怠惰な悪役貴族は変わらず怠惰に過ごしたい。死亡フラグを回避する為に【闇魔法】を極めてたら正ヒロインに好意を持たれたのだが。

つくも/九十九弐式

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第5話 ロリ巨乳エルフから魔法を教わる

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 その日は実際に魔法の講師がオルレアン家の屋敷にやってきて、俺達に魔法の講義と訓練をする事になっていた。

 俺は想像していた。魔法使いと言うと、いかついおじいさんを俺は思い浮かべた。帽子をかぶっており、ローブを着ていて、杖を持っているイメージが浮かんできた。

 だが、現実は違った。屋敷にやって来たのは年端もゆかない少女だった。雪のように白い肌。背も小さい。そして、実に可愛らしい顔ロリキャラみたいだった。ただ、背丈が低く実に幼い印象を受ける割に、乳房が異様に発達していた。

 魔法講師はロリ巨乳だった。

「あの、どうかされましたか?」

 魔法講師は俺があまりにその巨大な二つの膨らみ気を取られていると怪訝そうに聞いてきた。

「い、いえ。何でもありません」

 魔法講師はロリ巨乳ではあるが、尖った耳を持っていた。彼女の種族はエルフのようであった。その豊満な乳房はともかく、背丈や顔の幼さからするとせいぜい、人間で言うと10歳くらいにしか見えない。

 だが、エルフである事を考えるとそれなりに年齢が言っているのかもしれない。例えば50歳とか。100歳。いや、200歳なんて事も。

 だが、女性に年齢を聞くなど失礼にあたるので、そんな事はしないが。

 エスティア・ミレンドール。それが魔法講師である彼女の名前であるそうだ。彼女の種族はエルフだ。元々はАランクパーティーで後衛職として働いていたらしい。

 四大属性の魔法を高いレベルで使用できるが、特に得意なのは水属性の魔法だそうだ。

 俺と姉——は剣術の稽古の時と同じように庭で魔法の訓練を受ける事になる。エスティアはアリシアに魔法を教える為に、度々、この屋敷を訪れていたようだ。本当は両親からの依頼で俺とアリシアに魔法を教える為に来訪していたのだ。

 ただ、俺が講義をサボタージュしていたので、顔を合わせる機会がなくて、今日が初顔合わせとなっただけの話だ。

「それでは、今日はアーサー君が初めて私の講義に出席してくれたので、魔法の基本的なところを教えます」

 こうして、ロリ巨乳エルフの魔法講師のエスティアは魔法について語り始める。

「魔法は魔力という、人間やエルフの体内にあるエネルギーを消費して、その引き換えとして精霊の力を借りる事ができ、現実の世界に干渉する事ができる、という、とっても素晴らしいものなのです」

 エスティアは遠くにある大木を指し示す。

「剣術との大きな違いはその射程範囲です。例えば、あんな凄い遠いところに大木があるでしょう」

 遠くに大木がある。だが、あまりに遠いのでその大木は本来は大きいもののはずなのだが、随分と小さいように感じられた。

「あんなものに攻撃するのは剣では到底できない事です。届くとしてもせいぜい弓くらい。物理攻撃ではそうなります。ですが、魔法攻撃なら弓と同じように攻撃を届かせる事が可能なのです」

 エスティアはそう言いながら、指先に魔力を集中させる。魔力と引き換えに、精霊の力を借りて現実世界に干渉させているのだろう。エスティアの周囲には青白い無数の光が灯る。

 あれは恐らくは水の精霊だ。エスティアの指先にはどこからともなく、水が現われ、集まっていく。最初は小さな水の塊であったが、それは次第に大きなものへと膨れ上がっていく。

 そして、エスティアは遠くにある大木目掛けて、魔法を解き放つのだ。

「ウォーターボール」

 巨大な水の塊——ウォーターボールは遥か遠方にある大木目掛けて高速で襲い掛かる。

 ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 という、大きな音が轟く。巨大な水柱が立った。そして、大木は木っ端微塵になったのだ。あれほど頑丈そうに見えた遠くにある大木が一瞬の事で。
 俺は驚きを覚えた。
 それだけエスティアの放った魔法の威力が凄まじかったという事であろう。

「どうですか? 魔力消費が必要というデメリットはありますが、魔法は戦闘において大きなメリットがあるのです。弓のように武器を持ち運ぶ必要もありません。それと、もう一つ大きな利点があります」

「どのような利点があるのですか?」

 俺はそう聞いた。

「それは攻撃範囲の広さです。大抵の魔法は弓よりも広範囲の攻撃を行う事ができます。例えば弓ならば遠くにいる一人の敵しか倒せないのに、魔法なら十人を一気に倒せるようなイメージでしょうか」

「へぇー」

「だけど、それは大きなデメリットにもなりえます。なぜなら、味方と敵が入り乱れる混戦の場合、広範囲の攻撃は味方にまで被害が出てしまうのです。そのような場合、弓や剣を使う方が理に適っています」

「なるほど」

 俺は相槌を打った。

「それではアリシアさんには今まで何回か教えて来たので、実際に魔法を使って、弟のアーサー君に見せて貰いましょうか」

「……はい」

「アリシアさんはとても才能があり、飲み込みが早いのですよ。きっと将来は凄く優秀な魔法師になると私は確信しています」

 エスティアは笑顔で語る。

「それでは、あそこにある大きな岩に魔法を命中させてみましょうか」

「わかりました」

 アリシアは答える。こいつは傲慢で我儘でむかつく姉ではあるが、そういった態度は自分より立場が弱いと思っている俺に対してはそういった態度を取ってくるが、誰にでもそうというわけではない。

 エスティアは見た目は確かに少女のようで頼りないが、それでも魔法の実力が確かなのは先ほど見せて貰った通りだ。アリシアは礼節を払い、言う事を大人しく聞くべき相手なのだと理解しているようだった。

 アリシアは深く精神を集中させる。魔法を使うには魔力を消費するだけではない。集中力を要した。アリシアの周りに赤い光が灯り出す。干渉しているのは言うまでもない火の精霊である。

 アリシアは閉じていた瞳を大きく見開き、遠くにある大岩を見据えた。そして、魔法を放つ。

「ファイアーボール」

 放たれたのは初級魔法であるファイアーボール(火球)だ。その魔法は本来は初級魔法であるはずなのだが、アリシアの魔力の高さ、魔法の才もあって、凄まじい威力を発揮した。ファイアーボールは大岩に着弾すると、

 ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 と、けたたましい音を立てて、巨大な火柱を立てるのであった。強力な火炎により、大岩は一瞬にして誘拐した。

「すごいわ。アリシアさん。なんて威力なの!」

 エスティア

「まあ、ざっと。こんなもんよ」

 アリシアは俺を見て、不敵な笑みを浮かべた。自らの魔法の才を見せつけたと思ったのだろう。流石は我が姉である。言動のひとつひとつから傲慢さが滲み出ている。

「それじゃあ、アーサー君も魔法を使ってみましょうか」

「僕が魔法を?」

「ええ。どの属性の精霊でも敵わないから、自分が頼みやすい精霊に干渉してみて。目を閉じて祈るの。精霊には波長みたいなものがあって、合う合わないか、個人差があるから。自分にすっと入ってくる感じの属性の精霊が自分にとっての相性の良い精霊なの。いいからやってみて」

「……は、はぁ」

 俺は言われるがままに、何となく見様見真似で魔法の行使を試みた。目を閉じて精神を統一させる。
 自然な感じで、自分にとって最も波長が合う属性の精霊を探し続ける。こうして、俺の周囲に黒い無数の光が灯り始めるのであった。

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