは俺のこと好きすぎるだろ?
 俺は、誰も愛さないし、誰とも付き合わない。誰か一人のモノにはならない。
 最初に話したろ?それをナナは忘れたのか?」

「…!わ、忘れてないもんっ!ナナが勝手に響也のこと好きなだけだもんっ!、…」

「ナナ、それがダメなんだよ。俺のこと、愛さないで。
 オトコなんていくらでもいるよ。ナナ、俺以外を見ろ。」

「や、やだよっ!響也が好きだもんっ!ナナ、なんでもするっ!響也が好きなもの全部あげる!エッチだって響也はマグロでいいもん!ナナが全部するもんっ!ねぇっ、ナナのこと捨てちゃやだよっ!ナナ、捨てられたら生きていけないのっ!」

「ナナ… ごめんな。俺はナナの想いを受け止められない。俺以上にナナを見てくれる人が居るよ。ナナ、お前の隣で生きるのは、俺じゃないんだ。」

「ナナ、ナナなんでもできるっ!響也だけって誓うよっ?!響也が遊んでてもナナ許してあげるっ!むしろナナとのことも遊びでもいいのっ!響也、やだ、やだぁ…、!」


 駄々をこね続けるナナの目元を、誰かが優しく覆い隠した。

 その手は無骨な男の手で、俺の知ってる人間じゃないことが伺える。

 きっとソイツはナナを大事にしてくれる人。

 男を見て、深く頭を下げた。ナナをよろしくお願いします、そう思いを込めて。

 俺は千藤の手を引いてその場を後にした。


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